すこし前、5月27日なので、不信任案の前ですが、
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)誌が小沢一郎氏に
インタビューを行なっています。
「小沢一郎元民主党代表インタビュー:一問一答」
この記事も、震災復興を中心に、菅政権のどこが問題なのか、
内閣不信任案に賛成した民主党内の勢力は、
政権のどんなことを批判しているのか、
結構くわしく示されていると思います。
全体的の主旨は、「政治主導対官僚主導」という
コンテキストで、述べられています。
菅政権は、民主党がめざしている政治主導から
ほど遠い状態になっている、という批判です。
このインタビューの軸と言ってもよいでしょう。
政治主導による震災復興は、政治家が決断して責任を持つ、
というスタイルになるところです。
ところが、菅政権の復興政策は従来と同様、
官僚機構に任せていると見ていて、
それゆえ、政治が責任を取らないので、
国民が不満を募らせていると、考えています。
6月7日エントリで、復興構想会議に責任や実施体制が
ともなわない、という批判をご紹介しましたが、
これも官僚機構に任せきりになっているがゆえ、
なのかもしれないです。
また、つぎのエントリでも、菅政権の震災対策は、
御用学者を集めて、復興対策が遅れていることや、
「机上の対策にとどまって」いて、
「官僚機構を使いこなせていない」ことや、
復興を利用した官僚機構の焼け太りの可能性を挙げています。
WSJのインタビュー記事と、問題意識が近いと思われます。
「今こそ重要なのは事業仕分じゃん!」
>実行力の欠如
このほかに重要なこととして、前述の政治が責任を取らないことと
関連すると思いますが、菅政権に実行力が伴わなくて、
対策が遅々としている、ということが述べられています。
そういえば現政権は、反対にあうとどうにもならずに、
すぐ「先送り」と言い出して、なんとも脆弱なのでした。
「確認文書」の項目に、「先送り」になりそうだった
二次補正の早期成立が条件にあったのも、このためでしょう。
こちらのエントリには、「行き当たりばったり」の
対策はあるが、全体的な復興構想のビジョンが
しめされない、という批判があります。
これも実行力の欠如が関係することかもしれないです。
>重要な情報の非公開
ところで、京野きみこ氏のエントリにある、
菅政権に批判的な理由の5.に、「放射性物質の拡散が
最も深刻であった時期に情報を公開」しなかったことがあります。
これは、WSJの記事で批判されている、「最初の段階で
メルトダウンが起きて危ない」ことを隠していたことや、
こちらのエントリで問題されている、「SPEEDIという
汚染拡散シミュレーションの結果を公表しなかった」ことが、
その例ではないかと思います。
付記:
WSJのインタビュー記事を見ると、「国民主導・政治主導」と
並記されているところが一カ所あります。
前にわたしは、政治主導とは国民主権だと
書いたことがありますが、この並記はよい表現だと思います。
2011年06月17日
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Weblog: アルバイシンの丘
Tracked: 2011-06-19 09:19



菅首相があらゆる方面からバッシングされて権力亡者とか言われていますが、菅氏は権力など全く振るえていなくて、動きが取れなくて、そこがまた批判の対象になる悪循環のようです。
おやさしいですね。(皮肉ではなく。)
わたしは、このあたりは冷たいですよ。
官僚に主導権を撮られて、責任だけ取らされるのは、
ご本人に指導力がないからで、すなわち宰相のうつわではない、
ということですからね。
本当なら、すぐにやめてしかるべきと思います。
それでも総理大臣はやりたい、というのなら、
現状のようになっていることに、甘んじるよりないと思います、
というのが、わたしの思うところだけど。
今の日本に、ハッタリだけでなく真に指導力のある政治家はいるのでしょうか。小沢一郎氏でさえあやしいです。
外で好き放題文句を言うのは、そりゃぁ気楽だろうとは思いますが・・・
発言内容以前に私としては、小沢一郎氏のこうした発言は、自身の恐妻ネタを面白おかしく暴露することでテレビに出して貰っている(それが無いとテレビに出られない)二流芸人を見ているような気分にさせられるものです。
「こんな些細な事で妻に殴られた。」とか、
「妻にこんな酷いことを言われて深く傷ついた。」とか、
時に涙ながらに訴えて笑いを取っているのを見ると、テレビバラエティーの企画だと分かっていても、
「文句があるんなら本人に言えよ。」とか
「そんなに嫌なら別れりゃいいじゃん。」とか思うだけです。
このセリフをそのまま、小沢一郎氏に捧げたいですな。
事ある毎にこうした政権批判を繰り返す小沢氏の言動は、日常生活のストレスを政争ショー観戦で解消している人達にとっては大いに喜ばれそうですが、国政に何かを期待している人達にとっては、イライラを募らせる以外の何物でも無いと思います。
>小泉政権からあとの政権が常に短命だったのは
それは、自民党政権時代と、民主党政権時代では、
事情が違っているのでは?と思いますよ。
官僚から見れば、自民党政権はできるだけ延命させたいけど、
民主党政権は早くつぶしたいでしょうからね。
延命のために政権がつぶれても、つぎつぎと交代して
つなごうとするのと、叩かれまくって短命政権ばかり
続くのとは、おなじではないでしょう。
>今の日本に、ハッタリだけでなく真に指導力のある政治家はいるのでしょうか
期待する「指導力」の程度によりますね。
民主党中心の政権であるかぎり、既得権益層からの
攻撃は激しいことが予想されるし、これにあがなって
政権を維持するのは、かなりの実行力が必要でしょう。
それだけの力量を持った政治家が、
本当にいるかどうかは、わたしにもわからないです。
菅直人より実行力のある政治家でしたら、
ふつうにいると思います。
たぶんだれがやっても、現在よりはましだと思いますよ。
>「文句があるんなら本人に言えよ。」
とうぜん言っていると思いますよ。
党執行部への批判なんて、いつもしているのではありませんか?
