2010年12月16日

toujyouka016.jpg 強制別姓にすると

ツイッターの議論で、夫婦別姓が強制されるのは
べつだんかまわない、という意見があったのでした。
カチカンの多様性より、基本的人権を優先ということです。

http://twitter.com/honeyB_B/status/13456557031301120
========
わたしは強制別姓でもいいと思ってます。
でも、それって、今既に改姓している人や、改姓したいなって人
(子供の姓で将来両家に軋轢あるだろって人も含め)を
圧迫しちゃわないかしら的判断で、選択式別姓推進派。
ややこしさは別姓だとまったく無いですからね、
産まれたときから変わんない
========

 
>夫婦別姓が強制される国

別姓強制の国(というか州)も実際にありまして、
カナダのケベック州がそれです。
これはスペインのように、むかしから別姓だったのではなく、
法律が改正されて強制別姓になった、ということです。

ケベックの強制別姓は、男女平等と個人の尊重の観点から、
導入されたもので、法律の改正以降結婚したかたは
かならず夫婦別姓になっています。
(理解しているかたが、たまたま為政者になったのでしょうか。)
子どもの苗字は、父の苗字、母の苗字、
両親の苗字の結合姓のいずれかの選択になっています。

以下のエントリを見ると、夫婦別姓と決まっているおかげで、
苗字で苦労することはないようですよ。
http://ipg4000.blog45.fc2.com/blog-entry-141.html
========
予想に反して戸籍は必要でなく、パスポートの姓が違っていても、
何ら問題なく妻としてビザが下りた。
行ってみたら滞在先のケベック州はなんと夫婦別姓が基本であり、
周りはみんな別姓で、子どもの姓は母・父・母と
父の結合姓の選択が可能だった。
こんな環境だったので、何の問題もなくクレジットカードの
家族カードも作れたし、銀行口座も共同名義で持っていた。
========

夫婦同姓も選べるようにしろという動きが
あるのかどうかを、わたしは知らないです。
またお金を払えば改姓して同姓にもできる、
というのを聞いたことがあります。
このあたり、くわしいことをご存知のかたがいたら、
教えていただけたらと思います。


>改姓の強制を防ぐ

ところで、たんぽぽは、こんな試案を考えていたりします。
同姓と別姓の選択制ではあるのですが、
夫婦同姓を選んだ場合、改姓の強制が発覚したら、
その婚姻が取り消しになる、というものです。

婚姻届けを出したとき、同姓が選択されていた場合
改姓の強制があったら婚姻が取り消しになることを、
お役所の窓口でかならず喚起するようにします。
婚姻取り消しになったふたりが、もう一度結婚はできますが、
前の結婚で選ばなかった苗字で夫婦同姓か、
夫婦別姓かのどちらかしか選べなくなります。

選択別姓導入するのは、望まない結婚改姓を
防ぐためですから、改姓の強制に罰則規定を設けることも、
いちおうの妥当性があるだろうと思います。

もっとも、改姓の強制があったことを、
どうやって証明するのか、という問題があって、
現実には、かなりむずかしいと思います。
それでも、婚姻取り消しの可能性を周知させるだけでも、
一定の効果があるのではないかと思いますよ。

posted by たんぽぽ at 23:53 | Comment(10) | TrackBack(2) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
たんぽぽさんの案は、法律のスタート時点以前について不遡及かどうかによって現実味が変わってくるかもですね。例えば、既婚者の中には意思がはっきりしていないお年寄りや若年性痴呆症の患者さんなどもいるわけで。

個人的には、婚姻による改姓を繰り返して色々ヤバいことをやっている人もいる(戸籍をよいと見る向きはありますが、実際は個人情報云々や過去の身分制がタブーになっているため見ることが難しいことが多く、結婚詐欺を防ぐためであっても「業者」以外の方法では確認が取りづらい)ので姓を一生変えられないようにするってのはイイと思います。
Posted by mmm at 2010年12月17日 17:05
自説披露で申し訳ないですが、私は究極的には人の名前は、姓+名である必要はないと思っています。名だけでいいです。他人と紛らわしくならないようにある程度ユニークな名前を付けておけばいいでしょう。子供の幼名は親なり誰かが付ければいいし、大人になったら自分で変更するなり何なりすればいいと思いますよ・・・。
Posted by pulin at 2010年12月18日 00:03
mmmさま

