2009年11月02日

toujyouka016.jpg 国際結婚と苗字

国際結婚のときの苗字の扱いは、原則として夫婦別姓になります。
理由は簡単に言うと、戸籍は日本人だけにあって、
結婚相手の外国人には、戸籍がないからです。
外国人は日本国籍でないので、日本人と結婚しても、
日本の戸籍に記載されず、苗字もそのままということです。

「夫婦別姓と国際結婚・離婚」
「国際結婚と姓(「氏」)」
「国際結婚時の改姓」
「国際結婚の諸手続き【4】 国際結婚後の姓(氏)の選択」

 
夫婦同姓にしたければ、6か月以内に手続きを取る必要があります。
6か月を過ぎると、家庭裁判所の認可が必要になります。
むかしは改姓ができず、国際結婚はかならず別姓でした。
1985年1月1日の戸籍法改正で、同姓が選べるようになったのでした。

「夫婦別姓で一体感が損われる」と騒ぐ反対論者たちは、
当然のごとく、国際結婚のことも意識にないのでした。
反対派の主張を見ても、反対派と議論になっても、
国際結婚の「一体感」について、言及することはないです。


国際結婚は、世界のグローバル化がはじまった
1989年からきゅうに増えはじめました。
2007年で約40272件、婚姻全体のおよそ5.6%を占めます。

「夫妻の国籍別にみた婚姻件数の年次推移」
「国際結婚の動き」

これらのカップルすべてが、別姓のままでないにしても、
かなりの数が夫婦別姓でいるだろうと思います。
一般に、国際結婚の場合、名前の音韻体系や、習慣や法制度が
外国と日本で異なるため、苗字を変えるのはやっかいだからです。
改姓にこだわらないほうがいいと、アドバイスがあるくらいです。

国際結婚のカップルは、決してすくなくないのですが、
どういうわけか、反対論者の認識には入っていないみたいです。
彼らの家族幻想の中には、結婚とか家族とかいうのは、
日本人どうしのものしか、存在していないのでしょうか。

posted by たんぽぽ at 23:34 | Comment(12) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
 そういえば。
 国際結婚した友人がいますが、彼女は、自分の日本姓とご主人の姓の両方がつていますね。
 具体的に言うと、ハナコ・スズキ・リンカーン、みたいな感じですか?

 で、お子さんは日本名と外国名がついていました。

 ちなみに、ヨーロッパの国の男性との婚姻でしたが。

 戸籍上はどんな風になっているのか、実は、考えたこと無かったんですが(^^ゞ
Posted by イカフライ at 2009年11月03日 00:27
コメント、どうもありがとうございます。

>自分の日本姓とご主人の姓の両方

苗字をふたつ並べる、「複合姓」もできますよ。
家庭裁判所の認可が必要だけど。
http://www.ko-kekkon.com/jo-ho/2006/04/post_44.html

上のサイトを見たかぎりだと、結構やっかいらしいです。
ご友人のかた、いっしょうけんめい書類を書いて、
裁判所へ行って、裁判官を説得させたんだと思います。


>お子さんは日本名と外国名がついていました

これは苗字(sure name)じゃなくて、名前(given name)ですか?
(苗字がふたつになるのは、よくあるらしいですが。)
結婚相手のかたの国にも身分登録していると思うので、
日本と相手国と両方の名前がある、ということかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2009年11月03日 17:50

>これは苗字(sure name)じゃなくて、名前(given name)ですか?


 苗字(sure name)も名前(given name)も。
 日本名と外国名の両方があって、スズキ・タローとジョージ・リンカーンみたいな。
 なんか、お子さんは両親の両方の国籍を持っていて、二十歳になると選べる、とか聞いたんです。
 こういう国際結婚の法律は、全然詳しくないのですが、ハーフの子は、成人すると国籍を選べる、っていうのは、結構多いのでしょうか?
 話に出ている友人はドイツ人の男性と結婚したんですね

 で、ミーハーな話題になりますが、私が好きな若い役者さんがいまして、その人はフランス人とのハーフなんです。で、前は公式プロフの本名のところに、ミッシェル・レイなんとかかんとかって、両名併記みたいな名前が載っていたんですけど、最近は本名が日本名だけで記載されているんですよ。二十歳になった時に、日本国籍選んだのかな?って単純に考えていたんですが。

(別スレでいろいろアレなようですので、落ち着いたときにお読みになって結構です)

Posted by イカフライ at 2009年11月06日 23:53
>イカフライさま
たんぽぽさんはお忙しそうなので(お疲れ様です)
差し出がましいですが、私が分かる範囲で回答してみます。

国籍取得の要件はそれぞれの国で定めます。
出生による取得と、帰化による取得とありますが
今は出生による取得の話ですね。
これには、大きく分けて
血統主義と出生地主義があることは
気いたことがあると思います。
両方を併用している国もあります。

