2010年11月18日

toujyouka016.jpg 婚外子の相続差別

10月30日10月31日のエントリで、長尾たかし議員の
民法改正に反対するエントリをご紹介しました。
ここでは、選択別姓反対だけでなく、
婚外子の相続差別の廃止反対も主張しています。

「選択的夫婦別姓を含む法案の概要が提出されてしまった・・・
しかし、まだやれることはあるっ!」


 
http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/ac778a00f3e34c0fd5e593254d0e88a9
非嫡出子として生まれた子供に罪は無い。
しかし、所謂、夫の不貞により、本妻と嫡出子にも罪は無い。
巻添えを喰らう理由も無い。
この場合知らないほうが良いという事もある。
「財産分与は家ではなく、個人の財産分与」という解釈なのだ。

妻と嫡出子には罪はないですから、
巻き添えを食らう理由はたしかにないでしょう。
しかし、婚外子にも罪はないのですから、おなじように
巻き添えを食らういわれはないはずです。
妻や嫡出子はよくて、婚外子はだめだというのですから、
婚外子を差別していることになるわけです。

そもそもの原因は、不貞を働いた夫にあるのですから、
責任があるのは、当の夫のはずです。
ところが夫の不貞のことを問わないで、
妻や嫡出子と婚外子とのあいだで、
「しわよせ」の押し付け合いをさせるのが
そもそもおかしいのだと思います。


戦前の民法では、嫡出子と非嫡出子の区別があり、
さらに非嫡出子に対して、夫が認知した場合「庶子」
認知しなかった場合「私生児」として区別していました。
そして、正妻の子(嫡出子)がいない場合、
庶子の男児が「イエ」を相続いでいました。

「イエ制度」においては、イエを継いで
家長になるのは男と決まっていました。
よって嫡出の女児より、庶子の男児のほうが相続上優位でした。
女性や子どもの権利がふじゅうぶんなまま、
男性中心の「イエ」の下で、妻と嫡出子、非嫡出子は、
複雑に利害対立をさせられたわけです。

戦後の新民法では、これらの対立関係は
大きく調整され、とくに妻の立場は改善されました。
「現民法の婚外子差別は、妻の座を守るものだ」と主張する
反対派がいますが、これはこうした経緯によるものです。

ところが、子どもたちのあいだでの差別は、
依然として残っていることになります。
子どもどうしの差別、すなわち婚外子差別が
すっかり解消しなければ、この問題は
解決したとは言えないでしょう。

参考文献:
『法に退けられる子どもたち』(34-36ページ)
(坂本洋子著、岩波ブックレットNo.743)

posted by たんぽぽ at 23:47 | Comment(8) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
私自身は、未婚の母親には反対です。でも自分自身がなってしまい苦しんでいます。
私の場合は、不倫ではなく、既に離婚をして、子供2人を実家で引き取っている方との間に妊娠をしました。離婚してから知り合い、お付き合いをして、何度かお子さん達とも会い、可愛がっていましたが、前妻との間のお子さんを含め結婚するという決断がまだできない時期で、色々あり彼に別れを切り出していた時に発覚した妊娠でした。
私自身は、彼の子供達の事も考え、また私の妊娠中に、彼が前妻に未練があり、再婚している前妻にやり直そうと話を持ち出していることを知り、中絶を決心して、初期中絶のギリギリの時に病院に行きましたが、彼から力強くで病院から連れ戻され、産んでほしいとの事でした。

不本意ながら、産む方向に進みましたが、認知のみで、彼は前妻のお子さん達と生活できなければ籍に入れないとの話で、初産で、子供二人の世話もままならないこと、彼への不信もぬぐえず、二人のお子さんに責任を持てないので、籍に入らずに出産しました。お子さん達は、今でも母親を慕い、母子としての関係を築いています。

私の子供は、非嫡出子です。前妻とのお子さん達は嫡出子です。

それでも、差別は必要でしょうか。


不倫は、私も反対で、責任ある身で、不貞を行った男性にも、相手の女性にも、嫌悪感はありますが、籍に入らないことで、相手の女性には、男性が社会的な責任を果たすことはなく、相手の女性から妻が慰謝料をもらう場合もあるのではないでしょうか。

