ぜひともご紹介したいと思います。
具体的には、経済的理由による高校中退が減った、というものです。
「高校中退 経済的理由の割合減」
(はてなブックマーク)
「高校無償化と私立高校退学についてのグラフ」
(はてなブックマーク)
ひとつ目はNHKの報道で、文部科学省の調査を示しています。
これによると、経済的理由で高校を中退した人が、
1.9%となり、1991年以降最低となったのでした。
オリジナルは、こちらの資料の2ページ目にある表、
およびこちらの資料の10ページ目の表です。
2009年のデータがないですが、2010年をNHKの報道から取って、
グラフを作ってみました。
(付記: 2008年のデータが見つかったので、グラフを差し替えました。
2009年のデータをご存知のかたがいましたら、
教えていただけたらと思います。)
「第4章 高等学校中途退学」
「公表資料(小中不登校確定値及び高校長期欠席、高校中退の数値の訂正値)」

1980年代は、おそらくバブルで景気がよかったから
ではないかと思いますが、経済的理由による
高校中退率が下がって行き、1990年で底に達します。
それ以降は、高校中退率は増加傾向で、
21世紀に入ってからは、3.5%程度を推移していました。
(08年と09年も、おそらく3.5%程度と思います。)
ところが、2010年は高校中退率は1.9%と、半分近くに下がり、
景気がよかったころの1990年と、ほぼ同程度になっています。
文部科学省は、これを2010年度に導入された、
高校無償化の効果と見ていますが、妥当だろうと思います。
ふたつ目の記事は、私立高校にかぎった調査です。
「全国私教連」のサイトに載せられていたもので、
オリジナルは以下の資料です。
これをグラフにしたものが、エントリに出ているので、
孫引きしたいと思います。
「2010年9月末 学費滞納・中退調査(2010/11/1)」

1校あたりの退学者の数は、2010年度は0.71で
それ以前の約半分、2011年度は0.44で約3分の1です。
やはり高校無償化の効果が出ていると見てよいでしょうね。
付記:
「高校無償化は国公立の高校だけに適用されるので、
私立高校との格差が開く」、という主張が展開されたことが
一時期ありましたが、そんなことはないですよ。
私立高校は、授業料が無料にはならないですが、
24万円の補助が出るので、国公立の旧授業料以上の
支給を受けていて、むしろ格差は縮まっています。
「朝日の記事に疑問--高校無償化をめぐり(1)」
上述のように、私立高校にかぎっても、経済的理由による
高校中退者が目立って減っているのですから、
格差が開いていないことをしめしていると言えます。
それを選挙で争点として戦うよりも民主党に先に引っ込めさせてしまうことで、次の選挙で争点にさせない、民主党も再びマニフェストとして持ち出しづらい情勢にしておく、争点不明瞭の「政権選択選挙」で民主党を壊滅に追い込み自民党が圧勝して自公政権が華々しく復帰という算段なのでしょうが、自民党はよくても日本は50年遅れさらに停滞しますね。
原発事故問題で民主党は許せん潰すべきという左翼層と元から民主党に反発していた右翼層が連携して自公政権を盛りあげる何かグロテスクな構図が待っていそうです。
高校無償化の効果と見ていますが、<
文部科学省の幹部は、「高校無償化制度には致命的な欠陥がある」と朝日新聞の記者に語ったのですよね(参照:「朝日の記事に疑問--高校無償化をめぐり(1)」←私の書いたエントリですが)
致命的な欠陥はあるが、高校中退者を減らす効果があったと見ている、のでしょうか。その「幹部」の方は。朝日の記者にはぜひ取材してもらいたいものです。
文部科学省の中の人もいろいろで、朝日が取材した幹部は民主党案の無償化より自民党案(給付型奨学金)が好みだったのかもしれませんが。
このエントリにコメント、ありがとうです。
>野党・自民党の目論見は
それで「民主党のマニフェストは実現不可能だった、
政権交代に意味はなかった」と思わせて、
自分たちが政権を取り戻そうというのでしょう。
ここから抜け出すには、民主党がもっと政権公約を
大切にすることだと思います。
執行部がみずから「甘い部分もあった」なんて
公約を否定しているようでは、民主党のみならず、日本全体にとっても、
損失が計り知れないことにもなりかねないと思います。
「50年遅れ」も、あながち誇張ではないように思います。
>何かグロテスクな構図が待っていそうです
結構意識して「連帯」しちゃうんでしょうか?
(それともおたがいに「あちらとは無関係」という顔をする?)
可能性なきにしもあらず、だよね。
このエントリにコメント、ありがとうです。
>私の書いたエントリですが
またまたリンクさせていただきましたよ。
私立高校のほうが、中退者の減りかたが顕著なくらいなのを見て、
kirikoさまのエントリを思い出したのでした。
>「高校無償化制度には致命的な欠陥がある」
朝日の記事を見てみたけれど、やはり「高校無償化は
本質的に格差を広げるしくみになっている」ことが
「致命的な欠陥」だと言いたげですね。
http://bit.ly/p86wjX
当時はたぶん高校中退者を減らす効果が出るなんて、
語った文部科学省の人は、思ってもいなかっただろうと思います。
あと、記事を書いた朝日の、現在の見解も聞いてみたいですね。
>文部科学省の中の人もいろいろで
「致命的な欠陥がある」と言った人と、
今回の高校中退者を減らしたと分析した人は、
どちらも文部科学省の人ではあるけれど、
たぶん別人ではないかと、わたしは思います。