2011年08月22日

toujyouka016.jpg 子ども手当てがポルポト?

ずいぶん前の記事ですが、ときどき話題になることですし、
「子ども手当てが廃止に(2)」のコメント欄で出て来たので、
あらためてお話したいと思います。

自民党が子ども手当てを「ポルポト」と考えていることです。
直接発言しているのは、石原伸晃幹事長ですが、
政党の意見として述べているでしょうから、
自民党の公式な見解なのだと思いますよ。

「自公、子ども手当つなぎ法案に反対へ 石原幹事長「ポルポトに与しない!」」
自民党の石原伸晃幹事長は「児童手当に戻しても大した混乱は起きない。
子供を社会でつくろうというポル・ポト派と一緒の考えに
与(くみ)するわけにはいかない」と強調した。

 
子ども手当ては、ヨーロッパの民主主義国のほとんどで
すでにあたりまえのよう定着している制度です。
これらの国のどこが「ポルポト」なのか、まったくわからないですね。
発想としては、「子ども手当てはナチス」と同種でしょう。

こんなとち狂った意見を公式見解とする背景には、
おそらく支持基盤からの要請があるものと思います。
自民党は下野して、固定支持層の強い支援に頼るようになり、
支持基盤の歓心を買うことを、並べるようになったのでしょう。

09年の衆院選の直前に、固定支持層を堅めるために、
自民党は民主党をアジるビラを配っていました
また、10年の参院選では候補者が全員、民法改正に反対するという、
すさまじいことになっていたのでした。
「ポルポト」もこれに沿ったものと思います。


民主党が言う「子どもは社会で育てる」というのは、
子どもは社会全体からも歓迎される、という考えにもとづきます。
子どもが主体であり、社会が客体であるわけです。
それゆえ、民主党の配布している冊子などには、
「チルドレン・ファースト」と書かれています

これを曲解して、「子どもが社会のためにいる」と、
子どもが客体で社会が目的であると倒錯させ、
さらにグロテスクに誇張したものが、
「ポルポト」や「国民社会主義」ではないかと想像します。
(民主党の冊子は、こうした考えを否定している。)

いずれにしても、自民党が子ども手当てに反対するベースには、
このような「とんでも」があるということです。
そして自民党の強い要請によって、子ども手当てが廃止された、
ということは、「とんでも」が政治を動かしたことでもある、
ということも、付け加えておきたいと思います。

posted by たんぽぽ at 22:34 | Comment(13) | TrackBack(2) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 子ども手当てがポルポト? web拍手
この記事へのコメント
先日も書き込ませて頂いた名無しです。
皮肉などではなく、私には社会に積極的に訴え、実現したいと思うような大層な理念、信念、見識もありませんので個を特定する名前は不要と考え、あえて「名無し」で通しています。

あの後、民法改正関連や他のエントリーも拝見致しました。おそらくこれを最後の書き込みにするつもりです。


さて私はあなたの政治理念、信念について触れ、考えてみましたが結局のところよくわかりません。そもそもこんなブログ程度の情報量で相手のことが完全に理解できるはずがないんです。でもそれは別に人間みんな同じなんです、究極的には相手が本当に何を考えているかなどというのは結局のところ分からないものです。本当に大事なモノは最後まで隠し通すものですし。
 だから人の発言を断片的に切り取って、それを批判してもそれにどれだけ意味があるのか?もう少し大きく、優しい心を持って他人の意見を聞いてみたらいかがですか?世の中、本当の悪人なんてそんなにいません。実は表現が過激なだけかもしれないですし(政治家は口が命ですから、民衆の注意を引くために過激な表現を使いたがるものです)

 それと法律や政治などのこの民主主義社会はすべての国民の希望を実現する絶対的幸福を目指すものではありません。あなたもよくご存知のように利害が一致しない場合には「公共の福祉」という多者の利益を優遇する相対的なものです。だからbetterな答えは合っても唯一の正解はないのだと思います。だから相手の意見を全否定するべきではないと私は思います。

最後に我々が手に入る政治、経済の情報というのは情報化が進んだ現在でもごく僅かです、またひと一人が処理できる情報は更にその一部に過ぎません。しかしながら政治とは内政、外交、経済も含めた極めて複雑な判断のもとになされるものであり、もちろん民法改正も単純に女性の権利の観点ばかりからのみ語るべきではないのではないのでしょうか?
 そのような意味で、直感的に全ての自民党員は右翼であり、悪であると考え、一方で民主党も心許ないけど、仕方がないから民法改正一点に関してのみ支持するなどというあなたの考えは私にはとても稚拙であると思いますし、そのような政治理念だけではこの先も敵を増やすことはあっても他者の共感を得ることは難しいのだと思います。そもそも相手の意見の一部を取り上げて、それに対して自説で反論するというスタイルは学生のディベートや小論文では定石ですが、実際には自身の意見を述べているように思っていても、相手にしてみれば揚げ足取りや非難ととられるものです。

