2011年09月04日

toujyouka016.jpg ゼロ歳児保育がなくなる?

かなりとんでもないものがあるので、ご紹介したいと思います。
日本再興と銘打った、自民党の中長期政策体系です。
これによるとゼロ歳児保育は、大幅に縮小されることになりますよ。

「日本再興|自民党の中長期政策体系」
「第6分科会【教育】」(PDF)

 
========
第6分科会(教育:町村信孝座長)は、
「民主党は『子どもは社会が育てる』という
誤った考え方でマニフェストを作った」と批判。
「0歳児は原則、家庭で育てる」とし、家庭保育支援の強化を訴えています。
========
========
家族の絆を大切にする家庭教育と幼児教育の充実
(1)子どもの健全な発達にとって、乳幼児に対し親の愛情、
スキンシップを最大限に注ぐことが大切である。
そのため、父母ともに育児休業を十分に活用するとともに、
0歳児については家庭で育てることを原則とし、家庭保育支援を強化する。
========


自民党の中長期政策体系が、いかに現実を無視した
イデオロギーばっかりの無茶苦茶なものかは、
以下のエントリで述べられているので、ご覧になるといいでしょう。

「全国のお父さんお母さん。自民党政権になると、0歳児保育が無くなるそうです」
(はてなブックマーク)
「自民党政権になると0歳児保育はなくなるのか?」
「子どもを家庭だけで育てるっていつからの「常識」?」
「保育の手」

ゼロ歳児保育はまだまだ必要で、さらなる充実が望まれるものです。
そこへもってきて、大幅に縮小をしたら、
たいへんなことになるのは、言うまでもないことです。


自民党の中長期政策体系を見て思うのは、
子どもを保育所にあずけるのは好ましくないという偏見と、
「3歳児神話」という「とんでも」のにおいです。
ゼロ歳児だけというのは、さすがに3歳までの
保育を廃止するのは無理と、思ったのかもしれないです。

PDFには「父母ともに」とありますが、制度上は性別に
非対称にするわけにはいかない、というだけだと思います。
「家庭で育てる」役目を、実際に請け負うのは、
ほとんど母親になるであろうことも、想像にがたくないことです。
こちらのエントリを参照。)

「子どもの健全な発達にとって、乳幼児に対し親の愛情、
スキンシップを最大限に注ぐことが大切である」という
押し付けがましいくだりから、子どもは母親が手元で育てるべき、
という思想が、背景にあることが見て取れます。


自民党の中長期政策体系は、民主党の理念を曲解しているようです。
「子どもは社会が育てる」を「社会」か「親」かの二者択一と捕え、
「子どもは社会が育てる=子どもは親が育てない」と、
言っているかのように考えていると思われます。

「子どもは社会が育てる」というのは、親は育てるのですが、
それに加えて、社会も積極的に歓迎・支援をするということです。
いままで子育てを、家庭内だけの問題であるとして、
社会があまり顧みなかったことへの反省ということです。
(民主党の理念は、『育ち育む応援プラン』という冊子の
「4.子どもたちのための行動計画 」にくわしいです。)


ところで、こちらのはてなブックマークを見ると、
もちろん自民党に批判的な意見が多いのですが、
中には「原則家庭で育てる」であって、「ゼロ歳児保育をなくすとは
書いてない」のような楽観視した意見が、ちらほら見られます。

ところが、「家族の絆」と言って、子どもは母親が育てるべし、
という思想をにじましている文書です。
ゼロ歳児保育を混乱をきたすくらいに、大きく削減しようと
考えているのは、言わずもがなのように思います。
ゼロ歳児保育をなくすと思って差し支えないかと思います。
楽観視する意見はナイーブすぎると思います。

