さつきさんが、つぎのエントリを書いています。
政党助成金は、憲法19条で定められた、
思想及び良心の自由に反するという、反対論の典型です。
「「政党交付金」は即刻廃止すべき(その1:憲法との整合性)」
「「政党交付金」は即刻廃止すべき(その2:政治資金の三重取り)」
「政党助成金」全般のわたしの見解は、こちらをご覧ください。
ここでは、思想及び良心の自由との関係について、お話します。
「政党助成金」
前のエントリでもお話したように、政党助成金は、
かかげる政策によって、献金の集金力に差が出るのを
埋め合わせる働きがあります。
一般に、大企業の利益に反する政策をかかげていたり、
都市部の組織化されない無党派層から、
支持を得ている政党は、献金が集まらない傾向があります。
献金が集まらないのは、政治資金がすくないことですから、
そうした政党は政治活動がやりにくくなります。
そのぶんだけ、その政党を支持している人たちの
思想及び良心の自由が、損われると言えるでしょう。
政党助成金が受けられれば、集金力のない政党も、
一定の政治資金が得られるので、彼らの政治活動が保障されます。
むしろ、思想及び良心の自由を保障するために、
政党助成金があると言ってもいいでしょう。
現代の政治学は、献金の集金力だけによる
「野放しの自由競争」を、このましくないと考えるわけです。
助成金のもとは国庫という価値中立の財源です。
得票数と議席で機械的に割り振られるので、
いかなる政治思想を持った政党でも、公平に受け取れます。
また、助成金の用途は制限されないので、受け取ることで、
自由な政治活動のさまたげにもならないです。
制度運用上も、「思想及び良心の自由」に
抵触しないための配慮は、なされているというわけです。
「思想及び良心の自由に反する」と言う人たちは、
自分の支持しない政党に、税金が持って行かれるからだとします。
それなら、自分の支持しない政党の支持者の税金が、
自分の支持政党に来るぶんもあるから、相殺されるでしょう。
「持って行かれる」だけ意識して、
「来るぶん」を無視するのは、恣意的だと思います。
それでも、「持って行かれる」ばかり気になるなら、
各人でひいきの政治家や政党に、献金すればいいと思いますよ。
政治献金をすると、税金の控除が受けられるので、
これで「持って行かれる」が減ると思えばいいでしょう。
政党助成金は、憲法違反だというので、
本当に裁判で争った人たちも、じつはいらっしゃります。
「政党助成金訴訟の会」
ところが、1審、2審と、敗訴した直後に、
ウェブサイトの更新が止まっています。
おそらく、2審の判決が出る前くらいから運動が行き詰まり、
敗訴とともに、瓦解したのではないかと思われます。
こんなのを見ると、政党助成金反対の主張は、
裁判をやっても違憲と認められないですし、
一般にも広がりを持たないのではないかと思います。
さつきさんが、前にわたしのブログにお越しのときも
もうしあげたのですが、政党助成金に反対する人たちは、
外国の例を検討していただきたいと思います。
欧米の民主主義国のほとんどで、
助成金制度は導入されているからです。
政党助成金を、世界で最初に導入した
スウェーデンは、企業献金もあります。
スウェーデンの政治は、政治資金の二重取りがなされていて、
不健全な政党ばっかりで、助成制度によって、
貧乏人が搾取されているとでも、お考えなのでしょうか?
スウェーデンの政治の産物がいかなるものかは、
これをご覧のみなさんには、言うまでもないと思います。
福祉政策をかかげるような、献金の集まりにくい政党が、
政党助成金によって政治資金を得られて、
彼らの政治活動が保証され、その政策が実行されるほうが、
ずっと福祉が充実する、ということなのでしょう。
2009年12月04日
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日本共産党は,確か公設秘書給与は受取っていたはずですよね。
それをピンハネしていたとかいなかったとかいう話があったように覚えていますので。
すると,その公設秘書給与を受取って,政党助成金は憲法違反という論理がちょっとわかりませんが,どなたかおわかりでしょうか。
政党というものが憲法に定義されていない,ということを以って政党助成金が思想信条の自由を保障した憲法21条違反という論理は噴飯物です。
政党というものがそういう根無し草,根拠薄弱の存在であるとすれば『比例代表選挙』なぞ,何の根拠も持たなくなるはずです。
政党助成金を違憲だと主張する共産党とその支持者達が,『比例代表選挙』を声高に主張することは大いなる矛盾です。だって,憲法に何の根拠も持ってない政党に投票することなど,憲法違反の恐れがありますよ。そうは言いたくないでしょ?
一つ前のコメントの,公設秘書給与だって税金からです。自民党の公設秘書にも共産党の公設秘書にも税金が行くのです。ならばこれもおかしいはずでしょ?
このように,共産党とその支持者達の主張には典型的なご都合主義が見られるのです。
以下は,パピヨンの勝手な主観ですので,これに反論する時は上の主張と絡めないでください。
『共産党は自分勝手にやりたいためには私党の立場が好都合,その他の権利に関しては公党の立場が好都合,と使い分けているのだと思います。』
以上の趣旨の記事を近々発表します。
無党派を応援したいから、政党助成金は噴飯ものだというなら、
政党にしか投票できない比例代表も、噴飯ものにならないのか?と。
「政党は憲法に根拠がない」という考えを突き詰めると、
政党政治の否定に行き着くと思います。
それこそ非民主的なことだと、わたしは思います。
あと、わたしがお休みしているあいだ、
トラックバックをいっぱいくださって、ありがとうございました。
(わたしのブログは、もともとTBくださるかたが少ないので、
目立ってしまって、ちょっとやりにかった...?)
保養と充電は十分になさったことと思います.
その間,新年になりましたね.今年もよろしくお願いします.
実は私も,今年の最初の記事を今日アップしました.奇遇ですねえ!
>目立ってしまって、ちょっとやりにかった?
そそそうなんです,実は(^o^)^^^^^^^^^^
TB欄がすべて「アルバイシンの丘」で埋まってしまったら目立つなああああと思ってました.
取りあえず,軽く年頭のご挨拶を申し上げます.
昨年はアルバイシンの丘さまには、本当にお世話になりました。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
ああ、いえ、まだじゅうぶん回復したとは言えず、
「見切り発車」なのですが...
貴ブログの最初の記事も拝見しました。
(じつは、お休みのあいだ、ニュースもあまり見てなかったので、
世情にうとくなって、状況がわからなくなってる...)