『週刊金曜日』が、創刊15周年記念集会の案内に、日の丸の旗を持った、
自由の女神(ドラクロア)の絵を載せたことが、一部で話題になっています。
「左派・右派・陰謀論者の「国民戦線」結成へ!?」
「日の丸掲げて決起集会かよ(笑)」
「日の丸の旗の下に・・・大集会」
「仰天しました――『金曜日』と「日の丸」」
この木に竹をついだような絵の掲載が意味しているのは、
「ナショナリズム」や、その一形態である「反米イデオロギー」、
「反グローバル主義」、あるいは「反新自由主義」などを軸にして、
護憲派や左派と、排外主義者が手を結ぶということです。
「佐藤優現象」とも言われるものです。
佐藤優氏という、排外・国粋主義者が、
かねてから『週刊金曜日』などの、左翼メディアに登場して、
「左右共闘」の「国民戦線」を呼びかけているようなのですが、
護憲派や左翼のほうも、積極的に佐藤氏の主張に呼応しているみたいです。
最近の左派メディアに広く見られる傾向らしく、
『週刊金曜日』にかぎったことではないようです。
このような、民族主義を軸にした「左右共闘」の奨励は、
ネットでもときどき見かけますが、もともと「左派・リベラル」の中には、
このような雰囲気が蔓延していて、インターネットの論調も、
その影響を受けたものかもしれないです。
(わたしは、この方面にうとくて、ネットだけの論調だと思っていた。(苦笑))
わたしとしては、こんな左右の両端の共闘なんて、かかわらないまでです。
(そうも言っていられないかたたちには、いささか不謹慎ですが。)
火の粉が飛んで来たときだけ、対処をすればいいでしょう。
そんな中で、わたしが気になるのは、つぎのエントリを見ていると、
政治学者の山口二郎氏が、このような「左右共闘」に傾いているらしいことです。
「中野敏男氏からの寄稿」
http://watashinim.exblog.jp/8554298/
『論座』2008年10月号の、「現状に切り込むための「足場」を再構築せよ」
というタイトルの記事が引用されているのですが、
現状をふまえた上での、現実的な方策にも見えて、
これだけでは微妙であり、わたしには、なんとも言えないです。
(すぐ上に引用された、『「生きづらさ」について』と合わせて考えても、
こうした発想が、貧困層の受け皿としての民族主義、国粋主義に、
つながっていきそうなことは、すぐに想像ができます。)
山口二郎氏は、お名前をご存知のかたも多いと思いますが、
むかし民主党のブレインのようだったかたです。
(02年の代表選で、再選した鳩山氏が、中野寛成氏を幹事長にしたことを、
「自民党でもやらない論功行賞」と、痛烈に批判したことがある。)
実際、著作を見ると、民主党はかなり影響を受けているとわかります。
わたしも、山口氏の『政治改革』という本を読んで、
政治改革とはなんぞや?ということを知ったのでした。
わたしとしても、山口氏の本には、たくさん影響を受けていますし、
現在のわたしの知識のもとが、結構たくさんあるのでして、
それだけにこのまま、おかしな方向に走ってしまわないかと、気がかりです。
2008年11月03日
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Weblog: いわいわブレーク
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「左右共闘」は言うに及ばず、「9・11陰謀論」の連載が載っていたりします。そして、かつては『朝日ジャーナル』やその廃刊後は『サンデー毎日』からコラム「貧困なる精神」を引きついだ本多勝一氏は、そのコラムで佐藤優氏の主張を肯定的に引用するありさまです。
> 「ナショナリズム」や、その一形態である「反米イデオロギー」、
> 「反グローバル主義」、あるいは「反新自由主義」などを軸にして、
> 護憲派や左派と、排外主義者が手を結ぶということです。
> 「佐藤優現象」とも言われるものです。
これって、ナチスドイツや大政翼賛会の再現そのものだと思いますが、なびく人の多いこと多いこと。ブログの世界で「平沼赳夫一派」の城内実の人気が異様に高いことはよくご存知だと思います。
山口二郎氏は、かつて民主党のブレーンだったというより、民主党への肩入れを最近ますます強めているように私には見えますので、私のように民主党に対してある程度突き放したスタンスをとる人間よりも、民主党のシンパの人たちにとってこそ、より深刻な状況になっていると思いますよ。
世界観が構築できないからでしょう。
かつて第3世界と呼ばれた国々の惨状は、
とてもインターニャショナルを標榜する気にさせませんから。でも、資本&労働が世界的に大移動する今日、
鎖国的に自国の労働者を守れるはずがない。イキオイ、排外主義になびかざるを得ない。ここを突破するのは、不可能=ばくちめいた試みとと達観しつつ、地道にやっていくしかないんでしょう。
これは異なことを。いったい、
> 排外主義者
って「自民党左派」なんですか?
加藤紘一や引退予定の河野洋平は「排外主義者」なんですか?
このエントリで指摘されているのは、社民勢力が自民党右派や自民党からさえスピンアウトした極右の排外主義勢力と組もうとしていることではありませんか?
