2006年08月06日

toujyouka016.jpg 離婚時の年金分割(2)

07年から導入される年金分割は、わかると思いますが、
中高年層の離婚(いわゆる「熟年離婚」)を、意識したものです。
とくに、専業主婦を続けていて、所得のすくない配偶者の、
年金受給額を補助し、夫婦のあいだでの
格差を減らすことが、目的となっています。

「概要(PDF)」 「制度説明資料(PDF)」
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近年、中高齢者等の離婚件数が増加していますが、
一方のみが働いて厚生年金の被保険者となっており、
他方が家事に従事していたような夫婦が離婚した場合、
厚生年金の被保険者でない他方については、離婚後の高齢期の
所得水準が低く、十分な所得保障が行われない恐れがあります。

このように、現役時代の男女の雇用格差などを背景に、
離婚後の夫婦双方の年金受給額には
大きな開きがあるという問題が指摘されていました。
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2007年4月からは、夫婦の協議によって、最高2分の1まで、
配偶者が受け取れるようにできる、「任意分割制度」が導入されます。
これは、07年4月以前をふくめて、いままで払って来た
年金すべてに対して、適用されます。

さらに、08年4月からは、配偶者が3号被保険者のときは、
自動的に2分の1ずつにわけられる、「強制分割制度」が導入されます。
これは、08年4月からのぶんだけで、
それ以前の年金に対しては、適用されないです。

事実婚でも認められるのは、任意分割の場合でも、
3号被保険者の期間だけとなっています。
(したがって、3号被保険者でないと、関係ないです。)
これも、おそらく、事実婚を保護したというよりは、
経済力のない配偶者の年金の、格差をうめることが、
意識されているような感じです。


この新しく導入される年金分割について、朝日新聞の、
「アスパラクラブ」会員を対象にした、アンケートがあるのですが、
やはり、結婚20年以上の、熟年世代に、関心が高くなっています。
また、多く期待しているのも、女性のほうで、
年金分割制度を「望ましい」と答えたのは、
男性では44%ですが、女性では68%になっています。

また、離婚件数が、3年続けて減っているのですが、
これは年金分割制度の導入を待って、
離婚を控えている人たちがいるためと、考えられます。
(夫の弁護士から、離婚に合意するようせかされるが、
「来年まで粘る。分割制度に味方されている思い」と答えた
妻のコメントが、記事に紹介されている。)

制度導入で、熟年離婚が増えると答えたのは、全体で76%でした。
なんにしても、年金分割への期待は大きいようで、
それくらい夫婦生活に不満があったとか、
あるいは、離婚したいけれど、経済的理由で踏み切れない、
という人も多い、ということなのかもしれないです。

(朝日新聞の記事は、たとえば、「熟年期は人生の成果を得られるころ。 
それらを手放して本当によいのかじっくり考えてほしい」なんて、
家族問題の相談所の、スタッフのコメントを、載せたりしている。
熟年離婚に対して、内心批判的なのか...?)


参考資料:
「離婚時の年金分割制度 熟年女性 高い関心」朝日新聞 06年7月13日

posted by たんぽぽ at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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