きのうの続き。
沢田研二の「サムライ」を聴いてみましたよー。
ピストルとか花束とか出て来て、西洋チックですね。
日本ナショナリズムのイメージはぜんぜんなかったです。
『サムライ』(YouTube)
『サムライ』
作詞者もナショナリズムを意識していないでしょうね。
(サムライから取ったイメージは「孤高性」。)
フランスの映画(ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『サムライ』)に
触発されて作った歌と言われれば、納得できます。
ちなみに、カタカナの「サムライ」は、
このメルヴィルの映画からだそうです。(参照)
「日本といえばサムライ」のイメージだけでなく、
「外国人が作ったサムライ」のイメージも、
このあたりからはじまったのでしょうか。
ナチスの制服を着て歌っているのはこちらです。
政治的うんぬん以前に、ミスマッチだと思いましたよ。
『サムライ』(YouTube)
歌詞の中身は、恋愛の歌(恋人との生き別れ)で、
やはり「おフランス」という感じがしますし、
ナチスの制服なんて、どうやっても合わない感じです。
当時としても、ミスマッチの感はあったのでは?と思いますよ。
それはともかく、ナチスの制服を着るというのは、
政治的意味合いを含んでしまうのですが、
日本では批判の論調が、あまり強くないと思います。
(沢田の「鉤十字」の衣装を批判したのは、
フランス人のフランソワーズ・モレシャン)
論調が弱いこと自体が、批判されることもあります。
本当ならもっと神経を使うことだろうと思います。
とはいっても、これは日本人が、この問題に鈍感だから、
というより、「鉤十字」から受けるイメージが、
ヨーロッパ人よりずっと弱いからなのでしょう。(参照)
日本で問題にするのは、ヨーロッパのことにくわしいか、
政治意識がそれなりに高いかただろうと思います。
付記1:
「外国人が作ったサムライ」のイメージと言われると、
わたしが思い浮かべるのは、『ウィザードリィ』ですよ。
ヨーロッパ中世の騎士ファンタジーの、
コンピュータゲームなのですが、そこにサムライが
出てくるだけで、じゅうぶん「作った」です。
それだけでなく、登場する「サムライ」自体
(それと「ニンジャ」も)「作った」感じです。
もともとどうとでも、世界が作れるゲームだからなのか、
「作った」イメージなのに、あまり違和感がなく、
しっくり来ていると思いますが。
『ウィザードリィ』が、最初にはやったのも1980年代です。
外国人が「作った」日本のイメージを、
具現化すると、こんな感じだったのでしょうか?
ここに出てくる「サムライ」や「ニンジャ」も、
日本ナショナリズムのイメージは、やはりないけれど。
付記2:
Norton3rdさま、SBMコメントありがとうございます。
参考になりましたです、はい。
=========
『サムライ』(未観)はアラン・ドロンの
黒づくめ姿の殺し屋が結構話題になった。
メルヴィルの監督だったのか/
モレシャンさんは娘時代占領下のパリでレジスタンスの
闘士だったそうだからハーケンクロイツには敏感
=========



フランス映画風の歌詞にハーケンクロイツの衣装にタイトルが「サムライ」今考えると、確かにミスマッチですね(^^ゞでも、この曲が流行っていた当時は、別に違和感は感じなかったです、というか、当時のジュリーは歌謡曲の範疇に入らきらない先鋭的なことやってたんで、次は何やってくれるか!みたいな期待もあったし。
あと、今ならこういう曲なら時代劇風の、それこそガクトが紅白でやったような衣装になるかもしれないですが、この頃は和風=ダサい、西洋風=おしゃれで格好よい、という風潮が強かったので、単にファッションとしてのハーケンクロイツだったんだろうなあ、と。
このあたりも、日本人特有のノンポリズムですね(^^ゞヨーロッパの人からするとフランス映画にハーケンクロイツってとんでもないですが、このあたり、日本人には解りつらいのは、歴史的実感の差でしょうか?
