単身女性の3人にひとりが貧困状態という、
ショッキングなことが、散発的ながら話題になっています。
これは「国立社会保障・人口問題研究所」の調査です。
(オリジナルの資料を探したのですが、見つからなかった。)
「単身女性の3分の1が「貧困状態」」
「単身女性、3人に1人が貧困 母子世帯は57%」
「単身女性32%が「貧困」 20〜64歳、国立研究所分析」
「「えっ、3人に1人!」 無視され続けた女性の貧困問題の窮状」
算出しているのは「相対的貧困率」という数値です。
これは所得から、税金や保険料などを全部差し引いた
残りである「可処分所得」を高いほうから順に並べて、
真ん中になる人の可処分所得の半分に満たない人を
「貧困」として、その割合を調べたものです。
そして勤労世代(20-64歳)の単身女性の32%が
相対的貧困というのが、冒頭でお話した数値です。
65歳以上の高齢層になると、単身女性の貧困率は52%です。
また19歳以下の子どもがいる母子世帯では57%となっています。
高齢の単身女性や母子家庭は、さらに生活が
きびしい様子が、浮き彫りになっています。
日本がこんなに貧困の蔓延している国だ、というのは、
意外だったかたも多いのではないかと思います。
GDPで第2位だか3位だかの経済大国なのに、
じつはちっとも豊かでなかった、というか、
富が偏在しているのだと思います。
ちなみに、勤労世代の単身男性の
相対的貧困率は25%で、4人にひとりになっています。
男性もじつは、他人ごととは言えない数字なのですが、
女性のほうに貧困が偏っていることは確かです。
なぜ女性に貧困が集中しやすいのかというと、
前のエントリでお話した、男女間での賃金格差が、
原因のひとつであることは、容易に想像できるでしょう。
人口問題研究所の阿部彩部長も「以前から女性が労働環境で
置かれている地位は低」いことを挙げています。
日経BPの記事を見ると、働く女性の多くが
非正規雇用であることが指摘されています。
このような雇用管理区分が「同一価値労働同一賃金」の
原則に反することになって、男女間に賃金格差を
もたらしているのは、すでにお話した通りです。
さらに日経BPの記事には、「この問題を報じたのは
朝日新聞だけだった」とあります。
わたしも朝日の記事しか知らないです。
たぶん、ほかの新聞社は報じていないでしょう。
(たいぶあとになって、共同通信の記事が出ている。)
そして日経BPの記事では、なぜこのような深刻な問題を、
他紙は取り上げないのか、と疑問を呈しています。
記事のあとのほうで、格差問題や貧困問題は「見て見ぬふり」を
されやすいことや、とくにシングルマザーは
偏見にさらされることに言及しているのですが、
おそらくこれが記事著者の考えるお答えなのでしょう。
じつはわたしもおなじことを思っています。
どうも貧困問題というと、一部の心ない人たちの、
保護受給者に対するバッシングが目立つと思います。
そして世間的には、なんとなくほおっかむりされる
傾向があるのではないか、という印象があります。
2012年03月19日
この記事へのトラックバック
国民新党の分裂と『再分配』考
Excerpt: 民主党が2014年に消費税を引き上げる法案を閣議決定した結果、国民新党が分裂状態となっている。 消費税引き上げに反対する亀井静香氏は連立離脱を表明したが、郵政相の自見庄三郎氏は連立にとどまる・・....
Weblog: 早乙女乱子とSPIRITのありふれた日常
Tracked: 2012-04-01 19:51
さらに家族内貧困とでも言う現象が拡がっているかもしれません。家族に抱えられているとしても金銭的自由がなければ貧困と同じことですから。
このエントリにコメントありがとうございます。
わたしのお返事が遅くなってもうしわけないです。
>日本の福祉は家族内福祉に頼ってきたので
>家族から離れた単身者の貧困現象が現れるのかもしれませんね
なるほど、そうなのかな。
わたしはわからないんだけど、そういう関係があることを
調べた研究も、どこかにあるかもしれないです。
もし見つけたら、ご紹介したいと思います。
シングルマザーの貧困については、男に依存しない女に
対する懲罰、という理解がなされることがありますが。
同じ屋根の下にいても、高キャリアの女性と、派遣労働者では待遇では雲泥の差で、やりきれない思いです。どちらも職を転々としてるのは同じだけど、前者は給与がはね上がってくからね。
じゃあ年功序列終身雇用は公平だったかというと、これも若年女子労働者を搾取してたわけだしね。
もう少しヨーロッパから色々学ばないといけないね、日本は。
今3-40代で親元同居のシングル女性ってたまたま私の周囲だけかも知れませんが多いです。彼女らの中には高収入のキャリアウーマンもいますが、非正規雇用でアルバイトを転々としていたり、月の収入が(多分)10万以下の人も結構居ます。国保に入ってないという人すら居ます(当然、年金は未払い)後者の女性たちは一見貧困には見えません。オシャレをしたり趣味を楽しんだり、たまには海外旅行すら行ったり、普通のOLさん風に見えます。それは実家というセーフティゾーンがあるからでしょうね。
けれど、親が年を取って亡くなり実家も老朽化して資産価値が減ったりして彼女らが高齢者になる時、「貧困」がのしかかってくるように思えます。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>同じ屋根の下にいても、高キャリアの女性と、派遣労働者では待遇では雲泥の差で
高キャリアの女性は、男性並みの待遇が
得られた人たちと言えますからね。
エントリでお話した「男性の7割」というのは、
すべての女性を平均化しているので、
女性どうしの格差であれば、もっと大きいのだろうと思います。
>年功序列終身雇用は公平だったかというと、
>これも若年女子労働者を搾取してたわけだしね。
女性は男性より賃金がすくなくてあたりまえ、
ずっと責任のともなわない軽い仕事であたりまえと、
露骨にやっていましたからね。
いまのほうが、まだましだとは、言えるのでしょう。
