女性がすくないことは、とうぜん予想なさっていると思います。
大学教員の女性の比率が低いことについて
考察した記事があるので、ご紹介したいと思います。
「大学教員の女性比率が依然低いのは」
女性教員の比率は、1983年から増加傾向にはあります。
それでも2007年現在18.2%で、依然として2割以下となっています。
分野ごとのばらつきがあって、保健分野(医療・看護など)は
23.8%と高めですが、工学分野は3.8%しかなく、
ほとんど女性のいない環境となっています。

記事では、女性教員の比率が下がる原因として、
女性にだけ見られる離職の原因を考察しています。
つぎの表を見れば、教員をやめる理由として男性にはほとんどなく、
女性にだけ顕著なものはあきらかだと思います。
「結婚」「育児」「家族の転勤」「男女差別」の4つですね。

これらのうち、女性特有の大学教員をやめる理由として、
「結婚」と「育児」はすぐにわかると思います。
20代後半から30代女性の自由記述でも、
「出産のためには退職せざるを得ない」
「任期付職でも出産と育児が可能な社会保障制度の整備を望む」
という声が多くなっています。
結婚や育児は、一般社会においても、女性がお仕事を
やめざるを得ない事情として挙って来るものです。
大学教員の場合、その傾向はさらに強いのでしょう。
>大学教員の配偶者
「家族の転勤」というのは、ほとんどが配偶者の都合です。
そこで研究者の配偶者が、どんな職についているかを
調べたのがつぎの表です。
男性と女性とで歴然とした差があることがわかりますね。

男性研究者の56.8%は、妻が専業主婦です。
これに対して女性研究者の47.2%は、
夫も大学や研究機関の研究者となっています。
夫が企業の研究者というかたは18.4%になるので、
これらを合わせると女性研究者の65.6%は、
夫も同業者であると言えることになります。
一般に研究者は転勤が多く、日本中のどこの大学や
研究所に移動することになるか、わからなかったりします。
妻が専業主婦だと、配偶者の転勤はありえないですが、
夫が同業の研究者だと、夫の転勤の都合が、
自分に影響をおよぼすことがありえるわけです。
女性研究者だけが、「家族の転勤」を理由に
お仕事をやめざるをえないことが多いのは、
このような事情によることが考えられます。
ところで、わたしが、「男性研究者の妻は専業主婦で、
女性研究者の夫は同業者」というツイートをしたら、
(もとの記事からそのまま引用しただけなんだけど)
びっくりするくらいたくさんのリツイートと
お気に入り登録をいただいたのでした。
「男性研究者の場合、半数近くないし半数以上が専業主婦の配偶者を持つのに対し、女性研究者の半数以上ないし6割以上は配偶者も研究・技術職という現実」 http://t.co/Ek4KH1qG
— たんぽぽ (@pissenlit_10) 2012年6月4日
男性研究者と女性研究者とで、配偶者の職種に
このような著しいコントラストがあることは、
統計を見るまでもなく、だれでもわかっていることでしょう。
それでも、実際に数字でしめされると、
その違いにあらためて圧倒されるのかもしれないです。
>一般の男性雇用者の配偶者
ところで研究者にかぎらず、社会全体では男性雇用者の
妻が専業主婦という割合は、どのくらいなのか?
