先日、9月11日は、ほかならぬ全米同時テロが起きた日でした。
合衆国メリーランド大学の関連機関である、各国研究センターの
合同プロジェクト「WorldPublicOpinion.org」が、
9.11同時テロの黒幕はだれか、という国際世論調査を行なったのでした。
「米同時多発攻撃の黒幕、世論一致せず=17カ国調査」
アメリカ合衆国を含まない17カ国(日本もふくまない)が対象ですが、
これによると、「アルカイダ」が主犯と答えたのは、全体の46%でした。
「合衆国政府」が黒幕というのが15%、「イスラエル」が7%、
「その他」が7%で、「わからない」が25%でした。
合衆国政府と答えたのは、「自作自演」になると思いますが、
15%を多いと見るか、すくないと見るかは、意見がわかれそうです。
以前、「アポロ計画で人類は月着陸しなかった」と答えたかたが、
18.5%だったという、「オリコン」のアンケートをご紹介しましたが、
この数字から考えると、同時テロ自作自演説の信者15%、
イスラエルを加えても22%というのは、案外すくないのかもしれないです。
ロイター日本語版の記事は、17カ国全体の平均を書いていますが、
つぎの英文の記事を見ると、調査した国ごとの結果がしめされています。
もちろん国によって、ばらつきが大きくなっています。
「International Poll: No Consensus On Who Was Behind 9/11」
「Worldwide opinion differs on who carried out the September 11th attacks」
「合衆国政府」の自作自演説は、パレスチナ人自治区は27%ですが、
これより多い国は、メキシコ(30%)と、トルコ(36%)となっています。
トルコは反米感情が強いからだと思いますが、メキシコもそうなのでしょうか?
どなたか、ご存知のかたがいましたら、教えていただけたらと思います。
(お隣の国だから、確執はありそうだけど。)
「イスラエル」と答えた割合が高いのは、パレスチナ人自治区(19%)のほかに、
エジプト(43%)と、ヨルダン(31%)です。
アラブの国では、テロ発生当初から「われわれをおとしいれる、
イスラエルの陰謀に違いない」と言う人がいたというし、
イスラエルに対する反感が現れているのだろうと思います。
イスラム教国でも、非アラブだと、イスラエルへの反感は
ずっと弱いのか、インドネシア(5%)とだいぶすくなくなります。
「合衆国政府」の割合が高かったトルコも、親イスラエル国のためか、
「イスラエル」の犯行は3%と、きわめてすくないです。
「アルカイダ」の犯行と理解しているのは、ヨーロッパで全体的に高く、
アジアやラテンアメリカの開発途上国で低めになっています。
これは、先進国のほうが、適切な情報が入りやすいことを
しめしているのかもしれないです。
アルカイダと正しく答えた割合が、きわめて低いのがアラブ諸国で、
エジプトが16%、ヨルダンが11%となっています。
これらの国では、イスラム原理主義の犯行というのが、
感情的に受け入れ難いのかもしれないです。
これに対して、アルカイダと答えた割合が、きわめて高いのが、
ケニア(77%)と、ナイジェリア(71%)という、アフリカの2国です。
意外な感じですが、これらの2国は、余計な情報が入ってこないので、
かえって適切な判断ができるのかもしれないです。
日本でもネットをさわっているうちに、9.11自作自演説にかぶれた人もいますし、
情報過多もときには考えものなのかもしれないですね。
ところで、この調査、日本で行なったらどうなるでしょう?
2008年09月14日
この記事へのトラックバック
東京12区の民主党候補は「9・11陰謀論者」(笑)だったが...
Excerpt: 北朝鮮の金正日重病説や、アメリカの証券会社大手リーマン・ブラザーズの破綻という大変なニュースが目白押しというのに、やれ自民党総裁選だ、やれ総選挙だと、能天気な自民党や民主党の政治家たちには呆れたもの..