長々と戯言を失礼しました。これもまた赤の他人の主観、気に食わなければこのコメントは消していただいて結構です。
Posted by 名無し at 2011年08月23日 00:46
子供(家族)は個人が費用をかけて用意して社会に差し出す人質であり、人質を出すことで社会や共同体には決して背きませんとする誓約になっているととらえれば、「子どもは社会で育てる」という考えが保守派から猛反発されるのも分りますね。
封建的社会秩序第一の保守派にとっては、親が失業したり刑罰や社会的制裁を受けたとき子供・家族が路頭に迷って貰わねば困るのですよ。
家族が路頭に迷ったら困るからこそ、人は否が応でも共同体や会社や社会秩序に従わざるを得ないわけですから。
「子どもは社会で育てる」ではその効果が期待できなくなりますから。
Posted by pulin at 2011年08月23日 07:51
過疎ブログに
Posted by 名無し at 2011年08月23日 00:46
の様なネトウヨをよんでやったゼ。
Posted by ぐんじょう at 2011年08月23日 11:43
pulin様

>家族が路頭に迷ったら困るからこそ、人は否が応でも
>共同体や会社や社会秩序に従わざるを得ないわけですから。
>「子どもは社会で育てる」ではその効果が期待できなくなりますから。

なんか、究極の性悪説ですね・・・。
ここまでの性悪説論者は、保守・革新関係無く、そんなに多くないと思いたいです。親きょうだい、子供もいないお一人様だって、働く喜びとか、あると思うけど。

たんぽぽさんに御紹介頂いている冊子の内容。
まさにこの通りだと私も思います。
ポルポトなのか、この冊子の理念なのか、
正々堂々と論議すりゃあ良いのに、と、思いますがね。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2011年08月23日 12:45
ぐんじょうさま

こちらのエントリに4つ投稿している「タンポポ」というかたと、
おなじPCをお使いですが、あなたがハンドルを変えて
コメントをしているのでしょうか?
http://taraxacum.seesaa.net/article/221522131.html#comment

また、こちらのエントリで、わたしはあなたに
3つお尋ねしていることがあります。
これらについてお返事はいただけないのでしょうか?
http://taraxacum.seesaa.net/article/221390657.html#comment

わたしがお尋ねしたことにお答えをせず、
主旨のわからないコメントを、一方的書き付けるだけでしたら
わたしや、ほかのかたとの会話は成り立ちません。
このブログの読者のかたたちにも、気分が悪いと思います。
よって、ぐんじょう(群青)さまのコメント投稿は、
お断わりとさせていただきます。


>過疎ブログに
>Posted by 名無し at 2011年08月23日 00:46
>の様なネトウヨをよんでやったゼ。

名無しさまとの関係については、ご本人から釈明をいただくことにします。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月23日 18:19
名無しさま

まことに恐縮ですが、ぐんじょう(群青)さまと、
どういう関係にあるのか、お話いただけたらと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月23日 18:21
迷惑なのでこれだけははっきりさせておきますが
私は"群青"あるいは"ぐんじょう"氏と一切関係ありませんし、またそのシンパでもありません。

また私自身は貴方がおそらく考えているようなネトウヨでも無ければ、バカ右翼でもないし、加えて言うならば自民党信者でもありません。第一、匿名のネット上において私の素性を詮索するのはナンセンスではありませんか?
大事なことは私が何にカテゴライズされるのかではなく、私の言葉の中身なのですから。
Posted by 名無し at 2011年08月23日 19:56
名無しさま

コメント、まことにありがとうございます。
お手数をおかけしました。
きっとぜんぜん関係のない人なんだろうと思ってました。



ぐんじょうさま

名無しさまは、あなたとはぜんぜん関係ないそうです。
お名前を出したことについて、釈明をお願いしたいと思います。

名無しさまの件の釈明、および、いままで
わたしがコメントでお尋ねしたことのお答えのみ、
コメントをしていただきたいと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月23日 21:27
今の社会自体が「子どもに頼っている」ものであることは、色々な税制を見てみればわかることで、例えばより若い人が保険料を払えなくなると途端に社会が成り立たなくなっていきます。だからこそ、「社会」という形で子どもたちをどうにか「保険料や税金を払えるように保護・養育していかなくてはならない」んですよね。

思想と現実のどちらを優先して物事を考えているかが、この話題によって暴露されますね。もちろん私は後者の「現実」ですけれども。

もし思想を優先して物事を考えているとするならば、おそらくどこかに無理が生じると思います。
Posted by mmm at 2011年08月24日 11:09
名無しさま

これで最後にしたいとおっしゃっているのに、
もう一度だけ登場させてしまい、誠に失礼しました。
これはおわびしたいと思います。

ハンドルはやはりその人のイメージを作るのですよね。
ポリシーもあるようですが、変な人に絡まれたりもするので、
不特定多数を連想させるものではなく、
ユニークなものにしたほうがいいと思います。