ということが、わたしは気になりました。
それを調べた記事があったのでご紹介します。
「増える共働き・減る専業主婦…共働き世帯の増え方をグラフ化してみる」
大学の教員の配偶者についての調査は、
もちろん結婚しているかただけが対象でしょうから、
こちらも、「共稼ぎ世帯」と「妻が専業主婦世帯」の
ふたつの比較をすればじゅうぶんと思います。
記事に載せられている以下のグラフを見ると、
2010年現在で「共稼ぎ世帯」が1012万世帯に対し、
「妻が専業主婦世帯」は797万世帯です。
これらから妻が専業主婦の比率を求めると、44.1%になります。

こうして見ると、男性研究者の56.8%が妻が専業主婦、
というのは、全体の平均から見たら専業主婦率がやや高い、
ということになるのではないかと思います。
女性研究者の配偶者の職種との著しいちがいとを
合わせて考えて、男性研究者の「働きやすさ」が
どのような状況の上に成り立っているか、
垣間見えてきたように、わたしは思います。
というのは、全体の平均から見たら専業主婦率がやや高い、
ということになるのではないかと思います。
出来れば職種別の専業主婦率とかあれば知りたいです。
専業主婦率が高いということは、転勤が多いとか、労働時間が長い、休暇が取りにくいということも考えられますが、一方で給料がそれなりに良いということも有り得ますね。夫が安月給だったら妻はパートに出ざるを得ないですから。
学問の世界は厳しく、全生活を学問に打ち込んでもまだたりないぐらいなのですから、他の仕事の人並みに家庭を持ちたがったりしてはならないと思います。
学問を天職として選ぶなら、家庭と学問の両立は甘え、生涯独身で、全人生を学問に捧げなさいということです。学問はやはりそういう特殊な世界なんですよ。
ここのグラフに現れている色々な問題も、研究者が男女とも生涯独身と決めたらほとんど消えてしまう問題が多いです。それらに煩わされる事なく学問に打ち込めます。
近世ヨーロッパの学者には独身者が多く、ニュートンも生涯独身でした。
欧米だと、夫婦とも同じ分野の研究者で、夫婦連名で論文や著書を出すケースが見られるのは家庭と学問を何とか両立させたい次善の方法かもしれません。
「遠距離恋愛」は成り立たない場合が多いです。
恋愛的なことがしたければ、転勤先ごとにおつきあい相手を探せばいいでしょう。
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat209j/pdf/mat209j.pdf
日本は13.6%で比較対象で最下位でした。
(韓国14.9%、オランダ17.2%、これら3カ国以外は20%以上)
女性比率が40%以上の国も9ヶ国あります。
(30%以上は累計26ヶ国なります)
研究職の社会的権威、産業との結びつきの濃淡、研究者の賃金水準、ドクター課程の女性比率、
男女の賃金格差、女性の労働参加率、
などとの相関関係を分析していました。
研究が産業と深く繋がり、研究職が「偉い」と思われ、賃金水準が高く、
労働現場一般での「男女格差」が改善していない国では、
女性研究者の割合が低いと感じました。
理学、工学、農学、人文系では、
女性比率が他の分野より低いようです。
報告書では、国際間比較に対して断定的な結論を出していませんので、私の感想です。
話はそれますが、
物理学者の米沢富美子氏(慶大名誉教授)が
日経新聞の『私の履歴書』(6月分)を書いています。
面白いです。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>出来れば職種別の専業主婦率とかあれば知りたいです
そういえば、わたしもちょっと興味ありますね。
職種の特徴が見えてくるかもしれないですしね。
同様に男性だけでなく、女性の配偶者の職種についても、
調べてみるとよいだろうと思います。
やはり職種の特徴によって、同業者が多いのか、
それともいろんな職種に分散しているのかが、
違って来るだろうと思います。
