このとき少子化対策について、かなり奇妙なことを
言ったかたがいるので、ご紹介したいと思います。
「(3)人口減少「高校で子供産んだ人にお金とか」」
《人口問題を古くから研究してきたという
堺屋太一氏は人口増への“秘策”を披露した》
堺屋氏「(出生率が高い国の理由は)子育てを市場化したから。
ベビーシッターがいつでも来てくれる。
それと若年出産率が高いからだ。
だから若年出産率が高くなるような施策をとればいい。
例えば高校で子供を産んだ人に校長がお金を配るとか。
そういうことを家庭の問題などと合わせて議論してもらいたい」
はじめに「子育ての市場化」というのが
いったいなんのことなのか、よくわからないです。
「ベビーシッターがいつでも来てくれる」というのも、
どこの国のお話なのかと思います。
「子育ての市場化」とは、家庭で子育てをしないで、
保育所に預けるなど「外注化」することなのでしょうか?
そういう意味でしたら、ここは納得はできると思います。
もっとわからないのは、出生率が高い国は、
「若年出産率が高い」と言っているところです。
前に日本では晩産化が進んでいる、というお話をしましたが、
欧米の民主主義国でも同様の事態になっています。
以下の資料に、各国の女性の第一子出産時の、平均年齢が出ています。
出生率が高いフランスやスウェーデンをふくめて、
すべての国において、晩産化が進んでいることがわかります。
若年出産率はぜんぜん高くないと思うのですが、
「若年出産率が高い」とは、いったいどこの国のことを
言っているのでしょうか?
「国際統計データでみる少子化と男女共同参画」
「調査対象国における少子化の動向-少子化の背景」
「高校で子供を産んだ人に校長がお金を配る」という
アイデアもかなりエキセントリックです。
学校がお金を支給したら、財政が破綻しそうに思います。
そもそも給付をするなら、子どもがいる家庭に対して
分け隔てなく、政府からお金を支給する
子ども手当てのほうが、ずっと好ましいでしょう。
それから、高校生が子どもを持ったら、
学業と子育てとの両立という問題がでてきます。
この点について、なんらかの支援がないと、
いくらお金がもらえても、それだけでは子どもを
持とうとする人は、出て来ないと思います。
この堺屋太一氏というかた、「人口問題を古くから
研究してきた」と、産経の記事で紹介されているのですが、
いったいどんな研究をしてきたのかと思います。
「出生率が高い国」というのも、該当する国が不明ですし、
どこの国のことなのかと思います。
こんな奇妙なことを言うかたが、討論会に出てくるようでは、
維新の会には、少子化対策は期待できなさそうですね。
(もともと期待しているかたなんて、
いないのだろうとは思いますが。)
日本だと高校大学大学院に関わらず、学校が「退学処分」を出しますよね、「女性だけに(夫は放置)」。大学で一例を近しく見たことがあります。妊娠・出産による退学を禁止(本人の望む休学ならOK)するならまだ現実を見ている気がします。
…この方は、東アジア以外の他国の大学にちょっと留学でもしてくればいいと思います(笑)。
早期出生率が高い国?フィリピンのことでしょうか。あそこは子どもがいるとDVが夫婦間で起きてもなかなか離婚できないほど子ども重視の国らしいですよ(現代カトリックはそこまでやれとは言っていないはずですけどね)。
まず、「少子化対策で女子高生に子供を産ませよ。」などと言う妄言を、何も疑問に思わないような連中が、実際に大阪の教育行政改革に手を付けていることを、もっと問題視すべきではないでしょうか。見ようによっては悪夢と言うレベルだと思いますよ、これ。
堺屋太一氏に関しては、以前、新聞紙面に「橋下徹大絶賛インタビュー」が掲載されていて、「閣僚経験もあるまともな有識者だと思ってたのに、どうかしちゃったのかな?」と、読みながら思ったのですが、御紹介頂いた記事で「完全にどうかしている」ことが確認出来ましたので、その点はスッキリしました。
北岡氏とやらの「人口減少を抑える。出来れば増やしていくためにはどうしたらいいか。」と言う発言に対しては、「原発ゼロ」に対する石破茂氏の発言をもって代えさせて頂きたいと思います。
「夢を追うな。」
残念ながら日本では、既に出産適齢期の女性人口が減り続けており、向こう数十年この傾向は変わりません。たとえ出生率が2になっても人口減少のペースが下るだけで、本当に増やすには出生率3や4を目指さないと駄目なのですよ。そしてそれは恐らく相当に困難でしょう。
「グレートリセット」とか称して新しい観点で国政に参加しようと本気で思うなら、「人口増で国力増。日本はハッピー。」などと言うカビ臭い価値観こそ、真っ先にリセットすべきでしょう。
「維新」とかってやっぱり掛け声だけですか、と言うことが改めて確認出来た一件であるとも言えそうです。
うーん、ただ、私、高校でお金を配る云々はエキセントリックすぎるにしても、高校大学に託児所設置を義務つけるとか、25歳未満で出産したら子供手当てを上乗せするというような方法は出生率を上げるというだけに限ればそうそう悪くは無いかな?とは思いますけど。
