2012年01月09日

toujyouka016.jpg 女姓婚が増えている

「女姓婚」なるものが増えているそうです。
「女姓婚」というのは、なんのことかと思ったら、
結婚して女性の苗字を名乗る結婚のことです。

「妻の姓名乗る「女姓婚」増加 “主夫”願望、男性の経済力低下」

 
記事を見ると、結婚して女性の苗字を選ぶ割合は、
1975年は1.2%、2000年は3%、2010年は3.7%となっています。
1998年の厚生白書を見ると、1996年に2.7%です。
ほんのちょっとずつですが、たしかに増えてはいます。

「女姓婚」が増えた背景としては、男性の経済力の低下や
「主夫」願望と、女性が結婚しても苗字を変えずに
お仕事を続けたいという希望が、合わさったものと考えられています。

メリットとして女性は旧姓のまま仕事が続けられ、
夫の家に嫁いでからの嫁姑問題が回避できる。
男性は、女性を養うという義務感から解放され、
低所得でも結婚へのハードルが下がる。
女性主導のため、いわゆる「草食系男子」でも結婚しやすいという。

『女姓婚のススメ』(伊達 蝶江子著)という本があるので、
これをご覧になれば、もっとくわしくわかるだろうと思います。
(わたしは読んでいない。)


>この記事に対するわたしの雑感

はじめに、「女姓婚」という特別なネーミングが作られるのは、
いたしかたないのだろう、ということがあります。
「婿養子」と誤解されないだけでも、ましと言えるでしょうか。

民法の規定は男女平等だといくら強調したところで、
男性の苗字を選ぶ割合が96%以上です。
女性の苗字を選ぶのは、「特例」と言わざるを得ない、
という厳然たる事実があることになります。


ふたつ目は、女姓婚が増えた背景に、男性の経済力の低下がある、
というのは、結婚改姓して相手の苗字を名乗ることは、
相手に対する従属をしめしている、ということです。
記事にも「男のかい性は幻想になった」とか、
「女性主導のため」とはからずも書かれています。

選択別姓反対派の中には、女性が当然のように
改姓することに対して、「妻を従属させているわけではない」と
言う人もいるかもしれないです。
しかし、男性が改姓するときは、相手への従属をしめすことが、
現れてしまっていると言えます。


3つ目は、夫婦別姓に関する言及がないことです。
主旨ではないとはいえ、すこしくらいは
触れてもよいのではないかと思ったかたも多いでしょう。
産経新聞は、かねてから選択別姓制度に
反対しているので、出てこないと考えられます。

記事には、お仕事などキャリアの理由で、結婚しても
苗字を変えたくない要求が、女性に高まったとあります。
挙げられているケースは、おなじ要求が男性には
弱かったから、「女姓婚」でかみ合ったのでしょう。

実際には、男性側にも、結婚しても苗字を変えたくない
要求はあることも、たくさんあるはずです。
「女姓婚」では、結婚改姓の不都合を、女性から男性に
スライドさせただけということも、たくさんあると思います。

また前述のように、結婚改姓が相手への従属をしめすことが
はからずでも出て来ています。
本当に「互いに自立し、家庭を作りたい男女」であれば、
結婚改姓をおたがいに要求しない、
夫婦別姓を望むことが、多くなりそうなものです。


それから、「姓を持った明治以降も、男性の1割は
跡取りのいない妻方の家に入っていた」と記事にありますが、
これは正真正銘の「婿養子」です。

明治時代の民法は、結婚して妻の苗字を名乗るには
かならず婿養子になると決まっていました。
これによって、入り婿した妻の家の「家長」となるわけです。

結婚改姓して妻の苗字を名乗っていると言っても、
いまよりも男性にとってステータスがあったのであり、
単純に現代と比較することはできないと思います。

posted by たんぽぽ at 15:19 | Comment(12) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
>男性は、女性を養うという義務感から解放され、
>低所得でも結婚へのハードルが下がる。
>女性主導のため、いわゆる「草食系男子」でも結婚しやすいという。

記事を読むと、これは特に裏付けがある訳でもなくただの想像でしかないようですね。
妻の姓を名乗る男性が微増しているのは、そんな裏の理由をつけなくても、単に妻の姓を名乗ること自体への抵抗がなくなった結果、としてもよさそうですよね。
Posted by pulin at 2012年01月09日 16:20
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>これは特に裏付けがある訳でもなくただの想像でしかないようですね

