ぜんぜん記事になっていないですが(ニュースバリューないけど)、
「政党助成金」の交付が、4月20日になされました。
これはよくご存知のように、政党の活動資金を、
国が税金で補助するもので、年に4回にわけて支払われ今回が1回目です。
各政党ごとに配分される額は、1月1日の時点における、
国会の占有議席と、直前の選挙の得票率で決められます。
議席と得票率は半分ずつですが、小選挙区を採用しているので、
議席だけだと不公平が出るので、選挙の得票率も併用するのでしょう。
共産党は、制度自体に反対していて、今年も受け取らないので、
彼らの取り分は、他党のあいだでわけられることになります。
助成金の主旨としては、自主的にもらわない党もあることを
前提にしているので、「共産党の取り分を他党でわけあっている」でなく、
「共産党が加わることで、他党の取り分がすこしずつ減る」だそうです。
「政党助成金」に反対する人たちは、自分が支持しない政党にも
税金が使われるのが理不尽だと、おっしゃります。
あるいは、政党というのは、本来私的な結社だから、
国が資金を補助するのはおかしいと、考えるかたもいるようです。
ところが、政策によって、献金の集めやすさに差が出てくるのを、
ある程度は埋め合わせないと、献金の集めにくい政策
(大企業の利益に反するなど)をかかげる政党に不公平でしょう。
また、汚職や政治腐敗を防ぐためにも、政治資金の流れを、
政党というはっきりした組織を経由させることで、
国民にわかりやすくする必要もあるでしょう。
政党政治がゆるぎないものとなった、21世紀初頭の現在、
政党には公的性格があると言えます。
そうなると、有権者のために、公平性と透明性の確保も必要でしょう。
「政党助成金」は、そうした議会制民主主義の基盤を
維持するための負担と理解すれば、よいだろうと思います。
特定の政党や政治家をひいきにしたければ、
ご自分で献金を、たくさんなさればよいのだと思いますよ。
個人献金をすると、税金の控除も受けられますから、
これでキライな政党に使われる助成金が、減らせると思えばよいでしょう。
政党助成金を、世界で最初に導入したのは、スウェーデン(1965年)で、
制度導入のモデル国として、よく引き合いに出されたりします。
これに、ドイツ連邦共和国とフィンランド(1967年)、
ノルウェー(1970年)と続きます。
冷戦崩壊の1990年に前後して、政治腐敗と汚職を解消する
「奥の手」として、導入する国が相次ぎます。
助成金制度の導入は、多くの国でうまくいったようで、
欧米の民主主義国では、現在はあたりまえの制度として、定着している感じです。
日本の政党助成金の負担額は、国民ひとりあたり250円です。
いわゆる「コーヒー1杯の値段」ですが、これは世界的に見て高いほうです。
しかし、かつて、リクルート事件を起こしたのであり、
汚職が発覚しても、政治生命をなくさず、政治家を続けられて、
諸外国からふしぎに見られていた国です。
他国の国民より、余計にお金を使ってでも、政治腐敗の防止に取り組むのは、
ごもっともであるとも言えるでしょう。
また、小政党が乱立して、政情が不安定になるのを防ぐため、
衆参合わせて5議席以上、または得票率2パーセント以上を、
「政党要件」とするという、いわゆる「足切りライン」があります。
この基準は、世界的に見ても、かなりゆるいほうです。
(たとえば、ドイツは得票率5パーセント以上。)
なにを思ったのかというと、例によって日本共産党が
政党助成金をもらわないことが、すこし話題になっていたので、
ちょっとだけ書いてみたくなったのだ。
参考文献:
「デンマークの政党助成制度」(PDF)
「英国及びスウェーデンの選挙制度及び政治資金制度」(PDF)
「どうなる?私たちの250円」
2009年04月28日
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インフルエンザ関連で、ウイルスと細菌の違いとか知ってます?政局利用ありありの対策本部長のアホウ漫画太郎はどうだろか(笑)
Excerpt: 西松騒動のおかげで、「マスゴミが大騒ぎする時には裏に何かあるかな」と考える習慣がついた人も増えたのではないかと思います。 またもう一つ、西松騒動で身についた習慣として「現在の自公政権、また麻生とい..
