真に受けている人がいるのですね。
https://twitter.com/papasolitude/status/169189211658911744
民主党が本気で建て直しを目指すなら【男女共同参画】予算、
毎年4兆円から10兆円を即日撤廃すべき!
男女平等にこれほどの巨額な予算は不要。
寧ろ、その予算で男女共同参画の一部は日本解体を平然と行ってきた。
民主党議員が知らなかったとは言わせない!
日本解体予算や家族解体予算はまったく不要!
「男女共同参画に予算が10兆円も使われている」というのは、
そのむかしバックラッシュの人たちが騒いでいたことでした。
彼らはもちろん税金の無駄遣いだと言いたいわけです。
(なぜか防衛費と比較する論調があったのでした。)
さらにはフェミニズム陰謀論にまで、発展させることもあったようです。
これをご覧になったあなたは、これはなにかおかしい、
こんなことがあるはずないとお考えでしょう。
実際はどういうことなのかを検証したのが、つぎの記事です。
「「男女共同参画予算10兆円」のカラクリ」
この記事によると、2005年度の「男女共同参画推進関係予算」は、
たしかに10兆6045億円となっています。
ところが、内訳をくわしく見ていると、
(6)「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」という項目があって、
ここに全部で約9兆円も使われているのでした。
介護給付費の国家負担金 --- 1兆9518億円、
厚生年金の国庫負担 --- 4兆5394億円、
国民年金の国庫負担 --- 1兆7201億円
(6)の総額 --- 8兆9854億円
ようするに、「男女共同参画の予算10兆円」のうち9割近くが
高齢者福祉に関係する予算だったのでした。
厚生年金と国民年金にかぎっても、6割を占めています。
純粋な意味でのジェンダーに関する予算は、
全体の1割程度にすぎない、ということです。
2006年度の予算からは、全体の6割を占める年金と
それ以外の部分(「当面特に留意すべき事項」)とが
別の項目としてわけられることになります。
それで「男女共同参画の予算が4兆円」になるのですが、
その内訳はつぎのようになっています。
「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」(介護給付費を含む)
--- 約2兆9000億円
「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」
--- 約1兆2000億円
「男女共同参画社会を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」
--- 約1400億円
2006年度男女共同参画推進関係予算の総額
--- 約4兆4000億円
4.4兆円のうち約7割が高齢者福祉の予算で、
ジェンダーに関する政策は約3割の1兆円とちょっとです。
単に項目をわけただけで、増額されたのではないですから、
とうぜんと言えばそれまででしょうね。
ちなみに、項目を年金とそれ以外とにわけたのは、
高齢化社会が進んで、年金の予算がどんどん増えて、
関係予算の全体像が見えにくくなってきたからです。
項目わけをしないままでしたら、年金の予算がふくらむことで、
「男女共同参画の予算」がふくれることになりますから、
バックラッシュの人たちのバッシングの対象に
なり続けていたのではないかと思います。
ところで高齢者に関する予算が、なぜ男女共同参画の
予算の中に項目として入っているのかです。
(年金をわけたあとも、他の高齢者予算はいっしょになっている。)
これはおそらく、かつては(いまも?)介護が「嫁」の仕事だったので、
高齢者福祉が女性問題と不可分だったころの
名残りではないかと考えられます。
「10兆円」のからくりを検証した記事は、
荻上チキさんによるもので、『バックラッシュ!』の
刊行を記念して書かれたものです。
この記事によって、「男女共同参画に予算10兆円」の論調は、
バックラッシュの人たちのあいだでも、
鳴りを潜めていったのではないかと思います。
最初のツイートは、「家族解体」「日本解体」などと言っていて、
あきらかに「あっちの世界」のかたです。
それでも『バックラッシュ!』の刊行から6年も経った
現在においても、「10兆円」を真に受けているというのは、
いくらなんでも「周回遅れ」すぎるのではないかと思います。
これこそが日本解体が進んでいるということになりそうですが、そこは個人の努力が足りないとか女性が我侭になったからとかいう次元の話でごまかしてしまうのでしょうか。
高齢者福祉が女性問題と不可分だったころの
名残りではないか
今、介護は実子の役割という意識が浸透しつつありますが、それでもまだまだ「女」の仕事という意識は抜けないですね。
老親の介護をしている「息子」って殆どが独身で、女姉妹がいないケースが私の知る限りでは殆どです。逆に言うと娘がいれば娘、娘がいなければ嫁が介護を担うという現状では?