そうなんですよね。
いわゆる「草食系男子」でも、結婚したら
妻に自分の苗字を名乗ってほしいと思っている男性が、
多いのではないなのか、と思います。

それとも本を見れば、具体例が出ているのかな。
自分のほうが稼ぎがすくなくて、「主夫」業をやっているので、
妻の苗字を名乗っている、という男性がいる、
というお話は聞いたことあるんだけど。
Posted by たんぽぽ at 2012年01月09日 23:48
『男性の稼ぎが減ったのだから、夫婦共働きが標準となって、
そう言う夫婦形態には、別姓が馴染むと言う考え方もある。』
・・・ってのが、オーソドックスな発想だと思うのですが、
決してそうは行かないところが、産経だと言う事でしょう。
意識的に夫婦別姓を除外して話を進めている感じがとてもします。

>厚生労働省によると、昭和50(1975)年に結婚した
>夫婦のうち女性の姓を選択したのは約1・2%。平成12
>(2000)年は約3%、22(2010)年は約3・7と、
>ゆるやかながら増えている。
の次、
>このデータには婿養子も含まれるが、

昭和50年以降も「婿養子」制度があったかのような書きようも
いかにも産経と言ったところでしょうか。
現行民法では「婚姻」+「養子縁組」はあれど、「婿養子制度」
は無い、と言うのが私の認識でしたが、間違っているのかな??

>夫の家に嫁いでからの

こうなるともう、はいはいはい・・・って感じで
産経新聞の面目躍如って感じですね。

>男女平等の価値観のもとで仕事や家事、育児を分担する
>ライフスタイルの反映でも
あるのは「女性婚」ではなくて「夫婦別姓」だろ!
ってやっぱり思ってしまう記事でした。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2012年01月10日 13:22
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>意識的に夫婦別姓を除外して話を進めている感じがとてもします

そう思ったかたは、たくさんいるのではないかと思います。

産経新聞も、女性がキャリアなどの理由で、
苗字を変えたくない事情がある、というのは
理解しているんだろうと思います。
それで、夫婦別姓を認めずに、女性側の要求が満たされる
結婚のスタイルとして、ちょうどいいものがあったので取り上げた、
というところなのかもしれないです。

>昭和50年以降も「婿養子」制度があったかのような

それもご指摘の通りですね。
(ご認識は間違っていないですよ。)
現行民法で「婿養子」的なことをやろうとすると、
婚姻と養子縁組みのふたつの手続きを行なうことになりますね。

この場合、夫の苗字に改姓したことになるでしょうから、
厚生労働省のデータには、含まれないだろうと思います。
この部分でも、産経の記事は間違えていますね。

>あるのは「女性婚」ではなくて「夫婦別姓」だろ!

べつのところでは「女性主導なので」と書いているのに、
「男女平等の価値観」とも書くあたり、
夫婦別姓に触れたくないがゆえの、お茶濁しを感じますね。
(「男女平等のためなら、夫婦別姓でなくても、
女姓婚でもじゅうぶん」と言いたいような。)
Posted by たんぽぽ at 2012年01月10日 19:13
妻方の姓での婚姻だけをして「養子に入った」という発言が普通にまかり通っていること自体、法律を無視しちゃってますからね…。「保守バイアス思考」が一般に広まっているのが問題なんだと思います。

もうお家制度は大昔に終わったんですよーと叫びたいです。産経さんはこの「保守バイアス思考」を優先していると私も思います。お家制度が生きてるなら、男子の兄弟の家庭はバラバラに住んでちゃダメなんですよねえ。

で、一般にこれを広めている張本人の話です。話は変わりますが、もうそろそろ「結婚」を「入籍」と呼ぶのをやめてほしいなと思いますね。聞くたびに知識の無さをお茶の間に流しているのを感じて恥ずかしいです。かつてメディア関係者(特に新聞)は高学歴を自負していたのに。これもバイアスそのものだと思います。メディアが法律用語を意図的に言いかえるなんて、病んでますね。
Posted by mmm at 2012年01月11日 10:21
お久しぶりです、ロッキーロードです(^^)
女姓婚(どうでもいいですがヘンなネーミングですね)が増えた理由は、案外単純に「自分の姓へのこだわりが薄い男性が増えた」ということじゃないでしょうか。
(それと「結婚改姓したい」と言い出した息子に対して、強硬に反対する「イエ第一」の親爺が減った、というのもあるかも?)
それなら私の周りの実感とも一致します。

そもそも、結婚改姓に至る(あるいは事実婚を選択する)までには、それこそ夫婦の数だけ事情があると思います。支配・被支配みたいな見方だけにに押し込めないでほしいなあ。…
Posted by ロッキーロード at 2012年01月11日 16:53
mmmさま、このエントリにコメントありがとうです。

>妻方の姓での婚姻だけをして「養子に入った」

妻の苗字に改姓しただけで、「婿養子」だと
誤解するかたは、残念ながら多いですね。
産経の記事も、「男性の改姓の中に婿養子が含まれる」と
誤解にもとづいたことを書いていますし。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/related/adopted.html

