2011年07月06日

toujyouka016.jpg 政治主導3連敗

気がついたら、1ヶ月以上前になっていますが、
内閣不信任案に関する、小沢一郎派の議員の行動に対して、
相当なまでにきびしい評価がくだっています。

共同通信が電話世論調査を行なったのですが、
民主党執行部と対立してきた、小沢一郎派議員の行動を
「評価しない」と答えたかたは、89.4%という高率(!)です。

「小沢支持派評価せず89% 首相進退は拮抗、世論調査」

 
89.4%のおおかたは「震災復興でいそがしいのに、
政局でかき回すのはケシカラン」と思っているのでしょうね。
(中には「菅首相は裏切るから、不信任案の反対や
棄権をしたのは、お人好しすぎる」という人も
すこしはいるのでしょうか?)

菅内閣支持率が、28.1%から33.4%に上がっていますから、
小沢派議員が、民主党執行部と対立を続けたことは、
理解されていない、ということだと思います。
彼らが不信任案に賛成した意義も、いったいなにがしたかったのか、
まったく理解されていないのでしょう。

今度の不信任案否決の茶番劇は、政治主導が
巻き返す機会が、またしても損なわれたのですが、
それも国民から、まったく理解されずに終わったと言えます。
昨年の参院選民主党代表選に続き、政治主導の3連敗です。


>内閣不信任案賛成の意義

小沢、鳩山グループが、民主党執行部を批判し続け、
今度の不信任案にも賛成しようとしたのは、
もちろん菅政権がマニフェストから、どんどん逸脱するからです。
本来の民主党のありかた、すなわち政治主導を
取り戻そう、というのが目的です。

菅政権が自発的に、方針を改めるとか、
退陣をしてくれれば、それがよかったのでしょう。
ところが、その気配がまったく見られないので、
不信任案に賛成してでも、という、
思い切った手段も取り始めた、というわけです。

自民と公明が、菅政権を批判し続けるのは、
自分たちが政権を取り戻したいからです。
公共事業をばらまいて、自分たちの権力基盤を維持してきた
過去の時代がなつかしいのでしょう。
そのためには、民主党政権であれば、
なりふりかまわず叩く、といわけです。

不信任案が成立して解散総選挙となれば望むところでしょう。
そうでなくても、菅政権に一定の打撃が
与えられれば、御の字と考えていると思います。
首相が交代して他のだれになっても、民主党から人材がつきるまで、
おなじように叩き続けることと思います。


小沢、鳩山と、自民、公明は、おたがいの思惑は、
相容れないものであることもふくめて、わかっていたと思います。
それでも今回は、不信任案に賛成という1点で、
たまたま一致したので、歩調を合わせたのでしょう。
小沢、鳩山と、自民、公明の関係は、このエントリでいう、
「信頼できる敵」だろうと思います。


付記:
この内閣不信任案では、政局の中心は民主党であり、
民主党内における、政治主導から逸脱する現執行部のありかたを、
問うものだったのだと、わたしは見ています。

自民と公明は、不信任案を提出していますが、
あくまで脇役にすぎなかったと思います。
その意味では、10年前の「加藤の乱」と同様と言えるでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:02 | Comment(6) | TrackBack(1) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
小沢氏も鳩山氏ももともと自民党にいた人だし、新進党時代は公明党も含んでいたので、親和性が高いのでしょう。
政権にくっついてはバラしたり小沢氏は壊し屋と揶揄されたりするように結局のところ何がやりたいのかよく見えてきません。
民主党政権も小沢問題の重しがなかったらもっと政策に打ち込んで成果を上げていたと思われます。結果的に小沢氏は政権を潰す爆弾でしたね。
だから、小沢一郎なら何かやってくれるかも、という期待は結局夢でしかないと私は思うようになりました。
Posted by pulin at 2011年07月07日 14:25
pulinさま

それが「一般的な見かた」なんでしょうね。

>小沢氏も鳩山氏ももともと自民党にいた人だし、
>新進党時代は公明党も含んでいたので、親和性が高いのでしょう。

残念ながら、そう考える人は多いようですね。
ふたりとも、自民党のやりかたに反対して、
党から出て来たのですから、もともと自民党とは、
反目関係にあるというのが、見えてこないのでしょう。

>結局のところ何がやりたいのかよく見えてきません。

今回の不信任案に関しては、はっきりしていると思います。
わたしがエントリに書いてきたようなことでしょう。


>民主党政権も小沢問題の重しがなかったら
>もっと政策に打ち込んで成果を上げていたと思われます。

何度かお話しているけど、マニフェストから逸脱したのは、
菅直人首相の保身的な体質ですよ。
政権と民主党を壊してきたのは、菅首相だと思います。
「小沢問題の重し」は、世論やマスコミや野党の攻撃に屈することで、
菅首相がみずから重くしたのだと思います。

>だから、小沢一郎なら何かやってくれるかも、という期待は

小沢が代表になれば、なにもかもが解決するかのようには、
わたしは思っていないけれどね。
民主党の他の人たちと比べたら、首相に必要な資質である、
公約を推進する実行力はあるほうだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年07月07日 22:11
不信任案にしろ、可決され万が一解散総選挙になっても、小沢氏自身は生き残るかもしれませんが、民主党は壊滅的敗北で消滅の危機かもしれません。
そうすれば、マニフェストの実現も政治主導もますます遠のきます。
なので、小沢派が自公と組んで菅降ろしをしたのは奇怪な党内抗争と映ってしまいます。
それでどうなるのかな? と。
Posted by pulin at 2011年07月08日 21:29
民主党から人材が尽きた後、自民党が政権を取るでしょうね。今までと同じやり方で問題を更に成長させなければいいんですが…自民党は、政権喪失で「反省」したのか気になるところです。

解散総選挙、被災者の方々はすっかり無視されてしまいそうで何だか全然「民主的」に見えません。残念というかなんというか。
Posted by mmm at 2011年07月09日 09:41
pulinさま

小沢氏とその周辺は、解散総選挙はないだろうと見ていたと思います。

理由はふたつあって、ひとつは、いま選挙をやったら
民主党が大敗するのは眼に見えているので、
(菅首相自身、落選の可能性がとりざたされていた。)
菅首相がそんな冒険はしないだろう、ということです。

もうひとつは、震災で地方議会選挙を延期している
地域がありますから、そうしたところでは総選挙が行なえないので、
選挙が無効になるだろう、という予測です。

それでも「万が一」がないとは言えないわけで、
それゆえ小沢氏とその周辺は、不信任案に賛成することには、
かなり慎重になってもいたと思います。
直前で菅首相が「辞任する」と言ったので、
不信任案に賛成するのを撤回したのも、ありますしね。
Posted by たんぽぽ at 2011年07月10日 10:51
mmmさま

自民党は下野しても、たいして反省はないようですね。
いかにして、公共事業をばらまいて、自分たちが
権力を維持していた、かつての時代を取り戻すか、
ということばっかり考えていると思います。

自民党は7-8年は、政権を取ることを考えずに、
党内の改革に励んだほうがいいと、わたしは思っています。
「自民党はよくなった」と、自民党が嫌いな人でも
思うようにならなければ、たぶんだめなんだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年07月10日 10:52
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Tracked: 2011-07-07 22:14