9月6日エントリですこし触れましたが、
来年度の概算要求に突如現われた「特別枠」について、
もうすこしくわしくお話したいと思います。
この特別枠の採用は、菅政権の実態が官僚主導である、
大きなゆえんと考えられるからです。
(ここまで書いてある記事はあまりないけれど。)
「2011年度予算の概算要求は96.7兆円で過去最大=財務省」
概算要求の「特別枠」とはいかなるものかは、
ロイターの記事に、一通り書いてあると思います。
各省庁は、前年度の10%を削減した、予算の要求額を出します。
これにより一部の予算を、特別枠に組み込むのですが、
これは「政策コンテスト」を公開で行なうことで、
優先順位を決めて、使い道を絞りこんでいきます。
それから、要求額を10%以上削減した省庁は、
その差額の3倍を、特別枠に上乗せができます。
たぶんこのためだと思いますが、来年度の予算は96.7兆円で、
前年度の92.3兆円より、約4兆円ほど増えています。
じつは、すでに7つの省庁で、10%以上の削減を、
達成しているというので、おそらく10年度比で10%くらい、
容易に削減できるのではないかと思います。
(ついでに言うと、特別枠に入れるような政策は、
省庁内での優先度も高くなく、本当に削られても、
たいして痛くないのでは?と、わたしは「邪推(笑)」する。)
「一律10%削減」で、一見無駄を減らしているようですが、
10%以上削減した差額を3倍にしてもらうことで、
かえって官僚が「焼け太り」するわけです。
特別枠は、それまでの民主党の公約などには
なかったもので、とつぜん出て来たものです。
ところが、だれの発案で、導入にいたるまで、
どんな議論がなされたか、まったくしめされていません。
これは「情報公開」「説明責任」という
民主党本来の政治文化と反するものです。
特別枠の導入はどういう経緯によるかを、あきらかにしてこそ
「情報公開」「説明責任」なのだと思います。
菅政権は「特別枠」を導入することで、
「政治主導」を推し進めていると主張しています。
しかし、実際には、官僚が焼け太りすることや、
ふじゅうぶんな情報公開といった状況を見れば
じつは、官僚の手玉に乗せられたのではないかと
考えるところだと思います。
たしかに特別枠の順位づけは、「政策コンテスト」という
公開の場で行ない、国民の意見を反映するようになっています。
しかし、こんなのは「パフォーマンス」に
すぎないと言われても、無理もないでしょうね。
本当に優先順位を決めるべき予算は、残り90%のほうでしょう。
こちらは、各省庁が長年守ってきた既存事業であり、
国民生活の観点からも、実際の必要性が高いので、
優先順位をつけるのがむずかしくなっています。
(これまでは、縦割り行政の「バランス・オブ・パワー」で、
省庁ごとにわりあい「公平」になるように、
予算が配分されてきたのでした。)
この各省庁の「既得権」となっている予算に
順位づけをしてこそ、「政治主導」なのだと思います。
(このエントリを見ると、マニフェストに
財源まで入れるといった、具体的な方法が述べられている。)
参考資料:
「嗚呼、国家戦略局。」
「菅対小沢」