ただ、子供は、父親が身近にいない環境で育たなければいけない、まわりの幸せな家庭を見ながら、育っていかなければいけない、私は子供には責任はないと思います。

父親には変わりないんだから、父親として、どの子供にも責任を果たすべきだとは思います。


今まで言葉も知らず気にしたこともありませんでしたが、自分がこうなり、嫡出や非嫡出子という言葉を初めて知りました。

いまは、不倫ではなくても、嫡出でない状況で産まれてくる子供は少なからずいる様です。

未婚の父親が、妊娠してから、逃げてしまう場合もある様です。きっとその後に違う女性と結婚して子供が産まれてくる方もいるでしょう。


金銭的なことではなく、同じ父親から生まれた子供は、どの子供も、平等に、その父親の血をひき、平等にその父親がいてこの世に産まれてきたという事が、認められる様になってほしいと、私自身がこういう状況になり、願うようになりました。


父親が同じ様に愛せない子供は作らないでほしいと思います。


私自身は、妊娠してから、ずっと自分を責め続けています。いまでも生まなければよかったんじゃないかと思っています。

Posted by ねこ at 2011年05月24日 11:20
横からすみません、ねこ様。

>私自身は、妊娠してから、ずっと自分を責め続けています。いまでも

その先のセリフは二度と言うな。

あなたのその子は、縁があってあなたの所に生まれてきたのですよ。
で、この世に生を受けたからには、以降のその子の人生はその子の物。あなたはそのサポート役でしかなく、その子の人生をどうこうする的な権限は、あなたには無い。

その子の人生がハッピーか否かは、その子が決めること。ただし子供が小さい時は、その判断基準の殆どは、親との関係性のみであるのだが。

父親がいなくてもハッピーな子供は幾らでもいる。
ウチの子(5歳)の保育園の同級生にもいる。
要は、あなたが「婚外子」だとか「不倫」だとか言う邪念を捨てて、その子の瞳を見つめれば良いのです。
その子の瞳はあなたを求めてはいませんか?
求めているんなら抱きしめてあげなさい。
その子にとってもあなたにとっても、それ以上の幸せは絶対に無いよ。

その子を守るのはあなただけです。
気合を入れて素直になって、親子共々幸せになって下さい。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2011年05月24日 12:41
ねこさま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにようこそお越しくださりました。
(すこしお返事が遅れまして、もうしわけないです。)


コメントを拝読したところ、ですが、相手の男性のかたが、
言うまでもなく、前妻の女性に未練があるのが、いちばんの原因ですね。
前妻の女性はすでに再婚なさっているのでしたら、
未練は断たなければイカンでしょうね。

中絶を止めてくれたそうですが、いまはあなたとの関係を
大事にしなければならないと、あまたではわかっているけれど、
心がついていかない、という状態なのかもしれないです。

前妻のお子さんふたりと生活したいのも、
前妻の女性に未練があるがゆえなのかもしれないです。
もし、そういうことでしたら、あなたと結婚してから、
いっしょに生活するというのは、考え直したほうがいいと思います。

それから、いっしょに生活したとして、当のお子さんふたりは
なんて言うか、というのもあると思います。
前妻の女性を、母親としてふつうに慕っているなら、
あなたといっしょの生活は困難かもしれないですよ。


気持ちの整理をつけるのは、もちろん彼自身の問題ですが、
そのために、あなたがしてあげられることはなんなのかを考えて、
それを実行する、くらいしか、わたしには思い浮かばないです。

彼はいまどのくらい、あなたとあなたのお子さんのために
支援(金銭的援助、精神的援助など)を、してくださるのでしょうか。
中絶に反対して出産させたなら、相応の責任は取るべきだし、
それはあなたが要求してしかることだと思います。
(この方面からの交渉も、すでになさったのかもしれないですが。)