日本は、父母両系統の血統主義で
父母のいずれかが日本国籍なら、子も日本国籍を取得します。
血統主義には父系血統主義の国もありますが
(日本も以前はそうでしたが)
今は、両系統の国が多いです。
ということで
父母の両親が、それぞれ両系統の血統主義をとる国の国籍を持っていると
子は、父母の両方の国籍を取得することになります。

他方、出生地主義は
その国で生まれた子は、親の国籍に関係なく国籍を与えます。
出生地主義で有名なのは、アメリカですね。
出生地主義の国で出産すれば
両親が日本人でも、その国の国籍を取得できます。
芸能人なんかで、出産直前に無理やりハワイに行って
子どもに日本国籍とアメリカ国籍を持たせる
なんて例も、たまにありますよね。

で、「国籍を選ぶ」という話ですが
日本では重国籍を認めておらず
日本国籍と、他の国の国籍を重ねて持っている者は
成人したら2年以内に、国籍を選ばなければなりません。
日本国籍を選択すると、他国の籍はなくなる
ということです。
でも、重国籍を認める国も多く
他国の法による国籍放棄は、我が国では効力ありませんよ
なんて明記して、重国籍を認める国もあるそうです。

Posted by さくら at 2009年11月07日 09:22
イカフライさま、レスありがとうございます。

わたしのお返事が遅くなって、もうしわけないです。
(このところ、mixiもぜんぜんアクセスしてなくて、ごめんなさいね。)


前のコメントの、さくらさまがすでにお話のように、
日本は二重国籍が認められてないです。
なので、国籍が日本と外国のふたつある子は、
成人してから2年以内に、どちらかを選ぶ必要があります。
http://www.ko-kekkon.com/jo-ho/2006/04/post_70.html

フランス人と日本人のハーフの役者さんは、
子どものときは、フランスと日本の二重国籍だと思います。
(日仏ともに、父母のどちらかが自国民であれば、国籍が取れるので。)
本名に日本人名しか書かなくなったのは、
成人したとき、日本国籍を選んだのだろうと、わたしも思います。

ただ、フランスは、いったん国籍を取ると、離脱がやりにくいみたいです。
それで、日本国籍を選んだことにしているけれど、
実際には、フランス国籍も、まだ持っているのかもしれないですよ。
(このとき日本の国内法では、「国籍離脱努力」の扱いになる。)

ドイツも、原則は二重国籍は認められないのですが、
特例として、認められるケースが幅広くあるみたいです。
ご友人のハーフのお子さんも、状況いかんによっては、
日本とドイツの二重国籍を持ち続けるかもしれないです。
http://www.kouenkai.org/ist/docf2/kd02.html
http://www.gcnet.at/countries/variety.html


>(別スレでいろいろアレなようですので、落ち着いたときにお読みになって結構です)

お心づかい、まことにありがとうございます。

もう、そうなんですよ〜。
変なのに絡まれちゃって、現在も逆恨みの最中です。
Posted by たんぽぽ at 2009年11月09日 23:09
さくらさま
わたしのかわりにレスしてくださって、まことにありがとうございます。

ああ、いえいえ、差し出がましいなんてことは、ぜんぜんないですよ。
びしっとお答えくださった感じで、これからも頼もうか、
なんて不埒なことも、ちょっと考えたりしています。(笑)


>出生地主義で有名なのは、アメリカですね。

アメリカの出生地主義は、徹底していますよね。
たまたまアメリカに来た旅行者(の子)でも、国籍が取れるのですから。

たぶん、アメリカ合衆国は移民の国なので、
引っ越して来た人たちの国籍は、もといた国のまま、
ということが多かったんだと思います。

そういう移民から産まれた子は、アメリカ社会で、
アメリカの市民として暮らしていくでしょうから、
親の国籍に関係なく、産まれた場所がアメリカ領内というだけで、
国籍を与えるやりかたが、いちばん便利だったのでしょう。


>でも、重国籍を認める国も多く
>他国の法による国籍放棄は、我が国では効力ありませんよ
>なんて明記して、重国籍を認める国もあるそうです。

国によっては、いったん国籍を得ると、離脱できないこともありますね。
フランスも国籍離脱は、なかなかできないみたいなので、
イカフライさまのごひいきの役者さんも、日本国籍を選んだみたいだけど、
フランス国籍を、まだ保持しているのかもしれないです。
http://www.ko-kekkon.com/jo-ho/2006/04/post_71.html

相手国の国籍から抜けられないときは、本人の意志と関係なく、
そのまま日本と相手国の二重国籍ですね。
日本国内の法的扱いは、「国籍離脱努力」になるみたいだけど。

日本でも、二重国籍を認めようという動きがなくもないけど、
そうなると、また「国士さま」たちが、吹き上がるのかな...?
Posted by たんぽぽ at 2009年11月09日 23:13
こんにちは、初めまして。

私は夫婦別姓は選択的に推し進められるべきだ、という考えの持ち主です。生まれがイエ制度で生きてきた四十七士の血なのでそれを完全に否定することもしとうありませんし、だからと言って今は亡きイエ制度に本来関係の無いはずの人々まで巻き込むべきではないという気持ちがあります。イエ制度は女性を男性の「持ち物」「財産」として扱うイスラーム法に実質近いものなので、個人を認める現代日本の民法には既に馴染まないはずです。だからこそ100年くらい前に当時の国会にて廃止されたと理解しています。

