わたしの印象を言えば、鳩山政権のころは、挫折したとはいえ、
まだなんとかしようという意気込みはあったと思います。
ていたらくが本格的(?)になったのは、
やはり菅政権になってからだろうと思います。
NGOレポートが挙げている経緯も、大半は菅政権時代のものです。
そして参院選の選挙公約からはずしていますし(4.)、
2011年にいたっては、民法改正に関する行動は、
ほとんどなにもやっていないのですから(7.、13.)、
菅政権は、民法改正を実現させる努力すらしなかったと、言えるでしょう。
NGOレポートの「2.NGOの評価と提言」を見ると、
かかる民主党に対して、「過去の政治(政策)への責任を放棄し、
有権者を欺くものである」と厳しい評価を下しています。
婚外子差別の違憲訴訟で、最高裁大法廷回付が出て、
どうなったのかなと思っていたのですが、
和解により却下となっていたのですね。(9.)
菅政権は却下をいいことに、こちらも放置したようです。
第3次男女共同参画基本計画で、表現が削除になったのは(5.)、
国民新党に配慮したためのようです。
NGOレポートにある、「与党内に民法改正について
否定的な記述を求める動き」というのも、
国民新党からの要望ではないかと思います。
第2次基本計画からは、進んだ内容であることは評価しています。
それでも、「もはや「検討を進める」段階ではない。
法制審議会が5年の歳月をかけて審議し、15年も前に法務大臣に
答申しているのであるから、速やかに閣議決定を行うべきである」
としていて、まったくごもっともだと思います。
民主党は、民法改正を先送りする理由として、
連立を組んでいる国民新党の反対を挙げています。
NGOレポートはこれについても、「これまで民法改正を公約に掲げ、
度々法案を提出しておきながら、人権侵害を公約に掲げる
政党の主張を優先することは許されない」と糾弾しています。
これも、まったくもっともなことだと思います。
民主党が、国民新党の意向をくむのは、
参院選で大敗して、過半数から遠ざかったので、
連立与党の合計議席を減らしたくないからだと思います。
民法改正は野党で賛成しているところもありますから、
参院で少数与党であっても、そうした野党と協力することで、
過半数を得るだけの議席は確保できます。
ところが「3党合意」なんて、稚拙な政治的妥協をやっている
「政治未熟」には、そんな「高等戦術」は無理であろう、
というのは、すでに検討した通りです。
もうひとつ、菅政権が民法改正を放置した理由として、
野党や世論から、叩かれるのを恐れているのも考えられます。
とくに自民党は、支持基盤にも受けますから、
ここぞとばかりに叩くのは必至でしょう。
マスコミや世論も呼応して、政権たたきに走るかもしれないです。
実際に世論が呼応するかどうかは、なんとも言えないです。
それでも、叩かれるとすぐに萎縮して筋を曲げる
自己保身的な精神構造であれば、そのように考えて、
民法改正を推進する前から引っ込めることは
じゅうぶんありえるでしょう。
はじめまして。NGOレポート(民法改正)執筆担当をした者です。
レポートをご紹介くださりありがとうございます。
第3次男女共同参画基本計画策定過程での後退は、国民新党というよりは民主党の反対派の動きのようです。民主党の子ども・男女共同参画調査会では、反対派がかなり激しく抵抗し、中間報告から後退しました。ただ、神本美恵子会長をはじめ西村智奈美さんや泉健太さんたち推進派がかなり頑張って、間接的ではありますが、推進する方向性は示されているかと思います。
いくらねじれ国会とはいえ、「政治技法」だけで異様な思想集団と成長した団体が残っていくのは望まないところですね。しかし、政治的手腕を持った人を民主党に引き入れれば問題解決、とは思いません。なぜなら、民主党に投票した多くの人々は、その「政治的手腕」にうんざりしていたはずですから。
逆に、「政治的手腕に優れた」人々が、その民法改正と国連脱退または処罰に近い処遇、どれを選択するかが最も興味深く感じます。もしこのまま民主党がフェイドアウトして自民党政権になった時…彼らはどれを選ぶんでしょう。
ようこそお越しくださりました。
>NGOレポート(民法改正)執筆担当をした者です
これはコメント、誠にありがとうございます。
執筆なさったかたから、直接コメントをいただけて誠に光栄です。
(ちょっとびっくりしています。)
>レポートをご紹介くださりありがとうございます
今回のフォローアップは、どうなったのか、
ずっと気になっていました。
NGOレポートは貴重な資料になったと思います。
>第3次男女共同参画基本計画策定過程での後退は
こちらは貴重な情報、ありがとうございます。
なるほど、民主党内の反対派が、また騒がしくなったのですね。
菅政権が、民法改正を提出予定法案にしなかったのは、
党内で意見集約する気力が失せたからかもしれないですね。
でも、推進派の議員のかたがたも、がんばってはくれたのですね。
これは評価したいと思います。
こちらにコメントありがとうございます。
変な勧誘スパム、ちょっと怖いですね。
粘着された、ということでしょうか。
ブログの閉鎖は、さきほど確認しました。とても残念です。
でもまたいつか再開してくださいね。
>いくらねじれ国会とはいえ、
これは、前の「政治未熟」のエントリに関係したお話かな。
(このエントリからもリンクしているけど。)
よそから引き入れてくればいいとは、
だれも考えていないと思いますよ。
政治的手腕を持った人が、すでに内部にいるのに
忌避するから批判されるんだと思います。
もちろん、政治的手腕を持った人にやらせれば、
かならず問題解決とも思っていなくて、現状よりはずっと
ましな対処をするだろう、ということだけど。
>あ、続けまして
政治的手腕がふつうにある政治家なら、
現在の国会勢力であれば、民法改正の実現を選ぶと思います。
自民党政権になった場合は、いくら政治的手腕があっても、
民法改正の実現は困難だろうと思います。
2009年8月以前の状態とおなじですね。
>まし
まし…ですか…確かにそれはそうですね。でも、「政治的に実力を持った人」は変な思想や手段を持ちやすいんでしょうか。有名どころの大人物はみな問題を抱え込んでいて、「なんでこうなっちゃうんだろう?」と思います。昔から新聞、週刊誌、政治・報道関係者の噂に身近だった身としてはこの疑問は絶えません。
わたしのお返事が遅くなって、もうしわけないです。
>なんかどっかに晒されたらしいです
たまたま心ない人に、見つかっちゃったのかもしれないですね。
(わたしのブログが結構危険なんじゃないか、という気もするが。)
>有名どころの大人物はみな問題を抱え込んでいて
というか、有名になると、あることないこと
ほじくり返されやすくなる、ということかもしれないです。
>ほじくり返されやすくなる、ということかもしれないです。
政治家に、聖人君子でいてほしいんでしょうね。私は、人間としても魅力的である人物がトップになってほしいと思っていますが…
日本ではベルルスコーニ氏やプーチン氏のような人物は、トップになれなさそうで残念です。彼らは自分の国、自分の故郷のために自ら戦いに行きそうですが、日本は…無理ですね。
半分は、芸能人のゴシップを追いかけるのと
おなじようなものかもしれないです。
もう半分は、とにかく批判できる材料を見つける、
ということかもしれないです。
>彼らは自分の国、自分の故郷のために自ら戦いに行きそうですが
ベルルスコーニは日本でも(一部の人たちのあいだで?)
評判が悪いけど、そういう側面もあるのですね。
意外でした。