ひさしぶりの当ブログのコメントなのに、
いささかお返事が遅くなって、もうしわけないです。
>「9・11陰謀論」の連載が載っていたりします。
成沢宗男氏が中心になってやっているのでしょ?
(連載が、単行本にもなってるし...)
このかたは、きくちゆみ氏たちと、あの「真相究明会議」に出るくらいだから
(でもって、奥菜秀次氏に、叩かれるくらいだから)、筋金入りでしょうけど。
こういう連載を嬉々として載せていては、どうしようもないと思います。
>ナチスドイツや大政翼賛会の再現
ナチスドイツは、結局共産党と社会民主党を非合法化して、
政権を取ってから協力したのは、伝統的な保守・右翼だから、
ちと違うように思うけど...それはともかく...
>ブログの世界で「平沼赳夫一派」の城内実の人気が
>異様に高いことはよくご存知だと思います。
それは、まさしく「佐藤優現象」だと思いましたよ。
(というか、もともとネット主体の論調だと、わたしは思っていた。
そうじゃなくて、リアルにすでにそういう世論があって、
それをネットが受けたもののようですね。)
>山口二郎氏は、かつて民主党のブレーンだったというより、
山口二郎氏は、現実的な戦略として、民主党に肩入れしているけど、
もともとは、もっと左のほうの立ち位置なのかと思ってました。
(『週刊金曜日』の常連寄稿者だったりするし...)
>民主党のシンパの人たちにとってこそ、より深刻な状況になっていると思いますよ。
それで、わたしが、「民主党のシンパ」と目されているのかな?
山口二郎氏が、おかしな方向にいきそうだ、というので、
わたしが問題視したのは、たしかにあるんだけれど...
コメント、どうもありがとうです。
わたしが思うに、社民勢力(というより左翼勢力)の社会観は、
いまだに、55年体制的だと思います。
共産党のお題目なんて、いまだに、大企業中心反対なんてな調子で、
彼らの念頭にあるのは、大企業の利益のために施策する保守政党と、
大企業に集まった富の再分配を計る自分たち、という、
「会社本位主義」体制の経済システムなんだと思います。
それで、「グローバル化反対」とか、55年体制が崩壊した、
90年代以降に現れたものは、なんでも悪いとする論調に走るんだと思います。
(左派勢力が凋落した原因のひとつは、こういうすでに終わったものに
いつまでもしがみつくところにあるのでは?と、わたしは思います。)
この点に関しては、「バブル崩壊以前の日本はよかった」なんて、
懐古趣味的なことを言っている、平沼赳夫と同じだと思いますよ。
そこへもってきて、「ナショナリズム」とか、「反新自由主義」とか、
共通の旗印が、いくつかあるとなれば、それを軸に「共闘」するのも、
ある意味自然なことなのかもしれないです。
>社民勢力が、[元も含めて]自民党左派と組むのは、
ここで問題になっている「左右共闘」は、護憲左派と、国粋主義者という、
自民と民主の両方からはみだした、両側の勢力どうしの「共闘」であって、
「自民党左派」は、この際関係ないですよ。
「社民勢力が、[元も含めて]自民党左派と組むのは」
これは過去形であり、かつ後退した形での、現在形です。広い意味で、経済的にはケインジアン的55年体制のことで、今日では、労働法制規制強化・年金等セーフティーネット云々に後退している。政治的には保坂尚人氏と亀井静香氏の死刑廃止連合等、これも昨今の風潮の中、死刑執行の急増・判決の厳罰化等後退。
その要因として、80年代のレーガン・サチャー時代の主体的努力の欠如。これは、自民党[これって実際上ケインジアン的社民主義だった、それゆえ]中曽根の行革民活は米英ほど、徹底できなかった。容積率緩和や未公開株ビジネス等の規制緩和バブルで、批判勢力の「牙を抜く」方を優先したってことでしょう。
そんな中、世界史全体を見渡せば、かつての南北問題は、南々問題(資源保有国の富の増大と、非保有国の置いてきぼり)や新興工業国NIES[先進国からの資本流入と輸出力拡大]内での貧富の拡大と先進国の貿易競争力の低下。それが一層の先進国内での・・。
あ、長くなるから、これくらいで、要するに、低賃金国との競争が、日本へ撥ね返ってくる。英米は、いち早く金融化で対処。小泉・竹中路線は経済面ではこれの後追いと言えますけど、政治・軍事的には、日本国内の細分「敵」諸企業グループ[その共存共栄が、肥大で愚図な高級官僚の天下り先や与野党の各種派閥を支える原資となってた]を削減し、再編・統合するっていう目的があったのでしょう。
まあ、韓国ほど出ないにせよ、日本は、新興国と(金融)先進国との「挟撃」の中、それを打開して行く政策不在。
これが「イキオイ、排外主義になびかざるを得ない」の原因です。
不安定な生活苦が広がれば広がるほど、既得権保持者への「ねたみ」が国内的に増す。鈴木宗男氏や堀えもん、或いは藤田東吾を悪人として祭り上げつつ、特権階層を守るのには、共産党へのリークさえ辞さない「大衆迎合的」パフォーマンス。
たしかに、極右的引篭もりへの誘惑に屈するってことは、思考停止です。
