2012年07月29日

toujyouka016.jpg 「嫁」になりたくない

いわゆる「嫁」になりたくなかったので、事実婚という
結婚のかたちを選んだ女性のことを書いた記事があります。
ここに出て来る「嫁になりたくない」という気持ちは、
「理解できる」というかたは、これをご覧の中には、
たくさんいらっしゃるだろうと思います。

「“嫁”になりたくなかった女性が選んだ結婚のカタチ」

「○○家の嫁」ではなく、彼のパートナーとして、
人間として対等でありたい。
家同士のつながりではなく、個々のつながりを大切にしたい。
その結果として選んだのが事実婚だった。

 
記事にあるつぎのくだりを見ると、「嫁」という概念は
まだまだ健在なのだなと、あらためて思わされます。
こんな現実を見たら、「嫁になりたくない」と思ったり、
さらには結婚自体に懐疑するかたが
たくさん出て来ても、ふしぎはないと思います。

また「嫁」になった途端、姑だけでなく、義姉にまで
暴言を吐かれるなどのイジメに合い、うなだれてしまう人もいた。
結婚前はバリバリのキャリアウーマンだったのに、
夫の家に入った途端、しいたげられてしまう人も。
「『家族』だからといって、何をしてもいいのか?」と
強い怒りが沸いてきた。
嫁のことを良く言っている姑は皆無と言っていい。
姑の実子、親戚が集まれば、決まったように嫁の悪口大会が始まる。
何の疑いもなく、実子や親戚は姑の言っていることを信じるので、
閉鎖されたコミュニティの中で嫁は孤立し、どんどん悪者になってゆく。
世話になっていることなんてお構いなし。
ある意味、陰湿なイジメとさえ私は思う。

前のエントリで、既存の結婚のスタイルは、
女性に不利なことが多いので、事実婚や夫婦別姓に対して
女性のほうが許容度が高くなるのではないか、
といったことをお話したのでした。
このような「嫁扱い」は、まさに既存の結婚のスタイルで、
女性が不利になるひとつの典型だと思います。

実際、結婚して苗字が変わったことで、「嫁」になったと
夫の家族から思われることも、すくなくないです。
「結婚しても嫁にならない」ための方策として、
事実婚というスタイルを選ぶことは、
合理性があるということになります。


>事実婚は離婚しやすいという思い込み

記事で紹介されている、「嫁になりたくない」ので
事実婚を選んだという、Hさんというかたですが、
事実婚をはじめたころは、双方の両親から反対があり、
「子どもが生まれた後、男が逃げたらどうするんだ?」とまで
言われたとあります。

事実婚に対するよくある思い込みとして、
「離婚しやすい」というものがあるのですよね。
(もちろん、実際にはそんなことは決まっていなくて、
事実婚が法律婚より離婚しやすい事実はないのですが。)

日本は婚姻届けを出すのが正式な結婚、という意識が強いですから、
婚姻届けを出していないと同棲の延長のようで、
結びつきが緩いかのような気がしてくるのかもしれないです。


>別姓夫婦の子ども

日本では事実婚を選択すると、必然的に夫婦別姓になります。
Hさんご夫婦のお子さんたちは、自分たちが、
別姓の家族であることに対して「他の家はお父さんと
お母さんの名字が同じで驚いた」と言っていたそうです。
つまり夫婦同姓のほうを、異様なものと思っていたわけです。

こちらのツイートにも、おなじようなお話がありますが、
産まれたときから父母の苗字が違っているので、
別姓家族の子は、それが当たり前と思うようになるわけです。

夫婦別姓の反対論者たちは、「別姓夫婦の子は、
親の苗字が異なることに違和感を持つ」などとよく言います
ところがこれは、反対派のあまたの中で作り上げられた
思い込みにすぎないことを、示していることになります。


>事実婚で不利になること

記事では、事実婚にもいくつかの不利になることや、
デメリットがあることも、紹介されています。
住宅ローンの審査では、Hさんご夫婦は正社員だったので、
スムーズにクリアしたのですが、フリーランスや非正規雇用のかただと、
なかなかそうはいかないようです。

住宅ローンを組む際、銀行から「入籍していないと審査が通らない」
と言われ、不本意ながら慌てて入籍した経緯がある。
購入物件の約半分の頭金を準備していたのに、
よほど信用がなかったのか、挙句の果てには
結婚式の写真や自著まで提出させられた。
私の周辺でも、同様の理由で入籍した人は少なくない。

事実婚もだいぶ認知されてきたのではないかという気が、
わたしはしていたのですが、こんな例を見ていると、
世間的にはまだまだ認知されていないところが
あるのだなと、あらためて実感するのでした。


>ライフスタイルの多様性に対応しない現行法

それから記事では、現在の民法は55年体制時代のままで、
結婚のスタイルに多様性を認めていないから、
ライフスタイルの多様化した現状に対応できず、
結婚や出産を思いとどまる人が出て来ることに触れています。
このあたりは、よく言われるところですね。

日本はまだ“結婚=男性が家計を担う”という
考えから抜けられていない。
非正規雇用の若い世代が増え、ライフスタイルもこれだけ多様化
しているのですから、結婚のスタイルだって色々あっていい。
結婚スタイルを自由に選択できる世の中になれば、
婚姻率、出生率も上がると思うんですけどね

ちなみに、記事では「法律は明治時代のまま」とありますが、
実際には「55年体制時代のまま」だと思います。
「結婚=男性が家計を担う」というのも、
高度経済成長期に理想とされた家族のありかたですね。

posted by たんぽぽ at 22:10 | Comment(4) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
こんなクソシステムを守るために非共存派が夫婦別姓に反対してるのですか。
Posted by 改姓した男の人 at 2023年07月30日 23:36
改姓した男の人さま、
コメントありがとうございます。

反対派(非共存派)の男性は、
なぜ妻に改姓させて自分の苗字で
夫婦同姓にしたいと考えるのか?
それは「妻を所有した」感覚に
なれるからかもしれないです。

当の反対派(非共存派)の男性に聞いても、
「そんなことはない」と否認はします。

それでも妻が自分の苗字を
名乗ったことで、モラハラやDV傾向が
出てきた男性はそれなりいます。
「所有意識」が生じることがあるのは、
たしかだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2023年08月01日 22:03
私の妻が私に対し所有意識を持っているとは思えません。人それぞれなのでしょうか
Posted by 改姓した男の人 at 2024年03月08日 20:34
男性が改姓した場合、それで「所有意識」を
持つ女性はあまりいないのでは?と思います。
事例が少ないので、はっきりわからないですが。


女性が改姓した場合、その女性に対して
「所有意識」を持つ男性は
結構いるのではないかと思います。

もちろん「人それぞれ」で、ぜんぜん
所有意識を持たない男性もいるでしょう。
それでも「所有意識」を持つ男性が
一定数いることはたしかだと思います。

相手の女性に改姓させることに
執拗にこだわる男性は、「所有意識」を
持ちたいのではないかと、
疑ったほうがいいかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2024年03月09日 17:26
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