勝間和代さんは慶応大学在学中に出産しています。他にも結構いますよ。
大学・大学院は授業料を払い、単位を取ればいいので、学生の私生活にまで干渉しません。
mmmさんが見た例は、保守頑迷な大学なんでしょう。
東大には保育園が複数あります。大学関係者なら誰でも利用できるそうですので、院生・学生も預けられるのでしょう。東北大と横浜国大にも学内に保育園があります。
ちなみに東大の本郷キャンパスにあるのは「たんぽぽ保育園」だそうで(笑)
「東京大学で子育て」
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/hoiku/05.html
ええ、保守的な私立大学です。
>>「保守頑迷」
>>大学・大学院は授業料を払い、単位を取ればいいので、学生の私生活にまで干渉しません。
そうでしょうか?国公立に限って言えば、そのようなものはないのでしょうね。しかし、宗教的なものに少しでも関わっている学校はそのような処分を「自由に」行っていますよ。そうではなくとも、「学生のうちに結婚(出産)なんて」と否定的な人物はその実多いような気がしますが。私の聞いた話を話した人も、ずいぶんと否定的でした。残念です。
高校の場合でも、退学"処分"ではなく、自主退学を促すのが実態でしょう。私立高校なら有無を言わさず退学処分もあると思いますが。
また、「女性だけに(夫は放置)」もどうなんでしょうね。男子高校生も子の父であることを認めたら女子生徒と同じ対応(退学を求められる)ではないでしょうか。
男子は父であることを認めずすっとぼけることが可能だから放任されているのではないかなと思います。別に学校側に「女子生徒のみ処分」規定があるわけでなくて。
高校側が退学を求める理由は「風紀を乱した。素行不良」だろうから、これは男女ともに適用されると思います。
いずれにせよ、
>日本だと高校大学大学院に関わらず、学校が「退学処分」<
これは一部私学の例を拡大解釈しすぎかと。
>母体の健康を丸っきり無視した「対案」ですね
そういう問題もありますね。
>大学生・大学院生であれば、アメリカにも例はあるそうですが、
>「お金を配る」のではなく「託児所完備(しかも安価)」という
>対策が取られています。
なるほど、
学生でも子どもを作るかたが多い、ということなのかな?
>日本だと高校大学大学院に関わらず、学校が「退学処分」を出しますよね、
>「女性だけに(夫は放置)」
女子校や女子大とか、あるいは宗教系の学校だと
そういうところはあるみたいですね。
女子だけ退学させるって、わたしも聞いたことがあります。
でも出産したら退学というのは、特殊な事情の学校であり、
そんなに一般的ではないと思いますよ。
わたしの大学ではそういうことはなかったし、
よその大学とかでも、直接は聞いたこともないですし。
医学部とかで、学生どうしのカップルが
「できちゃった」というお話は聞いたことがあるけれど、
それで退学させられたというお話はないですしね。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>「少子化対策で女子高生に子供を産ませよ。」などと言う妄言を、
>何も疑問に思わないような連中が、
討論会にいた人たちの、だれもが反論しなかったですね。
おかしいと言えるほど、少子化問題について
知識のある人がいないということですね。
>堺屋太一氏に関しては、以前、新聞紙面に
>「橋下徹大絶賛インタビュー」が掲載されていて、
このかた、橋下を持ち上げている人なんだ。
それで、維新の会の討論会に出たりするのね。
どんな人かと思ってちょっと調べたけれど、
よくわからなかったんだけど、なにやら大きく問題がありそうですね。
>「夢を追うな。」
>残念ながら日本では、既に出産適齢期の女性人口が減り続けており、
団塊ジュニア世代が出産適齢期を過ぎてしまって、
少子化対策で人口回復が見込める時期は
もう過ぎちゃったと言われているのですよね。
だからなにもしなくてもいい、というわけじゃないんだけど。
今後の対策としては、
1.すこしでも人口減少を防ぐべく、少子化対策をする
2.移民など、べつの人口流入策を講じる
3.社会保障などの諸政策は、人口が減って行くことを前提にする
ということになるのでしょうね。
>「維新」とかってやっぱり掛け声だけですか、と言うことが
維新の会は少子化対策なんて、苦手だと思います。
女性に開かれているという事実もイメージもないですしね。
彼らが得意なのは、コイズミ改革的な弱肉強食策でしょう。
どちらかというと福祉の充実につながる少子化対策なんて、
さしたる理解があるわけではないのでしょう。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>若年出産率が高い国というと、途上国は大半がそうなんじゃないかな?
