世界経済フォーラム(ダボス会議)が毎年行なっている、
ジェンダーギャップ指数が、今年も発表されました。
この国際比較調査は、「経済」「教育」「健康」「政治」の、
4つの分野について、国ごとにスコアを算出して、
男女間の「相対的な格差」を示すというものです。
「The Global Gender Gap Report 2011」
「男女格差、日本は98位 先進国で最低水準」
(はてなブックマーク)
日本のデータはこちらです。
http://lacrima09.web.fc2.com/figs/japan-1.pdf
日本の総合順位は98位で、昨年の94位から下がりました。
日本の順位が過去に上がったのは、昨年2010年だけで、
それ以外は調査開始以来、毎年順位が下がっています。
したがって、今年は例年通りになったと言えます。
調査対象国は135ですから、下から数えたほうが早いです。
もちろん、いわゆる先進国の中では最低の水準です。
スコアは0.6514で、昨年の0.6524からすこし下がっています。
順位を調査対象国の数135で割ると0.726になりますが、
昨年は0.701だったので、これも下がったことになります。
夫婦別姓のように、数値化されないものは
ここには入らないのですが、それでも日本の男女間の格差は、
世界的に見て大きい、というわけです。
おそらく、日本でも格差改善はいちおうあるのでしょうが、
そのスピードは遅すぎて、他国の格差改善のスピードに
追いつかないのだろうと思われます。
2010年はめずらしく順位が上昇だったせいか、
男女平等指数に関する新聞報道も、多少見られたのでした。
今年は、また順位が下がったからなのか、
「外国から女性差別を批判される話題は書かない」という
日本のメディアの常套通り、新聞記事は共同通信だけみたいです。
日本の男女格差は、どこがとくに大きいのか、
個別のカテゴリのデータを見ていくことにします。
と言っても、去年と事情はほとんど同じだったりします。
下に4つのカテゴリごとのスコアを表示してあります。
「政治分野」の0.072と、「経済分野」の0.567が、
とりわけ低くなっています。
「教育分野」と「健康分野」は、日本は世界最高水準に近いですから、
それで全体の順位が下のほうというのは、
それだけ「政治分野」と「経済分野」がひどいことになります。
「経済分野」分野でとくにスコアが低いのは
「経営、管理」(0.10)で、スコアが去年とおなじ値です。
これは企業社会においては、意思決定の場は男性が大半を占め、
女性がその下に働いている状況にある、ということを示します。
「同一賃金」は0.51で去年の0.53からすこし後退ですが、
2009年までは0.46以下なので、これらとくらべると、
依然として格差は縮まっている状態にあります。
おそらく男性の正規雇用が減って、非正規雇用が増えたため、
男性の水準が女性並みに下がることで格差が縮んだ状態が、
いまだに解消されないのでしょう。
「政治分野」は、どのサブカテゴリも数値が低く、
「女性議員」が0.13、「女性閣僚」が0.13、
「国の代表者(最近の50人中)」は0.00(!)となっています。
2010年参院選の女性当選者は、2007年のときより
減っているのですが、全体の女性議員の数はふたり増えています。
それで「女性議員」のスコアが、去年の0.13を維持したものと思います。
「女性閣僚」のスコアも、去年と同じ0.13です。
菅内閣の一時期に、女性大臣がゼロになったことが
あったのですが、これは影響を与えなかったのでしょうか?
もともと女性閣僚の数はすくないので、
ゼロになっても、スコアにはほとんど影響ない、
ということなのかもしれないです。
関連資料:
去年までのエントリをご紹介しておきます。
「男女平等指数2010年」
「世界経済フォーラム〜男女平等指数」(2007-08年)