所得別の専業主婦率のデータはあると思います。
予想通り、所得の高い男性ほど、妻が専業主婦である
割合が高くなっていると思いますよ。
あと、研究者の配偶者のデータは、妻がパートでも、
「専業主婦」とカウントされているかもしれないです。
調査に回答したかたの自主申告だと思うので、
自分の妻が専業主婦だと思うかどうかは、
人によって揺れがありそうです。
このエントリにコメントありがとうございます。
>学者が家庭を持つ事は甘えだと思ったりしています
うーむ、
その考えは、なにか違うんじゃないかなと思いますよ。
研究者であっても、ひとりの労働者であり人間ですからね。
私生活や家庭あってのお仕事だと思いますよ。
ほかの職種に就いているかたと同様、
家庭をないがしろにする「仕事人間」がこのましいとは、
わたしは思えないです。
もちろん非婚主義を貫きたいというのなら、
それはそれで止めないけど、結婚して家庭を持ちたいというかたも、
それを止めることはできないでしょう。
>近世ヨーロッパの学者には独身者が多く、ニュートンも生涯独身でした
ニュートンは、人間嫌いで人中へ出たがらない
性格だったので、結婚にも興味なかったんだと思います。
おなじ時代のロバート・フックや、ライプニッツは
もっと社交的な人たちでしたよ。
ニュートンのころの科学研究は、職業ではなく道楽だったし、
成果を発表して一番を主張する必要もなかったので、
引きこもりのような人も、多かったんだと思います。
いまの研究者は、ほかの研究者との交流もあるし、
大学なら学生の指導もあるので、ニュートンのような性格では
ちと勤まらないかもしれないですよ。
>夫婦とも同じ分野の研究者で、夫婦連名で論文や著書を出すケースが見られるのは
もともと顔を合わせる機会の多い、研究分野の近い人どうしで
仲良くなって結婚した、だからご夫婦で共同研究をやっている、
ということだと思いますよ。
>「遠距離恋愛」は成り立たない場合が多いです
いや、そんなことはないと思いますよ。
遠距離恋愛だって成り立ちますよ。
実際そういう例はあります。
もちろん、それなりにこころする必要はあると思うけれど。
>家庭をないがしろにする「仕事人間」がこのましいとは、
>わたしは思えないです。
家庭を持ったからには家庭をないがしろにしてはならないから、始めから家庭を持つべきではない、ということですよ。
学問的インスピレーションはいつ降りてくるか分からないので、即研究に取りかかれるよう、家庭などの雑事に煩わされない方いいです。
ニュートンは違いますが、ヨーロッパの近世以前の学者にはキリスト教の聖職者が多かったのでそもそも妻帯していないということもあったようです。
日本でも近世以前の学者には僧侶が多かったのと同じです。僧侶は妻帯しない建前になっていました。
家族をもって一人前という社会通念は、きっぱり捨てるべきでしょう、
はじめまして。
私も知り合いに学者がいますが、結婚しています。
大学時代の指導教官も結婚していました。
いま日経新聞で『私の履歴書』を書いている米沢富美子氏(物理学者、慶大名誉教授)も
結婚されているようです(女児3人の母だったそうです)。
>研究者・学者が私生活よりも学問を優先することで、配偶者、子供、家族、恋人などが泣くことになっても、
>相手はそういう学者なのだから仕方ないよ
>むしろそういう相手を誇りに思いなさいといったようなおためごかしがこれまでは言われてきましたが、
>これからは学者はそういう人間関係を持たないようにした方がいいということです。
という御光堂さまの学者観は、現在でも有効なのでしょうか?
また、学者以外でも、芸術家などインスピレーションが大切な職業は、
やはり結婚を避けた方が良いのでしょうか?
法曹界でも、実質学者の様な仕事をしている人達もいると思います(判例・学説研究など。学者に転職する人もいます)。
そういう「業界」の人たちも、やはり結婚は避けた方が良いのでしょうか?
宗教家はどうなのでしょう(霊的インスピレーションが大切な仕事ではないのでしょうか)?
