拉致問題の解決のために訪米団を派遣したのでした。
5月6日から1週間なので、連休明けのことです。
「自民党右翼議員がアメリカへ物見遊山」
「拉致解決訪米団の活動が始まる」
ところが、この日本右翼たちがアメリカでしてきたことが
じつに独善的で、いったいなにをしに行ったんだと、
言いたくなる旅行だったりします。
>ハーグ条約・共同親権
ワシントンを訪問した拉致問題の訪米団と面会した
キャンベル務次官補は、ハーグ条約・共同親権問題の
解決をすることを、提示してきました。
アメリカはすこし前から、拉致問題と平行して、
共同親権問題の解決を行なうことを、要請していました。
それでこの席でもそれを持ち出したわけです。
「「子の連れ去りと同一視」=米高官発言に抗議ー拉致家族会」
「拉致:米国務次官補ハーグ条約問題持ち出す 家族会会談で」
ところが、日本の拉致問題の訪米団の対応は、
「親権は夫婦間の問題だが、拉致は国家的な犯罪だ。
重ねることは容認できない」などと言って、
にべもなく拒否したのでした。
ようするに、彼らはハーグ条約や、共同親権のことなど
興味がないのでしょうね。
日本では家族の問題は、往々にして軽視される傾向があります。
拉致問題関係者のような「国士さま」たちにとっては、
なおさら「小さな問題」ではないかと想像します。
ところがアメリカでは(というか外国では)、
子どもの連れ去りは刑事上の犯罪になります。
問題の性質の違いはありますが、
アメリカにとっては、北朝鮮の拉致とおなじくらい、
子どもの連れ去りは深刻なことなわけです。
家族問題に関する、アメリカとのカチカンの違いを
見せられたと言えるだろうと思います。
それにしても、拉致問題の訪米団の対応は
つまるところ、「俺はお前に協力はしないが、
お前は俺に協力しろ」ということになります。
こんな態度でなにが解決できると言うのでしょうか。
外交姿勢としても、とんでもないと言えるでしょう。
彼らの傲慢さが、如実に現れたと思います。
>慰安婦の碑
ニュージャージー州のパリセーズパークの
公立図書館の前に、従軍慰安婦の碑が建てられています。
パリセーズパークは韓国系の市民が多く、
それで慰安婦問題の関心が高くなっているのでしょう。
このパリセーズパークの市長のところに、
自民党議員4人が訪れ、図書館前の慰安婦碑を
撤去するよう要求したのでした。
日程や4人の顔ぶれを見たところ、
上述の拉致問題の訪米とおなじ足のようです。
「米国の慰安婦追悼碑、日本の政治家が撤去要求」
「山谷えり子氏らの捨て台詞」
「パリセーズパーク市の従軍慰安婦記念碑に関する地元紙報道」
自民党の右翼議員4人は、例によって彼らが妄信する
「慰安婦はいなかった」説をまくしたてます。
そして、パリセーズパークの市長に
「慰安婦碑は撤去するつもりはない」と
あっさり断わられるという、これまたいつも通りの
パターンに終わっています。
http://japanese.joins.com/article/702/151702.html
ロタンド市長が「追悼碑は市当局が徹底的な資料調査を通じて
事実関係を確認した後、米国市民の税金で設置した。
これを撤去したり修正したりする計画はない」と
日本議員の要求を一蹴した。
韓国だけでなくアメリカも、日本軍による慰安婦の
被害を受けている国です。
かかる訪米団の慰安婦碑の撤去要求が、
どんな印象を与えたかは、想像にがたくないでしょう。
これで拉致問題に協力してもらおうと言うのですから
いったいなにを考えているのかと思います。
ところで、日本の歴史修正主義者たちが、
外国人相手にこのような憂き目にあうことは、
いまに始まったことではないです。
それなのに、彼らはなぜ懲りずにおなじことを
しつこく繰り返すのかと、いぶかしく思うところです。
ねつ造された歴史を信じているというのは、
にせ科学を信じているのとおなじようなものです。
どんな根拠を見せられても、自分の考えを改めることは、
おそらくないのかもしれないです。
頑迷きわまりない彼らに、このようなばかげたことを
やめさせるには、法律で規制して、
強制的に口止めや足止めをするしか、
おそらく方法はないのだろうと思います。
>最後に
共同親権のことといい、慰安婦碑のことといい、
拉致問題の訪米団は、相手のことはすこしも顧みていなくて、
自分たちの要求のことしか眼中にないようですね。
日本右翼とは、じつに独善的な人たちだということを、
はっきりしめしたアメリカ旅行だったと思います。
付記1:
アメリカが拉致問題の解決と平行して、
共同親権問題の解決をすることを、提示してきたとき、
ハーグ条約や共同親権が、ミギミギしい問題となるのかと、
わたしはちょっと思ったのでした。
今回の拉致問題の訪米団の態度を見るかぎり、
そうしたことはなさそうです。
付記2:
訪米団が成果をあげられなかったからなのか、
自民党は今度は、政府民主党に慰安婦碑の撤去を