かつては男は仕事で一家を担う、という分業がなりなっていたけれど、今は共働きしないと子供も持てない時代になっているわけですから、女性だってそうそう介護で仕事は辞められない現実があるんですよね。
このエントリにコメントありがとうございます。
>家族解体どころか家族形成さえままならなくなっている現状を
>どう捉えるのでしょうね
そういえば、どう考えているのでしょうね。
なんとも言わないのでわからないですね。
>個人の努力が足りないとか女性が我侭になったから
>とかいう次元の話でごまかしてしまう
結局、そこへ行きそうな感じですね。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>それでもまだまだ「女」の仕事という意識は抜けないですね。
やはりそういうところはあるのですね。
>老親の介護をしている「息子」って殆どが独身で
介護の役目が男性にまわってくるのは、
女性の中に要員がいないとき、という感じなのですね。
>女性だってそうそう介護で仕事は辞められない現実があるんですよね。
「介護は嫁の役目」というのは、まさに夫が外で働き、
妻は家庭に入って専業主婦、という家族観ならではの
考えかたですね。
そんなに不要と思うなら、アンタの親の老後生活と介護、自腹で全部面倒みろよと言いたくなったりします。
それはさておき、年金や介護の予算が男女共同参画予算に入っているのは、官僚が海外向けにアピールしたかったから、というのもあると思います。
日本は男女平等度が先進国の中でかなり低いので、「これだけ予算を割いて男女平等に取り組んでおります」と。
(国内では年金は主に高齢者の生活保障であって、男女共同参画予算だなどと報じていませんからね)
まあ、それが、金銭感覚がなく、予算・決算書を読めない方々におかしないちゃもんをつけられることになったのですが。
このエントリにコメントありがとうございます。
>まだ言ってる人がいるのですね。>男女共同参画に10兆エ〜ン!(笑)
ほんと、まだ言っている人がいるんだ、という感じですよね。
わたしもちょっと意外に思ったくらいです。
>官僚が海外向けにアピールしたかったから、というのもあると思います。
なるほど、予算を大きく見せて、ジェンダー政策に
力を入れているように見せかけよう、ということなのね。
(そうやって「見栄を張る」ということは、
日本の男女平等の度合いが、先進国の中で
かなり低いのは「情けない」という感覚はあるわけね。)
>(国内では年金は主に高齢者の生活保障であって、
>男女共同参画予算だなどと報じていませんからね)
国内では、年金や高齢者対策の予算が、男女共同参画の予算に
ふくまれていることは、ぜんぜん報じられないですね。
(おかげで、わたしも知らなかったんだけど。)
たしかに国内に対しては言う必要がないし、
報じれば不可解に思う人もたくさん出て来て、
説明に苦しむことになるでしょうけれど。
>介護は嫁の仕事
実質そうですよ。だから嫁の仕事であるはずのものに税金を出すのは間違っているという保守派の意見はある種筋が通っているわけです。残念ながら、「人は家庭を持たなくてはならない」というもう一つの柱はすっかり無視されて久しいですが。
ただ、「嫁の」というだけではないですね。ひどい場合、「未婚の娘」と「未婚の息子」がいる場合、息子たちが生前相続して(大昔確かに女は相続権が無かったけれど今はあるはずなのに)親の介護は娘に、なんて場合も多く耳にします。介護育児は「女の役割」という感覚なんでしょうね。そして親もそれは普通のことだと望むから「娘が拒否できない」ということもあるらしいです。ま、人から聞いた話ですが。
問題は繋がっていると感じますね。短いだろうと思って糸を引っ張ったら、ずるずると5メートルも10メートルも出て来たというのが現状でしょう…無意識的に「保守的であるのが安全」と思っていたこともありますが、保守的というのはとても「えぐい」と感じます。
