2010年10月22日

toujyouka016.jpg 強者の土俵の上で

『Love Piece Club』の北原みのりさんのコラムで、
村木厚子氏のことが書かれています。
郵便割引不正事件で、容疑者として拘留されながら、
無事無罪となり釈放された、あの村木氏ですよ。

「村木厚子さんと東電OL」
(はてなブックマーク)

村木厚子氏が、男女雇用均等法以前の霞ヶ関という
「男社会」でいかに闘ってきたかなのですが、
わたしは感心して、思わずうなってしまいましたよ。

 
その戦略というか指針が、とても意外で妙手だったりします。
「え?たったこれだけ?」という感じさえあります。
========
村木さんがしたのは「目標を低く設定すること」だったという。
しかも驚いたことにその目標はたった二つ、こういうものだった。
「体調を崩さないこと」「落ち込まないこと」
========

「強者の土俵」にいるかぎり、まともに闘って
自分が勝つことはありえない、それでなすべきことは
「負けてしまわないこと」なのだそうです。
たしかに、公平な場でないのに、フェミの教科書っぽく(?)、
お茶汲みからなにから、真っ正面から闘っていっても
打ち負かされるだけで、消耗することになりそうです。

また、体調と精神を壊したら、そこから累積的に
ダメージを受けることになりかねないです。
からだとこころだけは平穏に保っておけば、強者の土俵でも、
冷静な判断を続けられる、ということなのでしょう。


これは、女性が「男社会」で闘うだけでなく、
ありとあらゆる弱者が「強者の土俵」という
理不尽な場で闘うときにも使えることだと思います。
実際、検察に拘留された村木氏が、無罪となって帰還できたのも、
「負けてしまわない」戦略のおかげだそうです。

かかる戦略をつらぬくのは、決して容易ではなく、
個人の力量や資質にもよるし、運の良さもいるでしょう。
それでもこうした「強者の土俵での闘いかた」を、
知っているだけでも、だいぶ違ってくると思います。
わたしも、もっと早く知っておけばよかったと思います。

それから、これは「男社会で女が成功するには
適度に男を立てておく」のとは違うのだと思います。
かかる「名誉男性」となるのは、「男社会」自体は
維持した上での処世で、「勝ってしまわない」ことだと思います。
村木氏の場合、「負けてしまわない」という戦略で、
「男社会」と闘ってはいるのだと思います。

posted by たんぽぽ at 23:29 | Comment(6) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
引用された記事の趣旨は大変よくわかります。そして全くその通りと思うのです。しかし,なんというのか,今一つハテナを感じることがあります,この記事は素晴らしい分析なんですが,分析以上のことではなく,逆の見方からすると処世術にシュリンクしてしまいかねないことが心配です。
確かに強者の土俵の上で闘うには猪突猛進では自爆するしかないです。ただし,ノーベル賞に向かってではなく,ここでは強者に対するドンキホーテの闘い方という意味です。ですから自爆しないためには強者との闘い方を工夫する,というのが重要なことはよくわかります。しかし,その工夫と言うのが「目標を低く設定すること」というのに帰着されるのはどうかなと思う次第です。
すべての組織・社会で男も女も闘っている人がいます。そこで弱者の立場にいる方々への心強いメッセージになっているかといえばひどく疑問に思えます。
実は東電OLの事件がどうして悲惨な結末になったかというのはよく知らなくて,調べ直す時間も取りたくないので的外れかもしれませんが,もしこの悲惨な結末が「柳腰」の闘い方ではなかったことに起因するとする分析だとしたら,ちょっとかわいそうな気がします。
闘い方は個性と個別事情により千差万別だろうと思うのです。
Posted by アルバイシンの丘 at 2010年10月23日 22:59
ええ話やな〜!って思いました。
てゆうか、男社会に限らず、どこにおいても通用しそうな戦略。
女社会も手厳しいから。
がむしゃらに頑張るだけは、あまり流行らない風潮だから。
Posted by うがんざき at 2010年10月24日 19:57
アルバイシンの丘さま、
コメントありがとうございます。
拝読しましたが、するどい問題提起だと思います。
わたしなりに考えたことを、お話したいと思います。

