2012年05月25日

toujyouka016.jpg 新党きづなの国会質疑

民主党から分離した「新党きづな」の渡辺義彦氏が、
連休明けの5月10日の本会議において、
社会保障と税に関する法案に対して、
野田政権に質疑を行なったのでした。

内容は家族政策に関することなのですが、
かなりとんでもないところがあったりします。

「5月10日(木)の本会議にて社会保障と税に関する
法案に対して質疑をおこないました。」

(はてなブックマーク)

 
>子ども手当て

書き起こしの5つ目のパラグラフのところで、
「子ども手当て」のことが言及されます。
========
子ども一人当たり月26000円の子ども手当を掲げたのは、
子どもは国の宝であり、子ども・子育てについては
社会全体で支えていこうという理念が
あったからだと理解しております。
多くの国民がこの思い・理念に賛同して頂きました。

ところが、当初約束した支給額からは遠のく一方で結局、
子ども手当と抱き合わせで年少扶養控除が
廃止となり実質増税となりました。
========

ここでは、子どもは国の宝であり社会全体で支える、
という理念のもとに子ども手当てを掲げたのに、
満額支給は遠のく一方、年少扶養控除が廃止されて
実質増税となったことが批判されています。

これはきわめてごもっともな批判であり、
民主党から分かれて出て来たところだけあって、
民主党のマニフェストに忠実で、子ども手当ての理念も
よく理解されていると思いました。
この箇所については、評価したいと思います。


>子どもは母親が育てるのがいちばんいい?

問題なのはつぎの6つ目のパラグラフです。
子どもは専業主婦の母親が育てるのがいちばんだ、
などということを述べているのですよ。
http://www.kizuna-party.jp/archives/352
========
実際子供を十分に構い育てられるのは専業主婦であり、
幼い子供は母親に育てられていくのが一番良いことは
火を見るよりも明らかであります。
========

こないだのえんだんじ氏とおなじ発想ですね。
新党きづなの渡辺氏は、「火を見るよりあきらか」なんて
自明だと思っているあたり、ご多分にもれず
「母性神話」を信じているのかもしれないです。


人間の子どもは育てるのにとても手がかかります。
したがって、母親ひとりで育てるのはとても困難であり、
父親やきょうだいや他の親類をはじめ、
周囲のおとなたちの協力も得て、育てられることが、
子どもにとって「いちばんよい」ことになります。

子育ての専門知識を持ったおとなたちのもとで育て、
また、子どもどうしだけでなく、親どうしの交流もある、
保育所に子どもを預けるのは、人間の子育てとしては、
望ましいことなのではないかと思います。

このあたりは、5月4日の「えんだんじ」の
エントリでもお話したことなので、
そちらをご覧いただけたらと思います。

「若い女性たちに告ぐ?(3)」


付記:
この質疑ですがはてなブックマークを見ると、
5月14日エントリでご紹介した、「親学」の気配を
感じているかたがいらっしゃります。

新党きづなの渡辺氏が、実際に「親学」の影響を
受けたのかどうかはわからないです。
しかし、「親学」のターゲット層を考えれば、
渡辺氏の質疑に「伝統的子育て」をイメージさせるものがあっても、
ふしぎはないだろうとは思います。

posted by たんぽぽ at 21:52 | Comment(4) | TrackBack(1) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
『子供を社会全体で育てる』という理念は子供手当にもありましたよね。
ただ、『子供はその親が育てる』という保守的な考え方がまだ残っている。
社会全体でその考えを乗り越える必要があるのではないかと思うんです。

昨日NHKで、雇用劣化防止のテレビ番組がありましたけど、その時示されたビジョンも、両親共働きで複数の会社をかけ持って働く・・・といったものでしたし。
(他に営業所がなくなってもすぐ他の仕事に飛びつける社会・・・というものなんですけど、減点法で測られる日本社会にはなじまないんじゃないかなあ。)
Posted by SPIRIT(スピリット) at 2012年06月03日 16:46
SPIRIT(スピリット)さま、おひさしぶりです。
このエントリにコメントありがとうございます。

渡辺義彦は、子ども手当ては賛成しているのですよね。
「子育てを親だけに押し付けるのではなく、
社会全体でも支える」という子ども手当てに
賛成しているのに、子育てを母親に押し付けるようなことを
主張するというのは、考えてみれば矛盾していますね。

>社会全体でその考えを乗り越える必要があるのではないかと思うんです

福祉で支えるというコンセンサスが弱く、
家庭のことは家庭にやらせればいい、
という観念の強い日本では、それを乗り越えるのは
一筋縄ではいかないようなのですよね。

子ども手当てをとにかく定着させれば、
多少は変わったのかもしれないけれど、
その入り口の段階で、つまずきましたしね。

>その時示されたビジョンも、両親共働きで複数の会社をかけ持って働く

なるほど。
Posted by たんぽぽ at 2012年06月04日 19:04
渡辺議員が子ども手当に賛同しながら「母親が育てるのが一番幸せ」と言ったりするのは、考えようによっては矛盾していないのかもしれません。

保育所(特に3歳未満の)を増やしても専業主婦世帯には何のメリットもありませんが、子ども手当は専業主婦世帯にも利益があります。
「社会全体で金を出して『家庭で母親が育てる』のを支援しよう」→だから子ども手当に賛成だ、ということかも。

民主党のマニフェスト2009には配偶者控除廃止を書いていたのに、党内からも廃止反対が出てちっとも進まないくらいですから、民主党内にも「母が育てるべき・専業主婦保護すべき」論の人は結構いるのでしょう。

「子育てを社会が支える」とは、経済的な面と現物サービス(保育所等)の両方で支援することだと思いますが、そうした認識で一致していたわけでないようで、残念なものがあります。
Posted by kiriko at 2012年06月07日 03:32
kirikoさま、
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>子ども手当は専業主婦世帯にも利益があります。
>「社会全体で金を出して『家庭で母親が育てる』のを支援しよう」
>→だから子ども手当に賛成だ、ということかも。

ああ、なるほど。
そう考えると矛盾はないですね。

>党内からも廃止反対が出てちっとも進まないくらいですから、
>民主党内にも「母が育てるべき・専業主婦保護すべき」論の人は
>結構いるのでしょう。

そういえば、配偶者控除の廃止が先送りになった理由には、
専業主婦層からの反発を懸念した、というのもありましたね。
(というか、あったように思った。)

たしかに民主党は、所帯の大きな政党ですから、
党内のすべての議員が、家族やジェンダー政策に関して
理解があるとは、かぎらないですからね。
税制が専門の議員だと、やはり家族やジェンダー政策には
くわしくない人も、結構いるみたいです。

あと、配偶者控除に関しては、高所得者層からの
反発を懸念したのもあるのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2012年06月07日 19:25
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