このエントリにコメントありがとうございます。
>>介護は嫁の仕事
>実質そうですよ。
おお、またまたおなじ意見のかたがいらしたです。
>だから嫁の仕事であるはずのものに税金を出すのは
>間違っているという保守派の意見は
基本的に彼らは、家庭のことは自分たちでやれであって、
福祉で解決することとは考えていないですね。
それでも「年金はばらまきだ」のような批判は
顕在化しないし、高齢者層の既得権益のように
見られることもありますから、まがりなりにも定着した部分は
あるのかもしれないです。
>「未婚の娘」と「未婚の息子」がいる場合、
>息子たちが生前相続して親の介護は娘に、なんて場合も
利益は男が持って行き、負担は女に押し付ける、ということですね。
ちなみに「娘」ではなく「嫁」だと
本当に法定相続人でなく、相続ができないですね。
それで「嫁養子」というのがあってもいいではないか、
「嫁」も財産分与に預かれるようにするべきだ、
という意見も聞くことがあります。
>顕在化しないし、高齢者層の既得権益のように
>見られることもありますから、
>まがりなりにも定着した部分は
>あるのかもしれないです。
年寄りたちに頭が上がらないから彼らに不都合な意見ができないのでは…しかしお年寄りの中でも、年金を受け取っておいて子どもへの福祉に反対しているのはあまりに不遜というか傲慢というか…そういう感想を持ちますね。
>「嫁養子」というのがあってもいいではないか
その意見を出している人は、その「嫁」と実両親との関係をどうしたいんでしょうね?縁を切らせるのであれば婚姻届と同時に義両親と養子縁組すればよいと単純に思います。実両親との関係をそのままにしてこれをやるのは不可能かと。1人の女性に4人の親がいることになりますから、相続そのものや相続税がめちゃくちゃなことになります。
年金は現役時代に保険料を払ったから受け取るのは当然の権利。一方的に金をもらう手当とは違う、という感覚があるのかもしれません。
今の年金制度は積立貯金ではなく、払った保険料に比して多額の受給になっているのですが(ある程度長生きした場合は)、そこを埋めているのが件の「男女共同参画10兆円」の大半なんですよね。
>「嫁養子」
「婿養子」制度は今の民法にはなく、旧民法の規定です。家制度の名残で俗に「婿養子」と称しているだけですね。
嫁養子を法的に作るなら婿養子を復活させなければいけないでしょう。
しかし、配偶者の親と親子関係を作るなら現行制度の養子縁組をすればいいので、わざわざ「婿」「嫁」と付ける意味はありません。
財産分与にあずかれるようにするなら、遺言状を作る手もあります。
面倒だ、他の相続人とモメる、といった問題はありそうですが、それは養子とて同じでしょう。
普通養子であれば実親との親子関係は解消されないので、1人の女性に親4人はあり得る話ですね。
「嫁養子制度を作るべき」という意見は初めて見ましたが、どういう意図なのかわかりません。「嫁」の夫が健在なら夫は親の財産を相続でき、それを妻(嫁)が相続できます。夫が既におらず妻が夫の親を介護するケースもあるのでしょうが、現行制度で財産を渡すことができるのに、あえて「嫁養子」を特設すべき理由があるのか疑問です。
配偶者控除や年金第3号などは、「妻の内助の功に報いる」という理由づけもされます。
嫁の介護に報いるという美名で、介護から逃れられないようになってしまうのでは、という気がします。
またまたコメントありがとうございます。
>年金を受け取っておいて子どもへの福祉に反対しているのは
>あまりに不遜というか傲慢というか…
わたしもそう思います。
現在年金を受け取ろうとする人たちは、団塊の世代だけど、
なんだかんだで発言力がありますからね。
それで彼らの利益に反する意見がもみ消されるんだと思います。
>その意見を出している人は、その「嫁」と実両親との関係を
>どうしたいんでしょうね?