このあたりは、つぎのエントリでくわしく検討しています。
http://d.hatena.ne.jp/debyu-bo/20110825/1314201624

posted by たんぽぽ at 09:01 | Comment(26) | TrackBack(3) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
化石ですね、終わってますね、自民党。
頭の中、まだ昭和の高度成長期ぐらいでしょうか。ズレすぎにも程がある。
Posted by うがんざき at 2011年09月04日 09:49
「サラリーマン家庭のお母さん」にありがちな「子どもを別の人格だとどうしても理解できない母親」と「それに潰される子ども」や「それによって問題を抱える家庭」を増産したいようですね(知らない人は「墓守娘」で早速検索!)。

ていうか、重要な職業に就いているかに関わらずお母さんやってる人を職場から振り落としたいようにしか見えないのは何故。どんな仕事でもブランクは後に影響を残しますよね。

子どもに子ども同士の世界を与えるってのは、小1ギャップと言われる「小学一年生になってから親と離れるのが怖いと気が付いた」なんてパターンよりずっとよいかと…

自民党は小児精神科患者やらの数を増やしたいのかな?
Posted by mmm at 2011年09月04日 11:52
うがんざきさま、コメントありがとうです。

>化石ですね、終わってますね、自民党

下野してから、この手の退行がどんどん進んでいると思います。
支持基盤に頼るようになったからだと思いますが。

なんにしても、自民党がもう一度政権を取ったら、
目も当てられないことになりそうです。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月04日 17:04
mmmさま、コメントありがとうです。

>(知らない人は「墓守娘」で早速検索!)

はーい、検索しました。
http://amzn.to/l2kwND

自民党の中長期政策体系は、こういうふうに
べったりとのしかかってくる母親でないと、
やってられないかもしれないですね。

>お母さんやってる人を職場から振り落としたいようにしか見えないのは何故

振り落とすでしょうね。
自民党はどうもお金のことしか、考えてないようだけど、
(それだってかなり乱暴なお話なんだけど。)
おっしゃるとおり、育児休暇を取ると、キャリアや雇用に
ブランクができるので、不安だという人も多いですからね。

こちらでも指摘されているけれど。
http://d.hatena.ne.jp/debyu-bo/20110825/1314201624
Posted by たんぽぽ at 2011年09月04日 17:06
>墓守娘
これは「依存」の発展系ですが、「依存は支配である」という言葉もあります。例えば、伝統的な思想では男が働き、女が家事を行いますが、「どちらが欠けても」満足な状態にはなりません。それを盾にしてお互いがお互いを支配し合うというドロドロの…昼ドラマお得意の家庭状態になってしまいます。そして、家庭にいる女が自分の子どもを更に支配下に置こうとしてしまうんですね。相手は、自分より弱い立場の人物ですから、大人同士よりもっと性質の悪い結果が現れます。

依存しあい支配しあうことを望む二人より、独立した状態の二人が協力して結ばれる方が、「将来の日本」などという大仰な話題には相応しいと思っています。

>育児休暇
他に、自営業に含まれる人々が全く話題に挙げられない点があまりに意図的だと思っています。奥さんが妊娠したら店を閉めろとか廃業しろとでも、言って回るつもりなのでしょうか。会社員ばかりじゃないんだけどな…
Posted by mmm at 2011年09月04日 21:11
男性と同様の高等教育を受ける機会を与えられて育ってきた女性を、出産と同時に「母と子」だけの社会に隔離することが当然、と言う今の日本のシステムが、根本の問題だと思いますけどね。

「子供を社会で育てる」と言うのは、育児を担う親を社会から隔絶せず、社会が親を通じて子育てを支援する、と言うことだと思います。
母親だけでなく父親に対しても、育児休暇取得、休暇中の所得保障、休暇明けの無条件での復職を、雇用主に義務化し、その分、雇用主に対して税金で充分な補填をする。
その結果として「ゼロ歳児保育の希望者数が減った。」と言うなら分かりますけどね。

だいたいこの先、子供の数が減り続けることは間違いない訳です。だったら、国が子供の教育にもっともっと税金をつぎ込んで、親の所得に関わらず、全体の教育レベルを上げられるようなシステムを構築すべきではないですか?

