2回目は、なんと選択的夫婦別姓について取り上げています。
「若い女性たちに告ぐ(その2)」
このかた、「その1」では、女性の社会進出をこころよく
思っていなさそうなことを、書いていたのでした。
なので、選択別姓も反対なのではないかと
予想がつきますが、はたしてその通りです。
はじめのほうで「女性の社会的進出増につれて
夫が改姓する割合が増えている現実を無視している」などと
書いているのは、かなりすごいと思います。
「詭弁」と言ってもいいかもしれないです。
男性の改姓は、むかしと比べて微増しているだけで、
きわだって増えていないのは、言わずもがなです。
現在でも97%ほどが女性が改姓するケースです。
いまだ3%程度なのですから、男性が改姓する割合の増加など、
無視できる程度にすくないと言っていいでしょう。
男女どちらの姓でも名乗れるから現行法は平等だ、
という言うのも、反対論者がよく言うことですね。
それに法的に女性の姓を名乗れるようになっているのですから、
たまたま男性の姓の方が多いいと文句を言ってみたところではたが
とやかく言えるすじあいのもではないはずです
女性が改姓するケースが97%もあるのですから、
いったいどこが「たまたま」なのかと思います。
多くの場合、男性が苗字を変えないのは自明とされ、
女性が「苗字を変えたくない」と言うと、
わがままだ、身勝手だと攻撃されることがあります。
女性に対してのみ改姓の圧力があって、
男女で非対称になっているのは、あきらかなことです。
男性の姓が選ばれることが多いのは、
差別として批判されてとうぜんだと言えるでしょう。
えんだんじのブログのかたも、結婚改姓をすると
職業上支障が出ることは、まがりなりに認めているようです。
そしてその対策は、「通称使用でじゅうぶんだ」
というお定まりの主張だったりします。
通称使用をするとなると、結婚したら通称と戸籍の苗字と
ふたつの名前を使うことになります。
それではややこしくて不便だ、というかたも
すくなからずいますから、そうしたかたには
じゅうぶんな解決にはならないことになります。
それから、高市早苗の通称使用案に
賛成しているのですが、これも「お約束」という感じです。
高市案が非現実的なのは、つぎのページをご覧ください。
「まぼろしの通称法案」
それから、夫婦別姓で家族が崩壊するという、
これまた定番中の定番である反対論が出て来ます。
例を挙げているだけ、いくらかましと言えるのですが、
「どこにそんなお話があるのか?」というしろものです。
3人目の子どもの苗字をどちらにするかが原因で、
家族のきずなが弱まる、などと言うのですが、
そんなお話は聞いたことありません。
いまの日本社会において、夫婦別姓を選択するのは、
それなりに考えがあってのことですから、
子どもの苗字くらいは熟考しているからでしょう。
このあたりは前にお話をしたことですね。
それから、「夫婦別姓を選んだのだから
B家の先祖のお墓に姓の違う人は入れられませんと
断られました」というのも、作り話でしょうね。
苗字が違う人も、おなじお墓に「合祀」することがあります。
夫婦別姓対応で、ふたつの苗字を刻む墓石もあります。
「お墓を守る反対派」
ようするに、このかたは、実際にはありえないような
虚構のお話を作って、「夫婦別姓で家族のきずなが弱まる」
などと主張している、ということだと思います。
えんだんじのブログのかたは、産まれて来る子どものために
夫婦同姓にするべきだという主張もしております。
やっぱり子どもを楯に取るのか、という感じですね。
これもすこし前にお話していますが、
当の別姓夫婦の子にとっては、大きなお世話なことです。
物心ついたときから、親が別姓という状況にあるので、
それであたりまえだと思うだけなのが現実です。
「朝日の投書」
「子どもがかわいそう?」
最後のほうに、2006年の世論調査に触れています。
挙げられているのは「Q6(回答表9)」のことですが、
つぎのような選択肢と回答者の割合となっています。
ここでこのかたは、(ア)と(イ)と合わせて、
「健全な考えかたをしていると安心」しています。
(30.2) (ア) 相手と一体となったような喜びを感じると思う
(47.1) (イ) 名字(姓)が変わったことで,
新たな人生が始まるような喜びを感じると思う
(23.9) (ウ) 名字(姓)が変わったことに違和感を持つと思う
(9.9) (エ) 今までの自分が失われてしまったような感じを持つと思う
(17.2) (オ) 何も感じないと思う
(0.4) その他( )
(1.9) わからない
それなら結婚改姓に抵抗がある人の意見は、
(ウ)と(エ)を合わせて33.8%とするところでしょう。