戦前民法の影響が強いのでしょうけれど、
男性の改姓がそれだけ特別視されるのもあるのだと思います。

その意味では、いささか妙なネーミングだけど、
「女姓婚」と言ってくれて、婿養子でないことを
はっきりしてくれたのは、よかったのかもしれないです。


>もうそろそろ「結婚」を「入籍」と呼ぶのをやめてほしいな

結婚をなぜ「入籍」と言うようになったのかもなぞですね。
ふつうに「結婚」と言うよりはしゃれた表現だ、
と思われているのも、あるのかもしれないです。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/related/register.html

「婚姻届け」とはべつに「入籍届け」というのもあるので、
お役所で使うと、たまに誤解されることもあるんだけど。
Posted by たんぽぽ at 2012年01月12日 22:46
ロッキーロードさま、おひさしぶりです。
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>案外単純に「自分の姓へのこだわりが薄い男性が増えた」ということじゃ

増えたと言っても、高だか数パーセントですからね。
自分の姓へのこだわりが薄い男性の増加だけで、
じゅうぶん説明ができそうではありますね。

たとえば、「「草食系男子」でも結婚しやすい」とか、
根拠があるとは思えないし、「後づけの理屈」のような
感じもしますね。
(あるいは、『女姓婚のススメ』という本を見ると、
いくつか具体例が出ているのかもしれないです。)


>支配・被支配みたいな見方だけにに押し込めないでほしいなあ

ご指摘のとおり結婚の事情はさまざまですから、
結婚改姓に「支配・被支配」の関係を感じさせる
側面もある、というだけで、すべての結婚が
「支配・被支配」の関係でないことは、もちろんです。

ただ、「女姓婚」の記事の「理由付け」に関しては、
結婚改姓が「支配・被支配」の関係、という側面が、
染み出ているとは言えると思います。
Posted by たんぽぽ at 2012年01月12日 22:49
ちょっとポイントがずれるかもしれませんが。
男性が改姓するのは、遅々として進まないこの世の中にあっては、あくまでも次善の策としては「あり」かなあ、と個人的には思います。隷属云々の発想は言語道断として、結婚すると周りの人はさも当然のように、女性側に「苗字はどうなったの?」と聞きますよね。通称使用したいと言っても、一部それを認めず相手側の姓で呼びたがる人もいます。男性側が改姓すれば、男性が改姓するとは思っていない人が多い中、スムーズにその男性は本来の姓(通称)で呼ばれやすいのではないかと思います。とはいえ、女性側の問題を男性側にスライドさせているだけ、とは私も思います。
Posted by さわ at 2012年01月13日 16:39
さわさま、
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>あくまでも次善の策としては「あり」かなあ、

記事に出て来る事例のように、男性側と女性側とで、
ニーズがかみ合うなら、むしろ男性が改姓すればよいと
わたしは思います。
男性の改姓自体が悪いとはぜんぜん思わないです。

>スムーズにその男性は本来の姓(通称)で呼ばれやすいのではないかと思います。

実際に、男性が通称を使用した場合、同情されたり、
受け入れられやすかったりするようですよ。
通称使用するならむしろ男性が、というかたもいるようです。

>女性側の問題を男性側にスライドさせているだけ、とは

「互いに自立し」とか「男女平等の価値観のもと」
なんて、記事には書いてあるものでね...
たがいの自立でも男女平等でもなく、問題をスライドさせて
いるだけじゃないのかと、思ってしまいます。
Posted by たんぽぽ at 2012年01月14日 16:36
夫が妻の姓を名乗るにしても
結局、(社会が)戸籍上の名前を名乗らせたがるという、戸籍の規範力の強さが問題になっってきますよね。
職業によっては、ペンネームや芸名、あるいは代々名乗ることになっている名前などの使用が認められているものもありますが、勤め人ではなかなかそれが許されない。
勤め人が職業の場において使う名前は常に戸籍に合わせなければならないとする暗黙の強制があるわけです。
Posted by 御光堂 at 2012年01月15日 07:35
御光堂さま、またまたコメントありがとうです。

ご指摘の通り、日本人の「戸籍の名前が正しい名前」
という社会通念は、強烈なものがありますね。
外国はもっと名前の扱いが自由なところも、たくさんあります。

夫婦別姓や通称使用に関する問題も、
戸籍の名前の強制力が、原因のひとつとなっていますね。
なので、夫婦別姓に関心のあるかたは、
戸籍の廃止も主張していることが多いんだけど。
Posted by たんぽぽ at 2012年01月16日 22:50
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