相続を円滑にするためだと聞いています。
夫の親と養子縁組をして、法的な親子になれば、
「嫁」でも実子と同等の法定相続人になれますからね。
「嫁だから相続できない」ということを防げるわけです。
このエントリにコメントありがとうございます。
>一方的に金をもらう手当とは違う、という感覚が
子どもへの福祉は、ちょっとひねくれた見かたをすれば、
「未来への投資」とも言えるので、一方的ではないんですけれどね。
(「未来」だから自分たちとは関係ないと考えている
年金受給世代の人たちも、たくさんいるのかもしれないけれど。)
>そこを埋めているのが件の「男女共同参画10兆円」の大半なんですよね。
まさにそうですね。
(お話がもとにもどった。)
>「婿養子」制度は今の民法にはなく、旧民法の規定です。
>家制度の名残で俗に「婿養子」と称しているだけですね。
ご指摘の通り、戦後のいまの民法には
「婿養子手続き」というものはないですね。
現行民法でこれに近いことをしようとすれば、
婚姻届けを出すとともに、配偶者の親と
養子縁組をすることになります。
>「嫁養子制度を作るべき」という意見は初めて見ましたが、
>どういう意図なのかわかりません
わたしがここでいう「嫁養子」というのは、
「夫の親と養子縁組をする」ということです。
戦前の婿養子制度とおなじような嫁養子制度を作れ、
ということではないです。
上のコメントでお話したように、
夫の親と養子縁組をするのは、相続対策だと聞いています。
養子縁組をして法的な親子関係になると、
法定相続人になれる、ということなのでしょう。
ご指摘のように、遺言状を書くことで、相続人を任意に
決めることができますが、法定相続人になっておけば
面倒はすくない、ということではないかと思います。
それからここでの問題は、「嫁だから相続できない」
という事態を避けたい、ということですね。
(「嫁」が実子と同等の相続の権利を持つようになることは、
了解済みという前提だと思います。)
「介護してくれるから相続させたい」という意向で
養子縁組するケースもあるのだろうと思います。
(「相続させるから介護しろ」ではなく。)
あとほかに、養子縁組をする理由として考えられるのは、
相続税の節税ではないかと思います。
「相続税の節税対策 養子縁組の注意点」
http://allabout.co.jp/gm/gc/10948/
>>年金は現役時代に保険料を払ったから受け取るのは当然の権利。一方的に金をもらう手当とは違う、という感覚があるのかもしれません。
うーん、それでは「社会保障」と称して政府がやる必要はないんですよねえ…年金は民間の保険会社や企業でやってください、となりそうな。そうではないから存続させようという方向性で認識してます。
>>夫が既におらず妻が夫の親を介護するケースもあるのでしょうが、現行制度で財産を渡すことができるのに、あえて「嫁養子」を特設すべき理由があるのか疑問です。
うーん…相続に関わる人全員で家裁に行って個別に決めてもらうのが最初かもしれないですね。
>たんぽぽさん
>>夫の親と養子縁組をして、法的な親子になれば、
>>「嫁」でも実子と同等の法定相続人になれますからね。
ああなるほど、子ども夫婦を「きょうだい」状態にしたいってことですかね。
>子ども夫婦を「きょうだい」状態にしたいってことですかね
そういうことです。
ふつうは単に「夫の親と養子縁組する」とだけ言うのであって
「嫁養子」なんて言いかたは、たぶんしないでしょうからね。
わかりにくかったかなと思います。
余談だけど、相続の問題をクリアにするために、
妻の親と「婿」が養子縁組することは、よくあるみたいです。
それなら夫の親と「嫁」が養子縁組したっていいではないかと、
考える人たちも出て来たということです。