2010年10月07日

toujyouka016.jpg 家庭で働くことに喜び?

またまたすごいことがありました。
経済産業省の中山義活政務官が、「日本の女性は家庭で
働くことを喜びとしている」などと言ったのです。

「「日本女性は家庭に喜び」=中山政務官の発言に批判」
「中山政務官:「日本の女性は家庭で働くことが喜び」と発言」
(はてなブックマーク)

 
いったいなにを根拠に?という感じです。
自身のいくつかの個人的経験を、外から見た判断で、
「家庭で働くことが喜び」なんて言ったのでしょうか?
そうだとしたら、とてもナイーブだと思います。

中山氏は、日本女性が家庭で働くことを、「文化だ」とも言っています。
どこにそういう「文化」があるのでしょうか?
高度経済成長期の「標準家族」でしたら、
日本に定着していた時期はかぎられているし、
そもそもが、ヨーロッパから輸入したものですよ。

「デパートに行けば...4番目にご主人のものを買う」
のくだりも、「自分は妻に頭が上がらないんです」
なんてことを言えば、女性を立てているとか、
男女平等になるとか、思っているのかもしれないです。


しかもこれは、よりによって、女性起業家サミットという、
女性の社会参加を呼びかける国際会議だったのでした。
それで一層のこと「場違い」感が増したようです。

とうぜんほかの参加者から批判が続出です。
毎日の記事を見ると、ツイッターで相次いだとあります。
会議の出席者が、その場でツイートしたのかもしれないです。
========
発言直後から「一緒のテーブルの女性陣からすごいブーイング。
(発言は)世界の女性の意識にまったくついていけていない。
日本への評価が下がる」など批判の書き込みが続いた。
========

もとの文脈に即して全部を見たら、
(昼食会なので、議事録はないでしょうね。)
また印象が変わってくるのかもしれないです。
「好意的」な解釈もできないこともないですが、
わたしの考察は、これくらいにしておくことにします。


「なんだ、民主党にもこんなおやじ議員がいるのか」と、
これをご覧のあなたは、幻滅を感じたかもしれないです。
これに関して、わたしは、むかしこんなことを書いたのでした。

「生活がガーンなことに」
「生活がガーンなことに(2)」

民主党が、自民党政権(当時)の増税政策に関して、
よくできた漫画を作っていたのですが、
夫がお仕事から帰ってくると、専業主婦の妻が待っている、
という設定で、庶民の生活感を出していて、
好ましくない、というものです。

おそらく税金関係の広報物なので、男女共同参画に
くわしい議員がひとりもいなかったものと思われます。
男女共同参画関係の広報物なら、事前に打ち合わせをして、
固定観念にとらわれないよう配慮するそうです。


民主党にいても、ジェンダー論にうとい議員はいます。
彼らの理解はたぶん固定観念的なのかもしれないです。
中山義活氏も、経済屋なので、ジェンダーのことは
あまりくわしくなかったことが考えられます。

そうだとしても、『男と女 変わる力学』の著者、
鹿嶋敬氏は、日経新聞の記者だったかたですし、
「ダボス会議」というのもあります。
きょうびは経済屋も、ジェンダーのことを、
ある程度以上わかっている必要がありそうに思いますが。

posted by たんぽぽ at 23:09 | Comment(9) | TrackBack(1) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
その程度のものなんでしょうかねぇ…。
Posted by ガラック at 2010年10月08日 06:24
 そんな認識の男がまだいるのですね。
 家事労働を、外で働く男性の労働と等価とみなして、離婚時の財産分けの際に、折半するように判例が出始めてから、もう10年以上経ちます。

 私自身が、一人暮らしで、分不相応な広さのマンションに住んでいますが、家事万端をこなすのは大変です。また、毎日の食事に、健康も考えてのメニュー作りとなると、頭が痛いです。

 まぁ、うんと若い時分の恋人関係の時には、彼に奉仕するのが喜び、っという女性もいるのかもしれませんが、結婚して子育てもしながら、っとなれば、そんな甘い時間は長くは続かないでしょうね。

 っと、結婚をあきらめた独身中高年は思います。
Posted by ジャッカル at 2010年10月08日 09:19
ガラックさま

その程度であってはイカンはずなんですけどね...



