2012年09月18日

toujyouka016.jpg ヨーロッパの事実婚

ヨーロッパでも日本とおなじように非婚化が進んでいる、
なんて書いている記事があります。

「ヨーロッパでも進む非婚化の実態」

ところがよく読むと、ヨーロッパの「非婚」と言っているものは、
パートナーシップ法にもとづく事実婚のことだったりします。
ヨーロッパのこのような事実婚を、日本の非婚と
おなじに考えるのは、あきらかに不正確ですね。

http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20120906-00026086-r25
========
しかし、非婚化が進むのは日本だけではない。
特にヨーロッパでは結婚せずに家族の形をとる“事実婚”が増加
========

 
たとえば、フランスにはよく知られているように、
「PACS(民事連帯契約)」と言われるパートナーシップ法、
すなわちここで言う事実婚制度があります。
スペインにも、教会婚、市民婚とはべつに、
パートナーシップ法にもとづく事実婚があります。

「フランスの事実婚とは?(1/2)」
「フランスの事実婚とは?(2/2)」
「Pareja de Hecho」

これらの事実婚は、いずれも法的に認められたもので、
従来からある法定婚姻に準じた扱いを受けられます。
「事実婚届け」に相当するものを提出しますし、
相続などの権利が認められ、公的機関や金融機関でも
婚姻しているとして扱われます。


ヨーロッパの国ぐにでは、婚姻とはもともと
教会によって認められるものでした。
それとはべつに、行政によって認められる婚姻制度を
導入するようになったのですが、それがパートナーシップ法に
もとづく事実婚制度ということになります。

こうした事実婚制度が導入された理由は、同性愛者など、
従来の法定婚姻制度から締め出された人たちの
結婚生活を保護し保証するため、ということがあります。

また、ヨーロッパの国は、一般に離婚が難しいことがあります。
日本における協議離婚に相当するものがなく、
裁判所の認可が必要になることがあります。
そこでもっと容易に、本人どうしの意志だけで離婚ができる
婚姻制度を求めて、異性愛者でもこのような事実婚制度を
利用する人が増えていきました。


ヨーロッパの国の事実婚は、日本の事実婚よりも
法的に立場が認められています。
むしろ日本における法律婚に近いものです。
もちろん当人たちも、「結婚している」という意識があります。

したがって、ヨーロッパの事実婚を日本の非婚と
おなじにみなすのは、おかしいと言えるでしょう。
最初の記事を書いたかたは、ヨーロッパの事実婚制度を、
あまりご存知なく、「事実婚」ということばから、
日本と類似のものを連想したのかもしれないです。
(それでも、未婚とおなじ扱いというのは、不正確ですが。)

posted by たんぽぽ at 06:53 | Comment(10) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
日本の保守的な人は、結婚とは国家が認めるものでありそれ意外にはないという明治時代からの考え方にとらわれているわけですからね。
Posted by 御光堂 at 2012年09月18日 07:45
あちらの事実婚カップル・子どもは相続に関しても人間関係に関しても「伝統的な結婚形態」をしたカップル・子どもと同じ権利を与えられていることがそんなに知られていないんでしょうかね?

ちなみに離婚に裁判所や弁護士が必要なのは「普通」です。近代日本がモデルにしたというイギリス(カトリックが強い)を倣わずに、一枚の紙で終わるように決めたのが不思議なくらいです。

カトリックは、「政教一致」を主義に掲げています(よってカトリックの人が離婚するためには、結婚が不法なものであったとする文書が必要になり、それを作るための弁護士が必須です)。反して、今のヨーロッパはそれに従わないプロテスタントの力が強まっていますし、カトリックにもプロテスタントにも所属する人が多くいます(「教会籍」というものがあり、日本でもこのようなことは可能です)。ちなみに聖公会(イングランド国教会)以外のプロテスタントは「政教分離」です。

これらを考えると、「カトリック教会に認めてもらう必要のない結婚」というものが、キリスト教に触れたことの無い人にも、何となく分かるかと思います。

御光堂さんの仰る「国家が認めるもので」という保守派の思考に、私は奇妙な感覚を覚えます。何故かと言いますと、キリスト教の国に限らず他の国では「どこかの宗教団体で結婚式を挙げたカップルを夫婦として認めます」が基本で、「また、男女でなくても協議して取り決めたカップルも夫婦と認めます」などという姿勢をとり続けていますが、日本の場合結婚を認める権威が「国家」だけだからです。これは、WWU以前の思想をひきずっているような気がしてなりません。国が認めるか否かではなく、受け入れるか受け入れないかであり、そこにいる人はいなくならないわけですから。
Posted by mmm at 2012年09月18日 13:49
御光堂さま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>結婚とは国家が認めるものでありそれ意外にはないという

日本人にありがちな法律婚絶対主義ですね。
こういう考えが定着したのは、戦後しばらくしてからだそうですが。

あと、エントリでリンクした記事を書いた人は、
ヨーロッパの事実婚に注目するくらいなので、
保守的な人とは違うかなと思います。
Posted by たんぽぽ at 2012年09月19日 19:09
mmmさま、
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>あちらの事実婚カップル・子どもは相続に関しても
>人間関係に関しても「伝統的な結婚形態」をした
>カップル・子どもと同じ権利を与えられていることが
>そんなに知られていないんでしょうかね?