「中長期政策」とか言いながら、今のちょっとした税金の支出を抑えようとしか考えないようでは、お話になりません。
民主党に対抗して自民党ならではの「無駄ゼロ」を考えてみました、ってことなのかもしれませんね。
だとすると自民党は、子供の養育・教育に税金を使うのは「無駄だ」と言っている、ってことになります。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2011年09月05日 07:42
mmmさま、またコメントありがとうです。

>これは「依存」の発展系ですが、「依存は支配である」

なるほど、依存の一形態としての支配ということですね。

>大人同士よりもっと性質の悪い結果が現れます

そうですよね。
力関係に差があると、いっそうえげつなくなると思います。


>自営業に含まれる人々が全く話題に挙げられない点が
>あまりに意図的だと思っています

ホワイトカラーのサラリーマン家庭だけが
意識されているのが、この手の主張の特徴ですよね。

自営業だと、「専業主婦」というカテゴリが、
そもそもはっきり存在しないんじゃないかと思います。
こちらには、第一次産業のことが、引き合いに出されているけど
事情は似たようなものだと思います。
http://d.hatena.ne.jp/next49/20110824/p1
Posted by たんぽぽ at 2011年09月06日 06:29
ニャオ樹・ワタナベさま、コメントありがとうございます。

>母親だけでなく父親に対しても、育児休暇取得、
>休暇中の所得保障、休暇明けの無条件での復職を、雇用主に義務化し、

お金を配るだけでなく、
相当に企業に規制をかける必要がありますよね。
育児休暇を取るのが及び腰になるのは、
キャリアや雇用のブランクを埋める心配もあるのですから。
でもって、そんな政策を自民党がやるとは思えない。

こちらにもすこし書いてあるけど。
http://d.hatena.ne.jp/debyu-bo/20110825/1314201624

>「中長期政策」とか言いながら、今のちょっとした
>税金の支出を抑えようとしか考えないようでは

ゼロ歳児保育はお金がかかるから、
支出を抑えよう、という発想はあきらかにありますね。
そこで使われている数字がとてもあやしいのは、
ある意味自民党らしいけれど。
http://ryuseisya.cocolog-nifty.com/hakata/2010/10/250-5e89.html

赤ちゃんのお世話にお金がかかるのは当前なんだし、
税金をたくさん投入してしかるべきと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月06日 06:30
自民党は長い間乳幼児の保育に冷たい目を向けてきました(自治体の保守系首長・議員も官僚も同様です)。

しかし、10年くらい前から、少子化に危機感を持ち、もはや専業主婦頼みだけでは無理と観念したのか、仕事と育児の両立支援を言うようになり、小泉政権では「待機児童ゼロ作戦」も打ち出しました。
これは小泉流ポピュリズムの面はあるかもしれませんが、待機児童解消に目を向けたことは評価できます。待機児童のほとんどは0〜2歳の低年齢児です。

ですが、今の自民党はその頃より後退してしまった感じですね。先祖帰りしたと言えるかもしれません。

ところで、リンク先を見ますと、自民党の山谷議員や下村議員が「0歳児保育よりも親に金を支給するほうがいい」と言っていますが、片山さつき議員はこんなことをツイートしていましたよ。

>子ども手当、3歳以下の増額財源に、保育所や保育予算を削るって、最悪の政策!<
http://twitter.com/#!/katayama_s/status/17196307554762752

ご自分の党にこれを言ったらどうかと。
Posted by kiriko at 2011年09月06日 08:12
1980年代に雇用機会均等法が施行されたりして女性の社会進出への環境が整えられていったように見えて、実は「主婦の座を守る」ための法整備がなされていったのである、という知見を最近の読書で得ました。
専業主婦になることを積極的に選べるような制度が整えられていったのです。
年金の「第三号被保険者」精度が定められたのもその時期でした。
日本の保守的支配層には、福祉は家族で、という原則が根強くあるのです。
Posted by pulin at 2011年09月07日 10:15
kirikoさま、コメントありがとうございます。
お返事が遅くなってもうしわけないです。