妻帯の可否などに歴史的な議論があったと思われます。
私は、「職業に関係なく結婚したい人は結婚すれば良い」と素朴に考えていたので、驚きです。
仮に学会が健全であれば、結婚の有無よりも論文の内容によって評価されるのではないでしょうか。
結婚の有無と論文等に関係性が見いだせる資料があれば教えて頂けないでしょうか。
私の今までの職業観・結婚観と全く違うので、御光堂さまのご意見をより詳しくお聞かせ頂ければありがたいのですが。
総論的なお話で結構です。
本題の「既婚学者の配偶者に見る男女の非対称性」からはズレて済みません。
よろしくお願いします。
ひらめきがあったとき、すぐ形(研究や創作)に取りかかれるのがベストですが、その時に、子供の行事や家事が割りこんでくれば、ひらめきが逃げていくかもしれません。
そこで研究優先にすれば家族が泣くことになりますが、家族を泣かすぐらいならはじめから持たない方が良いですよ。
今の学者・研究者は研究以外の雑事も多いのでそこにさらに家事が割りこんでくれば余計時間を取られますからね。
今はもう、仕事が忙しいからといって配偶者や家族に家事を被せて済む時代ではないので、家族を犠牲にするのではなくはじめから持たない、これしかないです。
学者の卵が、収入が少なくて「こんなに安くては将来結婚できない、家庭が持てない」として学問の世界から去っていくケースが多いようなので実に勿体ないです。
しかし、結婚しないという選択をすればなんとかなるかもしれません。もちろん収入があがるのにこしたことはありませんが。
収入があっても研究者はたくさん資料を買い込まなければならない仕事なので、家庭へ回す分が少なくなります。そこで、家庭を持たない、子供を持たない、と決心すれば、収入は全て自分のために使えますからね。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>同じ報告書で、国際間比較をしていました(P.53〜)。
>http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat209j/pdf/mat209j.pdf
さっそく見てみました。
なかなかおもしろいですね。
外国とくらべてどうなのかは、わかりやすい指標ですからね。
この報告書、全部読めばまだまだおもしろいところは
いっぱいありそうですね。
>日本は13.6%で比較対象で最下位でした
確認しました。
日本は堂々の最下位ですね。
そして韓国と最下位争いで競っている。
このあたりはいつもどおりの展開ですね。
女性比率上位の国は、東ヨーロッパの旧共産国が多いですね。
(こうした場合にありがちな、北欧諸国が独占する、
というパターンではないのですね。)
旧共産国は教育や研究の分野でも、男女平等を積極的に
推し進めてきたので、その効果が続いているのでしょう。
>研究職が「偉い」と思われ、賃金水準が高く
これもなかなかおもしろい結果ですね。
研究職に権威があって、給料が高いと、
「特権的」と思われて、男性比率が高くなるのでしょうか。
職業的権威があまりなく給料もたいしたことないと、
特権性がなくなるので、女性にも門戸が開かれるのかもしれないです。
>物理学者の米沢富美子氏(慶大名誉教授)が
>日経新聞の『私の履歴書』(6月分)を書いています
ありますね。
今度探して読んでみますかな。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E3%81%AE%E5%B1%A5%E6%AD%B4%E6%9B%B8#2012.E5.B9.B4
米沢富美子氏はこんなかたですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E6%B2%A2%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E5%AD%90
回答下さりありがとうございます。
>研究者は絶対に家庭を持つなという話ではなく、学問と家庭を両立させる自身がないなら持たない方が良いし、
>両立できる(いざとなったら配偶者に家事を押し付ければいい)なんて甘く考えない方が良い、
>という程度の話です。
研究者だけでなく、一般的に言えるかもしれません。
そういう点では、女性研究者と男性研究者の配偶者にみる非対称性は興味深いデータですね。
返信ありがとうございます。
>職業的権威があまりなく給料もたいしたことないと、
>特権性がなくなるので、女性にも門戸が開かれるのかもしれないです。
同じようなことが報告書にも書いてありました。
