2008年12月22日

toujyouka016.jpg 改正国籍法成立(3)

今度の国籍法改正について、民主党の松浦大悟議員のブログで、
こんなエントリがありました。
「法に退けられる子どもたち」
http://www.dai5.jp/cgi/blog2/blog.cgi/permalink/20081202232743

松浦大悟議員ご自身は、もちろん国籍法改正に賛成です。
ところが、反対派からのメールやFAXは、ご多分にもれず殺到して、
その偏狭な考えに、すっかり心を痛めているとあります。
(国籍法反対派の考えは、共存や多様性をとくにたいせつにする、
民主党の基本姿勢とも、合わないでしょう。)

 
エントリの内容は、おもにDNA鑑定義務化に対する反論です。
日本の国籍取得は「血統主義」ですが、これは「属地主義」の対で、
家族関係で決める、ということであり、DNAレベルでつながっている、
という意味ではないことが、くわしく解説されています。

現に、養子縁組というものがありますし、日本人どうしでも、
法的な親子関係のすべてが、DNAでつながっているのではないです。
現在認知されている親子関係も、かならずしも
DNAがつながっている実の親子ではないのでした。

わりあい身近(?)なもので、実感がわきそうなものとして、
つぎのケースを挙げられています。
========
「彼女が妊娠してしまった。
しかし、ひょっとしたら他の男性の子かもしれない。
でも俺は、彼女のことを愛してる。
たとえ他の男性の子だとしても、俺はかまわない。
一生をかけてこの子を守ることを誓う…。」

映画でもよく描かれるモチーフです。
国家が親子関係にDNA鑑定を持ち込むことによって、
こうした関係性はことごとく壊されてしまいます
はたして、それで良いのでしょうか?
========

エントリのタイトルにもある、『法に退けられる子どもたち』
(岩波ブックレット)という本が、勧められています。
これはほかでもない、mネットの坂本洋子氏が、お書きになったもので、
「300日規定」や婚外子差別について、解説した本とあります。
坂本洋子氏、さっそく貢献していますね。


そのほか関連エントリ:
「国籍法改正とDNA鑑定をめぐる松浦大悟・参院議員の発言は良かった。」

「国籍法改正をめぐる大騒ぎに心が暗くなった」
松浦大悟議員のエントリが紹介されています。
(「こんなまっとうな政治家が民主にいたとは驚きだ」って...?)

「国籍法改正に関して。」
上のエントリから、さらにリンクされている。

posted by たんぽぽ at 21:51 | Comment(4) | TrackBack(2) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
リンクとトラックバックありがとうございます。
そういえば、DNAだけではなくて、あるファミリーの中のY染色体の継承にこだわる考え方を持つ人たちもいますね。でも、それと同時に、いえ、それ以上に、人間そのものと、人の営みの実情、そして、生物学的血縁を超えようとする人間の連帯を尊重してください、と言いたいです。
Posted by 村野瀬玲奈 at 2008年12月23日 12:09
「法に退けられる子どもたち」は
図書館の新刊本コーナーにあって
薄かったので手にとって読んでみました。
簡潔で、読みやすい本でしたよ。
内容は知っていることばかりでしたが
この程度は広く世間の人に知ってもらわないとね
という趣旨の本なのかな、と思いました。
Posted by さくら at 2008年12月23日 12:55
村野瀬玲奈さま
コメント、どうもありがとうございます。

>Y染色体の継承

でもって、Y染色体以外の遺伝子は、
どうでもよかったりするんですよね。(笑)

ヒトラーのニュルンベルク法も、そうだけれど、
こういう「血筋」で決めたがる人って、一見生物学にもとづいて、
厳密なように見せかけて、すごいご都合主義的だと思います。
(ようするに、イデオロギーが優先なのであり、
一見客観的に、決めているように見える「血筋」は、
ていのよいカモフラージュなんだろうと思います。)


>人間そのものと、人の営みの実情、
>そして、生物学的血縁を超えようとする人間の連帯を尊重してください、
>と言いたいです。

父子関係を確かめるために、DNA鑑定が使われている国でも、
無条件では認めていないですね。

フランスは、裁判で必要なときしか、鑑定は認められないです。
ドイツでも、子ども(またはその法廷代理人)の承諾がないと、
DNA鑑定は裁判証拠として使えないし、鑑定で実の親子でないとわかっても、
それだけで親子関係が解消されることはないようです。

父子関係を知る権利は認めつつも、生活の実態が尊重され、
子どもの福祉は守られると、考えているからだそうです。
(このあたりは、松浦議員がご紹介の、
『法に退けられる子どもたち』の23ページにくわしいです。)
Posted by たんぽぽ at 2008年12月23日 23:04
さくらさま
コメント、どうもありがとうございます。

わたしも、きょう本屋さんへ行って、さっそく買ってきましたよ。
冊子みたいな本なので、504円(税込み)で、文庫より安いですしね。

内容は、こういうブログを読んでいるかたなら、
知っていることがほとんどだけれど、ご存知のかたでも、
一通り読めば、知識の整理には役に立つんじゃないかな?

最後の「おわりに」に、安倍政権が、バックラッシュ的で、
女性の自己決定権の尊重と逆行する家族政策を導入して、
「少子化対策」をしようとしたことも、紹介されていますね。
こういう、じつは大事なことまで、触れられていて、
よく目配せが出きている本だと、ちょっと関心しましたよ。
Posted by たんぽぽ at 2008年12月23日 23:05

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