このお話は結局、処世術に収斂してしまうのではないか、
とお考えになるのは、無理もないかと思います。

北原みのりさんは、つぎのようには書いています。
それでも、結局言いたいのは、処世ではないのか、
という意見は、はてなブックマークでも見られたのでした。
========
村木さんのやり方が「賢かったから」というだけではない。
東電OLが「間違っていた」からじゃない。
========


北原さんが言いたいのは、弱者が強者の社会で
生き抜くための条件はなんなのか、だろうと思います。
そして具体的には、つぎの5つ(最後を入れれば6つ)を
持ち合わせていることだとしています。
========
それは折れない気持ち。
それは体力。
それは女友だち。
それは経済力。
それは家族の理解と協力
そして、この5つが揃う幸運。
========

これらすべてが、村木氏にはあって、東電OLにはなかった、
というのが、北原さんの分析なんだと思います。
村木氏の場合は「目標を低く設定すること」によって、
とくに最初のふたつ(「折れない気持ち」と「体力」)を
維持できた、ということだと思います。


東電OL事件がどんなものなのか、じつはわたしも知らないです。
わかるのは、上記の5つ全部が、そろっていなかったということです。
5つがそろうのは、「幸運」もあると思います。
(北原さんは、そう書いている。)
なので「闘いかたが悪かった」のような、
いわゆる「自己責任」ですまされるのではない、
本人の努力だけで解決しえないものもあるだろうと思います。

また、5つがそろうことが大事なのであって、
そうした幸運があるなら(「村木さんが
味わってきた理不尽を、全く同じように
味わうことはないだろう」と北原さんの記事にある)
かならずしも「目標を低く設定すること」という戦略に
こだわらなくてもいいのではないかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2010年10月24日 22:38
うがんざきさま、
コメントありがとうです。

>男社会に限らず、どこにおいても通用しそうな戦略

そうそう、わたしも感心してうなってしまいましたよ。
ブックマークで『夜と霧』を引き合いに
出しているかたがいたけれど、そこまで大げさでなくても、
程度の差こそあれ、どこにでもある図式ですからね。

とくに、体力と精神力を落とさないこと、というのは、
わたしは最近つくづく感じています。
Posted by たんぽぽ at 2010年10月24日 22:40
再び。
ええ話なんだけど、東電OLを引き合いにした北原みのりの分析がいいかどうかは「?」ですね。
そういえば上野千鶴子が、ガラスの天井と称し、東電OLの頭打ち感を演歌調に語りはしたものの、それと立ちんぼ(売春)が本当に強く関係するのかどうなのか。
ここまで引き合いにだされてしまう東電OLが理不尽だわ。彼女は他殺だったのだし、彼女の未来はまだまだ未知数だったから。
Posted by うがんざき at 2010年10月25日 09:31
またまたコメントありがとうございます。

「東電OL」というのは、どんな事件かと思って
ちょっと調べてみたら、これですね。
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/touden.htm

ここで彼女を引き合いに出すのは酷だ、という意見は、
やはりあるようですね。

たぶん、北原さんは、東電OLが不特定多数の男性との
性交に走ったのは、職場での差別から
ストレスで精神力を落としたためだと、
見ているのだろうと思います。

北原みのりさんが言わんとしているのは、
「東電OLは、女が生き抜くための5つの条件を、
全部持ち合わせなかったがゆえの悲劇」なのでしょう。
東電OLの戦略が悪かった、のような
「責任」を問うものではないんだと思います。


わたしは、東電OL事件のことをあまり知らないし、
北原さんを弁護しなければならない立場でもないので、
これくらいにしておきますね。
(せっかくなのにごめんなさい。)
Posted by たんぽぽ at 2010年10月25日 22:54
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