ジャッカルさま

>家事労働を、外で働く男性の労働と等価とみなして、
>離婚時の財産分けの際に、折半するように判例が出始めてから

判例があったんですね。
(事実婚の場合は認められず、贈与税がかかるって、
こないだ事実婚のデメリットを調べたとき、
偶然知ったんだけど。)

>家事万端をこなすのは大変です。

家事労働の負担、ばかにならないですよね。
(かくいうわたしも、お部屋の掃除が
まともにできてないですし。(苦笑))

きょうびの20代の女の子たちの専業主婦願望には、
男が家のことに協力してくれないのもあるんですよね。
自分ばっかり、お仕事も家事も両方、
というのはやりきれないので、それならわたしは、
家のことに専念する、ということなんだけど。

これを持って「家庭で働くことに喜び」なんて
言うのでしたら(中山氏の意識しているものとは
ちがっている気がするけど)どこか男性による
マッチポンプ的なものを、わたしは感じます。
Posted by たんぽぽ at 2010年10月08日 19:58
これは常日頃あたまの痛いことです。こういうひとの発言に限らず(もちろん、こういうひとだからこそ問題なんですが)
既婚女性は常に家族の健康のためにご飯を作ってるし、それが幸せ、と思う輩は私のまわりにはゴマンといて、そういうカンカクで紙面づくりしてる。作り手はおやじだったり、独身の女性。
想像力がないの。
で、家族のためにやれよ、っていう主張になるわけよね。
大きなお世話だわって思う。
Posted by うがんざき at 2010年10月09日 13:48
うがんざきさま、
こちらにもコメント、ありがとうです。

>作り手はおやじだったり、独身の女性。

まさに「当事者でない人たち」ですね。
それでも、独身の女性は、将来自分がその立場になって、
わかるときが来る可能性があるけれど、
おやじは、その立場になることがない...

>家族のためにやれよ、っていう主張になるわけよね

そんな主張を言う人がいる、ということは、
周囲が圧力をかけているのであって、
「喜び」でもなんでもない、ということなんだけどね。
(「本能」と称して強制するのと、パターンが似ているかも。)
Posted by たんぽぽ at 2010年10月09日 23:25
税制度にも、配偶者控除のように「『女は家庭』が本分で、働いても家計補助程度が良い」という考え方に依っているものがありますね。他の扶養控除も、お父さんが稼いで子や老親を養う世帯を優遇するものです(それも高所得者ほど優遇)。
しかし、単身者や高齢者のみの世帯が増えた時代に、そうした「お父さんが扶養する標準家庭」中心の制度は合わなくなっています。

税制度を考える上で、男女平等や家族の変化を考慮しないわけにいかないと思いますが、そうでない人もいるんですねぇ。つーか、そういう人のほうが多かったりして…orz
Posted by kiriko at 2010年10月13日 13:25
kirikoさま、おひさしぶりです。

>税制度を考える上で、男女平等や家族の変化を
>考慮しないわけにいかないと思いますが

民主党は、配偶者控除の廃止を、公約にしてきたから、
時代に合わないのは、わかってはいるんでしょうけどね。
でも、エントリでリンクした民主党のまんがは、
税制に関係するものなんですよね...
http://www.dpj.or.jp/seikatsu_futanzo.html

「お父さんが稼いで、お母さんは家で待っている」
という家族を、まんがに登場させちゃうあたり、
配偶者控除や扶養控除を、ジェンダー論としては、
見れてないのかな?なんて思ったりします。


>そうでない人もいるんですねぇ。
>つーか、そういう人のほうが多かったりして

一般的にはそうでない人のほうが、たぶん多いんでしょうね。
Posted by たんぽぽ at 2010年10月13日 22:03
最近の若い女性に専業主婦願望があったりするのは
女性が自分の可能性を伸ばすために自由に働くならともかく
夫婦とも働かなければ経済的に満足に家庭を維持していけなくなった現実に対する
やり切れなさが根底にあるようです‥‥。
Posted by pulin at 2010年12月11日 10:02
こちらにもコメントありがとうです。

あと、ここでも話題になったけれど、
http://taraxacum.seesaa.net/article/168461143.html#comment
きょうびの女性の専業主婦願望は、企業への就職が
むずかしいので、最初から働くのを希望しない、
というのもあると思います。

景気がよくて、女性の就職がある程度開けていれば、
子どもをあきらめて働き続けるし、
女性の就職がむずかしくなると、働くほうをあきらめて、
家庭を取るということなんでしょう。

本質的な解決に必要なのは、家庭とお仕事の両立が
やりやすくなるために制度と意識の改革ですね。
Posted by たんぽぽ at 2010年12月12日 10:32
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