これをご覧のみなさんは、自分の配偶者を
なんて呼んだらいいか、悩んだことのあるかたも、
きっとたくさんいらっしゃるだろうと思います。
配偶者の呼びかたについて取り上げた記事があるので、
(かなりむかしのもののようですが)ご紹介したいと思います。
「妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は?」
>女性の配偶者
ネットには、二次元のキャラクタ相手に「俺の嫁」と
言う人たちを、ときどき見かけることがあります。
また記事を見ると、関西出身のお笑い芸人の影響を受けて、
関東圏などでも、自分の妻の意味で「うちの嫁は…」
という人も出て来ているとあります。
「そこでなんでわざわざ「嫁」と言うんだろう?
ふつうに「俺の妻」と言えばいいのに」と思ったかたも、
すくなからずいるのではないかと思います。
「嫁」ということばには、「嫁取り」など「イエ制度」の
イメージがあって、わたしのブログをご覧になるかたには、
あまりいい印象がないだろうと思うからです。
「嫁」というのを辞書で調べると、つぎのように
「息子の妻」のことであることがわかります。
したがって、「自分の妻」の意味で「嫁」というのは、
使いかたがおかしいことになりそうです。
「嫁」
http://tinyurl.com/78fha5x
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(1) 息子と結婚した女性を親の側からいう語。息子の妻。
(2) 結婚する相手の女性。 「ーを探す」 「ーをもらう」
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ところが、(2)の意味を見ると、これから結婚する相手の
女性のことを、「嫁」ということもあります。
自分の妻のことを「俺の嫁」というのは、この(2)の意味が
派生したものと考えることが、できるかもしれないです。
>男性の配偶者
夫に対してよく使われるのは「主人」「旦那」でしょう。
これらを辞書で調べると、どちらも英語の"master"ですが、
「旦那」のほうがていねいな表現であることがわかります。
「主人」
http://tinyurl.com/bwgk2mn
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(1)一家のあるじ。 「店のーにかけあう」
(3)自分の仕えている人。雇い主。
(4)客をもてなす側。ホスト。 「ー役として接待につとめる」
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「旦那」
http://tinyurl.com/bmugt6c
========
(2)家人・奉公人などが主人を敬っていう語。特に商家で使用人が主人を呼ぶ語。
(5)商人などがひいきにしてくれる男の客を呼ぶ語。また,俗に目上の男性を呼ぶ語。
「ー,もう一杯いかがですか」
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これはいささか意外だったのではないかと思います。
これをご覧の中には、自分の夫の呼びかたとして、
「主人」は絶対に使えないが、「旦那」ならいくらか許容できる、
あるいは、実際に夫のことを「だんな」と呼んでいる
というかたも、いらっしゃるだろうと思うからです。
「旦那」には、(5)のように単に目上の男性を指して呼ぶ、
という意味もあるので、この使いかたが派生して、
"master"の意味が薄れたということかもしれないです。
>対等感のある配偶者の呼びかたがすくない
夫の呼びかたは、「主人」や「旦那」が一般的で、
家のあるじ、家長、という意味合いが強く出たものです。
妻の呼びかたは、「奥さん」「家内」が一般的で、
外で働かずに家にいる、という意味合いになっています。
日本語の配偶者の呼びかたは、これらのように
非対称性やジェンダーロールが色濃く出たものが多く、
対等感のある呼びかたはあまりありません。
配偶者を対等のパートナーと考えるかたには、
なんとも使い勝手が悪いことばかりです。
うまい配偶者の呼びかたはないかと悩んだかたは、
これをご覧のかたの中には多いのでは?と思います。
記事にはひとことだけ、このあたりについて触れていますが、
もっと突っ込んで書いてほしかったと、わたしは思います。
http://allabout.co.jp/gm/gc/184617/
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その昔「奥様」という言い方には「夫=表、妻=裏」という
男女差別・女性蔑視にあたるとして抗議された例もあるほどです
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ついでながら、「奥さん」「家内」が妻の呼びかたとして
定着したのは、それほどむかしからではなく、
戦後になってからではないかと、わたしは憶測しています。
「妻はみんな専業主婦」というのが、「常識」になったのは、
戦後の高度経済成長期になってからだからです。
よその人に対しての、妻さんや夫さんの呼称を考えるのは、正直イヤです。「ご主人」や「奥さま」は無難と言えばそうなのですが、使いたくない。とすると、つかえる単語がなくなる。
ただ単純に、人の結婚相手を呼ぶ、ニュートラルな単語が欲しいですよ。日常的につかえるくらい自然なのが。
一昔前は自分の妻のことを「ワイフ」と言う人もいたようですが現在はあまり聞きませんね。
妻、嫁は名詞であり、立場・役割を表します。
でも、つれあいは「連れ合う」という動詞であり、寄り添う意志を表します。
さて先週、単身赴任中のtema妻が久しぶりに家に居ました。
1日だけでまた赴任していきました。
あれおかしいぞ。連れ合ってない、これは連れ合ってないよ?