改姓の強制は、もうすこし具体的には、改姓した側が
不満を主張した場合、ということになると思います。
(第三者が摘発する自由はあると思いますが。)
若年性痴呆症とか、本人の意思がはっきりしないときは、
問題にしなくてよいのではないかと思います。

遡及性があるかどうかにかかわらず、
改姓の強制の証明はむずかしいだろうと思います。
それじゃ実効性がなくて、ざる法じゃないのか、
と言われそうだけど、婚姻取り消しの可能性があることを
知らしめるだけでも、一定の効果があるのではないかと、
わたしは見ています。

どうしてもというなら、家庭裁判所の認可を
受けるようにすればいいのではないかと思いますよ。


>婚姻による改姓を繰り返して色々ヤバいことをやっている人もいる

やばいとはちょっと違うのかもしれないけれど、
多重債務者が、借金の実績をクリアするために、
結婚や離婚で改姓することがあるそうですね。
(これはじつは、金貸しのほうに問題があって、
その方便なのではありますが。)
Posted by たんぽぽ at 2010年12月18日 08:53
pulinさま

苗字と名前がひとつずつ、というのは日本の習慣だけど、
外国人の姓名の習慣は、もっと多様性がありますね。

欧米人は"given name"が複数あるし、
ロシア人は、苗字と名前のほかに「父称」がありますし、
インドネシアは名前ばっかりいくつか並んでいますし。
名前の数自体決まっていないですし、
通称みたいなかたちで、自分で名前を付加するのも、
わりと簡単にできるところもありますしね。

日本の姓名も苗字と名前ひとつずつにかぎらず、
もうすこし柔軟性があってもいいかもしれないです。
でも、これは日本人の名前だと、
ミドルネームを入れてもしっくりこないとか、
制度だけでなく習慣の部分もかなりあると思います。


あと、名前をある程度固定化させる必要もあって、
それは行政から福祉を受けるときの都合だと思います。
身分登録によって本人確認できないと、
受けられるサービスが受けられなくなるからね。
Posted by たんぽぽ at 2010年12月18日 08:58
>改姓の強制の証明はむずかしい
確かにかなり難しいかと思います。会社内で全員が口裏合わせをした場合のようなものですね。が、たんぽぽさんの指摘通り、「夫婦以外が結婚について強制力を持つ」伝統から離れる契機になりそうですね。実際、新婦の姓について口を出すのは上の世代ではなかろうかと思いますので。

>多重債務者
その件ももちろん含みます…「姓を変えられるのはイイね」と詐欺のためにかなり便利に使われてしまっていることを、戸籍制度推進派の方は気づく必要があると思います。ある意味、業者に意図的に穴を作らせるような。

しかも個人情報保護法や過去の身分制のタブーなどで本人の同意の無い場合「個人の特定」には使えなくなっています。戸籍制度を維持するとしても、お隣の台湾のようにID制度でその「穴」を埋めなければ、詐欺師たちが更に元気な世の中になってしまうかも…。消費者金融だって合法の中でやってれば一応ちゃんとしたお仕事です。


あ、そういえば…台湾で思い出しましたが、占いを好む方が多く、占いで「よい条件」に合う名前をニックネームとして使っている中年以上の方はけっこういらっしゃいますが本名は変えません。一般的に日本人も占いが好きですが、ちょっと違うのは占いで「よい条件」の名前を本名にするところでしょうか。洗礼名を本名と並列する西洋人も多いですね。

そういうことを考えると、日本人はもしかしたら、「(政府の認める)正式なもの」への執着が強いのかもしれません。これについてNOと答える人はおそらくいないと思います。

民法は最小公約数的なもの(どの思想でも受け入れられる最低限)であるべきということを考えると、現状選択的別姓に向けた方がいいのかなとは思います。おそらく別姓を希望する当事者は増え、ファッション的な(実質イエ制度は廃止されているのでこの表現を使います)伝統ポーズを取りたい人は同姓にするでしょうから。