しかし、この歌が右翼的という発想は、全く思いつかなかったのである意味、新鮮です。
やっぱり、リアルタイムで、ご存知だったのね。
>この曲が流行っていた当時は、別に違和感は感じなかったです
ああ、そうだったんだ。
沢田研二は、そういうキャラと、認識されていたのですね。
さぞかし「なんだこれは!?」と思われたかと
思ったんだけど、そうでもなかったんだ。
>この頃は和風=ダサい、西洋風=おしゃれで格好よい、という風潮
なんとなく、わかるような気がする...
>日本人には解りつらいのは、歴史的実感の差でしょうか?
わたしも、そうだろうと思います。
コスプレでもよく物議をかもすみたいだけど、
ヨーロッパ的感覚が共有できないのは、
ある程度は、無理もないんだろうと思います。
(本当はもうちょっと神経使うべきことなんだけど。
オタク文化って、外国に輸出もしているしね。)
その前に、鉤十字がヨーロッパの人たちに、
どういう印象を与えるか、なんてことも、
ほとんど知られてないと思います。
(余談だけど、わたしがリンクしたYouTube、
コメントを見ても、ハーケンクロイツのことは、
なんとも言ってないですね。(苦笑))
いまでもこんな感じですから、戦争責任なんてのが
あまり問題になってなく、外国との交流自体、
いまよりずっとすくなかった、1970年代は、
なおさら鉤十字に歴史的実感がなかったんじゃないかな?
沢田研二としても、鉤十字の服は「奇抜な不良スタイル」
くらいの感覚だったのかもしれないですね。
つぎのエントリによると、9条護憲のかたらしいので、
わかっていたら、はじめから鉤十字は控えたと思うけど。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080917/1221648345
当時のジュリーのキャラもありますし、あと、70年代当時は今よりテレビ表現は自由、というか、なんでもありだったのかも知れません。子供番組とかでも、今考えると、絶対問題になるつうか、それ以前に放送できないだろう、っていうのも多いですし。
あと、結構、マンガやアニメで、ホント、なんの思想もなくドイツっていうと、ナチス風のファッションしたキャラが出ましたね(^^ゞ「リンかけ」のドイツチームとか(^^ゞ
やっぱり、歴史認識の違いでしょうね。
ナチスとかって、私が子供の頃でも「アンネの日記」とかで、ユダヤ人を迫害した悪のように教えられはしましたし、第二次「世界」大戦という位で、世界中で戦争やっていたのは、頭では理解しても、ヨーロッパの戦争って、今でも、日本人には遠いと思います。
リンク先のエントリーでもあるように、これでジュリーが旧軍の軍服着て日本刀振り回したら、それこそ、芸能界から抹殺されたかもしれませんが。当時の大人は戦争体験者が多数派でしたから。
ハーケンクロイツから右翼って、今でも、なかなか連想できないのかもしれません。
表現は自由というか、差別に対してルーズだったんだと思います。
民族・人種差別とか、障害者差別とか、女性差別とか、
差別意識が高まって、神経を使うようになったんだと思います。
そのかわり(というわけでもないんでしょうけど)
性的表現は、むかしのほうがやかましく、
いまのほうがルーズというか、許容されてますね。
>なんの思想もなくドイツっていうと、
>ナチス風のファッションしたキャラが出ましたね
「ドイツといえばナチス」って、
「オランダといえば風車」とか、「イタリアといえばピサの斜塔」
なんてのと、同じ感覚だったのかもしれないです。
それこそ「作ったドイツ」というもので、
そういう固定観念だったんじゃないかな...?
このくらいの感覚だと、「鉤十字」で右翼を連想なんて、
なかなかいかないかもしれないですね。
テレビとかメディアで、ドイツを表現するのに、
なんとなくナチスを使うのも、無理もないかもしれないです。
「ナチスが悪」というのは、理解しているでしょうけれど、
悪の与えるトラウマが、ヨーロッパではどうなのか、
なんて、なおさら知られていなかったでしょうし。
ところで、「リンかけ」ってなに...?と思って調べたら、
『リングにかけろ』というアニメなのね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8D#.E7.99.BB.E5.A0.B4.E4.BA.BA.E7.89.A9
ドイツ団は、「ハーケンクロイツを掲げるなど
ナチス的な要素も視られる」なんて書いてある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8D#.E3.83.89.E3.82.A4.E3.83.84Jr.