>小泉政権では「待機児童ゼロ作戦」も打ち出しました。
>これは小泉流ポピュリズムの面はあるかもしれませんが

ポピュリズムであっても、こうした政策を打ち出すということは、
待機児童解消が支持されるということですからね。
保育所の充実は、それだけ望まれているということだと思います。

>今の自民党はその頃より後退してしまった感じですね。
>先祖帰りしたと言えるかもしれません。

前のコメントでもお話しているけど、下野して凋落したので、
支持基盤に頼るようになったからでしょうね。
それで無党派層から支持を得るよりも、固定支持層ウケ
することをやるようになったんだと思います。

>http://twitter.com/katayama_s/status/17196307554762752

おお、ご紹介ありがとうございます。
これは、盗人たけだけしいですねー。
まったく、自民党の中長期政策にこそ、当てはまると思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月07日 22:19
pulinさま、コメントありがとうございます。

雇用均等法も、3号被保険者も、どちらも1986年ですね。
この時代は、戦後の男女平等教育の効果が現れ始めたころだけど、
保守政権の最盛期でもありましたからね。
男女平等が求められるのと同時に、保守的支配層の思想が
反映される時代でもあったのでしょうね。

ところで、ご覧になった本、というのはなんでしょうか?
さしつかえなければ、タイトルを教えていただけたらと思います。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月07日 22:20
『リスク化する日本社会』(岩波書店)
http://www.amazon.co.jp/%83%8A%83X%83N%89%BB%82%B7%82%E9%93%FA%96%7B%8E%D0%89%EF%81%5C%81%5C%83E%83%8B%83%8A%83b%83q%81E%83x%83b%83N%82%C6%82%CC%91%CE%98b-%83E%83%8B%83%8A%83b%83q%81E%83x%83b%83N/dp/4000255673/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1315411058&sr=1-1
という本です。

リスク問題を扱っているのかと思って手に取ったら、グローバル社会での個人化という問題について、社会学の専門家が専門的な議論をしている本でした。
日本での個人化と家族主義の問題について述べられた章に上述のことが指摘されていました。
Posted by pulin at 2011年09月08日 01:07
>『リスク化する日本社会』(岩波書店)
>http://amzn.to/mWHOoN

ご紹介、ありがとうございます。

リンクさきの内容紹介を見てみたけど、よくわからなかったです。(苦笑)

「家族と社会保障の再構築のために何をすべきか」と
書いてあるので、そのあたりの関係で、
年金の「第3号被保険者」のことも出て来るのかしら?
Posted by たんぽぽ at 2011年09月08日 22:34
本の紹介としてはこの方が詳しいですね。
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0255670/top.html

ここで落合恵美子京都大学教授が指摘していました。
落合氏の研究テーマは主婦化や育児、家族の問題のようです。
Posted by pulin at 2011年09月09日 01:02
特にそのテーマについて書いたのがこの本のようですね。

落合恵美子『21世紀家族へ』(有斐閣)
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/4641280916

プロローグ 20世紀家族からの出発
1 女は昔から主婦だったか
2 家事と主婦の誕生
3 二人っ子革命
4 核家族化の真相
5 家族の戦後体制
6 ウーマンリブと家族解体
7 ニューファミリーの思秋期
8 親はだめになったか
9 双系化と家のゆくえ
10 個人を単位とする社会へ
エピローグ 21世紀家族へ
Posted by pulin at 2011年09月09日 06:37
>http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0255670/top.html

ご紹介ありがとうございます。
著者のウルリヒ・ベックという人、結構有名なんだ。

リスク社会における、家族と社会保障の章があって、
その文脈の中で、第3号被保険者のお話が出て来る、
どうもそんな感じですね。

>http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/4641280916

こちらもご紹介、ありがとうございます。
目次から察するに、わたしが普段考えていることが、
きちんとまとめられていそうですね。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月09日 23:09
このような本があると言って読まないで紹介するのも何だから読んでみました。