要求するよう、要請をしています。
「米国の「慰安婦碑」撤去要請を=自民」
人権や民主主義を後退させている自民党などの改憲案といい、先進国から顰蹙をかうという視点がほとんどない。
中国を敵視して万が一ことを構えることになってもアメリカがついているから大丈夫だなんて甘く考えているのかもしれませんが、アメリカにとっても日本は無価値な国になりかかっているという認識はあるのでしょうか。
>それにしても、拉致問題の訪米団の対応は
>つまるところ、「俺はお前に協力はしないが、
>お前は俺に協力しろ」ということになります。
>こんな態度でなにが解決できると言うのでしょうか。
これは私も本当にそう思いましたよ。
彼らには最初から拉致問題解決にアメリカの協力を取り付ける気など毛頭無く、自分達の右っぷりを日本国内にアピールするための旅だったんじゃないでしょうか。「拉致問題解決」は公務として旅費を請求するための御題目であって、本当の目的はニュージャージー州のパリセーズパーク市長を恫喝しつつ袖の下を渡して、慰安婦像を撤去させること。
んなの自費で行け。
可哀想なのは、こんな馬鹿旅の出汁に使われた拉致被害者の方々でしょう。
解決に向けての進展が無いどころではなく、今回のこの馬鹿旅で、
確実に解決は遅れたと思います。1ヶ月か1年か10年か・・・。
でもそうして拉致問題の解決が遅れると、こいつらは「やはり売国政権では
拉致問題の解決は無いのだ。」とか言い出すのでしょう。もぅ話になんねぇ。
御光堂様
>最近の右派は国際的孤立の道を突っ走ってる感じですね。
もっと軍艦が欲しいと思ってワシントン軍縮条約を破棄し「大和」建造に着手する。
日本の生命線として建国した満州国が認められないから国際連盟を抜ける。
そんな昭和初期のやりようと似ていると言えば似ているのかもしれませんが、この馬鹿旅と言い自民党改憲案と言い、「自己満足的国内支持層向けアピール」以上のものは、何も感じらられません。
国際的孤立と言うよりも、「まぁそんな偏狭ナショナリストは何処にでも居っから。」的に放置され続けるだけ、でしょう。
こんな連中のアホっぷりを「アホである」と正しく認識することが、今、日本人に求められていることだと思います。
そもそもアメリカ国内で行われたことは
日本の法律では規制できないと思うのですが?
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>人権や民主主義を後退させている自民党などの改憲案といい、
>先進国から顰蹙をかうという視点がほとんどない
そうそう、外国から見てどう思われるかとか、
外国にどういう影響を与えるか、という客観視が
ぜんぜんできていないのですよね。
エントリのアメリカ旅行も、自分たちのことしか
見えていない感覚そのままで行ってきた、という感じです。
でもってそれは、最近というわけではないかもしれないですよ。
自民党はくだんの改憲案なんて、ずいぶんむかしから
おなじようなものを出していますからね。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>彼らには最初から拉致問題解決にアメリカの協力を取り付ける気など毛頭無く
彼らは、あのような態度でもアメリカの協力が得られると、
結構本気で思っているんじゃないかと思いますよ。
>こんな馬鹿旅の出汁に使われた拉致被害者の方々でしょう
家族会と救う会もいっしょに行ってはいるけれど。
(それとも、家族会、救う会は、拉致被害の
当事者とは、乖離しているところがあるのかな。
このあたりは、わたしはぜんぜん知らないんだけど。)
>解決に向けての進展が無いどころではなく、
>今回のこの馬鹿旅で、確実に解決は遅れたと思います
アメリカとしては、かかる日本右翼は放置して、
日本政府を相手に交渉するのではないかと思います。
これからは、日本が共同親権問題に対して
同時に取り組んでくれなければ、拉致問題には
積極的に協力はしなくなるでしょうし。
>この馬鹿旅と言い自民党改憲案と言い、
>「自己満足的国内支持層向けアピール」以上のものは、
>何も感じらられません。
わたしも、それはあるだろうと思いますよ。
つまるところ、国内の支持層にアピールするために、
「やっているんだ」というところを
しめしたかったのではないかと。
これはとりもなおさず、ああいう独善的な態度で、
アメリカと交渉することを支持する人たちというのが、
それだけ多いということなんでしょうけれど。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
歴史修正主義の主張をするために、外国へ渡航することが
日本国内で禁止されれば、彼らのような人たちが
アメリカへ行くことはできなくなりますよ。
あるいは、外国で歴史修正主義の主張をして来たら、
日本に帰ってから、なんらかの罰を受けるように
法律を定めることもできると思います。