他の方に対しては「お連れ合い」という言い方をどこかで聞いたことがありますが、ちょっと仰々しいです。
職業柄、家族背景を確認することがよくあります。
他人様の息子の妻に対して「嫁」「兄嫁」という言葉を使うのも、すごく抵抗があります。なので私は絶対に使いません。他人が使っていても、「ああ、息子さんの奥さんですか」と言い直します。大人げないかもしれませんが。嫁に対する言葉は「婿」?家制度は崩壊したはずでは?と思います。
人に自分の配偶者のことを語るのに、事実婚であることを活用し、相手の苗字を敬称抜きで呼んだりもします。
しかし、同性婚の妻が夫のことを語るのに、その苗字を敬称抜きで呼ぶのは、ひとごとながら抵抗があります。夫が妻を人前で語るときに、その苗字で呼ぶことがない非対称性が気持ち悪いからだと思います。
平仮名表記も一つの手かなと思います。口に出す時も平仮名のつもりで言えば抵抗は少なくなるかもしれません。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>「ご主人」や「奥さま」は無難と言えばそうなのですが、使いたくない。
非対称性やジェンダーロールが強く現れていますからね。
自分が使われたくないものは、やはり人に対しても使いたくない、
わたしも、その気持ちはあるので、わかりますよ。
相手は気にしないのかもしれないけど、それでも抵抗があります。
>ただ単純に、人の結婚相手を呼ぶ、ニュートラルな単語が欲しいですよ
そうそう、わたしもそう思います。
日本語の配偶者の呼びかたには、そういう中立的なことばがない、
というのが困ったことなんですよね。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>「旦那」はもともと仏教用語で「お布施をしてくれる人」の意味
わたしがリンクした辞書にもありました。
"donor"とおなじ語源ですか、なるほど。
>一昔前は自分の妻のことを「ワイフ」と言う人も
そういえば、そんな男のかたもいましたね。
定着しなかったのは、やはり日本語として
しっくり来ないからかもしれないですね。
>平仮名表記も一つの手かなと思います。
>口に出す時も平仮名のつもりで言えば抵抗は少なくなるかもしれません
字で書くときはいいのでしょうけれど、
発音すると区別がつかなくなるのですよね。
自分の夫を「だんな」と呼んでいるかたは、あたまの中では
「だんな」とか「ダンナ」とか仮名表記になっている、
というかたはいらっしゃると思うけど。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
「つれあい」と呼ぶかたも、結構いらっしゃりますね。
男女で対等な呼びかた、という問題は完全にクリアしている。
恋人同士でも使えそうで、いまひとつ「結婚している配偶者」
というイメージに弱いのが難なのではありますが。
>つれあいは「連れ合う」という動詞であり、寄り添う意志を表します
なるほど。
「寄り添う意志」ですか、これはいいですねー。
>連れ合ってない、これは連れ合ってないよ?
