前のエントリでお話したように、性犯罪の被害者が、
ますます裁判に訴えることができなくなるおそれのある、裁判員制度ですが、
一般には、そうした危険性は、ほとんど知られてないみたいです。
メディアも、5月6日の読売九州版で、記事になっただけのようです。
「性犯罪被害者名も裁判員候補に開示、情報流出懸念の声」
裁判員制度自体は問題があるとして、かねてから議論されていましたが、
性犯罪の被害者にとって、心理的負担が非常に増えたり、
二次加害を受ける危険が大きくなることについては、
いままであまり取りざたされてこなかったようです。
最低限の対策として、「性犯罪については裁判員を置かない」、
あるいは、「裁判員を置くかどうか、性犯罪被害にあわれたかたが、
選択できるようにする」必要があるでしょう。
これをご覧になっているかたが、すぐできるアクションとして、
『保坂展人のどこどこ日記』の4月28日エントリにある、
「裁判員制度を問い直す議員連盟」に参加している議員や、
勉強会に招かれた識者に、メールなどで連絡する方法があると思います。
(自民)
野田毅議員、藤井孝男議員(参)、
(民主)
原口一博議員、仲野博子議員、古賀一成議員、鈴木克昌議員、
逢阪誠二議員、福田昭夫議員、三谷光男議員、近藤昭一議員、篠原孝議員、
松木謙公議員、川内博史議員、加賀谷健議員(参)、
(国民新)
亀井久興議員、長谷川憲正議員(参)、亀井亜紀子議員(参)、森田高議員(参)、
(社民)
保坂展人議員、辻元清美議員、
(新党大地)
鈴木宗男議員
(有識者)
郷原信郎氏(元東京地検検事・弁護士)、
伊藤真氏(伊藤塾塾長・弁護士)、
大久保太郎氏(元東京高裁判事・弁護士)
議員にメールで、直接コンタクトすることに抵抗があるかたは、
ウェブログで記事を書いて、トラックバックする方法もあります。
わたしが探したところ、TBを受けるブログを書いているのは、つぎの議員です。
民主、川内博史議員(コメントも受ける)
http://blog.goo.ne.jp/kawauchi-sori/
社民、保坂展人議員
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/
国民新、森田高議員(コメントも受ける)
http://moritatakashi.sblo.jp/
この議連は超党派ですが、参加議員は野党系が多くなっています。
議連の代表世話人の亀井久興氏は、国民新党だからだと思いますが、
国民新党からの参加の割合が、とくに高くなっています。
それから、議連の勉強会に招かれた、郷原信郎氏は、
小沢一郎氏の秘書が逮捕された、「西松献金」の対策でも、
民主党の外部有識者会議に招かれているかたですね。
そのほかの関連資料:
『保坂展人のどこどこ日記』
「5月12日、裁判員制度の凍結をめざす院内集会報告」
「「かんぽの宿疑惑」野党PT合同告発と裁判員制度凍結法案」
2009年05月16日
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裁判員制度で、被害者のプライバシーがさらされる?
Excerpt: 注目をひこうと思って、ちょっと煽り気味のタイトルを付けましたが きわめてマジメなエントリです。 先日、akiraさんから 裁判員制度に新たな問題点が浮上 裁判員選任手続き 問題は複雑 ..
Weblog: かめ?
Tracked: 2009-05-18 14:48
守秘義務というのは厄介ですよね。
人間というのは自分の知ったことを人に話したがる習性があるから。
専門家になら部外者に話さないという職業倫理も期待できますが、一回きりの裁判員という貴重な体験を、終生誰にも話せないというのは酷です。(まあ家族間ぐらいなら漏らす人もいるでしょうが)
かなり厄介な制度です。
そうなんですよ。
裁判員がどこまで秘密を守るのか、(まことに失礼ながら)疑問ですし、
それによって、自分の個人情報がもれるかも知れないと、
性犯罪の被害者は、懸念をいだくことにもなるわけです。
裁判員に選ばれなかった候補者は、秘密を守る必要がないので、
いつだれにしゃべるかわからない状況にあります。
秘密がもれたとしても、だれがしゃべったのか、
そもそも裁判員からなのか、つきとめるのはむずかしいかもしれないです。
かりに、候補者にまで守秘義務を課して、全員が正直に守ってくれたとしても、
数10から約100人というのは、じゅうぶん「不特定多数」でしょう。
性犯罪の被害者にとっては、それだけでも「だれが自分のことを
知っているかわからない」となって、心理的負担だと思います。