Weblog: kojitakenの日記
Tracked: 2008-09-15 22:41
メキシコについてですが、歴史的経緯から見れば強い反米感情を持っていてもおかしくないと思います。
アメリカとメキシコは1846−48年に戦争をしていまして、そのときにメキシコは領土の半分以上(カリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス、コロラドの一部)をアメリカに割譲しています。
現在もメキシコからの不法移民が問題になっていますが、背景にある農民の貧困はアメリカの自由貿易協定押しつけの結果という認識があるようですから、強い確執を感じていてもおかしくないでしょう。
元データを見ましたが、メキシコでアルカイダの犯行と言う意識が低いのは、途上国だから正しい情報が入らないのではなく、アメリカに対する感情的バイアスが強いからと理解した方が自然に思います。
合衆国政府の関与という回答の割合が他国に比べて高いのはそのためでしょう。
同じく「アルカイダ」という回答が低い中国、インドネシアでは、それ以上に「合衆国政府」という回答が低くなっています。
これについても適切な情報が入らないからかどうかは、母数や対象集団などがわからないため何とも言えません。
「イスラエル」「その他」も非常に低く「わからない」が50%以上を占めることを見ると、この事件に対して関心が低いのかも、ということも考えられます。
アフリカ2国の「アルカイダ」回答率の高さも、アフリカの南北問題、北のアラブに対する反感からくるのかもしれません。本当のところは、わかりませんけれど。
このグラフから読みとれるのは、各国内の情報の的確さではなく、「反米感情の高い所は合衆国政府の関与を疑う人が多い」「反イスラエル感情の高い所はイスラエルの関与を疑う人が多い」ということだけだと思います。
感情的なバイアスが判断を左右する例と言えるかもしれませんね。
ところで日本でアンケートをとったら、「アルカイダ」回答が多いと思いますけれど…。
9.11陰謀説は、浸透していないと思うんですけれどねぇ。
から、サンプル数やサンプル集団についての情報が(簡単ですが)書かれたPDFへアクセスできます。あまりにシンプルすぎて、素人の私には何とも言えません(困惑)。
実施したグループの人のコメントが上記アドレスの記事中(&プレスリリースPDF)に出ているのですが、教育水準の高い人はより多くの情報に接しているはずだが、教育水準が高い層とそうでない層とで「アルカイダ」と答えたのは前者がほんの少し多いだけだった(←PDF資料からは読み取れません(悩))、との記述を受けて、「単に情報に接する量の違いで回答が違うというのではないみたいだ」とのことでして、調査を実施したグループ内部でも結局は反米感情の問題だろうと見ているんじゃあるまいかに、100レプティリアン。
わたしのブログにコメント、ありがとうございます。
>メキシコ
メキシコについての情報、どうもありがとうございます。
アメリカと戦争して、テキサスなどを取られたのは知っていたけど、
19世紀のことだからどうかな?と思っていました。
(第一次世界大戦中、取られた領土の奪還を取り引きに、
同盟国側に立って、アメリカに戦線布告しないかと、
ドイツから打診があったらしいけど。)
現在も、移民やFTAがあるということは、
反米感情の強いかたは、たくさんいてもおかしくなさそうですね。
メキシコとトルコは、「合衆国政府」の割合はおなじくらいだけど、
決定的に違うのは、メキシコは、「その他」が多いということですね。
(この「その他」は、具体的にどこなのかな?
なぜにトルコでは、「その他」がきわめて少ないんでしょ?)
>中国、インドネシア
「わからない」が多いのは、興味が薄いだけかもしれないですね。
そういえば、アラブ諸国のような特殊な事情でもないかぎり、
「アルカイダ」がすくないところは、全般的に「合衆国政府」もすくなくて、
そのぶん「わからない」が多くなってますね。
>アフリカ2国
こちらも、情報ありがとうございます。
反アラブ感情のほうが、自然で無理がないかもしれないですね。
>日本でアンケートをとったら
わたしも、ヨーロッパ諸国並になるのでは?と思いますよ。
自作自演説を信じている人なんて、政治関係のブログを見ているから、
目につくだけで、限られているでしょうね。
ヨーロッパと違うところがあるとしたら、「イスラエル」が
ちょっとだけあるかもしれない、ということかな...
どうも、アメリカ合衆国やイスラエル、アラブなどへの反発感情で、
決まってくると思ったほうが、妥当そうですね。
くだらない情報が氾濫しているから、「とんでも」も増えるんだよ、
なんて思ったりもしたんだけど、わたしの深読みだったかな...?
例の本『陰謀論の罠』の最後、262ページに出てくる
「イデオクラシー」という映画は、さすがに杞憂にしても、
情報過多が、かえって悪影響になることも、
すこしくらいはあるのかななんて、思ったんだけど...
(でも、本当にそうなったためしって、そういえばないですね。(苦笑))
>情報過多が、かえって悪影響になることも、
>すこしくらいはあるのかななんて、思ったんだけど...
>(でも、本当にそうなったためしって、そういえばないです>ね。(苦笑))
いや、悪影響の実例がこのアンケート結果かも知れませんよ。
自分の信じたい情報しか信じないとか、
自分の考えていることに合わせて情報を集めるとか、
そういう方向に動きはじめたとき、
デマや嘘情報があまりに多いと、吟味や自省の機会を見失って、
一気にそちらへ流されてしまうおそれが大きそうに思います。
そして、そんな具合に流されやすい傾向が人間にはあるのかなあ、
なんてことを考えはじめている、
水伝騒動の後(?)の私でありました。
↑○○○星人の地球人観察日記(嘘)です(笑)。
>デマや嘘情報があまりに多いと、吟味や自省の機会を見失って、
自分の好みに合ったデマや嘘情報があまりに多いと、吟味や自省の機会を見失って、
>そして、そんな具合に流されやすい傾向が人間にはあるのかなあ、
そして、そんな具合に動いて流されやすい傾向が人間にはあるのかなあ、
m(_ _)m
(ああいう文脈でもないかぎり、話題にならないんだったり。)
>いや、悪影響の実例がこのアンケート結果かも知れませんよ。
ありゃ、そうなのかな?
そうだとしたら、ゆゆしいのかな、助かってるのかな...
「合衆国政府の自作自演だ」なんて言う、お騒がしい人たちがいなければ、
かかる世論調査で、「自作自演だと思う」なんて答える人は、
たしかにいないのかもしれないけれど。
>そして、そんな具合に動いて流されやすい傾向が人間にはあるのかなあ、
残念ながら、「地球人観察日記(嘘)」は、的確なようです。(笑)
(わたしも、自戒したいところです。)
でも、権力や大企業が情報操作したとか、集団妄想のような
異常心理におちいっている、といったことでもないかぎり、
(個人レベルはともかく)、社会的に影響があらわれるくらいに、
やばくなることはめったにないかなという気も、わたしはしているのでした。