先週ですが7月11日に、ついに小沢一郎氏が新党を立ち上げました。
新党の名前は「国民の生活が第一」です。
「<小沢新党>「国民の生活が第一」旗揚げ 49議員が参加」
「小沢新党代表、民主批判…反増税・脱原発を表明」
小沢氏らが民主党を離党して、新党を立ち上げることになった
直接の原因は、ご存知のように税と社会保障の一体改革です。
自民・公明との妥協のために、社会保障がどんどん後退し、
消費税増税ばっかり先行するようになっていきました。
それで小沢氏たちは、これに反対する姿勢を強めたわけです。
自民・公明との3党合意の、民主党内での了承が強行され、
衆院での法案提出が確実になると、小沢氏たちは、
採決で造反をする準備を進めていったのでした。
6月26日の採決で、消費税増税法案が可決したのですが、
民主党から小沢氏ら57人が「造反」して、反対票を入れたのでした。
翌週の7月2日には、ついに小沢氏と同調する議員50人が
民主党から離党して、新しい会派「国民の生活が第一」を作ります。
さらに翌週の7月11日に、新しい政党「国民の生活が第一」が
立ち上がることになったわけです。
わたしの想像になりますが、小沢氏としては、
民主党にとどまって、民主党内で主導権が取れれば、
それがいちばんよかったのかもしれないです。
新党を作るのは、おそらく次善の策だったのかもしれないです。
衆院で消費税増税法案が採決されたので、
民主党にこれ以上とどまることは困難と考えて、
新党を作ることにしたのではないかと思われます。
新党名の「国民の生活が第一」は、ご存知のように、
もともと民主党のキャッチコピーでした。
現在の民主党が、自民・公明との妥協に固執して、
マニフェストをどんどん無視するようになったので、
09年の民主党のマニフェストを代わりに自分たちが
実行するという意味も込めた党名でもあるわけです。
「国民の生活が第一」は、衆院で38人、参院で12人です。
民主党が衆院で240議席を割って少数与党にならなかったことと、
参院で自民党より議席が減って第2会派にならなかったことは、
小沢氏たちとしては、苦しいかもしれないです。
(これからも、民主から離党して、小沢氏の新党に
入って来る議員はいるだろうとは思いますが。)
ここで熱心な小沢氏の支持者であれば、「国民の生活が第一」を
どしどし応援するところなのだろうと思います。
わたしは、その前に不安感が先走ってしまうのです。
やはりいちばんの原因は、衆院で第3党とはいえ、
思ったより離党者がすくなく、新党がじゅうぶんな勢力を
確保できていないと、思われるところにあります。
解散総選挙になったとして、議席を伸ばせるかどうか、
という問題もあります。
あれやこれやと、わたしは気をもんでしまうのですが、
小沢氏自身は、「私に任せてもらいたい」と言っています。
つぎのように、新党の人数が少なめであることに関しても、
あせりはないようです。
https://twitter.com/miyake_yukiko35/status/220886264092700672
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兵頭さんのTW通りで、マスコミの書く
「小沢グループに焦り」などという雰囲気は 皆無。
私は毎日小沢事務所に出入りしているが全くそういう気配はない。
離党撤回の議員には正直驚いたが、
小沢元代表はあっさりしたものだった。
言うのはいつも「自分の判断で」だ。子どもでないんだから。
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https://twitter.com/hyodo_masatoshi/statuses/220786572990218240
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小沢グループの離党で、わたしが関心をもったことに、
小沢が基本的には「面々の計らい」に任せた、というのがある。
一応、礼儀として誘ったとしても、あっさりしたものだったという。
わたしは、その裏には、小沢の自信があるのだと考えている。
いずれ向こうからやってくるし、新しい玉もある、と。
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なので、小沢氏はちゃんと戦略を考えていて、
可能な限り最善の戦略を取るのだろうとは思います。
それを信用すれば、たぶんだいじょうぶなのだろうとは思います。
(そもそも、わたしのようなまったくの外野が、
いろいろと気をもんでも、始まらないことですし。)
ところで、小沢氏は昨年の12月に「新しい政策研究会」
(新政研)という勉強会を立ち上げたのですが、
これが新党を作るための準備組織だと言われています。
つまり、小沢氏は半年以上前から、民主党に限界を感じて、
新党を立ち上げる準備をしていたのでして、
今回の消費税増税で、ついに決心をしたことになります。
「“小沢新党”党名は「新政党」か!2大政党を目指し始動」
今回のような新党立ち上げといった、大掛かりな政局の動きは、
とつぜん降って湧いて来るものではなく、
何ヶ月も前から、すこしずつ準備しているのだ、
ということを、最後にコメントしておきたいと思います。
付記1:
つぎの記事に、小沢氏の離党表明の全文が出ています。
「小沢氏離党表明全文」
付記2:
6月26-27日の共同通信の世論調査によると、
消費税増税に反対が52.9%で、小沢一郎元代表らが反対票を投じ
造反したことを59.8%が「理解できない」と答えています。
消費税増税には反対だけど、小沢氏らの「造反」が
理解できないという人は、相当数いることになりそうです。
「小沢新党「期待しない」が79% 共同通信世論調査」
これらの人たちは、だれに消費税増税を
食い止めてもらうつもりなのでしょうか?
橋下に期待をしているのでしょうか?
それとも、小沢が反対するなら、増税もがまんする、
ということなのでしょうか?
小沢氏の体質としては、民主党や民主党や社民勢力よりもよりも自民党や次の選挙で躍進してくるかもしれない維新の会などの信自由主義勢力にずっと近く、それらとの連携を模索しているのは疑うべくもないので、民主党嫌いの左派が小沢氏をまるで救世主の如く崇めている気が知れません。
でした。
党内に留まっているとはいえ、鳩山も小沢とおなじ反対をしているし、
小沢が離党した理由も、民主党執行部が「リベラル」なので
それに反対した、ということではないから、
「もとのかたちに戻った」というのとは違うのではないかな。
それから、小沢の体質を新自由主義だとは、
わたしは考えてはいないけれどね。
政治主導と新自由主義は公務員改革という点で、
共闘できる部分は、たしかにあるのではあるけれど。