が、その土壌は蔓延しており、そこに逃げ込む人々の感情は不安に根ざす。それを、論理の欠如と忌避しているだけでは、敗北宣言に等しいと思います。寝返った論客達の論理的無節操を叩いても、暖簾に腕押し。
でも、許せないと言い続けることによってしか、
自己の位置を確認できない。魯迅の絶望を、追体験するのが、出来ることのほぼ全てやと思います。
> ここで問題になっている「左右共闘」は、護憲左派と、国粋主義者という、
> 自民と民主の両方からはみだした、両側の勢力どうしの「共闘」
ですが、社民党、共産党といった旧来左翼は、国粋主義者と組む傾向はほとんど見られません。
雨宮処凛は社民党や共産党のメディアに登場しますが、どちらの党員でもないし、福島瑞穂や志位和夫が鈴木宗男や、ましてや平沼赳夫・城内実らと共闘する図式は見られません。特に共産党とは無縁で、唯一名前を挙げるなら、社民党の辻元清美かな、彼らと接点を持ちそうなのは。
むしろ危ういのは民主党ですね。それも、菅グループや横路グループなどの党左派ではなく、前原グループや野田グループのような党右派でもなく、小沢一郎や鳩山由紀夫などの主流派が平沼赳夫に思わせぶりなメッセージを送ったりします。このあたり、左右のはみ出し組同士の連携とはいえないように思います。それと、民主でも社共でもない新左翼。ブログの世界でよく見られる「9条ネット」あたりの支持者が、平沼一派への親近性が強いように思います。
それと三介さんの指摘に関しては、社民と自民左派が組むことについては、昔から社民連と新自由クラブが統一会派を組んだことがありますし、それが「さきがけ」のさきがけになったわけですが、左翼の最右派である社会民主主義と、右翼の最左派である修正資本主義は親近性があって当然だと思います。ただ、この立場は1994年からの「自社さ」で失敗しているわけで、55年体制への退行では新自由主義には勝てなかったんですね。80年代末に限界を迎えた社会主義(共産主義)と、00年代末に限界を迎えた資本主義(新自由主義)の両極に振れないような安定化の機構を備えた新しいシステムを構築する必要に迫られていると思います。
あらためてコメント、どうもありがとうございます。
でも、ぜんぜんわからないです。(泣)
というわけで、もうよけいなことは言わないで、
わたしからのコメントは、遠慮させていただきます。
(せっかく書いてくださったのに、ごめんなさいね...)
低賃金国との競合のせいで、排外主義に走る、というのは、
上のエントリで紹介した、つぎのエントリでも指摘されていることだけれど。
http://kinpy.livedoor.biz/archives/51010365.html
>社民党、共産党といった旧来左翼は、国粋主義者と組む傾向はほとんど見られません。
政党レベルでは、そういう動きはぜんぜんないと思います。
わたしも、聞いたことないですし、紹介したエントリも、現在ではなく、
将来的なプランとして、民族主義政党への転換を提案していますし。
(「そんな政党になるのは、いやだと言ってしまえばそれまで」
なんて書いていて、いやがることを予想もしているみたいだし。)
http://kinpy.livedoor.biz/archives/51010365.html
上のエントリのコメントにも、すこし書いたけれど、
いまのところ、一部のメディアやネットの論調
(一般の支持者)の範囲にとどまっていると思います。
だから政治家は、排外主義対策としての貧困問題、という観点には、
興味を持たないのではないかと言ったんだけど...)
そういう意味では、危険度(浸透度)は、
「9.11自作自演説」と、同じくらいだと思います。
(とはいえ、「9.11」は、こないだ国会で質議があったから、
「一歩先」に出ちゃった感じだけど。)
これらの人たちは、自民か民主を、いちおうは支持していても、
現状をかんがみてしかたなくであって、本心では左翼政党か、
民族主義政党のどちらかを支持したい、という人が多いんじゃないかな...?
>それと、民主でも社共でもない新左翼。ブログの世界でよく見られる
>「9条ネット」あたりの支持者が、平沼一派への親近性が強いように思います。
「新左翼」というんですか、そういう人たち。
>小沢一郎や鳩山由紀夫などの主流派が平沼赳夫に思わせぶりなメッセージを送ったりします。
小沢、鳩山両氏は、護憲左派でも、民族主義者でもないので、
当エントリで言うところの、「左右共闘国民戦線」は、ありえないですよ。
察するに、両氏の目的は、自民との対抗ではないかと思います。
スタンスとしては、わたしが想像するに、
ここで言う、「信頼できる敵」が近いのでは?と思います。
http://kinpy.livedoor.biz/archives/51249891.html
民主党は、いまのところ、自民と対抗する勢力であれば、
だれであっても、共闘するための門戸は開いていますね。
4月の山口2区の補選のときも、共産党が独自候補を
立てなかったことに対して、深ぶかとお礼を述べていましたし。
(共産党支持者の票が、本当に平岡氏に入ったのかは、
検討の余地があったにもかかわらず。)
この点に関しては、平沼氏だけが、特別優遇されているのではないと思います。