ただ、夫婦同姓を推進している思想の方がその根拠をシステム的に説明できないのは、とても残念です。ふたりの間で話し合って決めることができるべきだと思っている私は、夫婦強制同姓の根拠がどこにあるのかまだわかりません(家族の連帯感、という話はありますが、結婚して改姓したら両親と縁が切れてしまうわけではないので違うな、と・汗)。別姓の根拠は公私ともに発生するアイデンティティと改姓手続きの煩雑さ、個人特定のアイテムだから回数の制限も無く結婚だけで変えられるのは間違っている、といったものだと思っていますが。
Posted by mmm at 2010年12月18日 11:23
戸籍が身分登録としてあまり役に立たないのは、
いろいろなところから言われますね。
お役所の人さえ本籍地が他県にあると、
閲覧できなかったりしますからね。

おっしゃるとおり、戸籍の閲覧が難しいのは、
身分制度のタブーなんだけど、
それなら、身分登録システムを、タブーに触れない
差し支えないものだけ登録するようにして、
必要最低限の閲覧ができるようにするのが筋だと思います。

実用性がないくらい閲覧の制限をしてまで守りたい
身分制度っていったいなんなのか、という気がします。


>日本人はもしかしたら、「(政府の認める)正式なもの」への
>執着が強いのかもしれません。

企業の採用で戸籍名を要求するのは、
従業員の身元を確認するためだったんだけど、
これも閲覧制限されるようになって、
戸籍名と合っているかどうかの確認は
いまではできなくなっています。

確かめようがないのに、戸籍名を要求する会社は
あいかわらず多いのでして、このあたりは、
戸籍の名前=正式な名前という社会通念が
それだけ強いということなんだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2010年12月19日 12:05
私の考える、名前に姓は要らない論は、現状の姓+名を不可分の名前とと考えれば、夫婦別姓・家族別姓でもいいとなりますし、家族を表す姓のようなものはまったく不要という点では、夫婦別姓ともまた異なります。
Posted by pulin at 2010年12月19日 18:10
現実的に考えると、住民基本台帳を国が管理した上で基礎としたID制として扱われるのが最善かもしれませんね。正直、既に廃止された身分制の記述がいまだに影響力あるとかイミフメイ…こういう歴史的負の遺産を切り離さないと、相続や婚姻、親子関係などに必要になる個人の特定ができないかもですね。

まあ、パスポートか住民基本台帳カード、運転免許証のどれかを持たないと公的に利用できる「写真つき身分証」がないのでそこら辺も考慮してもいいかも…?お年寄りになった時に写真つき身分証を持つのが難しいからと国内でパスポートを使うのも、ちょっとねえ、と思っています。

>企業の採用で戸籍名を要求するのは…
>従業員の身元を確認するためだったんだけど、
>これも閲覧制限されるようになって、
>戸籍名と合っているかどうかの確認は
>いまではできなくなっています
そうか…じゃあ例えば洗礼名や外国で使ってたニックネームなんかで出しても企業側は確認のすべが無いのですね…こ、戸籍、実社会で役に立ってない…(苦笑)。
Posted by mmm at 2010年12月20日 21:11
pulinさま

ご解説ありがとうございます。
Posted by たんぽぽ at 2010年12月21日 00:14
mmmさま

>こういう歴史的負の遺産を切り離さないと

住民基本台帳があれば、戸籍はなくていいはずですからね。
「戸籍制度は日本の美風」なんて言う人もいるので、
カルトのようになっているのかもしれないです。
(こういう人たちは、ひとりよがりな美意識が、
どれほどの不便と差別を生み出しているか、
考えてほしいところだけど。)

>国内でパスポートを使うのも

わたし、使うことありますよ。
ちょっと気恥ずかしくなるけど(笑)

それはともかく、写真付きと写真なしの
両方の身分証明書が作れるようにしておくといいでしょうね。


>戸籍、実社会で役に立ってない

日本人の本名らしくないと、すぐにばれるでしょうけどね。
本名らしい名前だったら、たぶんわからないと思いますよ。

でも、住民票とか、戸籍と連動している書類の
提出を求められると、わかってしまうことはあると思います。
(でも、健康保険証を作るとき、
住民票などの提出はしないような...)

なので、直接戸籍を閲覧できなくても、
どこかで戸籍名を知られる可能性があるとは思います。
Posted by たんぽぽ at 2010年12月21日 00:16
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