すこし遅くなったけれど、やはり、これについてお話したいと思います。
麻生太郎幹事長が、日本の民主党を、ナチスに例えたことですよ。
発言が出たのは8月4日で、江田参院議長と会談したときとあります。
「麻生氏、「ナチス」に例え民主批判? 本人は否定」
「自民・麻生幹事長の「ナチス」発言、民主党が強く反発」
なんでも、「民主党は本当に政権を取るつもりがあるのか。
国民のことを考え、対話をするような雰囲気ではない。
ドイツでも1回やらせてみようと、国民がナチスを選んだことがあった」
と言ったのだそうです。
民主党ですが、「暴虐極まりない政治を行うかのような印象を
与えかねない発言だ。例えとしても許される話ではない」と当然反発です。
小沢代表は、「ナチスどころか正反対だ。いつもバラバラだとか何とか
言われてるくらいだ。」と機転を利かせた反論でしたよ。
(「「ウフフフフフフ・・・」と余裕の笑い」というのがいいですね。)
「麻生発言に小沢代表が反論、民主は「ナチスどころか正反対」」
「小沢氏、麻生氏のナチス発言に「民主党はナチスと正反対。バラバラと言われてる」」
とくにヨーロッパでは、ヒトラーやナチスに対するトラウマが強く、
いかなる文脈でも、政治的なことで、ヒトラー・ナチスに
なぞらえるのは、ご法度となっています。
ブッシュ大統領が、「アメリカに神さまのお恵みを!」と、
国民に呼びかけたりするのは、日本人にも抵抗があると思いますが、
ヨーロッパ人にとっても、かなり抵抗があることです。
これは、ほかならない、ナチス・ドイツが、「神はわれらとともに」を、
スローガンにしていたことによるものです。
http://www.getglobal.com/war/iraqwar5.html
そういうしだいなので、麻生幹事長の「ナチス」発言も、
世界中で報道されてしまい、かなり不評を買うことになりました。
日本も第二次世界大戦は、ヒトラー・ナチスの同盟国として
戦いましたから、日本の政治家が、こうした発言をすれば、
警戒され、批判されるのも、当然と言えるでしょう。
「麻生暴言、英国BBCが「それでも日本の人気政治家」と皮肉」
「AP通信が速報&どこがどう暴言かご説明します。」
「麻生幹事長、世界が許さない“ナチス”暴言」
ついでながら、麻生氏の言う、「1回やらせてみようとナチスを選んだ」
というのも、正確な事実認識ではないと思いますよ。
ナチスは、政権につく直前の選挙で、議席を減らしていました。
政権についたときは、国民に見限られはじめていた矢先だったと言えます。
また、当時の保守・右翼系の諸政党は、ヒトラーを首相につけて、
その国民的人気を利用して、支持を集めようとしたのでした。
彼らは、ヒトラー・ナチスを、まともとは思っていなくて、
自分たちの傀儡にするつもりでいて、どうせ短期政権と思っていましたから、
「やらせてみよう」なんて気は、なかったのだと思います。
それから、日本の民主党は、実際に「ナチスどころか正反対」の、
「ワイマール連合」に近い構成であると、わたしは思います。
これは、社会主義政党の「社会民主党」、政治的自由主義をかかげる
「ドイツ民主党」、カトリックに基盤を置く「中央党」の
3党による連立政権で、ワイマール民主制の核を担うことになります。
これは、比較的リベラルな、保守系勢力の政権担当能力と、
社民主義勢力がむすびついたものと言ってよいでしょう。
この両者が、左右の両翼を抑えて、協力と折り合いを続けられ、
有権者から支持を得られるかぎり、政権は安定することになります。
(実際には、連立政権内部の協力がうまくいかず、
左右両翼の台頭も防げず、1回の選挙で過半数割れを起こして、
以後一度も過半数を制することはなくなります。)
2008年08月16日
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Excerpt: ユダヤ陰謀論は歴史の真実!|どーゆーこっちゃ…!! 私は絶対にだまされないゾ 「ホロコースト」は、 ユダヤ人によるパレスチナ占領を正当化するために仕組まれた 巧妙な政治的プロパガンダ、 つまり‘嘘っ..
