2011年01月29日

toujyouka016.jpg 若い女性の専業主婦願望

これまでに何回かコメント欄で話題になっているので、
このお話をしたいと思います。
20代女性の専業主婦願望が増えている、というお話です。

「若い女性は本当に保守化しているのか」

 
2008年に行なわれた、社会保障・人口問題基本調査による
「第4回全国家庭動向調査」を見ると、VI.章の2.節、
28-29ページに、「結婚後は、夫は外で働き、
妻は主婦業に専念すべきだ」という設問の
世代別の回答が載せられています。

第4回(今回調査)を見ると、たしかに40代で、
「妻は主婦業に専念」の賛成がもっともすくなく、
両サイドの20代と60代で高くなっています。
前回と前々回調査のときも、傾向はあったのですが、
今回の調査で、だいぶ際立ってきています。
--------
   賛成   反対
20代 47.9% 52.1%
30代 41.7% 58.3%
40代 39.8% 60.2%
50代 42.3% 57.7%
60代 57.2% 42.8%
--------


こちらのエントリの分析によると、
20代女性の専業主婦願望の大きな原因のひとつは、
「相手の男性に家事が期待できないから」だったりします。

男の子は、ひとりで家計を支えきれない、
という理由で、妻にもお仕事を続けてほしいと、
考えるかたが多いのですが、家事を分担したがらず、
妻がみんなやってとうぜんと考えているみたいです。

それで「自分だけ家事とお仕事の両方なんて
とても無理だから、彼が家事をやってくれないなら、
わたしは働かないで、専業主婦になる」と、
考えてしまう女の子が多くなるわけです。

ようするに、21世紀のはじめから続けてきた、
男女共同参画はある意味失敗だったのであり、
まだまだふじゅうぶんで道なかば、ということです。


それから、わたしが考えているものとして、
不況が続いて、女性の就職がむずかしいから、
というもの、あるのではないかと思います。

10年くらい前は、女性の就労状況をしめす、
労働力率の「M字カーブ」のくぼみが減っていました
このころは、むしろ家庭をあきらめて、
お仕事を続けるかたが多かったのでしょう。

つまり、女性にとって、家庭とお仕事が両立しない、
という状況が続いたまま、景気の変動に応じて、
労働市場が開かれていれば働き続けるし、
そうでなければ、家庭に入るということのようです。


付記:
以前話題になったコメント欄を探してみた。
まだあるかもしれないけれど。

「菅改造内閣のメモ」
「女性が働くのは当然?」
「家庭で働くことに喜び?」
「梶川氏のセクハラ認識」

posted by たんぽぽ at 22:28 | Comment(8) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
日本の「カイシャ」はいつでも呼び出せる便利な労働者がほしいんであって、そうでない人はどんなに能力があってもお呼びじゃないんだ、とこの話題に挙がっている当事者・20代女性である私は思っています。

保育所があっても先に仕事をしている証明書が無いと後回し、仕事を探しに行っても「保育所が決まってないなら来ないでください」。これが現実ですよ、と語ってみたり。てゆーか私は留学から帰国してからマトモな仕事に就けなかったので、同じ年代の人にそういった(うまいこと正規職に就けなかった)人が多いのかもしれませんが、やはり私と同じような問題に直面することになると思います。

…そういえば。男が仕事、女が家庭と完璧に分けている環境の人たちは女が病院に行く時どうしてるんだろう?といつも疑問に思っています…ママ友同士で預けあってコトが発生、裁判沙汰になったケースを知っているので、まさか他のママさんたちがそうしているとは思えません。
Posted by mmm at 2011年01月30日 18:43
>日本の「カイシャ」はいつでも呼び出せる便利な労働者がほしいんであって

やはりそんなものか、というのがわたしの感想です。
お仕事と家庭が両立しないのもむべなるかな、ですね。

リンクしたエントリは、家庭生活における男性の意識を
中心に考えていて、企業はわりあい開けている、
みたいに書いているけれど、企業のほうもあいかわらず、だよね。

2000年代のはじめのほうは、家庭をあきらめて、
お仕事を取ったので、M字カーブのくぼみが、
小さくなる方向にむかったんだと思います。
2000年代のおしまいのほうになると、女性の就職が
むずかしくなったので、お仕事をあきらめて、
家庭を取るようになったんでしょう。


>ママ友同士で預けあってコトが発生、
>裁判沙汰になったケースを知っているので

これは、専業主婦の女性が病院へ行くとき、
子どもはどうしているのか、ということでいいのかな?
Posted by たんぽぽ at 2011年01月30日 22:52
>>ママ友同士で預けあってコトが発生、
>>裁判沙汰になったケースを知っているので
>これは、専業主婦の女性が病院へ行くとき、
>子どもはどうしているのか、ということでいいのかな?
そうですー。自分の周囲には3世代で暮らしている人がいないもので祖父母に預けることもあまりないはず、と疑問に思っています。

