具体的には、予算編成を行なう権限を持つことで、
「政治主導」のかなめの機関となるはずのものです。
「「国家戦略局」がつぶされた本当の理由」
「嗚呼、国家戦略局。」
ところが、すでにお話しているように、
菅政権はこの国家戦略局を、断念してしまいます。
予算編成のメインは、これまでどおり財務省で官僚主導、
つまり政治主導はあきらめた、ということです。
くわしい経緯はニュースウィークの記事が、
要領よくまとめられていると思います。
(著者は池田信夫氏で、いろいろと悪名高いのですが、
このコラムに関しては、信用してよさそうです。)
国家戦略局の法案は、昨年のうちにできていて、
09年の秋の臨時国会で、提出する予定だったのですが、
よくわからない理由で見送られました。
今年の通常国会でも閣議決定はなされましたが、
法案の主旨説明は5月に入ってからで、
結局会期が切れて、継続審議となりました。
そして今年7月の参院選で、民主党が議席を減らしたので、
法案の可決がむずかしくなったことを理由に、
国家戦略局から予算編成の権限を削除、
実質的に断念のはこびとなりました。
その後もくすぶってはいるものの、
菅政権に復活させる動きはないようです。
ところが記事によると、国家戦略局の構想に対して、
はっきり反対している野党はないとあります。
よって法案の成立自体に、困難はないはずです。
したがって、これら一連のはっきりしない抵抗は、
官僚機構によるものだろうと、考えられるわけです。
参院選敗北の原因となった、「消費税騒動」も
「増税」がひとり歩きしましたが、これも財務官僚の支援が、
なかったためだろうと考えています。
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/07/post-202.php
予算編成を政治主導で行ないたいというのは、
政治家の「見果てぬ夢」だが、財務官僚は金を使うのが好きな
政治家にまかせたら財政が破綻すると思っているので、
あらゆる手をつくして予算編成権を政治家の手から守ってきた。
今回も、財務相だった菅氏を「教育」する時間はたっぷりあった。
菅氏も消費税騒動で、財務官僚の応援なしに
突っ走ると痛い目にあうことを実感したのだろう。
さらに、つぎの考察がありますが、
「特別枠」の出現を予想するものと言えそうですね。
もちろん財務省にまかせているとシーリングのような
一律削減しかできず、各官庁の既得権は温存される。
しかし霞ヶ関という岩盤の最深部にある予算編成権という
聖域に手をつけるには、民主党政権はあまりも弱体だった。
(それから、国家戦略局がだめなら、「経済財政諮問会議」を
復活させることを、事前の策として出していますが、
わたしもこれには同感ですよ。)
つぎのエントリを見ると、予算編成の権限を
財務省から移して、政治主導にすることは、
菅直人氏の長年の政治理念であることが出ています。
菅首相は、自分のライフワーク的な構想を、
せっかく政権についたところで、あきらめたと言えます。
「菅直人財務相VS財務省の「15年戦争」を考える(後編) 」
菅氏は、15年前に構想した「大蔵省解体論」に
盛り込んでいた主計局の内閣への移管に、
いまだに強い執念を燃やしているのだ。
菅さんこそ、15年間に渡り財務省(大蔵省)と激しく闘い、
財政金融分離を実現し、主計局分離に
最も執念を燃やしてきた政治家なのだ。
また最後のほうに、こんな不気味な予言があります。
後半の「コントロール」のくだりが、当たった感じですね。
つまり、財務相にとって菅財務相の就任は、
財務省の完全な解体を招くリスクがあるけれども、
逆に菅財務相をうまくコントロールできれば、
財務省支配を絶対化することも可能という、
いわば「諸刃の刃」と言えるかもしれない。
参考資料:
「菅直人財務相VS財務省の「15年戦争」を考える(前編)」
「菅直人財務相VS財務省の「15年戦争」を考える(後編)」
「参院選総括:「ありえない敗戦」の真因は菅首相の財務省への屈服。」
ところで,かみぽこさんによると,菅さんは大蔵省と15年戦争を闘ってきたそうですが,そうなんですかねえ?
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菅氏も消費税騒動で、財務官僚の応援なしに
突っ走ると痛い目にあうことを実感したのだろう。
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このようなことを書かれていますが,菅さんの消費税発言も財務省の洗脳ではないかと思ったのですが。
菅さんの主観では財務省と闘っているつもりなのかもしれませんが,財務省からするとお手玉してる感じではないのか,と思えてしまいます。
これから再び,マスゴミによる菅叩きが始まると見ています。
代表選は不本意な結果になりましたね。
政治主導の敗北と受け止めざるをえないです。
わたしも選挙結果について、
思うところを書くつもりだけど、
きょうはちょっとできそうにないですよー。
>菅氏も消費税騒動で、財務官僚の応援なしに
>突っ走ると痛い目にあうことを実感したのだろう。
>===============
>このようなことを書かれていますが
この推測は、わたしは当たってると思いますよ。
というのは、もともと選挙基盤が弱い議員が多く、
無党派の支持が頼りなので、民主党は一般に
「風に弱い」とされているからだけど。
さきの参院選も、「官僚のサポートなしに
議論をやると、おかしなことになって
逆風を吹かされて選挙で負けることになる」と
判断したことは、じゅうぶんに考えられます。
それで選挙で勝つために、風が吹く必要があるが、
そのためには官僚に逆らってはいけない、
と考えて、国家戦略局構想をはじめ、
政治主導をあきらめたのではないかと思います。
小沢氏の敗因は、小沢氏自身の個人的魅力がうったえきれなかったからでしょう。
国会議員票、地方議員票、党員・サポーター票、と行くにつれ、菅氏に差をつけられたのは、つまりそういうことなんでしょう。
小沢氏にじかに接する機会が少ない層ほど、マスコミの振りまく胡散臭い小沢像に影響されたのでしょう。
菅氏に特に魅力があるわけでもないけど、小沢氏よりはましだと判断された。
小沢氏が浸透しなかった原因は、
「政治とカネ」のイメージや、
強権的なところではないかと思います。
あと、頻繁に首相が変わるのは、好ましくない、
という判断も入ったと思います。
政治主導か官僚主導かの岐路、というのが、
あまり認識されなかったみたいなのは、
とても残念だったと思います。
(官僚に逆らうと選挙に負ける、なんて判断が
一般党員やサポータに入るとは思えないですし。)
中央が萎縮しているとき、突き上げるのは
末端の党員だと思うし、そういう可能性を作るための
サポーター投票だと思うからだけど。