2010年05月10日

toujyouka016.jpg 外国人受給の理由

「子ども手当て」は、日本国籍でない外国人であっても、
日本で生活して、日本に税金を納めていれば、
日本人とおなじように受給できるようになっています。
また、外国で暮らしている日本人でも、
滞在国の「子ども手当て」を受給しているかたもいます。

5月8日エントリで、すこし触れたことですが、
外国人であっても、自国民とおなじように、
手当てを受給できる権利が開かれている理由について、
ここでは簡単にお話したいと思います。

 
子ども手当ては、税金から支払われるのですから、
外国人であっても、その国で生活していて、
税金を納めていれば、自国民とおなじように
受給できるのが当然の権利と言えるでしょう。

外国滞在の日本人、たとえば、スウェーデンの
企業やお役所で働いていて、スウェーデンに税金を
納めている日本人は、スウェーデンの手当てを、
受ける権利がありますし、実際に受け取っています

事務手続きも、本国(日本)の子ども手当てを
受けるとなると、滞在国から日本へ必要書類を、
国際郵便で送ることになって、かなり不便になります。
それよりは、滞在国の自治体の窓口で
書類の受けわたしをしたほうが、ずっと簡単です。

子ども手当てに反対する人は、事務手続きの簡素化を
たいへん重視しますが、その観点でも、
福祉を受ける市民を、本国と滞在国とのあいだで、
おたがいに交換したほうが、効率がいいと言えます。


もっと根本的なものとして、外国人の基本的人権を
尊重するという、法的な根拠があります。
それは、日本が批准している国際条約で、
「難民の地位に関する条約」(難民条約)と、
「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」
(国連人権A規約)です。

難民条約の「4章 福祉」には、難民(外国人)であっても、
自国民と同一の社会保障や公的扶助を
受ける権利があることが定められています。
========
第23条 公的扶助
締約国は、合法的にその領域内に滞在する難民に対し、
公的扶助及び公的援助に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与える。

第24条 労働法制及び社会保障
1 締約国は、合法的にその領域内に滞在する難民に対し、
次の事項に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与える。

(b)社会保障(業務災害、職業病、母性、疾病、廃疾、老齢、死亡、
失業、家族的責任その他国内法令により
社会保障制度の対象とされている給付事由に関する法規)。
========


また国連人権A規約では、第3部9条と10条で、
社会保障や児童福祉が、すべての者に対して
等しく保障されることが定められています。
========
第九条
この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についての
すべての者の権利を認める。

第十条
この規約の締約国は、次のことを認める。
1 できる限り広範な保護及び援助が、
社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、
特に、家族の形成のために並びに扶養児童の養育及び
教育について責任を有する間に、与えられるべきである。
婚姻は、両当事者の自由な合意に基づいて
成立するものでなければならない。
========

さらに第2部2条2項で、条約の定める権利は、
人種、民族を問わないとして、「すべての者」には
外国人もふくまれ、外国人も等しく権利が
保障されることがしめされます。
========
第二条
2 この規約の締約国は、この規約に規定する権利が
人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、
国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位による
いかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。
========


子ども手当ての前身の「児童手当て」のときから、
外国に子どもがいる日本人が受給できました。
「難民条約」と「国連人権A規約」を踏まえて、
子どもが外国(本国)にいる日本在住の外国人も、
同じ規則を適用して、受け取れるようになっていました。

「子ども手当て」の外国人の受給資格は、
これをそのまま引き継いだものです。
「子ども手当について 一問一答」
========
児童手当では、過去30年間にわたり、
日本人の海外に居住する子どもと同様、在日外国人の子どもが
海外に居住する場合にも支給されておりました。

児童手当制度においては、1981年の
「難民の地位に関する条約」の加入に当たり、
「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の趣旨も踏まえ、
他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃しました。
それ以来、国籍にかかわらず、親等が日本国内に
居住している場合には、その子について監護が行われ、
かつ、生計を同じくしているという支給要件に該当するときは、
その子が国外に居住していても、支給対象となっています。
========

posted by たんぽぽ at 23:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
こういう自明なことを噛んで含めるように書かねばならない、というのが残念なことですね。

まったく個人的なことですが、給食普及率が全国ワーストの地に住むものとして、現ナマだけではなく、そういったシステムの保障も考えてほしいと思います。
また、ウチの一人娘(小学3年生)が通う小学校は、学童保育が3年生までで、4年生からはなんの制度もありません。マジでどうしろと。

日本は事実上、共働き禁止なんだなぁと思います。
まったく、ヘイトスピーチをタレ流してる場合じゃないんですけどねぇ…。
Posted by サキ at 2010年05月11日 09:52
サキさま、コメントありがとうです。

>まったく個人的なことですが、

現ナマだけで、OECD加盟国で中程度、というのが、
日本の現状ですからねえ...
現ナマ以外のことなんて、なおさら立ち後れていて、
まだまだこれからというレベルじゃないかと思います。

朗報かどうかわからないけれど、
給食費を子ども手当てから天引きする自治体がありますね。
こういうかたちで、給食普及率を上げられれば、
いいかもしれないです。
「子ども手当から給食費天引き、大分県市長会提案へ」
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/oita/20100410-OYS1T00281.htm


>ヘイトスピーチをタレ流してる場合じゃないんですけどねぇ…。

しかも、だれが書いたのかわからない、
得体の知れない、ネットの投稿のコピーですからね...

日本人だけでやればいい、なんて言ってもいたけどね。
鎖国をしているのではなく、外交というものがある以上、
外国人の出入りはあるのですから、
「日本人だけ」なんて、土台無理なお話だと思います。

そもそも外国人の受給って、たいした問題ではないと、
わたしは思っていたのですよ。
人口比で2%に満たないですし、世間一般で気にしている人は、
ほとんどいないのではないかな?
(ネットの世論は偏っていると言ってしまえば、それまでだけど。)
Posted by たんぽぽ at 2010年05月11日 23:23
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