このエントリにコメントありがとうございます。
>長い間「女は嫁に行けば何とかなる」という考えが
前段の部分の分析は、おっしゃる通りですね。
ただ、女性の貧困は、むかしから言われていたことで、
多少たりとも取りざたされたのが、最近なだけなのかもしれないです。
>今3-40代で親元同居のシングル女性って
>非正規雇用でアルバイトを転々としていたり、
>月の収入が(多分)10万以下の人も結構居ます。
実家で親といっしょに生活していると、
収入が極端にすくなくても、一見貧困には見えないですね。
生活費は親が出していて、自分の収入は10万円以下でも
全部自分の小遣いになっているのかもしれないですし。
>親が年を取って亡くなり実家も老朽化して
>資産価値が減ったりして彼女らが高齢者になる時、
彼女たちが高齢者になったとき、
いったいどうなるのかと、わたしも思います。
すくなくとも、もっと問題視されることのように思います。
いったいどうなるのかと、<
その前に、親がリタイアしたらどうなるのかなと思います。
年金収入は、高給の会社員・公務員だった人なら300万円以上ありますが、老夫婦二人ならまだしも、その子どもまで余裕で養えるほどではないでしょうね。高給でなかった人なら200万前後です。
健康保険も親が会社員・公務員の間は子は扶養家族になって本人負担なしですが、退職したら国民健康保険加入で自分の分も加算され、かなり割高になるでしょう。
親が働いている間は中流以上の生活ができている人も、リタイア後は低所得層になることが予想されます。それでも親が亡くなって年金もなく(成人した子に遺族年金は出ない)、自身の年金もない貧困状態よりはマシなのでしょうが。
>その前に、親がリタイアしたらどうなるのかなと思います
>親が働いている間は中流以上の生活ができている人も、
>リタイア後は低所得層になることが予想されます
なるほど。
年金収入は一般に本人が生活するための費用を
まかなうぶんしか、ないでしょうからね。
(そもそも子どもは働いていて、むしろ親を養うことが
念頭にあるのではないかと思います。)
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/16.html
2012-02-08。労働や賃金面だけを出して、自助努力してない女を例に、「女性は弱者」というフェミ詐欺師に反論
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/252.html
2012-03-19 労働や賃金面だけを出して、自助努力してない女を例に、「女性は弱者」というフェミ詐欺師に反論 2
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/529.html
怠けてる女・しんどい男性 〜甲斐性なし女は、船底に開いた穴〜
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/118.html
婆「現代女は劣化した。男性にラクさしてもうても、なんぼでも不満いいよる」
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/58.html
海外「日本女は怠け者」
http://www47.atwiki.jp/owakongirl/pages/237.html
https://twitter.com/sabetsukinshi/status/187091579503247360
おなじ内容のコメントがふたつあったので、
ひとつ削除しておきました。
コメント欄は、わたしや、ほかの参加者と対話をするところです。
リンクを並べるだけではなく、対話を指向するような
コメントをいただきたいですね。
昔から女性の給与は少なかったけど、結婚すれば男性の給与で生活できたから、ほとんどの場合、問題はなかったのです。
ところが、最近は非婚化が進んだため、貧困が目立つようになったということでしょう。
女性の自立が女性の貧困を生んでいるのは明らかです。フェミニズムのイデオロギーが原因なのだから、脱フェミニズム、家庭重視、に戻せば、女性の貧困は解決します。
政府の対策としては、まずは、男女共同参画社会基本法を廃止することから始めてみてはいかがでしょうか。
という考えの人たちがいるからですね。
そういう人たちがいるから、女性の賃金は低いままでも問題ない
として放置され、単身女性の貧困率が高くなるということです。
ほかに家族思想が宗教の代わりになっているのもあるでしょう。
こうした人たちにとって、女は結婚して家庭を守るのが
「正しいありかた」なので、男に生計を頼らない
単身女性は「見なかった」ことにして放置するのだと思います。
http://taraxacum.seesaa.net/article/410975268.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/410992216.html
現在は、妻を専業主婦にして養えるだけの
収入のある男性はわずかとなっています。
「女は結婚して男に養ってもらえばいい」というのは、
すでに非現実的なこととなっていますね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/384852349.html
非婚が進んでいるのは、経済的事情によります。
結婚を即したいのなら、日本人全体の賃金水準を高め、
子育てにかかる負担をすくなくなるようにすることですね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/396338591.html
>フェミニズムのイデオロギーが原因
こういう人は、たいていフェミニズム一般を持ち出しますね。
上記の原因の中に、フェミニズムに責任のあることはないですね。
フェミニズムは女性にも経済的自立ができることを要求し、
男女の賃金格差を是正することを求めています。
フェミニズムは女性の貧困問題の解決のための、
適切な主張をしていることになります。