それなのに、(ウ)を無視して、(エ)だけを取り上げて、
「わずかに過ぎません」などと結論しているのです。
このかたの世論調査の読みかたは、偏っていると思います。
えんだんじのブログのかたの、選択別姓反対論は、
「夫婦別姓で家族崩壊」「通称使用でじゅうぶんだ」など
総じてありきたりのものと言えます。
世論調査の読みかたがご都合主義的なのも、
反対論者には、めずらしくないことです。
「その1」では、「妊娠適齢期を知らない女性が増えたのは、
女性の社会進出が進んだから」なんて
エキセントリックなことを言っていたのでした。
それゆえ、こんどはどんな奇抜な主張を展開するのかと
期待していたので、いささか残念ではあります。
彼にとっては、子どもの人生よりその親の墓が今の体裁を保っていることの方が大事なのでしょう。つまり、他者(の人生)より自分(の理想や主張)の方が大事だと言っているに過ぎないエントリだと思います。
彼は保守派を謳っている様子ですから、もしかしたら永住権を持つ在日外国人が通称を使うのを嫌うかもしれませんね?ダブルスタンダードを持つかどうかが透けて見えるリトマス紙のようなトピックだと思います。
冒頭で内容の拡散を希望する。
随所に福島瑞穂や千葉景子の名前を出す。
民法改正の目的を「家族制度崩壊を狙う陰謀」だと言う。
何の関係も無い外国人参政権、人権擁護法案についてもコメントする。
そのあたりも逐一、「毎度お馴染みの」感がありありだと思いましたよ、私は。
高市早苗の通称使用法制化やお墓の話なんかも突っ込んで、
何やら「トッピング全部乗せラーメン」みたいになっていますが、
乗っているトッピングが全て安物でまずいし、それで舌が馬鹿になって
麺の味もスープの味も全く分からん、って感じかな。
>それなら結婚改姓に抵抗がある人の意見は、
>(ウ)と(エ)を合わせて33.8%とするところでしょう。
>それなのに、(ウ)を無視して、(エ)だけを取り上げて、
>「わずかに過ぎません」などと結論しているのです。
具体の数値を上げての解説、ありがとうございます。
良くぞそんな後半まで、あの駄文を粘り強く読みましたね、と、
変なところで感心してしまいました。
結局、みえみえのデータ偏向解釈だったと言う訳ですね。
毎度毎度、底の浅い爺さんですな。
このエントリにコメントありがとうございます。
わたしのお返事が遅くなって、申し訳ないです。
>彼の主張の根拠が充分エキセントリックに見えています
はははは。
そうなんですよね、多少でも実際をご存知のかたには、
反対派の論拠というのは、おかしなものに見えると思います。
でも、子どもの苗字とかお墓とかを持ち出す、というのは、
たいていの選択別姓反対派がやることで、
その意味では「お約束」と言えるのですよね。
>永住権を持つ在日外国人が通称を使うのを嫌うかもしれませんね?
「在日外国人に対しては、通称を使うべき」と言うと思いますよ。
ダブルスタンダードだと思うけれど。
「在日外国人は日本的な名前を使え、結婚した女性は婚氏を名乗れ」
というのが「保守派」の偏見なのだと思います。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>冒頭で内容の拡散を希望する
非常識な意見を吐く人にかぎって、内容を拡散したがりますよね。
だれも言わない重大な「真実」に気がついたとでも
思っているのかもしれないです。
だれも言わないのはとち狂っている意見だから、
ということには気がつかないのだな。
>何の関係も無い外国人参政権、人権擁護法案についても
最後のところで、出て来ますね。
「法務省がなんとしても成し遂げたい三大法案」なんて、
わたしは知らないですよ。
法務省陰謀論じみた主張になっていると思います。
>逐一、「毎度お馴染みの」感がありありだと思いましたよ
毎度おなじみと言えば、夫婦別姓を望んでいる人たちを
「左翼の女性やキャリアウーマンとして成功している女性」
などと考えている、というのもあるかもしれないです。
(若干、ネトウヨの反対派っぽいと言いますか。)
夫婦別姓を望むのは家名の存続のため、
という保守的なモチベーションのかたもいるし、
専業主婦でも非改姓結婚を望んでいる人も、
たくさんいますからね。
このあたりに認識の狭量さが出ていると思います。
>具体の数値を上げての解説、ありがとうございます。
>良くぞそんな後半まで、あの駄文を粘り強く読みましたね、と
ああ、いえいえ。
(ウ)がなかったので、すぐにこれは怪しいとぴんと来たですよ。
定年退職して時間をもてあますように
なったので、愚にもつかないことを
ブログに書くようになったらしいです。