人類が大脳を発達させた原因について、
とてもおもしろい学説があるので、ご紹介したいと思います。
うそとそれを見破る攻防が、大脳を発達させたというものです。
「ウソと進化」
マット・リドレーの『赤の女王』という本に出てくる説です。
本を読むのが本当なのでしょうが、そこまで余裕がないので、
上のLadybirdさまのエントリだけで、判断します。
うそをつくと、その個体が得することが多いのは、
原始人類の社会でもあったでしょう。
事実をそのまま言うのは簡単ですが、
うそをもっともらしくするためには、論理的思考が必要になります。
そこで、上手にうそをつくために、
大脳を発達させたほうが有利になります。
うそをつかれた個体は、おうおうにして不利益を被ります。
そこで、うそを見破ろうとするのですが、
こちらも論理的思考が必要になるので、
やはり大脳を発達させることになります。
かくして、うそつきと、それを見破る個体とのあいだで、
ともに大脳を発達させる「軍拡競争」がなされ、
「これ以上は無理」なところまで続いた、というわけです。
人類が大脳を発達させ、知性を持った理由は、
いろいろな説が考えられています。
その中にあって、この「うそつき」の仮説は、
「なるほど!」と、わたしは、とても感心しましたよ。
さもありなんで、可能性が高いと思いませんか?
リドレーの本は、性の進化のことも書かれていて、
わたしは、とても興味を持ったのですが、残念ながら絶版です。
古本をかなり高値で買った、というかたもいるので、
結構売れそうに思いますが、復刊のあてはないのでしょうか?
『赤の女王』(bk1)
『赤の女王』(アマゾン)
『赤の女王』(復刊ドットコム)
「ウソと進化」のエントリでも、こういうよい本が絶版となり、
「地図の読めないなんとか」みたいな「とんでも本」が、
ベストセラーになるのを、嘆いていらっしゃります。
わたしも、同感なんだけど、世の中のニーズは
おうおうにして、そうならないんですよね...(悲)
(余談だけど、うそとそれを見破る攻防のお話のあとに、
「とんでも本」が出てくるのは、ちょっと皮肉かも。(笑))
ずいぶんむかしですが、Ladybirdさまは、
「ウソと進化」のTBを、わたしのブログの
「男女脳の違い?」に、送ってくださったのでした。
(それでわたしは、この「うそつき」説をはじめて知った。)
「男女脳の違い?」は(いつものように?)、
ほとんど関心を持っていただけないエントリでした。(泣)
それをご覧くださって、むかしのエントリのTBをくださって、
わたしは、ちょっと恐縮したものです。
つい先日も、「脳の性差研究の最前線」に、
トラックバックを送ってくださりました。
わたしのつたないブログを、いつもていねいに
ご覧になっているみたいで、ありがとうございますと、
Ladybirdさまに、お礼をもうしあげます。
2010年04月21日
この記事へのトラックバック
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Excerpt: 今回は話題を少し変えて,ブログ「へなちょこ自然保護」に掲載されていた「赤の女王」(1)〜(3)をここに転載します.(以下転載) 野生生物は,飼育栽培や凍結保存されている...
Weblog: 高知に自然史博物館を
Tracked: 2010-04-23 17:13
マット・リドレー氏
Excerpt: 3年ほど前に書いた古い記事からトラバを送っていたら,「たんぽぽのなみだ」さんがその内容について記事にしてくれた.「うそつきの進化論」というタイトルです. http://taraxacum.seesa..
Weblog: へなちょこ自然保護
Tracked: 2010-04-25 14:28
この本の価値については,アマゾンのカスタマーレビューにある次の言葉が,雄弁に語っています.
- なぜ、このように興味深い書物が現在絶版になっているのか・・・ 残念です。
コメントありがとうです。
リドレーの「うそつき」説は、始めて見たとき、
「なるほど!」と、わたしは、すごく感心して、
とてもいいことを教えていただいたと思いましたよ。
2度目のTBをいただいたので、この機会に、
わたしからも紹介したいと思い、エントリを書いてみました。
>なぜ、このように興味深い書物が現在絶版になっているのか・・・ 残念です。
そうそう、
これをお書きになったかたが、古本を高く買ったんですよね。
それで復刊すれば、結構売れるんじゃないかと思うんだけど...
「復刊ドットコム」を見たらわずか13票。
やっぱり売れない本なのかな...?
(わたしも、投票するけど。)
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=28687
(なんて、わたしがお礼を言うのも変かな...?)
でも、『復刊ドットコム』は、100票にならないと、
復刊の交渉をやらないんですよね。
100票に達するまで、あとどれくらいかかるやら...
しかも、あくまで「復刊の交渉」であって、
「復刊する」と決まったわけではないし...