長妻前厚労大臣の指示のもと、厚生労働省で
補完代替医療についての研究を進めている、
「統合医療プロジェクトチーム(PT)」というものがあります。
ところが、これに対する批判と思われるものがあるのです。
「医療のイロハも知らない長妻氏」
そして、その批判はまったくの見当違いだ、
という反論もあるので、ご紹介したいと思います。
「医療のイロハも知らないのは山形氏の方です」
「リハビリ」
補完代替医療の研究で、具体的に行なわれているのは、
おもにがん治療における、サプリメントや食品に関するものです。
「補完代替医療の臨床試験について考えた」
「医療のイロハも知らないのは山形氏の方です」
たとえば、これらが抗がん剤の副作用を緩和したり、
精神的に不安定な患者さんをケアしたりしないか、
あるいはそれ自体が抗がん剤になるものがないか、
といったことを調べたりします。
こうした代替医療は、患者さんがよく利用するのですが、
有効性や安全性がはっきりしないものが多いので、
医者側も、勧めることも止めることもできない状況でした。
そこで、補完代替医療の有効事例を集めて検証し、
データベース化しようというものです。
補完代替医療の研究は、2001年からがん研究助成金課題として、
四国がんセンターを中心に、行なわれていました。
(このエントリに全部の年度のページへのリンクがある。)
http://ganjoho.ncc.go.jp/pro/mhlw-cancer-grant/2004/list.html
http://ganjoho.ncc.go.jp/pro/mhlw-cancer-grant/2008/list.html
長妻前厚労相の指示した、総合医療プロジェクトチームは、
この研究を引き継いだものと見てよいでしょう。
厚生労働省の資料を見ると、漢方や気功なども含まれていて、
研究対象の範囲が広げられているようです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/s0426-9.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0426-9a.pdf
この総合医療プロジェクトチームを、
最初にご紹介した山形浩生氏が批判しているのですが、
どうやら補完代替医療は、「すでに多くの研究で
有効性が否定されている」と考えているようです。
山形氏の記事を見ると、ホメオパシーのことが出てきます。
ホメオパシーは、ビタミンKの不投与事件で、
にわかに話題になりましたが、これはたしかに代替医療の中では、
効果がないとわかっている、にせ科学に属するものです。
総合医療PTのサイトにある、PDFの資料には、
ホメオパシーの語も出てくるので、これを見たのでしょうか?
これは代替医療の分類や、利用実態についてで、
見たところ、すでに効果がないとわかっているものも、
いくつか含まれているようです。
前述のようにサプリメントや漢方など、
有効と考えられる代替医療もたくさんもあります。
これらは現在も研究する余地があるものであり、
いくつかは有効性が示されているものもあります。
総合医療PTの資料を見たかぎりでは、有効性が示唆されるものが
研究対象にちゃんとなっているようですよ。
それから、山形氏は「鳩山前首相がそんなものを
真面目に採り上げるといいだした」とか、
「思いつきでくだらないことを口走った」とも書いています。
代替医療の研究は2001年からあるのですから、
鳩山前首相が思いつきで言い出したのではないですよ。
山形氏を批判しているエントリによると、
今年の1月29日の施政方針演説が該当するらしいです。
ここで述べているのは、公共事業の予算を削って、
かかる医療の研究に予算をまわした、ということのようです。
予算の配分を大きく転換させるのは、
まさに政治主導の力であり、政権交代の成果です。
代替医療の研究は充実させたほうがいいでしょう。
鳩山前首相は、そうしたことに理解があって、
よかったと思うのですが、いかがでしょうか?
2010年11月29日
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競争を降りる若者たち
Excerpt: ある初秋の一日,いつもの飲み屋で二人杯を交わした時の話である。 彼には息子がいた。長男だけれども3人兄弟の末っ子。つまり,上に姉二人がいる。しかし,ここでの話にはそんな環境はたぶん関係ないだ..
Weblog: アルバイシンの丘
Tracked: 2010-12-01 23:29
正規医療は経済的な範囲内でそれが受けられる人だけが受けるようになります。
代替医療の効果をはっきりさせて、
医療機関側が患者さんに対して説明しやすくする、
というのが目的なんですよね。
あと、得体の知れない代替医療は、安価とはかぎらないですよ。
話題のホメオパシーなんて、相当にぼったくっているらしいですし。