おおむね、まとめてみると、
稼ぎ手(特にサラリーマン)である夫と「主婦」と子供2〜3人程度からなる「近代家族」の形態が、労働者階級までの社会一般に普及し規範性を持ちはじめるのは、欧米では20世紀初頭、日本では戦後、特に昭和30年代〜40年代にかけての20年間(即ち高度成長期)程度であり、その時期が戦後の家族の黄金時代としてしきりに懐古の対象にもなるが、そのような家族主義は日本の伝統でもなんでもなく、多産多死から少産少死へ移行する過渡期に生じた多産少死時期つまりきょうだいが多かった時期の人口学的賜物であったのは、欧米でも同じだったこと、
現代はもはやそのような人口学的ボーナスが成り立たず、家族単位の時代から個人単位のシステムになっていかざるをえないのだが、政治や行政にしても、どうしてもサラリーマンの夫と主婦と子供2人程度という「標準家庭」の呪縛から逃れられないでいること、
「双系化」とは、一人っ子が「家」を嗣ぐ時たとえば夫婦別姓などになっても父系母系によらずその両系に同時に所属しているようにみなすあり方、等が述べられていました。
(戦後「婿養子」の習慣が廃れてから日本では男性は「姓」を変えない・変えてはならないものだという認識が一般化したそうです。)

この本は10年以上前に書かれたものなので、社会システムの「個人化」が不可逆的に進むという見通しですが、現在は財政難から福祉や子育ては家族特に主婦に丸投げしておきたいという思惑による家族重視論が社会に強まっていますね。一つの反動でしょう。
Posted by pulin at 2011年09月19日 12:38
コメントありがとうございます。

>おおむね、まとめてみると

おお、わたしが普段思っていることが、そっくり指摘されていますね。
一時的な現象にすぎないのに、ノスタルジーから、
「伝統」だと思いたがる人たちが、後を絶たないのだな。


>社会システムの「個人化」が不可逆的に進むという見通しですが

不可逆的に進むのは確かなので、それに応じた
社会制度を整えなきゃならないんだけどね。

>現在は財政難から福祉や子育ては家族特に主婦に丸投げしておきたいという思惑

反動というか、依然として、前時代のノスタルジーから
抜け出せないのでしょう。

(ちなみに、80年代に財政に余裕があったころは、
「どこの家庭もお金を持っているんだから、
子育ては福祉じゃなく各家庭でやってくれ」でした。
ようは、福祉を充実するのが嫌で、財政は後付けの
理由にすぎない、ということですね。)
Posted by たんぽぽ at 2011年09月21日 05:58
この本で落合恵美子氏は、これからは主婦にとって住みづらい世の中になるから主婦になろうとする女性はよほど覚悟した方が良い、主婦への優遇措置「第三号被保険者」制度の廃止や、離婚要件の緩和などで、社会は主婦(専業主婦)を甘やかしてくれなくなる、そして結婚10年もすれば主婦はアイデンティティの危機に陥る(これは団塊の世代がすでに経験している)、と警告しているのですが、現在若い女性に生業主婦志向が強まったり、主婦役割への期待が世の中に高まっているのは、やはり経済情勢があまりにも悪化したためでしょうね。
Posted by pulin at 2011年09月21日 07:29
より本質的なのは、経済情勢の悪化そのものよりも、それを口実にした労働環境の悪果ですね。
Posted by pulin at 2011年09月21日 08:54
「人口学的ボーナス」について補足すると、多産多死の時代から少産少死の時代へ移行する過渡期に、多産少死の時期が出現します。これが日本だと1925年から1950年代ごろまでで、ベビーブームの世代(団塊の世代)はその最後の世代に当たるわけです。その世代はきょうだいが4人程度居てみな元気に成人していることが多いです。そこから出生率は低下し子供は2人程度が標準になってしばらく安定します。自分もきょうだいは少なくても、おじ、おばが父方母方とも3〜4人いたのでこれは実感できますね。ここがまさに高度成長期にあたり、産む子供は比較的少なくても元気で働ける大人が多くて高度成長を成し遂げられたし、福祉が弱くても頼れる親族が多くいて何とかなってきた訳です。
そして、人口変動でみると、このような人口学的ボーナスの効果は1990年ごろなくなったとされています。まさにそこでバブルが崩壊し失われた20年へと続いているわけです。
西欧だともっと早くにその時期は終わっているのですが、緩やかに長く続いたので福祉国家のシステムをその間に作り上げることができて、新自由主義が起こっても社会に耐える体力があったのでしょうが、日本だと福祉国家が未完成のうちに新自由主義にむき出しでさらされることになってしまいました。
かつて福祉を肩代わりしてきたのは比較的多い家族や親族でしたが、現代の世代は頼れる親族さえはじめから居ないのです。
Posted by pulin at 2011年09月21日 15:25
pulinさま、たくさんコメントありがとうです。
わたしのお返事が遅くなって、もうしわけないです。