たりないのは、小沢氏をはじめ、とくに民主党内部で
政権に批判的な人たちが、どのような主張をしているのか、
一般国民に伝えられる機会だと思います。
WSJのインタビューは、それまでのメディア記事よりは
それについて、ずっとくわしく紹介されていて、
わたしは貴重な記事だと思います。
>事ある毎にこうした政権批判を繰り返す小沢氏の言動は
菅政権は、民主党がもともとめざしていたものから、
どんどん逸脱させ、破壊的でさえあるのですから、
それを批判するのは当然です。
政権のありかたが正せるかどうかは、民主党のみならず、
国民の運命かかかっていると言っていいくらいです。
「政争ショー」などという、次元の低いものでは、
まったくありませんので、ねんのためおことわり...
>政権のありかたが正せるかどうかは、民主党のみならず、国民の運命かかかっていると言っていいくらいです。
小沢氏は「政権のあり方を正そう」としているのではなく、「政権を倒そう」としているようにしか見えませんが・・・。
菅総理の消費増税発言で、負けてねじれてしまった先の参院選の辺りから、ずっとそんな感じでしょう。「菅政権は駄目だ」だの「持たない」だの、外でそんな発言を繰り返すばかりで。
民主党の衆参完全征覇の最後の一手を、菅の失敗で潰されたのが、相当頭に来ているんじゃないかと、私は思っています。
だとすると今回の不信任案騒動の発端は、実は小沢氏の私怨だということかもしれません。
衆院選が出来ない=内閣総辞職しか選べない今こそ倒閣のチャンス!ってことで、小沢氏側が自公を誘惑して不信任案を出すように仕向けた、という見方は、成り立つんじゃないでしょうか。
お変異が遅くなってもうしわけないです。
>小沢氏は「政権のあり方を正そう」としているのではなく、
>「政権を倒そう」としているようにしか見えませんが・・・
菅首相が自発的に軌道修正をしてくれるなら、
それでよいが、いくら批判してもその気配が見られないので、
もはや倒すよりないと考えるようになったのでしょう。
小沢氏らの目的は、政権が公約をできるだけ守り、
民主党本来の状況に立ち返ることだと思います。
そのためには、どうしたらよいか、
そのときの状況に応じた最善手を考えているのだと思います。
>だとすると今回の不信任案騒動の発端は
不信任案提出を先に準備したのは、自民と公明ですよ。
その状況を見て、小沢氏はこれに乗るかどうかを
検討したのだと思いますよ。
>不信任案提出を先に準備したのは、自民と公明ですよ。その状況を見て、小沢氏はこれに乗るかどうかを検討したのだと思いますよ。
東北の惨状を見れば、解散総選挙は出来ないのは分かっています。つまり、不信任案が可決されても、
民主党の党首が変るだけで、野党にしてみればさほどメリットはない。
逆にこんな時期に内閣不信任案を出すことで、「自公は震災復興そっちのけで政争にあけくれている。」と言うマイナス評価を受ける危険性すらあります。
それでも出したと言うことはどう言うことか。
不信任案が可決されることで、最もおいしい人から、それとなく誘いがあったとみても、なんら不思議はないのでは?
自公にしてみれば、民主党の内紛が激化すれば、世間の耳目は与党の内紛に集中し、震災復興そっちのけで内閣不信任案を出した自分達への非難は薄まる、と言う考え方もあります。逆に言えば、民主党内がそれなりにまとまっていれば、あのタイミングで不信任案は出さなかったでしょうね。
実際、「ペテンだ!」などと罵った鳩山センセのお陰で、前総理が現総理に噛み付くと言う前代未聞、予想以上の盛り上がりとなって、本来、もっと責められるべき「こんな時期に不信任案を出したと言う自公の暴挙」は、あまり話題になりませんでしたね。
今になってみれば結局、菅も小沢も民主党も自民も公明もみんな何やってんだ?と言う評価だけが残ったのが、今回の騒動だったと思います。せめてあと70日、馬鹿なゴタゴタだけでなく、仕事もするんだよ僕達は、と言うところを見せて欲しいです。
自民と公明の目的は、すこしでも民主党中心の現政権に
打撃を与えることではないかと思います。
代表が変わって、首相が変わっても、民主党の人材がつきるまで
おなじことを続けるつもりなのでしょう。
彼らの最終的な目標は、ふたたび政権の座に返り咲き、
公共事業をばらまいて、権力基盤を維持するという、
かつての状態に戻すことだと思います。
現状、解散総選挙は困難だけど、民主党にダメージを
蓄積させれば御の字、もちろん無茶をしてでも
総選挙をしてくれればもっとよし、という思惑だろうと思います。
>不信任案が可決されることで、最もおいしい人から
自民、公明にとっては、「最もおいしい人」は
上記の理由で自分たちという認識なんじゃないかな?
小沢、鳩山が賛成することで、不信任案の成立が
現実味をおびてきた、それゆえ提出に踏み切った、
というのはもちろんあるでしょうが。
>菅も小沢も民主党も自民も公明もみんな何やってんだ?と言う評価だけが残ったのが、
昨年の参院選、代表選に引き続き、こんどの不信任案に
小沢、鳩山があえて乗るというのは、本来の民主党のありかた、
すなわち政治主導へ回帰する、3回目の機会だったでした。
それが茶番劇に終わった上、国民にその意義が
まったく理解されないというのは、
残念を通り越して、怖いことだと思います。