女子差別撤廃条約の審査が進んでいるので、そのメモです。
もちろん、民法改正、夫婦別姓も、審査対象にふくまれますし、
つぎの記事の中でもしっかり言及されています。
「女性差別、日本の対策なお不十分 国連委が6年ぶり審議」
「「女性差別、変わらず」 国連委、日本に苦言」
「国連委:女性差別撤廃で日本の対応非難」
「女性差別撤廃委員会が日本政府の対策遅れを批判」
民法改正も含めて対象の事項は、日本ではほとんど進捗がないことです。
日本政府の代表は、いままでとおんなじ報告を繰り返して、
女子差別撤廃委員会(CEDAW)から、おんなじお説教を
いただくだけなのは、想像にがたくないことですね。
いやそれどころか、今回は、あまりのていたらくぶりに、
「日本は条約に拘束力があると理解しているか」とか、
「条約が単なる宣言としか受け取られていないのではないか」とさえ、
言われてしまっています。
性暴力などの人権侵害を受けた女性が、国内機関で救済されないとき、
個人で直接国連に通報できるようにする、「選択議定書」なるものもあって、
日本はこれへの批准を、委員会から求められています。
もちろん(?)日本は、「検討中」と言うだけで批准する気なしです。
この「選択議定書」を批准するかについて、
今年の4月に、自民党の法務部会で議論がありました。
ところが、「我が国には伝統文化に根ざした法制度がある」
「日本の家庭崩壊の危機は、人権など西洋的な考え方を教えて
日本の伝統教育がないからだ」と言って、批准に反対でした。
「ひどい女性差別ある?ない? 自民部会で激論」
自民党の議員たちは、「理想の家庭」幻想を信じているがゆえ、
このようなことを言うのは、想像にがたくないでしょう。
「伝統」を楯に取った虚構の主張で、女性の権利に反対なわけで、
これこそ条約が定めた、女性差別にほかならないです。
「選択議定書」に批准したら、「通報」をばきばき喰らいそうなので、
批准などとてもできないのでしょう。
民法改正の法務部会と同じようなものです。(参照1)(参照2)
自民党政権が続く限り、選択議定書の批准はないでしょうし、
女子差別撤廃条約のほかの項目の進捗も、今後もほとんどないでしょう。
(付記:7月16日の毎日新聞の『私の視点』によると、
通法制度で夫婦別姓の導入を訴えられるから、反対しているとあります。
それで、自民党の反対派議員の態度が、そっくりなのでしょう。)
CEDAWの審査の「最終見解」は、予定では8月の後半です。
総選挙のちょっと前ですよ。(ねがわくば選挙の争点にしてほしいが。)
うまくいけば総選挙後は、新政権が発足していますが、
女子差別撤廃条約で世論が盛り上がって、選択議定書の批准をはじめ、
民法改正の気運も、合わせて高まっていればと思います。
付記:選択議定書の主旨を、わたしがまちがえていたので、
一部を書き直しました。
何かしらの法整備はするべきです。だけれども、こちら側(日本)がこ
れらの批判に対して何も考えずに批准するのはどうかと思います。
できましたら、ハンドルは不特定多数を思わせるものではなく、
ユニークなものにしていただけたらと思います。
条約と整合が取れるよう、国内法を整備するのは締結国の義務ですし、
国内法が追い付かないと思ったら、批准しないのが本来ですね。
(批准しなければ、相応の国と思われることになるけど。)
女子差別撤廃条約に批准したのは、1985年だけど、
このときは簡単に守れると、思ったのかもしれないです。
あるいは、具体的にどんなことが「女子差別」で、
「撤廃」のためには、どんなことをなすべきなのか、
わかってなかったのかもしれないです。