あと、女性比率が低い、理学、工学、農学、などは、
「産業との結びつきが強い分野」と評価されていたように記憶しています。
日本の産業は「男社会」なので、
つながりが強い分野も「男社会」にしないと、商売(委託研究や共同研究)に支障が出る、
と理解すべきなのでしょうか。
このあたりは、
企業の管理職に女性が少ないことと微妙に連動しているのかもしれません。
>女性研究者だけが、「家族の転勤」を理由に
お仕事をやめざるをえないことが多い
たんぽぽさまも書かれていますが、
大学教員の転勤のほとんどは「転職」だと思います。
したがって、従来の職場には基本的に戻って来ない。
そのため、かなり長期にわたり家族が離ればなれで暮らすか、家族全員で引っ越すことになる。
共同研究のパートナーを失うと言う離職理由よりも、
男性研究者のキャリアアップのために、
女性教員がキャリアを諦めているのだと私は考えます。
特に男性のキャリアが女性よりも高いと、この傾向は強くなるのではないでしょうか。
女性教員が極めて少ない状況では、
個人差を考えなければ、
女性より男性の方がキャリアアップ(当然収入も増加)する確率が高いですよね。
>今度探して読んでみますかな。
会社には日経新聞があるでしょうから、お時間があるときに見て下さい。
米沢氏は、性別役割分担とか、夫婦別姓にはあまり関心がない方のように感じました。
しかし、「女性科学者の地位向上」に対しては相当な情熱がある方のようです。
今日の『私の履歴書(21回)』では、女性科学者の活動についてとても興味深い内容でした。
引用しようと思いましたが、著作権の関係が判らなかったので、やめます。
大雑把には、
地球科学者(当時は気象庁研究所所属)の猿橋勝子氏が創設した「猿橋賞」により、
米沢氏を含めて、「点としての存在」であった女性科学者が「分野を超えてネットワークでつながること」ができた
と言う内容です(米沢氏も受賞)。
米沢氏の猿橋氏への尊敬の思いは、
『猿橋勝子という生き方』という本を
米沢氏が書かれていることからも感じられます。
「猿橋賞」のような女性を対象にした賞は、将来、なくなる日が来なければいけないと結んでいます
(米沢氏は、現在、猿橋賞を選定している団体の長です)。
猿橋氏や米沢氏は、
セントリズムやセクショナリズムなどとは全く違う次元で、
「開かれた活動」「幅広い連帯」「目的達成(と発展的解消)への強い思い」を持って
女性(科学者)の地位向上を進めてきたのかもしれません。
猿橋勝子氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%BF%E6%A9%8B%E5%8B%9D%E5%AD%90
最初の前提として、
>学問の世界は厳しく、全生活を学問に打ち込んでも
>まだたりないぐらいなのですから、他の仕事の人並みに
>家庭を持ちたがったりしてはならないと思います。
>学問を天職として選ぶなら、家庭と学問の両立は甘え、
>生涯独身で、全人生を学問に捧げなさいということです。
>学問はやはりそういう特殊な世界なんですよ
ということはないですよ。
(一般の職種よりは忙しいだろうとは思うし、
だからこそ、男性研究者の配偶者に専業主婦が
多めなのだろうとは思いますが。)
現に研究者のかたも、多くはふつうに結婚しています。
(子どものいない人は、わたしの見たかぎりでは、
一般よりちょっと多めのようですが。)
それで研究生活と家庭生活の両立が困難になっている、
というお話はとくにありません。
>インスピレーションが大切な仕事というか天職は家庭生活と両立が難しいです
ふつうに結婚している研究者のかたを見ても、
問題なく研究活動を行なっていらっしゃりますよ。
家庭を持つことが、研究上のインスピレーションのじゃまになる、
という事実もとくにないと思います。
>学者の卵が、収入が少なくて「こんなに安くては
>将来結婚できない、家庭が持てない」として
>学問の世界から去っていくケースが多いようなので
そういうお話も、わたしは聞いたことがないですが?
任期にかぎりのある博士研究員は増えたけれど、
その先の常勤職が増えないので、就職先がなくなって、
学問の世界から去って行く、というケースでしたら、
たくさんあると思いますが。
>収入があっても研究者はたくさん資料を買い込まなければならない仕事なので、
それは研究費で買います。
自分の収入の中から買うのではないです。
またまたコメントありがとうございます。
>>これからは学者はそういう人間関係を持たないようにした方がいいということです。
>という御光堂さまの学者観は、現在でも有効なのでしょうか?
