2006年06月10日

toujyouka016.jpg 社会保険未加入問題(2)

自分の会社のパートの、年金の保険料を払わずに、
扶養扱いにして、配偶者の会社に負担させるというのは、
「ヒッチハイク」ではあるけれど、払っている人がいるだけ、
ましと言えるかもしれないです。

じつは、もっと深刻なことがありまして、
倒産や休業をよそおって、厚生年金から脱退する企業も、
すくなからずあるらしいのです。
こんなふうにして、年金を払わない会社が多くなれば、
財源が確保できなくなって、年金の破綻につながっていくことは
言うまでもないでしょう。

また、従業員のほうは、会社が厚生年金から抜け出すと、
国民年金に移ることになるのですが、会社が脱退を知らせていないと、
その従業員は、年金に加入しないままでいることになり、
将来受け取る年金が、減ってしまうことにもなります。

 
厚生年金は、すべての企業に、加入する義務があり、
廃業か休業になると、年金からも脱退することになります。
この脱退の手続きは、わりあい簡単なようで、
会社をつぶしたことがわかる書類を、添付すればよいとなっています。
これは、解散することを決めた、取締役会の議事録でもよく、
このあたりが、倒産をよそおっての、
厚生年金からの脱退を、やりやすくしているようです。

とある社会保険庁の職員によると、
保険料を払えない会社から、むりに徴集すようとすると、
経営を追い込んでしまうので、いつわっていると思っても、
見て見ないふりをすることも、あるのだそうです。


「議事録」はもちろん、会社が作るものですが、
新宿社会保険庁事務所は、テンプレート(ひな型)を作って、
会社にわたしてさえいたのでした。
(03年11月に、年金脱退の審査がきびしくなったのですが、
そのすぐあとの、03年の12月から、作りはじめたようです。)

このテンプレートの空欄に、日付けや名前を書き込むだけで、
脱退届けに添付する書・が、できてしまうというものです。
本来なら監督する側の、社会保険庁事務所が、
年金からの偽装脱退を、やりやすくしているようです。

保険料の払いが滞っていた、新宿のとある中小企業は、
「滞納が続けば、会社の損産を差し押さえなければならない。
とりあえず1回(社会保険を)やめてください」と言われて、
社保庁事務所から、くだんのテンプレートをわたされたらしいです。
「抜けたくはなかったが、弱い立場なので承知せざるを得なかった。」
この会社は、このあとも、年金を抜けた以外は、
ふつうに営業をしているようです。

朝日新聞が取材にあたった、同社保庁事務所の所長によると、
「ひな型を渡したことは事実だが、偽装脱退を勧めたことはない」と、
否定していたそうですが。


参考損料:
04年9月24日 朝日新聞。
「厚生年金脱退4万件調査 社保庁休廃業の偽装・止」
「脱退用書・にひな型 新宿社保事務所 今年62社利用」

posted by たんぽぽ at 09:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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