Weblog: 雑談日記(徒然なるままに、。)
Tracked: 2009-04-28 23:10
政党助成金を受け取らないことにしたのは失敗だったと、共産党は内心思ってるでしょうね。かといって今さらもう受け取れない。
そのために小選挙区での立候補を減らしたのなら、政権交代のためにはかえってよかったかもしれません。
コメントありがとうです。
>政党助成金を受け取らないことにしたのは失敗だったと、
どうなんでしょうかね...
でも、いまとなっては、受け取る方向に、
転換しづらくなっているのは、たしかだろうと思います。
>そのために小選挙区での立候補を減らしたのなら、
これで自民が逆転負けになる選挙区が、ざっと数10はあると計算されてますね。
(かかる共産党の財政難も、政権交代にじゃまなので、
自民、公明ともどもうちのめされた結果、ということかもしれないです。)
確かに、国政調査権などをまともに行使するためには、組織基盤のしっかりした政党が必要であることも理解できます。その意味で、政党政治を制度的に支える仕組みは必要ですが、それが政党交付金でなければならない理由がわかりません。
政党交付金の制度を強く支持する人の多くは、これを受け取っているいずれかの党の支持者ということに過ぎないのではないでしょうか? どの党も支持しない無党派層にとっては受け入れ難い制度です。私には、「赤信号、皆で渡れば恐くない」を地でいく制度に見えます。
「しんぶん赤旗」の記事
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-04-19/2009041901_01_1.html
には、「国民の税金である政党助成金は「企業・団体献金の廃止」を口実に導入されましたが、日本共産党以外の各党は、企業・団体献金を温存し政党助成金も受け取る“二重取り”を続けています。」とありますが、この制度を導入している他の国ではどうなんでしょう。
政党助成金制度を導入するなら、まず先に、きっちりと「企業・団体献金の廃止」やってからにすべきだったと思います。
政党に公的性格が出て来た以上、資金の透明性と公平性を、
ある程度保証するのが、むしろ有権者の権利の保障になると思います。
議会制民主主義の基盤を、維持するための負担と考えるのが、妥当でしょう。
議会制民主主義というのは、その成員である以上、
支持政党にかかわりなく、守らなければならないものです。
となれば、たとえ選挙のたびに棄権している人でも、
基盤の維持に協力するのは、当然のことだと言えます。
政党助成金は、欧米の民主主義国の多くで、採用されているものです。
(日本など、あとから導入した国は、さきに導入した国が、
わりあいうまくいっているので、それに習ったのもあります。)
助成金制度が、思想信条の自由を侵すというなら、
欧米諸国のほとんどは、そうなっていると言わざるをえないです。
『しんぶん赤旗』のご紹介の記事にも、外国のことが出て来ないですが、
助成金に反対する人たちは、ドイツや北欧諸国のように、
制度が導入されてから長く経つ国で、思想信条の自由が
侵されているかどうか、検討されたいと思います。
日本の場合、企業・団体献金の廃止を目標としながら、
先送りにしたのは、個人献金があまり根付いていないからです。
個人献金がすくないので、相対的に企業献金の多い政党が有利になるとも言えます。
投票率が下がると、組織票の多い候補者が有利になるのと、
おなじような状況と言えるでしょう。
これはいまでもそうで、日本は欧米の民主主義国とくらべると、
個人献金の割合が低くなっています。
現在、西松の影響もあって、企業・団体献金を、
全面廃止する方向にむかっていますし、早晩そうなると思いますが、
同時に個人献金を増やす方法も、考えられたいと思います。
ついでですが、政党助成金を導入している国のすべてが、
企業・団体献金を廃止しているのではないです。
たとえば、スウェーデンは、企業・団体献金は禁止されてはいないです。
スウェーデンでは、企業献金はうさんくさく見られる政治風土があって、
実質的に企業献金でも、かたちの上では個人として
献金するほうが、好まれるみたいだけど。