5月の末なので、これもすこし前ですが、以前紹介した、
緊急避妊薬ノルレボ錠が、ようやく販売が開始されました。
くわしくは以下のリンクさきをご覧たいだくとして、
これは避妊に失敗したとき、72時間以内に服用すると、
妊娠を防げる確率がとても高くなるお薬です。
これまでは中用量ピルで代用していたのでした。
「緊急避妊薬がやっと使えるようになりました。」
「緊急避妊薬、日本とイギリス。」
「あすか製薬の緊急避妊薬ノルレボ 希望小売価格は1万円程度 適正使用に注力」
「避妊薬ノルレボについて 効果や副作用 注意点 価格 保険適用など」
ノルレボは、世界保険機構(WHO)の緊急避妊の
必須医薬品に指定されていて、世界の多くの国で、
すでに認可されているものです。
日本はすっかり取り残されていたということです。
日本でも販売されたのは、とても喜ばしいのですが、
値段が1回ぶんなんと1万円以上と、とても高くなっています。
これは、保険が適用されないから、というのもあって、
今後も適用される見通しはないようです。
これだとお金が足りなくて、いざというとき買えない、
という事態も、出て来るかもしれないです。
そうでなくても、高校生だと購入をためらって、
結局避妊をしないことも考えられます。
緊急避妊薬の販売ははじまったけれど、
まだまだ課題は残っている、というところですね。
つぎのエントリに、イギリスのことが
紹介されていますが、日本とは対照的ですよ。
望まない妊娠を減らすための性教育をはじめとする、
さまざまな対応が、ずっと徹底しているのです。
「緊急避妊薬、日本とイギリス。」
イギリスでは、クリニックや保健センター、
若者向けの相談センターへ行くと、
緊急避妊薬は無料(!)で受け取ることができます。
そのかわりこれらの施設では、緊急避妊薬をもらう際、
講習を受けることになっています。
上記以外の一般の薬店やスーパーマーケットでも
手に入りますが、3000円くらいだそうです。
日本の3分の1以下、4分の1程度ですが、
これでも、できるだけ施設に来て講習を受けてほしい、
という配慮から、高めに設定してあるのだそうです。
イギリスでは(というより、まともな感性では)、
性にしてはできるかぎり適切な情報提供と、
具体的な手段の提供をする、という考えが定着していて、
実際に性に関する危険を、大きく減らしているわけです。
緊急避妊薬の承認でも、「安易な性交が増えるから反対」
という意見がありましたが、性に関することは、
とにかく遠ざけるのがいいとして、
情報も手段も提供せず、結局性に関して危険な状態を
作りだしているのが日本ということです。
これまでの緊急避妊薬に関するエントリ:
「緊急避妊薬承認に向けて」
「緊急避妊薬が承認された」
「パブリックコメントの意義」
2011年06月11日
この記事へのトラックバック
私は大賛成、税と社会保障の一体改革 2015年に消費税10%→国保安定、最低保障年金、ジェネリック
Excerpt: さあ、いよいよ、6月20日(月)をメドに、「税と社会保障の一体改革」の成案が決定されます。 私は、6月2日(木)の午後6時から首相官邸4階大会議室で開かれた「社会保障改革に関する集中検討会議」がめと..
Weblog: 国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行
Tracked: 2011-06-12 10:42
しかしこのサイトで初めて知りました。女性の間に十分情報が広まるといいのですが。
「安易な性交が増える」予想された意見ですが、100%の避妊はないと言われますし、中絶する場合女性側のみに負担がかかるので、妊娠を望まない場合は何重にもブロックをかけて欲しいと思います。
私は流産を経験し、中期中絶と同じ方法で手術を受けました。看護師さんは心のケアに気を配って優しい言葉をかけてくれました。また、私自身も、死んだ胎児を出さなければ次の妊娠はない、とプラスの思考を持って痛い処置に耐えました。が、これが中絶だったら、自業自得とばかり厳しい対応をされただろうな、と思うと、同じ処置でも中絶だったら精神的にかなり傷つくだろうなと思いました。
安易な性交に対しては、薬を規制する方向に走るのではなく、性教育を充実させて欲しいです。私は女子高育ちですが、性教育は十分ではなかったと感じます。安易な性交は、望まない妊娠のみならず、性感染症を増加させ、不妊のリスクになります。また、ヒトパピローマウイルスの感染を増加させ、子宮頚癌のリスクになります。そのへんを話し、自分の身体は自分で守る、賢い女性を育てて欲しいと、学校教育に対して要望します。
コメントありがとうございます。
>しかしこのサイトで初めて知りました
>女性の間に十分情報が広まるといいのですが
そうですねえ...せっかくの販売開始なのに、
情報がじゅうぶん広まらない可能性もなくもないですね。
>私は流産を経験し、中期中絶と同じ方法で手術を受けました
ずいぶんとつらい経験をされたのですね。
心中お察し申し上げます。
>これが中絶だったら、自業自得とばかり厳しい対応をされただろうな
うーむ、どうなのかな...
リンクした河野美代子さんのようなかたもいらっしゃるので、
あたりはずれがあるのかな、という気もしています。
(わたしは、中絶はぜんぜん縁がないので、
あまり無責任なことは言えないんだけど。)
>そのへんを話し、自分の身体は自分で守る、
まったくおっしゃる通りなんだけど、
日本の教育は「家族計画」という文脈になっていて、
「女性が自分のからだを守る」というスタンスには
なっていないようなのですよね。