フランスのPACSが従来の婚姻に準じた権利を保証する、
ということくらいなら、PACSを聞いたことがあるかたでしたら、
ご存知ではないかと思うのですよね。

エントリでリンクした記事を書いたかたは、
ヨーロッパの事実婚やパートナーシップ法について、
いささか不勉強だなと思います。


従来型の婚姻が、教会から認めてもらうものだというのは、
日本ではご存知ないかたは、結構いるんじゃないかと思います。
従来型の婚姻も、お役所で認めてもらうものだと
漠然と思っているかたも多いかもしれないです。

かくいうわたしも、PACSを最初に知ったときは、
従来型の婚姻はどこからどのようにして認められるのかを
はっきり知らなかったですし。(苦笑)
Posted by たんぽぽ at 2012年09月19日 19:11
「日本の保守的な人」というのはまさに日本の保守的な人で家族問題などに保守的な価値観からあれこれ言ってくる人のことで、このリンクの記事を書いた人はそれとは正反対の人だと思いますよ。
Posted by 御光堂 at 2012年09月20日 10:44
>御光堂さん
>>「日本の保守的な人」というのはまさに日本の保守的な人で家族問題などに保守的な価値観からあれこれ言ってくる人のことで、このリンクの記事を書いた人はそれとは正反対の人だと思いますよ。
そうかな…?私のような、宗教上日本の伝統とは離れた位置からものを見ていると、同じように見えてしまいます。しかし、御光堂さんがそのように感じるということは、この記事のライターさんでも、まだ「マシ」な方なのでしょうね…

>たんぽぽさん
神社や寺社で認めてもらう、という概念はどうです?もしかしたらあるかなと思って。興味本位でごめんなさい、でも共通項を探したいんですよね。
Posted by mmm at 2012年09月20日 21:21
御光堂さま、
わたしのお返事が遅くなって、もうしわけないです。

>このリンクの記事を書いた人はそれとは正反対の人だと思いますよ。

最初のコメントを見て、リンクした記事を書いた人を
「日本の保守的な人」と言っているのかと思ったです。

正反対かどうかはともかく、ヨーロッパの事実婚に
注目するくらいなので、「保守的な人」ではないのでしょう。
Posted by たんぽぽ at 2012年09月23日 15:52
mmmさま、
わたしのお返事が遅くなってもうしわけないです。

>私のような、宗教上日本の伝統とは離れた位置からものを見ていると

あらあら、おなじに見えてしまうのね。
離れた位置から見ると、そうなっちゃうかもしれないですね。

ヨーロッパの事実婚に注目するくらいだから、
「日本の保守的な人」とは、「正反対」とまではいかなくても、
おなじではないだろうと、わたしは思ったけれど。


>神社や寺社で認めてもらう、という概念はどうです?

日本人の感覚では、神社やお寺さんは式を挙げるだけで、
「正式に」認めてもらうのは、お役所の婚姻届け、
という感じではないかと、わたしは思います。

それで、ヨーロッパでは教会で認めてもらうのが、
日本の法律婚に相当する、というのが、
なかなか気がつかないのではないかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2012年09月23日 15:53
>たんぽぽさん
なるほど。クリスチャンにとっての教会のヒエラルキーが日本人にとっての日本政府のヒエラルキー(権威)と同等であるということですね。…となると、神社や寺社はヒエラルキーが本当に重視されていないのですね。

クリスチャンでもない人が突然教会に来て結婚式を挙げたいと相談してくる理由が何となくわかりました。イベント化されるのは不本意ですが、クリスチャンの思考が理解されるかもしれない一歩と考えればよいことかもしれませんね。ウチの教会は3ヶ月ほどかけて「勉強」してもらってから式を挙げられることになっています。

結婚式と婚姻届提出はどちらを先に行うかは、日本では人によってまちまちのようですね…ついAll Aboutを検索してみてみました。
Posted by mmm at 2012年09月24日 10:34
またまたコメントありがとうございます。

>クリスチャンにとっての教会のヒエラルキーが
>日本人にとっての日本政府のヒエラルキー(権威)と
>同等であるということですね

対応関係を言えば、キリスト教国では教会で認められる結婚が、
日本ではお役所の婚姻届けで認められる、という感じですね。

>神社や寺社はヒエラルキーが本当に重視されていないのですね。

単に式を挙げるところ、という感じですね。
挙式とともに法律婚が認められるという
「リーガルウェディング」というのも日本にはないですしね。

>クリスチャンでもない人が突然教会に来て結婚式を挙げたいと相談してくる

神社やお寺さんと同様、「式を挙げるところ」と
認識されているんだと思います。
法律婚の届けは別途お役所でやる、ということなのでしょう。

>結婚式と婚姻届提出はどちらを先に行うかは、
>日本では人によってまちまちのようですね

決まってないですね。
式は挙げないかたも、すくなからずいますし。
Posted by たんぽぽ at 2012年09月25日 22:13
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