さて私の友人には外国人が多いのでこの話題は身近なんですが、確かに何故か国際結婚の上では同姓結婚の必要が無い--婚姻書類をそれぞれの国、二箇所に提出する必要があるから--のですが、別姓結婚反対派の方はまったく視野の外に追いやっているようです。謎。

姓を同一にすることによって家族がひとつになるというのはイエ制度なしには語れない「思想」であることはこのエントリから明らかなので、この思想を持たない選択肢を作るのは思想・信教の自由を守る上でかなり重要な線だと思います。モンゴル人なんて家族内に同じ姓が無いYO!なんて。

私は20代半ばにクリスチャンになったことを予め書いておきますが、それを機会に「日本は『宗教』や『思想』と現実の区別がついていないのかもしれない」と感じるようになりました。選択肢が無いのは、信教の自由が無いことと同じだと思います。「神道は宗教ではない」という詭弁と同レベルです。反対派はただの現状維持派ではなかろうかと認識しています。しかし現状維持が現状維持にならず、マイナスを作り出していることは次の段落へ。

研究者の知人はパスポートに旧姓を書き込んでいますが、学会のための渡航ビザに旧姓は書き込まれなかったそうです。そして、正式書類に旧姓を書き込む手続きはあるにはあるが「余程の理由が無ければ」と妨害されるそうです。今のうち手を打たないと、日本を支える研究者が外国への流出で貴重になるかもしれません、脅しではなく実際そうなので…こういった理由で、たくさんのエントリをお書きのたんぽぽさんのブログへのリンクを張りました。また時々お邪魔しますね!
Posted by cotoba at 2010年06月17日 14:23
cotobaさま、いらっしゃいませ。

ようこそお越しくださりました。
ていねいなコメント、どうもありがとうです。
お返事が遅くなりまして、もうしわけないです。


>確かに何故か国際結婚の上では

とくに手続きを取らないと、夫婦別姓のままですね。
結婚して半年以内に手続きを取れば、
同姓にすることもできますが、これはあとになって、
法律が改正されたためです。

わたしも、選択別姓反対派が、国際結婚について
なにか言うのを聞いたことはないですよ。
婚姻全体の5%以上ですから、
そんなにめずらしいものではないはずなのに、
なぜか、反対派には、さっくり無視されますね。


>研究者の知人はパスポートに旧姓を書き込んでいますが、
>学会のための渡航ビザに旧姓は書き込まれなかったそうです。

ビザというのは、日本ではなく、
相手国から発行されるものなのかな?

外国へ行くと夫婦同姓が強制されるとか、
旧姓併記というのが、理解されないことがあるので、
(いかんせん、日本の同姓強制は、世界の非常識だから)
そういうことはありそうですね。

名前のせいで研究者が海外に出て行く、
というのは、わたしも聞いたことありますよ。
本当にそうなってもおかしくないと思います。


>たんぽぽさんのブログへのリンクを張りました。

リンク、確認しました。
わたしのブログを、ひいきにしてくださり、
ありがとうございます。

つたないブログだけど、またいらしてくださいね。
Posted by たんぽぽ at 2010年06月18日 16:34
お返事ありがとうございます!

そうそう、私が挙げたビザの話は日本人研究者が日本→外国に行くパターンです。

かつて5年半ほど外国人の彼氏と付き合っていたことがあって、その時に夫婦別姓は家族を離散させるなどという主張を聞いて腹を立てたことを思い出して、つい書かずにはいられませんでした^^;;;
Posted by cotoba at 2010年06月18日 21:16
旧姓併記パスポートの旧姓の部分は
ICパスポートのICデータに入っていない
というのを聞いたことがあります。
ビザが旧姓で発行されないのも
そのせいかもしれませんね。
Posted by さくら at 2010年06月18日 21:30
cotobaさま、
またのコメント、どうもありがとうございます。

>その時に夫婦別姓は家族を離散させるなどという主張を聞いて

いえいえ、お怒りごもっとだと思います。

反対派というのは、なにか「正しい家族」の
イメージが暗黙のうちにあるみたいで、それと異なる
家族構成のかたに対して、すごい無神経ですよね。
(状況いかんによっては、差別にもなりますし。)
Posted by たんぽぽ at 2010年06月19日 11:23
さくらさま、コメントありがとうです。

>旧姓併記パスポートの旧姓の部分は
>ICパスポートのICデータに入っていない

ありゃ、そうなんだ?
それが本当なら「なんだよ、それ!?」だけど。

パスポートに旧姓併記できる職種が拡大したのは、
そもそも、IC化がきっかけだったというのに。
旧姓の部分にICが入ってなければ、
いったいなんのためなんだ?ですよ。
Posted by たんぽぽ at 2010年06月19日 11:26
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