そんな学者先生、どこにもいないと思いますよ。
すくなくとも、わたしは知らないです。
いたらたぶん、かなり奇異的に見られるでしょう。
すくなくとも「学者だからしかたない」と言われるのではなく、
その人個人の仕事人間ぶりが批判されると思います。
>仮に学会が健全であれば、結婚の有無よりも
>論文の内容によって評価されるのではないでしょうか
マリッジステートが業績評価の対象になった
というお話は、聞いたことがないですね。
そんなことをしたら差別になりますよ。
差別がぜんぜんないわけではないでしょうけれど、
まったくおなじ研究内容であれば、
地方の小さな大学より一流大学に勤めている人のほうが
評価されがちとか、学会で幅を利かせている
偉い先生に従事しているほうが、そうでない人より
よさげに見えて評価されるとか、そんなことだと思います。
>本題の「既婚学者の配偶者に見る男女の非対称性」からはズレて済みません
ああ、いえいえ。
ぜんぜんかまわないですので、
遠慮なくコメントをくださったらと思います。
そうでなく、結婚をしないことを前提にした人生設計を、学生のうち、若いうちからきちっと建てることでの、結婚しないことがむしろプラスになる可能性を広めてもいいかなとも思うのですよね。
少しテーマから外れました。
またまたコメントありがとうございます。
>あと、女性比率が低い、理学、工学、農学、などは、
>「産業との結びつきが強い分野」と評価されていたように記憶しています
産業との結びつきが強い分野だと、
なぜに「男社会」になるのかも興味がありますね。
たぶん、日本だけではなく、世界全体でそうだろうと思うので。
>男性研究者のキャリアアップのために、
>女性教員がキャリアを諦めているのだと私は考えます。
わたしも、そうだろうと思います。
ここでも女性が男性のために犠牲になることが多い、
ということですね。
>夫婦別姓にはあまり関心がない方のように感じました
おそらく、学生のときに結婚しているので、
キャリアができる前ですから、結婚改姓が取り立てて
不利益にはならなかったのだろうと思います。
それに1960年代というのは、研究者業界にかぎらず、
一般の女性団体のあいだでも、夫婦別姓には
ほとんど関心がなかったころでもあったと思います。
>米沢氏を含めて、「点としての存在」であった女性科学者が
>「分野を超えてネットワークでつながること」ができた
そうなんですよね。
初期のころの女性研究者というのは、
本当に孤立した存在で、共同研究する人もだれもいないか、
せいぜいが夫くらいだったのですよね。
先人たちの努力の結果、一般の男性研究者と同様、
ほかの研究者とネットワークでつながれる存在に
なることができたわけなのですよね。
>「猿橋賞」のような女性を対象にした賞は、将来、なくなる日が来なければ
存在意義がなくなる日も、いつかは来るのでしょうけれど、
まだまだ女性というだけで、特別に励ます必要は
ありそうですね。
報告書には
・大学教員の階層が上がるにつれ女性比率が下がること
・公立、私立に比べて国立大学では女性教員の比率が低いこと
・理学、工学、農学分野では特に女性教員の比率が低いこと
・仕事等に関する不満が男性に比べて女性教員は明らかに高いこと
などが書かれていたと記憶しています。
また、上記の要因が、結婚・育児・家族の転職などのライフ・イベントの際に
女性教員が離職する一因ではないかと分析されていたとも記憶しています。
>まだまだ女性というだけで、特別に励ます必要は
>ありそうですね。
たんぽぽさまの仰るとおりだと思います。
結婚しないという選択はもちろんあっていいと思いますし、
そうした人たちが一定の数だけいるという前提で
社会の仕組みを作るべきだと、わたしも思いますよ。
>少しテーマから外れました
ああ、いえいえ。
話題がそれるのは、べつにかまわないですよ。
たくさんコメントをくださりありがとうです。
>大学教員の階層が上がるにつれ女性比率が下がること
これは、大学教員にかぎったお話ではなく、
日本中どこの業界でもそうですね。
上の階層に行くほど女性がすくなくなる。
このエントリの「2. 賃金格差の原因」の節に、
女性管理職の階層別の比率がのグラフが出ているけれど、
係長、課長、部長と上がるにしたがって、
比率が下がっているのがわかります。
http://d.hatena.ne.jp/frroots/20111026/1319586015
>公立、私立に比べて国立大学では女性教員の比率が低いこと
これはどういうことなのかと、ちょっと思いますね。
公立、私立にくらべて、国立大学はステータスになるのか、
国立大学のほうが公立、私立より人事が膠着しているのか、
このあたり、いささか興味を惹きます。
>理学、工学、農学分野では特に女性教員の比率が低いこと
>仕事等に関する不満が男性に比べて女性教員は明らかに高いこと
このふたつは常識的にわかりそうですね。