わたしもそれは考えました。
堺屋太一氏の言っている「出生率の高い国」というのは、
開発途上国のことなのかな?と。
開発途上国でしたら、貧富の格差が大きい国もあるから、
「ベビーシッターがいつでも来てくれる」ところも
あるかもしれないですね。
日本の少子化問題を考えるには、開発途上国は参考にならなくて、
いわゆる「先進国」で出生率が高くなっている国を
見なくてはならないんだけど。
>高校大学に託児所設置を義務つけるとか、
これは需要がないと、設置はむずかしいだろうと思います。
(大学だと、教職員も利用するだろうから、
設置されているところはありますが。)
教職員向けならともかく、学生・生徒向けに託児所を作っても、
需要はあまりなさそうに思うのですよね。
設置を義務づけると学校の負担になりそうです。
>25歳未満で出産したら子供手当てを上乗せするというような
うーむ、どうでしょうね...
晩産化が進んでいるのは、経済的な事情だけではないから、
そちらを改善しないかぎり、若年出産にだけ手当てを厚くしても、
さほど効果が出ないのではないかと、わたしは思います。
>大学・大学院で妊娠出産の女性を退学させる学校は少数派だ
そのような学校はそんなに多いわけではなく、
やはり特殊な事情の学校なんだろうと思います。
わたしの大学もそういうことがなかったですし、
よその大学のお話でも聞いたことはなかったですね。
出産で女子学生だけを退学させる学校がある、というのは
わたしは最近知ったんだけど、複数のかたから聞いたので、
あることはあるのだと思います。
>東大の本郷キャンパスにあるのは「たんぽぽ保育園」だそうで(笑)
>http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/hoiku/05.html
ご紹介ありがとうございます。
(これは「笑」だな。(笑))
まあ、「たんぽぽ保育園」なんて名前の保育園は、
日本中にいっぱいありそうだけれど。
(むかしわたしが住んでいたところの近くにもあったし。)
学生でも託児施設を利用はできるのでしょうけれど、
教職員向けに設置した、という感じではありますね。
ひょっとしてアメリカではないか、との線もありますが(笑)
アメリカの平均出産年齢は25歳、というデータがあります。
http://amefuji.blog22.fc2.com/blog-entry-1869.html
アメリカは育児が市場化されていて、出生率も日本よりかなり高く2.0以上です。
もしアメリカであるなら、アメリカの多様な面から堺屋氏が都合良くつまみ食いしているのではないかと。
・人種による出生率の違い
ヒスパニック系>黒人>白人
・メキシコは平均出産年齢が若い。メキシコ移民がアメリカの平均年齢を下げている?(ヒスパニックはカトリックが多いことが影響しているかと)
・中絶に強固に反対する勢力が存在する
・アメリカには公的保育制度がなく、市場で行わざるを得ない(ベビーシッター、民間保育園)
アメリカを見習い、公的制度を廃止して市場化・民間化、とは維新の会らしい考え方ですが。
>ひょっとしてアメリカではないか、との線もありますが(笑)
>http://amefuji.blog22.fc2.com/blog-entry-1869.html
おおおお、なるほど!
(情報まことにありがとうございます!)
たしかに、アメリカという可能性はありそうですね。
堺屋太一の言っている条件と合っているみたいですし。
>アメリカの多様な面から堺屋氏が都合良くつまみ食いしているのではないかと。
アメリカで若年出産率が高いのは、メキシコ系移民が
原因のようなので、子育ての市場化とはなんの関係もないですね。
「人口問題を古くから研究してきた」という人が、
原因と結果を正しく結びつけられないというのは、
じつにお粗末なことだと思います。
「市場化は絶対善」みたいな結論がさきにあって、
それに合うように現象を解釈しているだけかもしれないです。
>アメリカを見習い、公的制度を廃止して市場化・民間化、
>とは維新の会らしい考え方ですが
まったくですね。
「橋下徹大絶賛インタビュー」なんて言って、
橋下を持ち上げるだけのことはある人のようですね。
>たんぽぽさん
その一例しか見ていないので考えすぎだったかもしれません。反省。
しかし…既にもう女性人口自体が減ってるんですよね。30歳前の私の世代人口は、40歳代人口の半分だとか聞いています。ある意味、ゆるやかに減らしつつ、「人口が増える」という前提で自民党が一党で長い間時間をかけて作り上げたこの世の中のシステムを根っこから変えてしまった方が、食料・水・エネルギー問題を解決できるのではないかと思っています。それらの問題のためになら、私たちは減っていく人口を受け入れることができると思います。
>既にもう女性人口自体が減ってるんですよね
団塊ジュニア世代が出産適齢期を過ぎてしまって、
少子化対策をほどこして、人口を回復できる時期は
もう終わってしまったと言われているのですよね。
だからいまから少子化対策しても無駄、ということは
ぜんぜんないけれど(というより、いまからでも
やらなければだめだけれど)、すでに取り返しのつかないところまで
来てしまったということなのだよね。
よって、今後人口は減って行くことを前提として、
年金その他の諸政策を考えなければならなくなっているんだけど。