「このかたは、いったいなにもの?」と思って検索をかけると、
「恋愛脳」とか、「しあわせ脳」とか出て来ます。
脳科学を駆使して(濫用して)、異性とのコミュニケーションや、
教育を論じているようで、その筋では結構知られた人なのかもしれないです。
民主党の共同参画推進本部が、このような人物を、
なぜ呼んだのかが気になるところですが、ページを見ると、
「未婚者支援・少子化対策勉強会の第3回目として」とあります。
結婚のためには、男女間の円滑なコミュニケーションが必要、
くらいの興味で、なにか参考になるかもと、考えたのかもしれないです。
黒川氏のことは、にせ科学に関心のあるかたのあいだでも、
あまり話題にならないようで、批判をほとんど見かけないです。
ご存知ないかたも、多いのではないかと思います。
(わたしも、寡聞にして、はじめて知りました。)
このかた、『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』という本を書いていて、
『トンデモ本の世界U』の154-161ページで取り上げられています。
おそらくこれが、いちばんまとまった批判かもしれないです。
「怪獣の名」という本で、黒川氏はなんと言っているかですが、
ことばの音には、意味と無関係に潜在意識に働きかける、
「ことばのサブリミナル効果」があるのだそうです。
(これだけで、じゅうぶん「とんでも」ですね...)
「とんでも」ぶりのさわりだけでも感じていただくために、
『トンデモ本の世界U』の160-161ページを、すこし引用しておきます。
(この黒川氏というかた、自分だけの独特の感じかたを、
「サブリミナル・インプレッション」と、
言っているだけじゃないかと思うのだが...)
中でも傑作なのは、2003年の衆議院選挙で話題になった
「マニフェスト」という言葉について論じたくだり。
著者によれば、F音には「ものごとを霧散させて非現実にしてしまう」
サブリミナル・インプレッションがあるうえ、M音は「幼児がおっぱいを含む時の音」、
N音は「肌の密着感」を表し、どちらも女性的な音なのだという。
だとしたらMAN(男)という言葉も女性的という、
おかしなことになってしまうのだが......。
なんにせよ、著者はマニフェストという言葉からこういう印象を受けるらしい。
「おねぇさまぁ、ボクの約束は、ちょっと守れないかもしれない」
という声が聞こえるようだ。(中略)だた、私はこのことば、
最もオトナであるべき為政者の幼児性を感じて、とても気色悪かった。
このことは公約不履行なんかよりも、なぜか断じて許せないような気がするのだ。
最近、世の中の政治家が、幼児性丸出しの坊やに見えて仕方ないのだけど、
これって、私が年をとったからなのだろうか。
いえ、年をとったからじゃなく、あなたの感覚が最初から変なのでは?
......少なくとも、マニフェストという言葉から
「おねぇさまぁ」という声が聞こえる人は、あまりいないと思うのだが。