Weblog: kojitakenの日記
Tracked: 2008-08-19 19:11
「ブッシュ大統領、「イスラム過激派は、ファシスト、ナチス、共産主義者、20世紀の全体主義者の後継者だ」と批判」(京都新聞、2006.9.1)
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2006/09/__c1a2.html
批判対象と同じ手法を取りはじめてしまう、
それは「ダークサイドへの一里塚」! ヤバイです〜!(;<>;)!
>また、当時の保守・右翼系の諸政党は、ヒトラーを首相につけて、
>その国民的人気を利用して、支持を集めようとしたのでした。
今、「国民的人気」の枕詞がつく人は……おおっ、発言のご当人ではありますまいか。
ナチスによるホロコーストを余りに特別視/絶対悪視することが、帰ってその本質の理解を妨げるという懸念もある
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20080813/1218590505
わたしは、比喩やたとえに、「ナチズム」「ファシズム」の
たぐいを使うことは、めったにしないようにしていますね...
(往々にして、不正確なレッテルになりやすいですし、
それでいて、わかりやすいので、悪用されやすいですし...)
>ブッシュ大統領の台詞
もとの英文はこのようですね。(「後継者」は"successors"だ。)
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200609041449351
|“They're successors to Fascists, to Nazis, to Communists,
|and other totalitarians of the 20th century.”
|「20世紀のファシスト、ナチス、共産主義者、その他の全体主義者の後継者である」。
ようするに、これまでアメリカ合衆国が戦ってきた、
相手のラインナップ、ということのようですね。
(その中には、日本も入っているんでしょうね...
「その他の全体主義者」というのもありますし...)
それにしても、ブッシュは、イスラム原理主義のことを、
「イスラムのファシズム」なんて言っているけど、
この使いかたも安直であり、イカンのではないかと思います。
(ヨーロッパのメディアは、どういう論調だったのかな...?)
>「国民的人気」の枕詞がつく人は
ちょっと意識したのもあります。(むしろ安倍晋三を、だけど...)
でも、当時のドイツにおける、ヒトラーへの熱狂は、
当節流に言う、「国民的人気」というものなんだろうと思うけど。
リンクした、宮崎信行さまのエントリだけど、
「ヨーロッパではこうなっている」という現状のお話と、
「政権与党の幹事長ともなれば、諸外国が注目するから、気を付けましょう」
ということがメインの主旨だから、とくに問題ないように思うけど...
ナチスのユダヤ人迫害が、それ以前の前例を見ないほど、
大規模かつ組織的であったことは、まちがいないのだし、
ヨーロッパでの扱いが、「神聖化」とは、わたしは思わないけれど...
(変わった人や、過激な人も、探せばいるんでしょうけれど、
それはどんな分野にでもありえることで、その人たちのせいで、
もともとの概念や姿勢がまちがっている、というのではないでしょう。)
『ホロコースト産業』のことも、読みかじったことがありますよ。
ユダヤ人の代表と称するインテリのグループが、
犠牲者の名を利用して、多額の「保証金」をドイツから
せしめようとしている、という一種の詐欺ですね?
(この世界にも、こういう人たちがいるんだ、と思ったけど...)
それは、どんな世界にもいるであろう、そういう不心得者が
ケシカランのであって、ホロコーストや、ナチス犯罪に対する
現在の批判のありかたが間違っている、というのではないと思いますが?
「アウシュヴィッツ」と「ヒロシマ」を並べる議論も、
一時期なされていたと思ったし、タブーではないと思うけれど...?
(学術的に、比較論としてなってないのが、
そもそものところの、批判された原因ではないかと思いますが。)