>それでも、差別は必要でしょうか

教科書的ですが、非嫡出子と嫡出子とのあいだで、
差別はあってはならないことです。
(現実には、日本の法律には差別規定がありますが。)
親を選べない子どもには、責任はないことだからです。
あなたのお子さんも、前妻のお子さんも、
相手の男性の子として、等しく扱われるべきです。

>私自身は、妊娠してから、ずっと自分を責め続けています。

どうか、そのようには考えないでくだい。
(相手の男性にだまされたような気持ちで、
自分にふがいなさを感じるのは、わかりますが。)
未婚の母自体や、子に父親がいないこと自体は、なにも悪くはないです。

身近な大人から、そうしたカチカンを吹き込まれることによって、
父親がいないことで、子どもは不幸になっていきます。
なので、あなた自身が、そんな考えをなさらず、
子どもに刷り込まないよう、注意が必要だと思います。

父親の責任は追求するべきですが、
あなたのお子さん自身は、父親がどうあろうと、
うしろめたいことはなにもなく、堂々と自分の人生を生きていけばよいのだ、
ということを、しめすのがよいと思います。

>いまでも生まなければよかったんじゃないかと思っています

「自分は産まれるべきでなかった」と言われて
幸せになる子どもは、どこにもいないでしょう。
あなたのお子さんは、お子さんで、かけがえがないのだ、
という気持ちで、接してあげてください。
Posted by たんぽぽ at 2011年05月25日 23:00
ニャオ樹・ワタナベさま、
コメント、まことにありがとうございます。

まったくおっしゃる通りだと思います。
ナイス・フォローです。
わたしは余計なことを、付け加えないでおくことにしますね。
Posted by たんぽぽ at 2011年05月25日 23:03
たんぽぽ様、ニャオ樹・ワタナベ様


たんぽぽ様の記事を読ませていただき、思いのまま、誰に向けるでもなく、込み入った私情がかなり入ったコメントをしてしまい、すみませんでした。
書いた後に、すぐに消そうと思いましたが、消し方が分からなく消せませんでしたので、そのままになってしまいました。

私の未熟なコメントに対し、身が引き締まる言葉と、とても温かいコメントを下さり、お二人とも、本当にありがとうございました。

私は、子供に対して、申し訳ない気持ちが大きくて、整った一般的な幸せな環境で、産んであげたかったという気持ちでいっぱいです。
私自身の幼少期は、父に恵まれ、私の父は色々なところに連れて行ってくれて、兄弟みなとても愛され、父親に対する思い出は幸せなものです。父は私が10代の前半の時に亡くなってしまいましたので、父親がいない寂しさも知りました。

だから余計に、子供を育てていく環境に自分なりの理想があったのと、自分は父親と生活する幸せを味わってきたのに、子供には父親と距離のある環境で育てている、今、申し訳ない気持ちでいっぱいです。


今は、子供との時間を一番に、子育てに集中していて、子供と二人でも、色々な場所に行き、少しでも、楽しい幼少期を過ごしてほしいと思っていますが、


将来、大人になる過程で、子供が、自分が婚外子であるという出生の事で、苦しむ時がくるのではないかと、今から不安でたまりません。

まだまだ先の事ですが、
子供が結婚したいと思った時に、出生が原因で、相手の周囲から反対にあい辛い思いをするんじゃないか、
親の私がいままで苦しんだこともないことで、
出生が原因で、子供の将来の道を、つぶしてしまうことがあるのではないか、、

