2008年11月03日

toujyouka016.jpg 左右共闘国民戦線?(2)

ところで、つぎのエントリの後半のところを見ていると、
民族主義、国粋主義の台頭は、ある程度は避けられないのかとも思います。
「朝日新聞・立花隆・後房雄の意見に思う。」
http://kinpy.livedoor.biz/archives/51010365.html

「保守政党が君臨し(時々革新に変わりもするが)、
経済を支配する者の富を貧者に再分配するポリテイックスモデル」というのは、
10月18日エントリで、すこしお話したようなことだろうと思います。
簡単に言えば、重商主義的な規制を張り巡らせて、
その中で企業に富みを集中させ、そこから野党が再分配を主張するという、
55年体制的な経済・社会システムです。

 
さきのエントリの分析が、どこまで当たるかはわからないです。
4大政党になるかどうかは、なんとも言えないし、
格差の調整の実現性も、そこまで悲観的ではないかもしれないです。
とはいえ、経済のグローバル化はもう来ていますし、
その中で、55年体制的な富の再分配は、もう破綻していますし、
近い将来、移民の受け入れがクローズアップされるのも、たしかだと思います。

そうなると、「われわれが職に溢れるのは、外国人のせいだ」という
ヨーロッパにありがちな排外主義が、日本の貧困層のあいだで、
幅を利かせてきて、民族主義政党が台頭することも考えられるでしょう。
そうなったときは、民族主義政党に、「左翼界隈からも
けっこう人材が流れていき、無視できない勢力を持つ」ことも、
前のエントリで、お話したような状況を見ると、じゅうぶんありそうです。


こうした事態をさけるには、第一に既存政党が経済対策を
万全にほどこして、貧困層の受け皿を確保することです。
それに限界があるとするならば、引き続いて、排外・国粋主義が、
貧困対策の解決として、じつは役に立たないことを、
一般市民のあいだの常識として、定着させることでしょう。

posted by たんぽぽ at 19:13 | Comment(8) | TrackBack(1) | 政治活動・市民運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
こんにちは。
前のエントリでの拙ブログの記事へのリンク、ありがとうございます。

>こうした事態をさけるには、第一に既存政党が経済対策を
>万全にほどこして、貧困層の受け皿を確保することです。

そうなんですよね。ここを民主党がきっちり押さえてくれるよう期待したいなあ、と思っているところへ、佐藤優現象に続いて「植草一秀現象」(新)の悪夢が(涙)。
http://sekakata.exblog.jp/7628507/

民主党の経済政策って、どのへんの議員が中心になって作っているのか、わかれば何とか意見したいんですが、今さらどうにかなる段階でもないような気もするのがつらいところです。。。

>それに限界があるとするならば、引き続いて、排外・国粋主義が、
>貧困対策の解決として、じつは役に立たないことを、
>一般市民のあいだの常識として、定着させることでしょう。

この準備と作業を同時進行的に進めなきゃなあ、なんて思うんですが、道のりは険しそうです。ゼノフォビア、この数年でかなり広められ浸透しちゃってるし、切羽詰まって来てる人、多いみたいですし……(ため息)。
Posted by 仲@ukiuki at 2008年11月04日 22:28
>前のエントリでの拙ブログの記事へのリンク、ありがとうございます。

いえいえ。
山口二郎氏が、へんなところに、片足突っ込んでいるらしいと、
わかったのが、わたしの収穫です。


>民主党の経済政策って、どのへんの議員が中心になって作っているのか、

「次の内閣」の、経済産業大臣は、増子輝彦氏、
副大臣は、大島敦氏と、藤末健三氏になっていますね。
(残念ながら、わたしは、ぜんぜん知らないです。)
http://www.dpj.or.jp/governance/gov/next_cabinet.html

現在進行中の金融不安は、「金融対策チーム」(座長が大塚耕平氏)が、
中心になって、対策を進めていますね。
(着々と進んでいるようだけど、これは貧困対策とは、あまり関係ないかな。)
http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/3aad126c64c996fdd94c0ba504f20171
http://www.dpj.or.jp/news/?num=14291
http://www.dpj.or.jp/news/?num=14293

もっと貧困対策、格差対策に関係がありそうなのとして、
男女共同参画局推進本部の、オンブッド会議報告書があるけれど。
格差社会のしわよせがいちばん来ているのは、
女性なので、男女共同参画の問題でもある、というのだけど。
http://www.dpj.or.jp/danjo/report/060313.pdf
http://www.dpj.or.jp/danjo/


>わかれば何とか意見したいんですが、
>今さらどうにかなる段階でもないような気もするのがつらいところです。。。

というより、(一部の論調は、やばいみたいだけど)、
国全体から見たら、まだぜんぜん脅威ではないのでは?
それゆえ、意見をしても、そういう観点からの対策に、
あまり興味を持ってくれない可能性が高そうなんだけど...
Posted by たんぽぽ at 2008年11月05日 22:12
>この準備と作業を同時進行的に進めなきゃなあ、なんて思うんですが、道のりは険しそうです。

モデルになりそうなのは、1990年代中ごろのドイツですね。
統一後、東側の経済復興で負担がかかって、不況に見舞われたんだけど、
その影響で、ネオナチが外国人の排斥を唱えだし、
外国人に対するいやがらせなども、さかんになってきたのでした。

このとき、一般の市民は、「ワイマール時代の再来を彷佛させる」と、
不安を強く感じたようで、『シンドラーのリスト』を
上演させるとか、積極的な対策に出たのでした。
その甲斐あって、ネオナチ勢力は台頭せず、
たしか選挙で議席が伸びなかったんだと思いました。
(いま、手もとに本がないので、不正確かもしれない。)


問題は、日本の一般市民たちに、これくらいの意識や
行動力があるかどうか、なんですよね...
(これが、心細いから、ため息が出ちゃうんでしょうけど...)
Posted by たんぽぽ at 2008年11月05日 22:13
たんぽぽさん、調べてくださりありがとうございます。

>あまり興味を持ってくれない可能性が高そうなんだけど...

