昨年の3月11日の、福島第一原子力発電所の事故以来、
日本は原子力政策を中心に、エネルギー政策の転換を
余儀なくされていることは、言うまでもないだろうと思います。
自民党も「総合エネルギー政策特命委員会」を作って、
原子力政策をどうするかの議論を進めていました。
ところがこの結論が、脱原発に向かうことのできない
お粗末なものだったりします。
「原発政策の集約、事実上断念へ 自民党特命委」
「自民党:「脱原発は不可避」を削除 エネルギー政策見直し」
2月の中間報告の段階では、原子力政策は
「10年かけて結論を出す」として、意見集約を先送りです。
さすがにこれには、党内の脱原発派や、
地方組織がだいぶ批判しまして、最終報告案のたたき台には、
「新原発技術が登場しない限り脱原発は不可避」
という文章が入りました。
ところがこれに対して、「脱原発に偏っている」
という異論が、また出てきてしまったのでした。
結局「脱原発は不可避」という文章は削除され、
「新たな技術的対応が可能か否かを見極める」に
トーンダウンしたのでした。
3.11の大事故を経験した以上、原則として
原子力発電への依存は減らすのがとうぜんなのは、
言うまでもないだろうと思います。
この期におよんで、「脱原発に偏っている」というのは、
なにをか言わんやだと思います。
おそらくこれまで、原子力を推進してきたので、
発電所を建てる公共事業による利権構造に絡め取られ、
脱原発に方向転換できない議員が、
自民党には多いのだろうと思われます。
(自民党の原発推進派は、「原子力発電を守る」いう主旨の、
「エネルギー政策合同会議」を開いたことがあるくらいです。)
これに対して民主党は、「現時点での電力供給のために
原子力発電を稼働するが、将来的には原子力発電は
なくしていく」という、09年のマニフェストに
近い内容で、党内が一致しています。
現政権のスタンスも、基本的にこれに沿ったものとなっています。
いまある原子力発電所の再稼働をどうするかで、
党内の意見が割れることはありますが、
自民党のような露骨な原発推進派がいて、意見集約ができない、
ということはとくにないようです。
こうして見ると、脱原子力依存を進めるためには、
自民党にふたたび政権を取らせないことが、
最低限必要なことになると思います。
いまの民主党政権の原子力政策には、不満が多いかたも
いらっしゃると思いますが、それでもまがりなりにも
脱原子力依存の方向に向うことと思います。
自民党政権が復活したら、いまよりも確実に
原子力依存の方向に戻っていくことになるでしょう。
ほとんどすべての原子力発電所が再稼働されるどころか、
新しい原子力発電所が建てられる
可能性さえあると、わたしは思いますよ。
(現政権や、あるいは橋下など目立つところにばかり
関心が行きがちですが、原子力政策に関して
もっとも注意が必要なのは、やはり自民党ではないかと、
わたしは思います。)
>時事通信の世論調査
5月21日に時事通信社が、日本国内の原子力発電を
どうするかについての世論調査を行ないました。
「福島原発・国内の原発を今後どうすべきか?」
結果はつぎのようになっています。
1. 増設し積極稼働(原発推進) --- 3.6%
2. 現状の数を維持し稼働(現状維持) --- 15.1%
3. 依存度減らし将来なくす(穏健的脱原発) --- 40.2%
4. このまま再稼働させない(急進的脱原発) --- 20.5%
これを見ると、原発推進はわずか3.6%しかなく、
現状維持と合わせても2割に満たないものとなっています。
もはや原発推進という選択は、
ありえないと言ってよいだろうと思います。
自民党は、既得権益に絡めとられて、
2割以下の支持しか得られない原発推進政策に、
しがみつこうとしていることになるでしょう。
民主党は、いちばん多い40.2%の穏健的脱原発から、
支持を得ようとしているわけで、この点に関するかぎり、
ごく適切な政策を取っていると言えます。
2012年06月03日
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Weblog: 早乙女乱子とSPIRITのありふれた日常
Tracked: 2012-06-09 21:35
河野太郎氏は、自民党の中では脱原発派であり、
ちょっと目立っていますね。
原発の利権構造とは無縁なのでしょう。
(平塚に原子力発電所を建てるはずもないけど。)
エントリで触れた「特命委員会」でも、猛批判をして
「脱原発は不可避」という文章を入れさせたひとりだろうと思います。
石破氏のことは、わたしはわからないです。
ごめんなさいです。
ほう「基本中」の「基本」を 教えてくださいませんか・・・??
それぞれの「党」の「違い」は なんですか・・??
「趣旨」や「モットー」など。。。
私はだったら 今までどのようにして「投票」をしていたかというと。ただ単に「耳にする きっかけの多かった党」に「一票」を 入れていただけです。
私たちの年齢に近い世代の人は 少なからず 耳にhしたことのある党に 入れよう!!くらいでしょうけれど・・・・。。関心も そんなにないし。
このエントリにコメントありがとうございます。
>それぞれの「党」の「違い」は なんですか・・??
それは、できるかぎり情報を集めることだと思いますよ。
どんな政策に関心があるかによっても、
基準が違ってくるでしょうしね。
そうやって、政治の知識を増やしていくことが、
だいじなんだと思います。
(かくいうわたしも、最初のころは、
民法改正やその関連のことしかわからなかったです。)
自民党は高度経済成長期からバブルまでの
55年体制を担って来て、今後もそのやりかたを
踏襲しようとしていますね。
簡単に言えば、公共事業をばらまいて
各地方の企業の利益を引き出す、というやりかたです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/125983889.html
政策は基本的に官僚任せで、官僚の作った法案を承認するのが
自民党が与党のときの議会の役目、という感じです。
自民党内の組織構造も、「族議員」と呼ばれる議員がいて、
省庁の縦割り構造によく合うように作られています。
民主党は、いろいろな意味で、
自民党政治の批判から作られた政党です。
基本的に都市部の生活者・消費者の利益を
代弁することを目的としています。
そのため、子ども手当てや高校無償化のような
福祉の充実を重視しています。
政策は官僚まかせではなく、議会が主体となって法律を作り
官邸が主体となって執行することを目指しています。
そして、官僚は、議会・官邸の指示のもとに置く
政治主導というものを目指しています。
http://taraxacum.seesaa.net/article/171992459.html
>ただ単に「耳にする きっかけの多かった党」に「一票」を 入れていただけです
それはあまりよろしくないですね。
ご自身を含めた国民生活に直結することですからね。
(といっても、若いうちはある程度は
やむをえないのかもしれないけれど。)
これからはぜひ必要な情報を集めて、よく考えた上で、
投票をされたいと思います。