いや、心と心が連れ合っているのですよ。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>夫は私を「妻」と呼びます。人前でも、二人称としても使います。
>私は夫を「夫」と呼びます。
おお、シンプルですね。
(他人の夫や妻に対しても使えるといいんだけれど。
他人さまだとちょっと使いにくいのですよね。)
「つれ」や「つれあい」を使うかたは、ときどきいらっしゃりますね。
でもさほど定着していなくて、配偶者のことだと
ちょっとわかりにくい、という難はあると言えますが。
「うちの人」は、わたしも若干抵抗がありますね。
やはりこのあたりの感覚は、わたしと似ていますね。
他人の息子の妻のことを、「嫁」と呼ぶのは、
わたしもちょっと抵抗があるかな。
イエ制度のイメージがつきまといますからね。
ちなみに、「嫁」は「娵」とも書くのですよね。
「女へん」に「取」って、ストレートすぎです。
>事実婚であることを活用し、相手の苗字を敬称抜きで呼んだりもします。
夫婦別姓のかただと、相手を苗字で呼ぶことができて
便利だったりしますよね。
>夫が妻を人前で語るときに、その苗字で呼ぶことがない非対称性が
そういえばそうですね。
社会に出るのは男性だけ、妻は外には出ず家の中にいるもの、
という社会通念の影響なのだろうと思います。
既に関係を知っている、気の会う仲間には直接名前で読んでいます。「○○は今日出かけています」と。
私と夫の関係を知らない人には「彼は私の夫です」「夫は今出かけています」と言います。「嫁」というのは、「夫の両親から息子の妻に対して」呼ばれるべき名称なので、夫から妻への呼び名としては相応しくないと思います。
よほど「正式を求められる場」や「手紙などでの固定表現」でなければ、「主人・家内」という単語が出てきません。しかもそれはどうやら彼も同じようです。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>既に関係を知っている、気の会う仲間には直接名前で読んでいます
>私と夫の関係を知らない人には「彼は私の夫です」
シンプルですね。
>「嫁」というのは、「夫の両親から息子の妻に対して」呼ばれるべき名称なので、
そうなんですよね。
「嫁」というのは、「息子の妻」という意味ですから、
自分の妻に対して使うのは、おかしいですよね。
>よほど「正式を求められる場」や「手紙などでの固定表現」でなければ、
なるほど。
「主人」とか「家内」というのは、ほとんど使わないですんでいるのですね。
(でも、「主人」や「家内」が、「正式」とか
「固定表現」というのも、考えものなんだけど。)
いや、実を言うと「日本語が達者ではないが使うことはできる」方々への配慮から習慣化したことなんです。相手によって使い分ける習慣は、理解されづらいです。むしろ自分が変わってしまった方がずっとラクなんですよ(笑)。「主人」「家内」などは封書での格式ばった季語挨拶付きの手紙でしか使ったことがありません。つまり、それを必要とするお年寄りたちが世の中からフェードアウトしていくにつれて使わなくなるという意味になりますが…
そういえば、私は男性を呼ぶ時「苗字」で呼びますが、ある程度知り合うと勝手に名前+さん付けで呼ぶ癖があります。プライベートで日本語を使っている時は外国人にもそれを適用するので相手は驚きますが「もう友達だもんね」と喜んで笑って済ませてくれます。もちろん私を苗字で呼ぶ人はほとんどいません。
このような「苗字」に縛りの無い環境でも、苗字を変えた後に潜むあの煩雑な手続きや他人への周知などのことを考えると…子孫にこの選択肢の無い習慣は遺したくありません。離婚のできない国や宗教ならともかく、離婚や再婚が紙一枚で気軽にできるこの国では「重荷」でしかないと考えています。
>「日本語が達者ではないが使うことはできる」方々への
>配慮から習慣化したことなんです。
>相手によって使い分ける習慣は、理解されづらいです。
なるほどね。
たしかに、「夫」「妻」以外のことばは、
外国人にはむずかしいかもしれないですね。
英語は「夫」が"husband"で、「妻」が"wife"、
相手と呼ぶときは"honey"なんて言ったりするけど、
そんなにバリエーションはないですね。
相手によって使い分ける日本語が、
不必要に複雑なのかもしれないですね。
>私は男性を呼ぶ時「苗字」で呼びますが、
>ある程度知り合うと勝手に名前+さん付けで呼ぶ癖があります
それも外国の習慣ですね。
日本人にとっては、親しくなっても下の名前で呼ぶのは
抵抗があったりして、外国のかたから、「なんでいつまでたっても
下の名前で呼んでくれないんだ、水臭いじゃないか」
なんて言われたりもするんだけどね。
>離婚や再婚が紙一枚で気軽にできるこの国では
>「重荷」でしかないと考えています。
まったくですよね。
結婚や離婚のたびに改姓していては負担でしかない。
離婚のほうは、婚氏続称で解決できているけれど、
結婚のほうは、いまだに解決できていない。
よそのご夫婦の場合「奥様」は呼びやすいですが、「旦那様」「ご主人様」とは言いずらいです。「夫様」は変ですね。
日本語の配偶者の呼びかたは、
なぜかジェンダー平等的なものがないのですよね。
なので、ジェンダー平等を意識するかたは、
配偶者の呼びかたに困ることになります。
>自分の配偶者を対外的に妻と呼びますし、
>妻は僕のことを対外的には夫と呼びます
それは無難だと思います。
>よそのご夫婦の場合「奥様」は呼びやすいですが、
>「旦那様」「ご主人様」とは言いずらいです。
「奥様」も抵抗のあるかたは結構いると思います。
注意が必要かもしれないです。
「旦那様」「ご主人様」が抵抗のあるかたは、
もちろん結構いるでしょう。
あえていえば、「ご主人さま」より
「旦那さま」のほうがいくぶん
抵抗の少ないかたがいるかもしれないです。