私もそう思います……(-_-;)。
政権をとってから、少しずつ動きはじめる感じでしょうか。

特殊法人の処遇の問題とかうちのコメント欄で触れた議員定数の問題とか、政権をとって初めて見えてくるものもあるだろうと、今後の変化を切望しつつ、意見してみるのが、今できることなんでしょうね。もう少し先、時間ができたときに、意見を送ってみようと思います。

>このとき、一般の市民は、「ワイマール時代の再来を彷佛させる」と、
>不安を強く感じたようで、『シンドラーのリスト』を
>上演させるとか、積極的な対策に出たのでした。

すごいですね。。。
そんな力が日本の社会で生まれてくるのか。。。
ちょっとでも種を蒔きつづけるくらいしか、今できることはないんでしょう。
ため息つきつつ、試していこうと思います。
Posted by 仲@ukiuki at 2008年11月06日 05:06
> 排外・国粋主義が、貧困対策の解決として、じつは役に立たないことを、
> 一般市民のあいだの常識として、定着させることでしょう。

キモはここでしょうね。

理屈ではなかなか納得させにくいから、「歴史に学べ」という主張が有効だと思うのですが、昨今の橋下徹への大阪府民の熱狂なんかを見ていると、その訴えさえままならないような空気が徐々に醸成されていっているように見えます。

韓国や中国の人たちの反日感情を、両国の政府が煽り立ててきたこと等を考え合わせても、ここらへんの弱点はアジア民族に共通するものなのかなあという気もします。こんな弱気になってはいけないのかもしれませんけど。

同じ誤りは何度も繰り返されるものなのかもしれません。
Posted by kojitaken at 2008年11月06日 22:25
仲@ukiukiさま

>たんぽぽさん、調べてくださりありがとうございます。

いえいえ、
たまたまちょっと前に見て覚えていた、というのもあったりします。


>>あまり興味を持ってくれない可能性が高そうなんだけど...
>私もそう思います……(-_-;)。
>政権をとってから、少しずつ動きはじめる感じでしょうか。

ああ、「政治が興味を持たない」というのは、国全体で見れば、
排外主義が、まださほどの脅威とはなっていないのでは?ということですよ。

あるのは、一部の左翼メディアやネットばっかりで、
一般市民の中には、貧困や社会不満の解決として、
排外・国粋主義者と手を組む雰囲気は、ほとんどまったくないと思います。
危険性としては、「9.11自作自演説」とおなじくらいだろうと思います。
(とはいえ、「9.11」は、国会で質議する議員がいたから、
「一歩先」へ出ちゃった感じだけど。)

格差是正とか経済対策には、もちろん関心はあるでしょうけれど、
国粋主義や、排外主義をふせぐという観点からでしたら、
いまのところ必要がないと、思われるのではないかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2008年11月07日 00:57
仲@ukiukiさま(前のつづき)

>すごいですね。。。

あった、あった。
『ヒトラーとユダヤ人』(講談社現代新書)です。
6-7ページの「はじめに」と、245-247ページの「エピローグ」に書いてあります。
http://www.bk1.jp/product/01197491

1994年に失業者が、二次大戦後最大の、300数十万人に達し、
経済的な不安から、ネオナチによるテロも、つぎつぎと起きていました。
「外国人はとめどなくドイツへ流入してくるけしからんやからであり、
われわれの職場を奪い、治安を見出す不潔で劣等な集団である」
などと、彼らは排外的な主張しているわけです。

このころドイツで暮らしていた外国人は、
いつ自分の家が、ネオナチグループに放火されるかもしれないと、
怖れながら暮らしている人もいたのでした。
また、自分の子どもを、ひとりでプールに行かせない、
なんて用心している、外国人の親御さんもいたのでした。


こうしたネオナチ勢力は、絶対的な支持者が少ないので、
一般市民の生活の不安や不満の、批判票を集めることを、期待しています。
社会不安の増大は、彼らネオナチが台頭するチャンスを
いつもはらんでいると言えるでしょう。

1994年3月から、『シンドラーのリスト』が、
いっせいに上映されるのですが、どこの映画館も満員で人が溢れ、
本の著者も、入場券を買うのに苦労したと書いています。
また映画をめぐって、テレビ討論会や報道もなされたようで、
ネオナチの台頭に対する、国民の警戒心が反映されていました。
そのおかげなのか、1993-94年にかけて、連邦議会選や州議会選で、
ネオナチ勢力は、だいぶ後退したというお話です。
Posted by たんぽぽ at 2008年11月07日 00:58
kojitakenさま

>キモはここでしょうね。

「ヒトラー・ナチスの急激な進出が歴史的事実であったことを思う時、
現代の排外的、右翼的な傾向を持つ若者の偏見や無根拠な主張には、
厳しく対処してゆく必要があろう」と、246ページに書いてあります、はい。
http://www.bk1.jp/product/01197491


>ここらへんの弱点はアジア民族に共通するものなのかなあ

簡単に言えば、民主主義の成熟度の差だろうと思います。
ヨーロッパはなんだかんだで、歴史が長く蓄積がありますからね...
中国、韓国はなおさらだけど、日本でさえヨーロッパとくらべると
まだまだ蓄積がすくないと言わざるをえない。

こればっかりは、実際に民主主義を運営した経験が、ものを言うので、
短い時間で解決するものではないのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2008年11月07日 01:00

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