もし気が変わって、今後もコメントすることがありましたら、
このブログに投稿するとき専用でいいですので、
なにかユニークなハンドルを作られたいと思います。


そして本題の、わたしに対する評価ですが、
それはさすがに偏っていて、そのようにお思いでしたら、
はなはだ残念と言わざるを得ないです。

わたしが、だれかの発言をするときは、
その発言を理解するのに必要なコンテキストは
じゅうぶん調べた上で行なっています。
すくなくとも、そうするよう心がけています。
断片的に一部を切り取ったりはしていないつもりです。

発言しているだけことが、その人の考えのすべてではない、
とのことですが、受け取る側は、発言していることがすべてです。
適切に考えを受け取ってもらえないとしたら、
発信している側の責任にもなると思います。


別姓反対派や政治活動をやっている人たちの態度は、
かなり長いこと、わたしが実際にかかわった上でのことです。
不必要に理解をしめしても、無駄に消耗するばかりか
かえって危険なので、冷たいとお思いのこととでしょうが、
このような見かたをしています。

わたしが理解したいのは、別姓反対派としての
精神・思考構造までで、その人が人間としてどうか、
ということまでは興味ないし、触れてもいないつもりです。
わたしの行なっている別姓反対派の批判は、
人間としての是非とは無関係だと思ってください。

夫婦別姓はご存知のように選択制を目標にしていますから、
そのまま主張しても、「相手の全否定」にはならないはずです。
むしろ相手を全否定し、「公共の福祉」に反しているのは、
選択制でさえも否定する反対派だと思います。

それから民法改正に関しては、単に女性の権利というだけでなく、
できるかぎり多角な視点から見ているし、
そのつどブログで話題にしていると思います。
自民党員はすべて右翼で悪とも思っていないし、
民法改正の一点だけで、民主党に注目しているのでもないです。


あと、わたしは、個人がウェブでなにかを発信したくらいで
社会を変えられるとは思っていないです。
ウェブでやっていることは、すべてたまたまサイトに来た
個人を相手に「発言している」程度のことです。
社会を変えるために、なにか訴えるなんて、
立派なことはしていないつもりです。

あと、わたしを嫌っている人は、すくなからずいるけど、
あなたがお考えの理由ではぜんぜんないです。
わたしの敵は、むしろヒダリ側にたくさんいます。


かくして、わたしのお返事も長くなったし、
わたしが「そうでないもの」の釈明に終始しているので、
恐縮ではありますが、今後わたしのサイトをご覧になるときの
参考にしていただけたらさいわいです。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月24日 22:48
pulinさま
このエントリにコメントありがとうです。

>子供(家族)は個人が費用をかけて用意して社会に差し出す人質であり

それはまさに社会のために子どもがある、という考えですね。
自民党の人たちの脳内にある「民主党の理念」も
案外そんなものかもしれないですね。
実際、子どもは「社会に差し出す人質」というのは、
ファシズムの国の考えに近いですし。

>封建的社会秩序第一の保守派にとっては、

自民党の人たちは、家族に対する支援を「ばらまき」として、
各家庭でなんとかしろ、という考えなので、
極端な言いかたをすれば、そうなるかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月24日 22:49
ニャオ樹・ワタナベさま、
このエントリにコメントありがとうです。

>たんぽぽさんに御紹介頂いている冊子の内容

その冊子は、とてもよく書けていると思います。
最初に見たとき、わたしもとても感心したもので、
いまでもこうやってときどき引き合いに出したりしています。

>正々堂々と論議すりゃあ良いのに、

そうそう、わたしも本当にそう思います。
まともに議論したら自分たちが負けるとでも、
民主党は思っているんでしょうかね?
自民党は自分たちが勝つと思い込んでいそうだけど。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月24日 22:50
mmmさま
このエントリにコメントありがとうです。

>今の社会自体が「子どもに頼っている」

そういえば、子ども手当ては、子どもがいないからこそ賛成する、
子どものない人は、将来社会全体の子どもに
頼らざるを得ないから、という意見があったのでした。

たしかにそうなのですよね。(正直と言えばそうだけど、
この程度の「正直さ」はむしろ必要ではないかと思う。)
将来の社会を担ってくれる存在だからこそ、
手厚く保護をするのが、大事になってくるのだと思います。

>思想と現実のどちらを優先して物事を考えているかが

自民党はどうやら「思想」のほうですね。
思想のお題目を振り回しても、なにも解決しないどころか、
かえって悪化さえするでしょうね。
Posted by たんぽぽ at 2011年08月24日 22:53
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

菅内閣の功罪
Excerpt:  ようやくア菅内閣が終焉を迎えた。きっと菅内閣の評価は当面割れるだろう。リベサヨの方面で。しかしこの評価は明らかだ。これほどまでに,国の政策が国民のためではなく利権集団のためになされてきた,ということ..
Weblog: アルバイシンの丘
Tracked: 2011-09-01 08:19

どじょう内閣の歩く道は?
Excerpt: 野田内閣発足。 そのうち気になるのは、新幹事長・興石東氏だろう。 ポジとしては日教組出身ということもあり旧社会党グループだが、小沢氏とも近く、前原氏との仲も良いという 去年の文芸春秋で、興石氏は..
Weblog: 早乙女乱子とSPIRITのありふれた日常
Tracked: 2011-09-04 01:23