野田聖子氏のウェブログの、2月22日エントリは、
「夫婦別姓」というそのままのタイトルで、
夫婦別姓について書かれています。
http://www.himeco.jp/blog/2011/02/%E5%A4%AB%E5%A9%A6%E5%88%A5%E5%A7%93.html
「知人が国を訴えました」とはじめのほうにあるので、
たぶん、夫婦別姓訴訟を意識してのものと思います。
このエントリのつぎの認識に、わたしは引っかかりましたよ。
家名の存続以外で、夫婦別姓を望んでいる人たちは、
みんな「国家が決めたことはことごとく反対」だという
「反体制的思想」にもとづいているというのですよ。
「かちん」と来たかたも、いるだろうと思います。
http://www.himeco.jp/blog/2011/02/%E5%A4%AB%E5%A9%A6%E5%88%A5%E5%A7%93.html
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厄介なことは、この別姓の流れは二つあること。
ひとつは、反体制的思想からきているもの。
国家が決めたことはことごとく反対、
みたいな流れのひとつにコレが存在する。
もうひとつは、少子化国家になったことで発生した現実的な流れ。
つまり一人っ子同士のカップルが増加することで、
どちらかの家の名字が絶えてしまうことに対して、家を守ろう的保守思想。
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家名の存続以外の理由で夫婦別姓を望んでいて、
「反体制的思想」でない人たちなんて、いくらでもいますよ。
むかし、野田聖子氏を支援していた中にも、
そうした人たちは、たくさんいたと思います。
それとも、野田氏は、自分の支援者たちを、
「反体制的思想」の持ち主だと思っていたのでしょうか?
もっと信頼されていたと思ったのですが、
ずいぶんと疑われていたことになります。
野田氏は、かつて自民党の法務部会に、
自分を支援していた夫婦別姓を望む人たちを、
同席させたことがありました。
自分が「反体制的思想」の持ち主と見なしている人たちを、
同僚議員に引き合わせて、説得できるとでも、
思っていたのでしょうか?
野田氏のこの認識は、わたしが思うに、
自民党の変化が原因ではないかと思います。
前に述べたように、自民党は下野したためですが、
選挙に関して、固定支持層への依存を強めています。
その支持基盤が夫婦別姓に大反対だからだと思いますが、
自民党は選挙公約にまでするようになっています。
それで、おおっぴらに夫婦別姓に賛成できなくなり、
「反体制的思想」なんてことを言うように
なったのではないかと、わたしは想像します。
「反体制的思想の持ち主が一部にいる」のように
賛成派の中に、反対派と共有できる(と思われる)
「仮想敵」を作るのは、かつてわたしがかかわった、
ネットの夫婦別姓の市民団体がやっていました。
実際には、こんなことをしても、反対派からはよく思われず、
彼らの理解は得られずじまいでした。
また賛成派は、「仮想敵」に該当するとされた
人たちを排除することで、分裂していきました。
じつは、このように「仮想敵」を作って、
反対派と共有しようとするのは、運動を自滅に導きかねない、
危険な発想でもあると言えるでしょう。
野党になっていても正統なのは自分らという傲りがあるのかもしれません。
野党として反対しなきゃならない政策はそんなことではないはずですが。
まあ、私は自民党には期待しておらず、したがって野田さんの支持者ではないので落胆度は低いですが。
彼女、すっかり立場に呑み込まれてますね。選挙のため、か…議員になれなかったら元も子もありませんものね
いまは民主党中心の政権なのだし、
夫婦別姓は政権公約なのだから、これに賛成すれば、
そのまま「体制的」になりますよね。
やはり、自分たちが本来の「体制」で、
現政権は「反体制政権」、みたいな感覚があるのでしょうかね。
しまあじさま、おひさしぶりです。
かくいうわたしも、自民党に対しては
ハスにかまえて見ていたところはあって、
その意味では落胆はしていないんだけど。
それでも、野田聖子氏は、自民党の中では、
まともなほうとされていましたからね...
