すこし前の話題で恐縮ですが、配偶者控除の2012年度の
廃止・縮小が「見送り」になりそうです。
なんだまたかという感じですね。
記事を見ると、消費税増税の議論の陰に、埋もれた感じです。
「配偶者控除、廃止見送りへ=12年度税制改正ー政府税調」
「政府税調:配偶者控除見直し 見送る方針を固める」
配偶者控除の廃止は、じつは去年も見送られたのでした。
2年連続して「見送り」ということになります。
民主党政権の実行力の脆弱さを、あらためて感じます。
去年は菅政権だから、実行力については、
あきらめの感もあったのですが、政権が野田に変わっても、
あまり向上はしなかったようです。
「配偶者控除廃止が見送り」
時事の記事によると、配偶者控除の廃止に関して、
「2013年度以降の実施を改めて検討する」と政府税制調査会は
言っているのですが、本当に実現できるのかと思います。
民主党政権は2013年で4年目、最後の年です。
結局実現できないまま終わるのではないか、という気がします。
「配偶者控除」とは、妻の年収が103万円以下のとき、
夫の所得税と住民税が控除され、税金が安くなるというものです。
(制度は性別に対称なので、夫が専業主夫でも適用されます。)
専業主婦の世帯が優遇される不公平な制度だと言えます。
配偶者控除には、専業主婦の「囲い込み」となるという、
大きな問題があります。
控除を得るために、年収がわざと103万円を超えない、
パートなどの低賃金労働を、女性がみずから望むことになるからです。
こうして女性の就労が抑制されることになるわけです。
「配偶者控除」
「配偶者控除(2)」
「基礎控除への一本化案」
毎日の記事を見ると、野党など(おもに自民党だと思いますが)が
「家族制度の崩壊につながりかねない」などと言って、
配偶者控除の廃止に反発しているとあります。
ライフスタイルの不公平は是正してしかるべきだし、
財源だって確保する必要があるでしょう。
いったいなんなのだと思ってしまいます。
配偶者控除は、夫が外で働き、妻は家庭で専業主婦という、
ライフスタイルに、もっとも適合するようにできています。
これは、彼ら反対派が幻視する「理想の家族」であり、
ここに抵触するからなのは、想像にがたくないです。
ライフスタイルの公平性や、財源確保という実用性よりも、
イデオロギーが優先されている、ということでもあります。
だってその方がパートで働くインセンティブもなくなるでしょうから、完全に主婦を家庭に居させることができる、というようにも考えていけますから。
保守派の本音は「理想の家族」を建前に低賃金のパート労働者を確保したいということなのだと思われます。
>完全に主婦を家庭に居させることができる、
その場合はやはり、控除が適用されるのは、
厳格に収入なしとすることではないかと思います。
控除が適用される年収のところが、制度で得をするか
損をするかのラインだと思うので。
いずれにしても、パートで補助的な収入を得ている程度なら、
「理想の家族」像の専業主婦からはみ出さない、
ということなんだろうと思いますよ。
控除に関しては共産党も似たようなもので、金持ち優遇批判をする一方で、「所得控除は金持ち優遇ではない」と強弁して控除を守りたがります。
どっちも、1960年代以降・高度成長時代の家族像が好きだということですね。民主党にもそういう人が大勢いるのでしょう。
結局、低所得で独身or配偶者扶養できない若い世代が割を食う制度が続いてしまうんですけどね。
あるいは、今後老親の介護といった問題が深刻になってきて、結局それは主婦に担わせるしかないとされて、主婦は外で働くよりも家庭に戻ってもらおうという思惑が絡んできているのかもしれません。
女を働きにくくして、更にそれらの問題を与えれば余程のお金持ちでなければ解決(家政婦さんなど)はできませんしね。そしてお金持ちも相続問題でいなくなっていくでしょうし。
そのうち、また「女は学校行かなくていいよ」という世の中が来る気がするのですが。もうアンティークになった問題を更に掘り起こしてどうするんでしょうね。しかしそんな女を養える男は、今の世の中に少ないです。若い男たちはほとんどそんなことは望んでない気がします。
政治家の保守派は、そんなに昔の方がよかったのでしょうか。悪いことは忘れやすい…とはいいますが、哀しいですね。
恐らくその通りでしょう。
http://dogmarion.cocolog-nifty.com/seso/2011/02/post-c066.html
このエントリにコメントをくださりありがとうございます。
>「金持ちに手当なんてけしからん」とPRしながら、
>大金持ちに子ども手当並みの減税はオーケー、
あきらかに矛盾していますよね。
民主党は、自民、公明とこのあたりについて議論になったとき、
なんて言っているのかなと思います。
(「ねじれ国会だから」とかなんとか言って、
腰の引けた議論をしているんでしょうか。)
公明党は、「自分たちの児童手当は正しくて、
民主党の子ども手当はまちがってる」という、
党のメンツが優先されているのだと思います。
自民党のベースは、「子ども手当てはポルポト」という、
とち狂ったイデオロギーでしょう。
>控除に関しては共産党も似たようなもので、
共産党の考えもよくわからないですね。
彼らもしょせんは、55年体制時代をよかれとするのかもしれないです。
>民主党にもそういう人が大勢いるのでしょう。
民主党内で反対している人たちは、どんな考えなのか
よくわからないけれど、エントリで書いたような
「理想の家族」幻想に固執しているのかと推測します。
またまたコメントありがとうです。
「介護は嫁の役目」という前時代への逆行ですか。
「理想の家族」が好きな人たちは、考えていることと思いますが。
このエントリにコメントをくださり、ありがとうございます。
女性の労働を活用せよ、というのは、いろんなところで
言われているんですけれどねえ。
政治の世界は、危機感がうすいのか、それをも完全に勘違いしているのか、
まったく腰が重いようです。
>そんな女を養える男は、今の世の中に少ないです。
>若い男たちはほとんどそんなことは望んでない気がします
きょうびは、妻に専業主婦になってほしい若い男性、
というのは、実際に減っているみたいですね。
収入もふじゅうぶんだし、雇用が不安定なので、
自分が養っていく自信がないからだけど。
>政治家の保守派は、そんなに昔の方がよかったのでしょうか。
過去の家族を「理想の家族」と幻視しているのは、あると思います。
「悪いことは忘れやすい」という心理も、そこにはあるのでしょうね。
このエントリにコメントをくださり、ありがとうございます。
お返事が遅くなってもうしわけないです。
>http://dogmarion.cocolog-nifty.com/seso/2011/02/post-c066.html
ご紹介ありがとうございます。
「男性の専業主夫志向が強まっている」と、
傾向として言えるかどうかは、わからないです。
それでも、専業主夫になる男性が、
ぽつぽつと増えているのはたしかなようですね。