またまたいまさらだけど、「事業仕分け」の記事です。
「「行政の事業仕分け」について」(PDF)
「スパコンで"世界一"になるとはどういうことか?」
ふたつめの記事は、槍玉に上がった
理化学研究所のスーパーコンピュータのことです。
話題に乗り遅れて調べるのいまから、というかたでも、
これだけ読めばなんとかなると思いますよ。
ご覧になれば、理研の計算機がどのような性質の
プロジェクトなのか、わかってくるのではないかと思います。
この記事を信用するなら、すくなくとも理研のコンピュータは
削減されても無理ないな、「仕分け」られるほうが
むしろ科学技術の発展のためだなと、納得できそうです。
技術的なことも出て来て、関係があるのですが、
スカラ計算機とベクトル計算機なるものがあって、
現在作られているのは通常スカラ計算機、ということだけ
理解していれば、ここではじゅうぶんだと思います。
(NECの脱落理由もわかってくるのでは?と思います。)
ノーベル賞受賞者たちが、こぞって反対したそうですね。
彼らの時代は、科学研究に予算を割くことが、
あまり理解されず、科学研究にたずさわる人たちは、
予算の拡充にあくせくしていたのでした。
なので、「科学研究予算の削減=科学技術の後退」
のように考えても、無理もないとも言えます。
しかし、21世紀初頭のいま、科学研究に予算を割くことに対して、
いちおうの理解は定着したのだろうと思います。
プロジェクトへの癒着のほうが問題であり、
使われかたの中身を見ないと、かえって科学技術の発達を損いかねない、
という時代になったのでしょう。
関連資料:
「尊大なノーベル賞受賞者」
「野依さん見識を欠いているのはどちらですか?」
「世界一のスパコン」
「科学政策に関する公開質問状というのが出ているそうです」(コメント欄)
「わからなくても、わかること」(コメント欄)
2010年01月13日
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尊大なノーベル賞受賞者
Excerpt: この前終わった事業仕分け。削減額なるものが思ったよりはるかに少なくてがっかりしたのはパピヨンだけだろうか。削減だけすれば良いというのでは無論無く,必要な所には手厚く,必要でない所は取上げる,このメリ..
Weblog: アルバイシンの丘
Tracked: 2010-01-14 22:20
高野孟 さんの記事,大変懐かしいことも書いてあっただけでなく,大いに参考になりました。
ああいえ、スパコンに否定的な記事ばかり集めたんですよ。
ネット界隈では、「仕分け」に否定的なかたが多いと思います。
(といっても、政権たたきのための難くせだったり、
「文化大革命」とかイデオロギー論だったりで、食傷気味だけど...)
ところで、「大変懐かしいことも」って...
もしかして、やっぱり...(いや、ここでは言わないが。)
現在は(コストパフォーマンス上)スカラー形に敵わないとしても、いずれ単体性能の向上は必須となるため、ベクトル形の研究開発は止めないで欲しい…というのは、ワガママなのでしょうね。
理研のプロジェクトでベクトル型にこだわるのがだめ、
ということであって、ベクトル型そのものが一切だめ、
というわけでは、たぶんないんじゃないかな...?
ベクトル型の研究をするなら、「世界一」にこだわらず、
中長期的な視野を見据えた、地味なものになるだろうと思います。
そのあたりに有意義さがあれば、
「無駄」と言われないのではないか?と思います。
(ベクトル型の将来性とか、わたしもくわしくないので、
ピントをはずしていたら、もうしわけないけれど...)
いわば、新幹線の速度が少しばかり世界一になるよりも日々の通勤ラッシュや渋滞の解消の方に意味があるということでしょう。
高野氏の記事、ほとんど注目されてないみたいです。
見つけたときは、話題に乗り遅れたわたしでも、
これだけ見ればなんとかなるって、思ったんだけど。
>新幹線の速度が少しばかり世界一になるよりも
>日々の通勤ラッシュや渋滞の解消の方に意味があるということでしょう
まあ、そんなようなものかもしれないですね。