エントリにも書いたけど、自民党が下野して
事情が変わったのにともなって、野田聖子氏も、
こういうふうになったのかなと、いちおう考えています。
mmmさま
自民党にいると、夫婦別姓の推進なんて
思うようにできない、ということのようですね。
むかしの支持者たちが気分を害することが
わかっていたのでしたら、夫婦別姓の支持者たちを取るよりも、
自民党を取った、ということかもしれないです。
私は自民党が下野したことよりも、彼女自身の今回の出産にまつわるあれこれが、予想以上に反発を受けてしまったことに原因があるのかな?と思っています。
先日、彼女が事実婚から、夫が改姓しての法律婚になったのも、その辺りに原因があるんじゃないかと思っておりました。
出産直後の女性は、程度の差こそあるんでしょうが、誰しも打たれ弱くなるもんだと思います。ましてやあの年齢だと、体の方にも色々と無理が来ることは避けられないでしょう。
彼女自身が弱気になったのか、あるいは夫の方が「これ以上無理はして欲しくない。」と思って提案したのかも、とか考えた次第。
今回の「反体制」発言も同様に、これまでの自身の主張を翻すことなく(元々彼女は「家の名を残すための夫婦別姓」を、賛成理由としていましたし)、右方面にも最大限の配慮をした、ギリギリの線の発言だったのかな・・・
と言うのが、私の希望的推測です。
>私の希望的推測です
やさしいですね。
それはそれで、結構なことだろうと思います。
党の方針と自分の政治信条とのあいだで、
身動きが取れなくなった感じはありますね。
とくに自民党が下野してから、
夫婦別姓を望む人たちのあいだで、野田さんのことが、
あまり話題にならなくなりましたからね。
かつての支持者と離れたとも言えるのでして、
それで支持者を切って党を取ったほうがよいと考えたのも、
あったのかもしれないです。
あと、エントリの最初のほうで書いている
「国を訴えた」知人のことを、
「反体制的思想」と暗に言っているんじゃないか、
という気が、わたしはちょっとしているんだけど。
確かに自分一人、良い子になってますね。はは・・・面目ない。
そりゃ私も最初は「反体制ってなんじゃい!」って書こうかとも思ったのですが、まぁあえて復唱してもね、と思って、ちと違う側から見てみた次第です。
それに、彼女が事実婚から法律婚へと変わったタイミングが、どうにも解せなかったもので。なんで出産前じゃなかったの、って。
>自民党が下野してから・・・
ってのは、確かに大いにあるでしょうね。
「政権与党の中の推進派」ってのが、選択別姓賛成派にとってありがたい存在だった訳で、
今や「政権与党の中の推進派」って、男女共に大勢いらっしゃいますからね。
にしても「国を訴えたから反体制」と言う理屈なんだとしたら、「ちくわ女」なみの寂しさだなぁ。
文字面通り読めば、「家の名を残すための夫婦別姓」だけが正当な理由、と言う主張のようですが、それも所詮は自分一人のこだわりにすぎないと思いますよ。だって「野田です」とか言われたって、どこのなんの「野田さん」なんだか、俺にゃ全く分からんもん。
「家の名を残したい」も、「使い慣れた名字を変えたくない」も、「昔好きだった漫画の主人公と同じ名字だから」も、「夫の名字に改姓したら「藤原紀香」になっちゃうのがイヤ。」も、「自分の名字に対する自分だけのこだわり」ってことで、全く同じ。
そのどれもが選択的夫婦別姓を望む、完全に正当な理由だと思います。
ああ、いえいえ、No problemですよ。
そういう意見だって、あっていいはずですからね。
>「政権与党の中の推進派」ってのが、
>選択別姓賛成派にとってありがたい存在だった訳で
政権交代なんて、ずっと遠いときでしたので、
「自民党を動かさなければ、夫婦別姓は実現しない」と、
考える賛成派が多かったですからね。
そんな中で、自民党内で推進派をやっていれば、
ありがたい存在となるのも、ごもっともかもしれないです。
ただ、そのために、自民党の反対派を説得することに、
賛成派の人たちが、エネルギーを使いすぎて、
だいぶ消耗したのは、いなめないと思います。