2011年06月02日

toujyouka016.jpg 妻の姓選んだ私

5月25日の夫婦別姓訴訟第一回口頭弁論を意識した記事が、
5月27日の朝日新聞に出ているので、ご紹介します。
これは男性の当事者に、結婚改姓や夫婦別姓について聞いたものです。

「妻の姓選んだ私、不自然?」

(副見出し)
「親は困惑、好奇の目、手続きの山… 女性の苦労をかみしめる」
「悩む妻を何とかしたい 別姓も止めて提訴 原告唯一の男性」

(リード)========
結婚するときは、夫、妻どちらの姓を選んでもいい。
なのに、夫が妻の姓に変えるケースはごくわずかだ。
夫婦別姓をめぐる裁判が東京地裁で始まったのを機に、
妻の姓を選んだ男性や、別姓を求める男性に思いを聞いた。
========

 
ひとつ目の記事は改姓した男性がふたり登場します。
内容はおふたりとも、手続き上の不便、親の反応、
周囲の反応の3つのことが紹介されています。

会社の書類が全部戸籍姓になって、手続きが煩雑だったとか、
名義変更の手続きで会社を1日お休みした、といったことは、
女性が改姓したときも、おなじことはあるでしょう。

親の対応に関しては、自分の親がさみしそうにしたので、
「親子であることは変わらないよ」と意を尽くして説明したとか、
妻の親に「婿養子ではない」と何度も念を押した、とあります。
苗字が同じかどうかで、「同じ家族」「同じイエ」を意識するのを、
あたらめて見ることになります。

実際、自分が改姓することで、「嫁に行った」と見られて、
配偶者の親との同居や介護を強いられるのではないかと、
不安になる女性は、すくなくないだろうと思います。


まわりの人たちですが、ひとり目のかたは、
やはり改姓の理由を、何度も訊かれたそうです。
ふたり目のかたも、お仕事で旧姓を使っていたら、
「婿養子に入ったの」「奥さんの尻にしかれているの」
「奥さんはご令嬢?」と同世代からさえも訊かれたとあります。

女性の改姓については、このようなことは
訊かれないですし、それだけ男性の改姓がめずらしく、
なにか特別な事情があると思われる、ということなのでしょう。
でも、こういうお話を聞くと、「女性の姓を選ぶのは、
そんなに悪いことなのか」と気分を害するかたも
いるのではないかと思います。

ふたり目のかた、転職して婚氏を使ったら、
なにも言われなくなったそうです。
おそらく、新しい職場の人たちは旧姓を知らないので、
結婚の事情を知らないからだろうと思います。
結婚改姓が無駄なプライベートを暴露する、
という例でもあるでしょう。

これは、自分の旧姓にこだわりがない人だったから、
旧姓を使わないことで解決したわけです。
自分の生来の苗字が大事で使いたい、
というかたでしたら、そうもいかないことですね。


記事のふたつ目の小見出しは、夫婦別姓訴訟の原告の
唯一の男性のかたが登場します。
妻がずっと苗字のことで悩んでいたので、
なんとかしたかった、それでペーパー離婚をして
事実婚になったという、よくあるパターンです。

原告の中に男性が加わっていることで、
夫婦別姓が女性だけの問題でない、ということを
しめしているのはよいことだと、わたしは思います。

記事の構成としては、夫婦別姓訴訟を意識して、
言及してくれたのはよかったと思います。
とはいえ、訴訟のことを中心に取り上げた記事を
書いてほしかったと思うし、そうでなくても、
最後の原告のかたのことについて、
分量を多くしてほしかったと、わたしは思います。

ほかにメディアで取り上げられた記事はないようですし、
やはり別姓訴訟を話題にすることを、遠慮しているのでしょうか。

posted by たんぽぽ at 12:43 | Comment(10) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
 やはり、人の心に“家制度”“家父長制”が生きている、という証拠なのでは無いでしょうか?
 gooやYahoo!の質問でも、
 「彼が私の姓に変えたがっている。変ですよね」
 という様な質問が出てくるわ、回答には
 「その彼、借金があるのでは?」
 などたんぽぽさんが書かれているような屈辱を受けていますね(しかし、「奥さんの尻にしかれてるの」はどういう考えで出てくるのやら。言った人の方が、尻にしかれているのでは? というか、妻側に改姓した女性は、夫の尻にしかれているのでしょうかねぇ)。

 “人の心”………
 一番、厄介ですね。
Posted by 銀猫 at 2011年06月02日 13:15
 どこかでお知らせしたかもしれませんが、1年前後以内に、中国内陸部(でも都会)の女性と結婚する予定です。
 中国では、結婚しても名前が変わらないのが普通です。私もそれでよいと思っています。
 ただ、彼女は将来は日本国籍を取りたい、と言っているので、当面の「通名」と、日本国籍取得時の「名前」を考えないといけません。
 私の年齢的に子供は無理だと思っていますが、もしできれば、どの名前を使うのかも考えねばなりません。

 結構現実的な問題になっています。
 日本で婚姻届を出すときは、やむを得ず、私の姓に合わせてもらうことになるようです(入国管理局の指導)が、通名や、将来の名前はどうするかです。
Posted by 眠り猫 at 2011年06月02日 14:01
銀猫さま、おひさしぶりです。
コメントありがとうです。

>人の心に“家制度”“家父長制”が生きている

「親子であることは変わらないよ」と意を尽くして説明したとか、
妻の親に「婿養子ではない」と何度も念を押した、
というのを見たとき、わたしもそれを感じましたよ。

>「その彼、借金があるのでは?」

わたしの知り合いにも、男性で改姓したいと
言っている人がいたけれど、単に自分の苗字が気に入らない、
というだけで、隠したい借金はなかったようです。
男性が改姓するのは「思うところ」はあるんでしょうけれど、
必要以上に勘ぐることではないですよね。

