産科婦人科学会は、かなり法律婚主義が強いもののようです。
前にもお話したように、法的権利の不安定さなどから、
「婚外子の誕生を公式に容認するわけにはいかない」として、
事実婚夫婦の体外受精を、お断わりする理由にしてきたのでした。
今回の改訂後も「事実婚を認め、奨励するものではない」
「学会として婚外子の出生を奨励はできない」
(吉村泰典倫理委員長)という考えは、残しています。
こういう考えかたが、事実婚差別と婚外子差別を、
作り出しているのではないかと、わたしは思ってしまいます。
運用にあたっては、奨励してくれなくても、
「事実婚カップルの『夫婦だ』という申告を容認してくれるだけで十分」
というご意見もありまして、すくなくとも、扱いは公平になったと
言えそうですし、それでよいとも言えますが。
産科婦人科学会の、こんどの指針改訂について、
「(学会は)頭が固かった印象が…」と、意外そうに思っているかたも
(「事実婚にも体外受精」に、コメントとTBをくださったかた。)
いらっしゃるのですが、そうでもないと思いますよ。
わたしに、遠慮なく言わせれば、ここへきてようやく、
事実婚を認める気になったか、という感じです。
学会があとから追うように、既成事実を受け入れたのでしょう。
(戸籍で法律婚を確認することを、知らなかったかたもいるようだ...)
朝日新聞も、「学会が根負けした」と書いていますし、
さきの公式見解を見ても、じゅうぶんアタマは固いように思います。
(ところで、このリンクのかた、「『根負け』した医者に...」
とあるけれど、根負けしたのは、医師ではなく学会では?
医師のほうは、学会の指針にかかわらず、
独自の判断で治療するところも、あったのですから。)
ところで、わたしが、痛々しいと思ったのが、これでしょうか。
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_643d.html
このブログ作者の行かれた病院は、学会の指針をきっちり守るようで、
卵子の採取はするのですが、これ以上の治療は、
法律婚夫婦でないと、続けられないと言うのです。
それでも、このブログ作者のかたは、命のほうが、
紙切れより大事だからと考えて、ためらわず婚姻届けを出して、
治療を受けて、失敗に終わったとわかると、
すぐに離婚届けを出して、もとにもどっています。
採卵だけするけれど、もとにもどしてほしければ、
法律婚でないとだめというのは、むしろ、えげつないものを感じます。
(ブログ作者のかたは、「卵質」と書いている。)
そして、紙切れの記録が変化しただけで、
治療に応じるというのも、かえっていい加減なように思います。
(これは、わたしが、事実婚という存在に慣れているから、
こう思うのもあるのかもしれないですが。)
トラックバックをありがとうございます。もっと早くにお礼コメントしたかたったのですが、グズグズしてゴメンナサイ。実は、自治体の方でも、学会の方針転換を受けて、体外受精につて助成を始めるところが、ついに今月、登場しました!
長野県の塩尻市です。国はこれまで学会の会告と横並びで、法律婚じゃないと経済的な支援をしないというスタンスをとってきましたが、自治体の動きを追うように、おそらく変わっていくものと思います(そうならないと、こんな地域格差はおかしいですもの)。
↓
「事実婚」夫婦も対象に 塩尻市の不妊治療助成
http://www.shinmai.co.jp/news/20060603/KT060526ATI090010000022.htm
ではでは、今後ともよろしくお願いします
ああ、いえいえ、こちらこそ、わたしのブログに、
コメントをくださいまして、どうもありがとうございます。
(貴ブログ、拝見しましたが、不妊治療に関して、
いろいろと苦労されたことと、心中お察しします。)
記事のご紹介、どうもありがとうございます。
(事実婚夫婦からの問い合わせは、いままでなかったけれど、
それでも適用範囲を広げておくのが、先見的ですねえ...
職員に、理解のあるかたが、多かったのかな...?)
http://www.shinmai.co.jp/news/20060603/KT060526ATI090010000022.htm
「未届け」の住民票も、自治体単位の導入で、
しだいに、ほかの自治体に習って、拡大していったので、
不妊治療助成も、おなじように、学会の会則に準拠するところが、
広がっていけばいいなと、思います。
(わたしに言わせれば、わざわざ治療を受けてでも、
子どもを持とうというのですから、生半可な気持ちのはずはなく、
助成を拒むことは、まったくないと思いますが。)