>主婦への優遇措置「第三号被保険者」制度の廃止

ご指摘の第三号被保険者や、扶養控除など、
専業主婦「特権」の廃止は、予想に反して、
順調には進んでいないですね。

若い女性に専業主婦志向が強まっているのも、
ご指摘のように、女性の雇用環境がひどく悪いからだけど、
専業主婦にとって住みやすい、というわけでもないんですよね。


>「人口学的ボーナス」について補足すると

1950-1970年代に、日本の出生率が2程度だったのは、
高度経済成長期の産児調節があります。
子どもはふたりくらいが、会社から帰って来た父親に
負担がすくなくなって、労働効率がよくなると、
根拠もなく信じられていたのですね。

1950-1970年代は、ヨーロッパの各国は、
まだ多産少死の傾向があって、出生率は2より多かったです。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1550.html
産児調節がなかったら、日本はまだ人口学的ボーナスの影響が、
ヨーロッパの国より残っていたんじゃないかと思います。

それから、日本の場合、人口学的ボーナスがなくなったと
言えるのは、1970年代からじゃないかな?
このころから、出生率が2を割り始めて、
現在にいたるまでの減少が始まったからだけど。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月23日 11:38
先の本によると、戦後のベビーブームのころの出生率4以上あったのが、産児制限、家族計画、優生保護法ができ経済的理由による中絶が認められたりで、ベビーブーム後数年で出生率が半減したそうです。その状態で推移したのが1975年ごろから再び出生率の低下が始まり下げ止まらないまま現代に到っているようです。
Posted by pulin at 2011年09月23日 12:10
出生率が高いまま推移していたら、今度は子供に多くお金がかかることになって、人口学的ボーナスの効果は弱まっていたと思われます。
人口学的ボーナスが効くのは、子供や高齢者といった扶養される人の割合にくらべて働ける大人がずっと多い状態の期間だけですから。
Posted by pulin at 2011年09月23日 12:14
またまたコメントありがとうです。

>戦後のベビーブームのころの出生率4以上あったのが、
>産児制限、家族計画、優生保護法ができ
>経済的理由による中絶が認められたりで、
>ベビーブーム後数年で出生率が半減したそうです。

そうです。
とくに効果が大きかったのが、産児調節、家族計画で、
前のコメントに書いたように、「子どもはふたりくらいがよい」
という根拠のない思い込みだったりするのですね。


>出生率が高いまま推移していたら、

産児調節がなく、出生率が高いままでの推移だとしたら、
どうなったかは、わたしにはなんとも言えないです。
(子育てに負担がかかって、高度経済成長は望めなかったかな?)

出生率が高いままの推移でも、やはり1970年代には
出生率が2を割って、それ以後は現実の推移と同じに
なっただろうと思います。
人口が現実より多くなったのは、団塊とジュニアのあいだの
すきま世代になりますね。
Posted by たんぽぽ at 2011年09月24日 15:09
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