>「奥さんの尻にしかれてるの」はどういう考えで出てくるのやら

自分の名前を名乗らせたほうが上、ということを
暗黙のうちに意識しているのではないかな?
多くの場合、女性が改姓するので、
そういう人は、夫のほうが妻より上位が本来と、
暗に思っているのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2011年06月02日 23:10
眠り猫さま、こちらではおひさしぶりです。
コメントどうもです。

ご結婚の予定は、おめでとうございます。
前に聞きましたが、あらためてお祝い申し上げます。
(そのときはたしか、なにも言わなかったので。)

>やむを得ず、私の姓に合わせてもらうことになるようです(入国管理局の指導)が

これはどういう指導なのかしら?
日本国籍を取って日本で生活するなら、
日本人名を名乗ったほうがいい、ということなのかな?
(日本では男性の苗字を名乗るの一般的だから、
なんてことだったら、ちょっと嫌ですね。)


>通名や、将来の名前はどうするかです。

これは、わたしも考えたことがないので、
たいしたことが言えなくて、もうしわけないです。
アイデンティティや生活の都合もあるので、
後悔しないように考える必要はあるでしょうね。

日本に帰化したかたの名前(有名人)を見てみたけれど、
かならずしも、日本的な名前にしてはいないようですね。
(フルフォードも、「古歩道ベンジャミン」だし。)
http://bit.ly/c48p9l

子どもの名前は、考えているかたもいらっしゃりますね。
妻は中国のかただけど、ふだんは中国で生活しているみたいなので、
まったく状況が同じではないですが。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110508/1304791882
Posted by たんぽぽ at 2011年06月02日 23:15
記事に出てくる男性が「姓を変えてもアイデンティティを失う感覚はない」と言っているのが問題の微妙さを孕んでいますね。
アイデンティティを失いたくないから結婚しても姓を変えたくないと思う男女もいるわけですから。
Posted by pulin at 2011年06月03日 05:50
たんぽぽ様

記事の御紹介、有難うございました。

>やはり別姓訴訟を話題にすることを、遠慮しているのでしょうか。

感じられますねぇ・・・。

「震災復興で日本の心を一つに」と言った今の空気にそぐわない、と言うようなメディアのいらぬ配慮ですかね。と言うか「不謹慎だと言われたくない」と言う、メディアにあるまじき及び腰状態と言った方が正解か・・・。

こんな(↓)記事に、そんな空気が滲み出ているようで、私としては結構、気分が悪いです。と思ったら「サンケイ」スポーツか(苦笑)。
http://www.sanspo.com/geino/news/110527/gnb1105270500000-n1.htm

まぁ芸能人は人気商売ですし、世間の空気に流されることもあるのでしょうが、メディアが揃って同じ空気を読むようになったら、ある意味、非常に危険な状況だと思いますけどね。

それとも、「今、ヘタに選択別姓訴訟を取り上げると、原告団に対して世間の風当たりが強くなるかもしれない。」と言うメディア側の配慮がある、と言う風に理解しておきましょうか。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2011年06月03日 12:37
pulinさま、コメントどうもです。

>アイデンティティを失いたくないから結婚しても姓を変えたくない

改姓でアイデンティティを失う人も、失わない人もいるし、
生来の苗字にアイデンティティがある人もいるし、
むしろ婚氏にアイデンティティがある人もいる、ということなんですよね。
いろいろな人がいるから、結婚したときの苗字は
選択できるようにしよう、ということなんだけど。

なのに「改姓してもアイデンティティを失わない人がいるから、
改姓でアイデンティティを失う人はおかしい」などと
決めつける人がいるから、いやになってしまいます。
Posted by たんぽぽ at 2011年06月03日 22:17
ニャオ樹・ワタナベさま、コメントどうもです。

>感じられますねぇ・・・。

やっぱり。

>「震災復興で日本の心を一つに」と言った今の空気にそぐわない

なるほど。
「復興のため」と言って、不必要にストイックな雰囲気ができて、
夫婦別姓のような寛容にかかわる話題をさけている、
というのは、あるかもしれないですね。

いくら復興が大事とはいえ、それを理由に無駄にストイックな
雰囲気ができること自体が、わたしは問題だと思います。

>http://www.sanspo.com/geino/news/110527/gnb1105270500000-n1.htm

サンケイスポーツだから、こうなのかと
いちおうは納得するけど(笑)、震災復興のストイック感を
体よく利用している感じですね。
Posted by たんぽぽ at 2011年06月03日 22:22
保守的な人は自分がアイデンティティを感じるものごと(「夫婦同性」「家父長的夫唱婦随的結婚制度」「専業主婦」「日本の伝統」「天皇」「日の丸君が代」など)に特別アイデンティティを感じない人を見ると、自分がバカにされたように感じて、そんな人間は日本から出て行け、となってしまうのでしょう。
Posted by pulin at 2011年06月06日 11:06
>保守的な人は自分がアイデンティティを感じるものごと

そういう人は、自分自身と国家が一体になっていて、
国家のことが自分のことのように感じている、
というのは言われることがありますね。

自身が「日本的」とか「日本の伝統」と感じるものを
他者が崇拝することと、自分の自尊心を満たすことが、
いっしょになっているのかもしれないです。
となれば、「日本の伝統」を意に介さない人を見ると、
「自分がばかにされた」ように感じているのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2011年06月06日 22:54
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