想像すると、親として本当に辛く、子供に申し訳ないです。


将来、どういう生活を送っているか、分かりませんが、婚外子として生まれてきた事実は、変わりません。

だから、せめて、子供が大きくなる前、本当に近い将来に、こちらの記事にもあった遺産相続においての、嫡出子・非嫡出子の格差が、法律上なくなってほしいと思っています。


法律が変われば、遺産の面に於いてだけでなく、

社会的に、今よりも少しでも、婚外子が、嫡出子と変わりなく、受け入れられるようになるのではないかと、私は思っていて、

早く法改正される様にと、願っています。


親には責任がありますが、子供は、生まれてくる環境を選べませんので、やはり、どの子供も、平等に扱われるべきだと思います。


婚外子の問題は、ネット等で、反対の方の意見を見ると、「不倫相手とその子供が…」という書かれ方が多いですが、不倫だけではなく、私の子供の様に、色々な事情で、婚外子として生まれてくる子供もいます。
私も不倫に否定的な意見を書いてしまいましたが、その子供には何の責任もなく、父親から愛情を受けるべきだと思うし、子供が社会的に批判されることは何もないと思っていますし、私自身は不倫は傷付く人が多いからいいとは思いませんが、そういう形の愛を選んでいる人はいるという事は、受け入れています。


私は、いつも、こんな母親が、幸せだと感じたり、幸せだと言ってはいけない様な気がしてしまう時もあって、結婚していないのに子供を生んだ自分が恥ずかしいと思ってしまう時がありますが、


たんぽぽ様とニャオ樹・ワタナベ様が書いて下さった事を、自分に言い聞かせて、子供に、少しでも、生まれてきて幸せだったと思ってもらえる様に、がんばりたいと思います。


長文になってしまいすみませんでした。

お二人とも、ありがとうございました。
Posted by ねこ at 2011年05月26日 01:16
ねこさま
またお越しくださり、ありがとうございます。

>思いのまま、誰に向けるでもなく、込み入った私情がかなり入ったコメントをしてしまい、

ああ、いえいえ。
わたしはまったくかまわないですよ。
個人的に立ち入ったことをコメントなさる、というのは、
わたしのつたないブログを信頼してくださった、
ということですから、光栄に思っているくらいです。

わたしのブログは、じつはコメント削除はできないのでした。
これは、まことにもうしわけないです。
どうしてもという場合は、わたし、たんぽぽに、
削除したい旨を直接連絡くださるより方法はないです。
(管理者だけは、削除できるので。)

>私自身の幼少期は、父に恵まれ、

そうだったのですね。
わたしの前のコメントに、無神経なところが
ありましたら、もうしわけなく思います。


婚外子が産まれる事情は、おっしゃる通り、
さまざまなケースがありますし、なんであっても、
子どもが選べるものではないですからね。
一日も早く、婚外子差別がなくなることを、祈りたいと思います。

それでは、お子さんを幸せにしてあげてくださいね。
「幸せな環境」は与えられるものではなく、
作り出すものだと思うので。

もしよければ、つたないブログですが、
これからもお越しいただけたら、わたしはうれしく思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年05月27日 22:38
たんぽぽ様


温かい言葉をありがとうございます。

実は、(非嫡出子 法改正)で検索していて、たんぽぽ様のブログを拝見しました。

たんぽぽ様は、色々な方面に精通されてる感じがして、もしほんの少しでも法改正へつながればと思い、勝手にコメントを書かせてもらいましたが、読み返して見たら、かなり個人的な内容で、書いているうちに感情的にもなってしまって、削除してもらった方がいいか、悩んでいます。

また、その時は、ご連絡させてください。


お二人のコメント、すごく励みになりました。
ありがとうございました。

他の記事も、ぜひ、読ませてください。


Posted by ねこ at 2011年05月28日 01:28
ねこさま、コメントどうもです

>また、その時は、ご連絡させてください

公開の場なので、だれが見るかわからない不安もありますからね。
削除したくなったときは、いつでもご連絡いただけたらと思います。

ご連絡は、このコメント欄にお書きくださってもOKですし、
あるいは非公開がいい、ということでしたら、
メールフォームか、拍手ボタンのコメントを、
ご利用いただけたらと思います。
http://form1.fc2.com/form/?id=521951

>他の記事も、ぜひ、読ませてください

このブログ、婚外子のことも結構書いているので
(わたしは、そんなに精通してる人じゃないけれど)、
お役に立てればさいわいです。
Posted by たんぽぽ at 2011年05月28日 23:29
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