ある程度の規模の「カイシャ」が寄り集まって共同の保育所を作れば簡単な話なんですが、なぜか企業側も問題を全部政治に投げちゃってますね。結局、家庭の話は他人事として捉えられていることを実感します。

プライベートと仕事をわけるといったことが日本ではかなり厳しく行われていますが、生身の人間は1/2や1/3にわけられるものではなく、人間はそもそもプライベートが基本になっているという現実を経営者は知るべしです…会社は辞職できますが、父親や母親は辞職できません、ってね。でも、経営者も生身の人間のはずなんですけどね。
Posted by mmm at 2011年01月31日 11:55
>共同の保育所を作れば簡単な話なんですが

会社に託児所を併設するのも、話題になることがあるけど、
複数の会社で共同の託児所を建てたっていいはずですよね。
コストの節約にもなるでしょうし。

>人間はそもそもプライベートが基本になっている

まったくもってそうだと、わたしも思います。
プライベートあってのオフィシャルだと思います。

家庭よりお仕事のほうがエライ、というヒエラルキーが
さらに高じて、家庭のことなんか放置して、
お仕事に没頭するのが男子たるものエライ、
みたいなカチカン、まだあるのかもしれないですね。
Posted by たんぽぽ at 2011年01月31日 23:28
>家庭よりお仕事のほうがエライ、というヒエラルキーが
>さらに高じて、家庭のことなんか放置して、
ここの辺りが逆のベクトルから見ると「男は家にいてはいけない」って見えてしまうんですよね。プライベートから追い出されているような印象を持ちます。

>保育所
民間で保育所を開設する場合、かなりのお金がかかるので個人でやることはほとんど無理なのです…。複数の会社から出資・開設して地方自治体と相談した上で独立した民間保育所にする、といった手段が頭に浮かんでいます。「カイシャ」側へのメリットは税金対策や労働者の維持、個人へのメリットは保育所確保、政府・自治体へのメリットは言わずもがな。最近収入が増えている企業もあるようですし社会への投資をやってほしいなと思います…。
Posted by mmm at 2011年02月02日 10:47
mmmさま、
こちらにもコメント、ありがとうございます。

>プライベートから追い出されているような印象を持ちます

かつてはプライベートにいられないことが、
ステータスと考える男性が多かったんでしょうけれどね。
「追い出される」と考える男性も増えているし、
これが変わって行く原動力になればいいと思います。

>>保育所
>民間で保育所を開設する場合、

保育所解説のかなりくわしいプラン、ありがとうございます。
いろいろとやっかいな問題はあるのですね。
かかわってくる3者に、うまくメリットが出るように、
工夫されているとは思うけれど。
Posted by たんぽぽ at 2011年02月02日 23:14
違う方向からちょっとだけ。40代の賛成が少ないですが、私も40代ですから少しは意味がわかります。

今の40代が10代だった頃はみなさんとは社会に対する思いがちょっと違っていたと思います。例えば、結婚、多くの女性は特別何もなければするものだと思っていると思いますが、40代が若い頃はそんな平凡な生き方より自己実現が優先すると思う向きがありました。

そもそも法やら慣習やら制度に従うかどうかは自分で決めるべきで、あるものを簡単に使うだけだと言うのは変だと言う雰囲気があったのです。

だから30になっても同級生の女性は半分しか結婚していなかった。今の若いタレントさんがすぐに結婚するのが不思議でした。

アンケートの数値では結果に大差があるわけではありませんが、少しは反映しているのかなと思いました。
Posted by orang-u at 2011年02月25日 07:27
orang-uさま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにコメント、ありがとうございます。

>今の40代が10代だった頃はみなさんとは
>社会に対する思いがちょっと違っていたと

現在40代のかたの事情について、お話くださり、
ありがとうございます。(なるほど。)

>そもそも法やら慣習やら制度に従うかどうかは自分で決めるべきで

選択別姓の是非も、じつは似た傾向をしめすのですよ。
40代がいちばん賛成が多くなっています。
http://taraxacum.seesaa.net/article/141704280.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/126557536.html

現在の40代は、1990年代に選択別姓の議論が
盛んになったときに、結婚適齢期だったので、
それで夫婦別姓に対して関心が高いのかなと、
わたしは、思っていたのでした。

それ以前に、法律や制度に対するスタンスが、
他の世代と違っていることが、影響しているのかなと、
お話をうかがって思ったりしています。
Posted by たんぽぽ at 2011年02月25日 22:25
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